愛姉妹 〜二人の果実〜 シルキーズ

1994年9月30日発売(PC-98DOS版)
1995年12月ごろ発売(Windows3.1版)
2000年5月26日発売(Windows95/98版)
ご意見などは掲示板へどうぞ

 脅迫をもとにした鬼畜ゲームというのは、今となってはいくらでもありますが、ひたすら女性を追いつめてただ犯すだけ、すっきりさっぱり気持ちよし、でおしまい、というのが基本パターンのように思えます。もちろん、男性側から見て徹底的に都合のよい世界を仮想的に実現している以上、これはこれで当然の流れともいえますが、犯したつもりでいながらその実、その主人公自身が、自分の行動に迷っていく、そういう展開を掲げているのが、この『愛姉妹』です。

 なお、この作品にはWindows3.1版も出ていますが、なぜかWindows95/98では動作しないそうな。何なんだそれは(^^;)

※このレビューは、PC-98 DOS版をエミュレータ「ANNEX86」でプレイして書いたものです。

シナリオ

 主人公・野川丈人(変更不可)は、悪徳不動産屋である父親が起こした事件を示談に持ち込む一方、事件の当事者であった女性やその娘姉妹を手込めにするよう父から命じられる。悪人として大成できるかどうか、手腕を問われる主人公は、彼女たちを愛欲の世界へと転落させることに腐心するようになる。

 

 適当に選択肢を選んでいれば、これでもかと言わんばかりのHシーンが山のように出てくる、いわゆる「実用モノ」なので、別にメッセージ性を含んだシナリオではありません。第一、示談に持ち込もうというときに警察にも保険会社にも連絡しないという時点でリアリティもへったくれもありません(^^;) 「事件」のきっかけがアレでは、その後の展開に深刻さが全然出てはきませんね。よしんば何百万円かを押しつけたところで、それで3人の人生が崩壊するのでしょうか。北川家の様子を見る限り、親父さんは真面目に働いているようですし、彼にバレることなく搾り取れるモノには限度もあるでしょう、特に肉奴隷なんざ論外…と思えます。

 ところが、この「リアリティのなさ」が、陰惨さを帳消しにさせる効果を持っているわけですな。実際にはそこまで考えてはおらず、単に「無理矢理Hというシーンをどう入れるか」という程度にしか考えていなかったのでしょうが、上記のような「不自然さ」が、このゲームの中に、不思議な脳天気さを植え付けているように感じます。そんなわけで、脅迫の意味について考えてしまいがちな方には、まず向かないと思います。

 もっとも、いわば「諸刃の剣」とでもいう手法であり、Hシーンを見ているだけであればそれなりに見ることはできるのですが、シーンとシーンとの合間には、ほとんど見るべきものがなく、従って「もう飽きた…」となることも充分に考えられます。私は、エンディング探しに躍起になったため飽きませんでしたがヾ(^^;

 実際、エンディングがいろいろあるとはいっても、エンディング自体は、実はどうでもよかったりするんですね。単に「結果」がそうなった、というだけであって、神髄はHシーンの描写にあり、というべきでしょう。

 

 このゲームでおもしろいところは、「陵辱」あるいは「脅迫」ということではなく、関係を迫る主人公の行動に、陰湿さをさほど感じさせず、むしろ「悪人になろう」と青臭い気持ちで行動している間抜けっぷりが漂っている点でしょう。

 そしてまた、脅迫の標的になるキャラクターたちが、またなかなかのものです。単に相手が「なんか知らんけどなぶられて、なぶられつつも楽しんでいる」だけでは、犯る方も萎えます(^^;)

 単に「女性器を持っている生物」以上の生き物としては扱われてない、というのが通常の陵辱ゲームのパターンではありますが、「犯される」側の女性キャラクターが、主人公の言うままになりながらも、実は彼の予想とはまったく違う反応を示すことで、主人公の戸惑いを大きくします。主人公の幼さを見抜いて包み込んでしまう人妻、妹を思い健気な態度を示す姉、状況把握以前の段階で主人公にぞっこんになってしまう妹。どいつもこいつも、「悪人」として振る舞っている主人公にとっては、戸惑い、調子を狂わせるものばかり。この結果、全体的に、妙な「ほのぼのさ」が漂っています。

(心が姉妹と幸絵に傾いてきたのか!? …………俺はそんな事、拒否するぞ。)

(違う! …………俺は留美より智子を…………じゃなく…………えええええーい!!)

万事、こんな調子です(^^;)

 

 そうはいっても、実際には因果応報という言葉はきちんと生きており、あまりハッピーと呼べるようなエンディングは用意されていません。悪人になろうとして悪事を働きながら、真の悪人にはなりきれなかった滑稽劇の顛末としては、むしろ非常にすっきりした割り切りの良さを感じます。

 

 ただ、私個人としては、どうにもこのゲームは好きになれませんでした。評価したいという気持ちと、どうにも引っかかる気持ちとの双方が混在しています。

 主人公が「犯しているんだぞ」と思いながら、女性側には「犯されている」というもの以上の、あるいはそれ以外の感情があるがゆえに、そういった「すれ違いによる脳天気さ」が出ているのですが、これは、レイプといえども肉体関係を結ぶことの中に、不倫、あるいは恋愛といった要素が分かち難く結びつけられるものである、という考えが色濃く出ているように感じられます。アダルトゲーム、特に「実用系」アダルトゲームにありがちな「御都合主義」は、基本的に「男性にとって有利な世界」が展開された結果出てくるモノであり、関係を結んだ相手に対する仲間意識などはほとんど見向きもされないのが一般的ですが、すが、この『愛姉妹』の世界は、むしろ「背景としての男性至上主義」が、結果的に「女性を落とし込もうと考える主人公」と「落ちていくことを肯んずる女性」との間で立場の転倒を生ぜしめる…そういうものに感じられます。

