EP−ROMの昔話・その13

Wedding Errantry −逆玉王−

2002年12月13日

 タイトルはグローサーより1994年12月に発売になったRPGですが、私がこのゲームに興味を持ったのは、ショップでこのゲームを見た時、次のような意味のシールが張ってあったことでした。

「注意! ハードディスクのAドライブにしかインストールできません」

 「なんじゃそりゃあ???」と思いました。PC-98を知らない方に少し説明しておきますと、PC-98というのはドライブレターがフロッピーからOSを起動した場合はフロッピーがAドライブに、ハードディスクから起動した場合はハードディスクがAドライブになるという仕様ですが、ハードディスクが複数のパーティションに分割されている場合はパーティションの順にA,B,C・・・となります。PC-98はどのパーティションからも起動できるという特性があり、(この点はAT互換機より便利)用途によってパーティションを分けるということは普通に行われていました。その点からするとAドライブにしかインストールできないというのは実に不便です。そう言えば、その2で書いた、「やんやんのクイズいっちょまえ」もハードディスクのAドライブにしかインストールできない(正確に言うと他のドライブにインストールすると動かない)という仕様で、しかもマニュアルにそのことが書いてなかったので動かずに悩んだことを覚えています。頭に来たのでどのドライブでも動くようにするパッチを作りましたが。

 さて逆玉王の話に戻りますが、その時はすぐには購入しなかったのですが、このゲームのことは頭に残っていました。のちほどプレイしたのはその記憶があったためと思います。さてゲームの内容は、と言うと、

 主人公のセス君は女の子にフラれてばかりの平凡な小市民です。そこへある日、王様から姫の婿選びを行う、という通知が来ました。内容は、と言うと、「いい男養成ダンジョン」というのが作られ、そこを制覇して姫の好みの男になったものが選ばれるという話で、その姫の好みの男というのは「強くて、優しくて、たくましくて、Hの上手な人」という。それを見たセス君は、「さすがに姫を射止められるとは思わないけれど、ダンジョンではいい思いができるのではないか」と思って登録所に出かけます。そこでちょうと1000人目の登録者となって姫から祝福のキスをしてもらいます。そのことで姫に一目惚れしてしまったセス君の冒険が始まる、というストーリーです。

 そう言えばこの出だしって、フェアリーテールの「ロマンスは剣の輝き」に似ているのですが、(正確には向こうが似ていると言うべきか)案外このゲームがヒントだったのかもしれませんね。でも、「ロマンスは剣の輝き」は1995年6月の発売だから時期的に考えると単に「偶然の一致」かな?

 しかしプレイを開始してシステムの古めかしさには驚かされました。前述のように1994年のゲームですが、インターフェイスは90年か91年くらいのゲームの作りです。ハードディスクのAドライブにしかインストールできない、ということと併せて、どうして今頃こんな古めかしいゲームが出るのだろう、と疑問に思ったものでした。

 さて冒険を開始したセス君ですが、装備を揃えることができなかったセス君は、中華鍋の鎧にお玉の武器という何とも情けない状態でスタートします。このスタートの時点がこのゲームの難関で、戦おうとしても1回勝つのにも四苦八苦という状態です。実はちょっとしたコツがあるのですが、それに気が付かないとお手上げ状態になるかもしれません。

 最初は情けなくて笑える話が続くのですが、段々に話はシリアスになって行き、最後はシリアスそのものになります。このあたりのバランスの取り方は素晴らしいものがあります。のちに知ったのですが、このゲームのシナリオを書いたのはこの当時は大学生で、のちにアリスソフトに入社したふみゃさんらしいですね。

 RPGなので最後にはラスボスがいるわけですが、ラスボスは「世界を滅ぼそうとする大魔王」でも「世界を支配しようとする悪人」でもありません。そのようにしか生きられなかったのであろうという哀しみが伝わってきます。セス君の行動も世界を救おうとかいう要素はなく、最初から最後まで「姫のため」で貫かれています。「RPGは世界を救うばかりじゃない」ということを実に実感させてくれるゲームです。

 このゲームをプレイした人の感想というのはほとんど共通していまして、「システムは腐っているがシナリオは素晴らしい」。私もこの意見に基本的に同じなのですが、インターフェイスの古めかしさやゲームバランスがメチャクチャなのを差し引いてもプレイする価値はあるんじゃないか、と思っています。そう言えばこのゲームのラストを、「少女マンガのようだ」と評した方がいましたね。私は少女マンガって読まないのでこの評が正しいのかどうかわかりませんが。

 ま、しかしハードディスクのAドライブにしかインストールできないというのは現実的には不便で仕方がないので、どのドライブでも動くようにするツールを作りました。のちにこのゲームを作ったグローサーの方がNIFTYに見えられて、このツールのお礼と共に、なぜAドライブにしかインストールできないとかインターフェイスが古めかしいのか、という理由をメールで頂きましたが、それをここで公開してよいのかどうか判断できませんのでとりあえず伏せさせて頂きます。

 このゲームWindows3.1版も出ていますので、もし今からプレイしようと思われるのでしたらこちらの方が良いでしょう。(追加要素もあるそうですし。私はWindows版は未プレイですが)まあ、今となっては中古でないと手に入らないとは思いますが。

 取っつきの悪さから最近の快適なゲームに慣れた方だと放り出す危険性があるので、うかつに人には勧められないのですが、私的名作にしている1本ですので紹介させて頂きました。

written by EP−ROM