メモワール:第3回

バーチャコール2(フェアリーテール/アイデス)

2004年9月29日

 企業におけるビデオ会議システムとか、Webカメラをリモートコントロールするとかいった話題は、これを書いている2004年には、もはや新しくも何ともない話題になってしまっています。ところが、1990年代半ばに『バーチャコール2』がリリースされた当時には、題材とされている、触覚も伝えることができるリアルタイムビデオシステムといったものは、さぞかし先進的に感じられたことなのでしょう。

 こういった最先端のテクノロジーを使ったナンパゲーム、というより口説きゲームで、2004年9月の時点で、サブゲーム(あえて「ミニゲーム」とは呼びません)などもあわせると5つの作品から成る一大シリーズを形成している、ロングラン作品であります。ちなみに「バーチャコール」とは、上述のシステムを活用して複数の回線をホストコンピュータにてまとめ、それらを相互に接続できるパーティラインサービスシステムのことを指します。

 このゲームの発売は、PC-98版が1995年12月22日、Windows版が1996年10月25日で、私がプレイしたのは1997年6月ごろでした。具体的な内容は、レビューのほうをご参照いただくとして。このゲームを手に取った最初のきっかけは、アニメ調でどことなくいかがわしい――エロティックというのではなく、妙な魅力と怖さを秘めているといったイメージです――娘たちがたくさんパッケージに踊っている画面に惹かれたことです。「バーチャコール」シリーズでは、前述のバーチャコールで顧客(つまりプレイヤー)と対応するオペレータが表面に出てくることが多いのですが、この『バーチャコール(以下、VC)2』だけは、例外的に複数の女の子がいっぱいでてきて、とてもにぎやかです。

 これは、女の子のバリエーションがとても豊富だったためでしょう。初代でもいろいろなキャラがいましたが、『VC2』では、年齢や職業、性格などがさまざまに分かれていました。昨今、よく使われている表現に「属性」というものがありますが、それにとらわれない、いわば破れかぶれのバリエーション、といえるかもしれません。もちろん、どのキャラクターも大なり小なりデフォルメされていますし、「そんなアホな」とツッコミを入れる余地はあるのですけれど、「あ〜あ、またこのパターンか」と思うことはありませんでした。もっとも、不況が長期化し若年層の雇用不安が恒常化している今では、夕子みたいなキャラはもはや「過去の遺物」化しているのかもしれません。

 もっとも、オペレータが出てこない唯一のゲームだったというのは、このVC2のオペレータがその後悲惨な扱いをされることを暗示していたのかもしれず、今となっては素直に楽しめないのですが。このあたりは、続編の『VC3』をプレイすればわかりますが、『VC3』では、キャラクターがかなり定型化しているうえ、イベント内容などもマンネリ化が拭えず、グラフィックの美しさとボイスのにぎやかさで勝負している観があります。

 そして、このゲームでの最大の魅力は、キャラが主人公=プレイヤーの前に、実に豊かな表情を見せてくれることに尽きます。モニタ越しという設定になってはいるものの、キャラクターがバストアップして、こちらの会話に応じて、ころころと表情や姿勢を変えてくれるのです。このレスポンスのよさは、ボイスなしが標準だった当時ならではのものだったともいえますが、リアクションが素直にかえってくるため、モニタの向こうに、あたかも本当に女の子がいるかのようにさえ思えたものです。

 主人公のセリフが、目の前の女の子に対してだけは一貫しているものの、実際には複数の女の子に「キミしか見えない」的なセリフを乱発しまくり、いつか絶対刺されるだろう的な展開になっているのではありますが、むしろ主人公の厚顔無恥が、その向こう側にいる女の子を、さらに生き生きとさせているように思えます。

 こういった表情の変化をつけるゲームは、その後もたくさん出ていますが、ボイス付きが標準仕様となった結果、むしろ「レスポンスの迅速さ」があまり実感できなくなってきたように思えます。それならボイスをオフにすればよい、となるのですが、それでも、このゲーム以上に「自分のコトバに相手が反応する」さまを、しっかりと感じられるものには出会えていません。これは、続編の『VC3』でも同様で、『VC2』を上回ることはできていません。

 また、難易度がかなり高いゲームでもあります。ただし、どのキャラも難しいというのではなく、キャラ間の難易度の差が非常に大きい。具体的には、鈴音なんかはパーティラインの一本釣りに成功すればあとは楽勝なので、会話のバリエーションを好みに応じて選ぶことができます。その一方で、綾香なんぞはすぐに逃げられるので、手に汗を握りながら会話を進めていくことになります。こういった難易度調整のため、いわばメリハリが効いており、「最後まで誰とも何ともなかった……ぐっすん」とはならないような配慮ができています。

 最大の問題はユーザーインタフェースの悪さで、セーブ&ロードのタイミングを筆頭に、かゆいところには決して手の届かないような仕様になっていたことでしょう。しかし、女の子を落とすためには何でもやっちゃる、という姿勢で取り組めれば、少なくとも致命的な障壁にはなっていません。

 現・エフアンドシーがリリースしたゲームの中で、すぐれた作品を3つあげろと言われれば、私は確実に『VC2』をその1つとしてあげます。

written by Ken