 性犯罪の被害者がこういった都合のよい心理変化を見せることがない、だからこの展開は御都合主義だ、というのではなく、果たして「男性至上主義」の枠にはまった状態から、こういった「転倒」が起こりうるのか。被害者が加害者と共通の仲間意識を持ち、その結果相互間で連帯意識を抱くことがある(ストックホルム=シンドローム)、ということは、性的な犯罪のような「一対一」の犯罪においても成立しうるのか、という疑問が起こります。

 「取り組み」としては評価したいと思います。でも、どうも心理的に納得いかないものがあるのも事実です。

ゲームデザイン

 コマンド選択によってシーンおよびエンディングが変化する、マルチエンドタイプのアドベンチャーゲームです。どんな展開になっても確実にHシーンを目にすることになるため、まさに「お手軽実用系」ゲームといえるでしょう。基本的に、プロローグ(共通部)の後は大きく2つに分かれますが、どんな分岐をしてもボリューム的には大差ありません。

 ゲームオーバー的なものはなく、枝分かれ的に分岐します。この分岐自体には特に意味があるものではなく、Hシーンをいかに入れ込むか、が先にありき、といった印象を受けます。まぁ「そういうゲームだから」で済ませるべきなのでしょう。

操作性など

 画面表示は、640×400で表示されますが、カラーモニタとモノクロとを選択できます。時代を感じさせますね。

 画面は、メッセージウィンドウが下部に作られます。一枚絵CGがフル表示されることはないので、画面の迫力はさほど感じないのがやや残念なところではあります。

 キーボード・マウスの双方が使用可能ですが、メッセージを読み進め、選択肢を選んでいくだけなので、キーボード操作が中心となり、それも選択はカーソルキー左右移動で間に合います。このため、かなり軽快にプレイできます。

 セーブは、学校での場所移動の際にのみ可能で、5個所までセーブできますが、確認表示やセーブ時の情報表示などは一切行われず、あまり使いやすいとは言えません。ロードはどこででも可能です。

 メッセージ速度調整機能はありません。また、「Ctrl」キー押下によってメッセージスキップ可能で、選択肢が表示されるまでかなり高速で飛ばすことができます。

 ゲームを1回クリアすると、CGモード・シーン再生モード・エンディング確認に入ることができます。CGモードでは、一枚絵CGが順次一枚ずつ表示されますが、途中で抜けることが出来ないのでかなりかったるいものがあります。CG達成率はここでは確認することが出来ず、その代わり、エンディングを見た際に達成率が表示されます。回想モードもあり、テキスト付きで再生することが出来るのは、ゲームの発売時期を考えると驚きます。BGMモードはありません。

サウンド

 例によってエミュレータでの再生なので断定は出来ませんが、BGMはどうにもチープな音にしか聞こえません。音が出なくてもなんの問題もなさそうではあります。このあたり、同じブランドから出ている『恋姫』とは雲泥の差があると感じます。

 効果音もありません。Hシーンを盛り上げる要素になったろうに、これは残念。

グラフィック

 最近のグラフィックとは明らかに雰囲気の異なる、細目系のキャラ原画ですが、これがなかなかに良いですね。女性キャラクターに「女性」らしさを醸し出させています。

 また、細かい小アニメがある点は、特筆に値しましょう。目パチアニメ程度ならどうということもないのですが、指先や舌先がチロチロと動くは、「汁」(^^;)がチョロチョロ流れるは、といった小細工がいっぱい仕掛けられています。

お気に入り

 特になし。留美か智子かのいずれかが「お気に入り」キャラとして挙げられるべきなんでしょうけれど、別にどっちのキャラに対しても「ふ〜ん」という以上の思い入れが起きなかったもので(^^ゞ

関連リンク先

 鷹月ぐみなさんの「Lemontic Palace」(閉鎖)が、独自の語り口でなかなか興味深いですね。また、蓼原シュンさんのサイトにも、レビューがあります。

総評

 一風変わった、変化球気味の陵辱モノとして、今でもそれなりのおもしろさを持っているゲームではあると思います。ただし、発端となっている背景からして余りにも軽く、それゆえダークさのカケラも感じさせない展開であるため、「追いつめる」ことを期待してはいけません。

 また、女性の行動や心理が、必ずしも主人公の意図に沿ったものではないとはいえ、結局は主人公にとって都合のよい形へと流れていくことには変わりはないので、そういったことに抵抗を感じる方は、やはり避けたほうがいいでしょう。

 「お手軽実用」系と書きましたが、これも、さすがに現在のグラフィック水準ではきついモノがあります。Windows95/98版に期待…といきたいところですが、原画の方が変わってしまって、どうも雰囲気がまったく違ってきているような感じですね。果たしてどんな出来になることやら。

個人評価 ★★★★★ ★☆☆☆☆
2000年5月12日
Mail to:Ken
[攻略ページへ] [レビューリストへ] [トップページへ]