くすり指の教科書 アクティブ

1996年4月5日発売
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 "ベタベタで恥ずかしい恋物語"。性描写のあるゲームとなれば、その前段階としてらぶらぶな展開を用意しておくというのは常套手段の1つでしょうが、見ているこっちが恥ずかしくなるような展開を真正直にぶつけてくるタイプのものは、意外と少ないものです。この『くすり指の教科書』は、まさにそのベタ的展開を忠実にたどっています(^^)

 なお、1998年には『くすり指の教科書Duet』として、本作品と『くすり指の教科書2』とのカップリング作品がリリースされましたが、中身は同じのようです。

シナリオ

 主人公・俊夫(変更不可)は、すでに卒業要件となる単位を取得済みで、ヒマを持て余している、一人暮らしの高校3年生。料理が趣味で部屋もきちんと片づけるなど、所帯じみた彼だが、ふと気がつくと、いろいろな女の子が周りにいることに気付いた。

 

 「シナリオ」として見た場合、ある一定のストーリーに基づく流れが存在しているわけではありません。シナリオを分析してゲームの中に描かれているものを探りだそうとしても、たぶんあまり意味がないでしょう。そういう意味では、シナリオ的には非常に「薄い」ものであり、特筆すべき点はほとんどありません。恋愛ものとはいっても、「恋愛」へと至る過程がきちんと描かれているとはお世辞にもいえず(辛うじて千里のシナリオが描かれている…かな)、らぶらぶになる「過程」に期待を抱いていると、恐らくは肩すかしを食らうでしょう。萌えにはそれなりのアプローチが必要だ、と信じて止まないタイプ(←私がそういうタイプかどうかは置いといて(^^;)の方は、萌シナリオ(この「萌」はキャラ名です…あぁややこしい)など「許せん」でしょう。

 しかし、このゲームの持ち味は、むしろヒロインと主人公との会話、あるいは、それぞれのモノローグが出している「ほのぼの感」に尽きると思います。それは、「現実的」という意味合いでのリアリティからはほど遠いものです。しかし、プレイヤーの年齢が確実に18歳以上である(はず)ことを考えれば、「実際にはありえなかったような事柄の追体験」としての「仮想的な現実」としての「ほのぼの感」を、見事に出しています。

 決して、甘ったるさだけではありません。それなりに、後味の悪さやほろ苦さを感じることもあるでしょう。このコントラストがきちんと生きている点を、何よりも評価したいと思います。Hシーンもなかなか濃いです。

 

 女の子と仲良くなる…シナリオへとスムーズに入れればいいのですが、なかなか恐ろしいシナリオも存在しています。どんなシナリオがあるのかは、ああっ、口が裂けても言えませんっ(^^;)

 それはともかく、個々のシナリオは非常に短いのですが、きちんとおさえるべき所をおさえて、ほのぼのとした展開が基本となっています。恋は異なもの味なもの、実際には甘ったるいだけの恋物語など絵空事以外の何ものでもないのですけれど、そういう野暮ったいツッコミを入れる間もないほのぼのらぶらぶ攻撃は反則でしょう(^^)

 

 ところで、『アクティブ恋愛方程式』内の「恋愛方程式大辞典」によると、このゲーム内では、主人公には姓が設定されていなかったそうな。ううっ、『くすり指の教科書2』を先にプレイしていたので気付きませなんだ(^^;)

ゲームデザイン

 序盤の行動でシナリオが大まかに分かれ、その後も小分岐します。序盤での行動分岐は、「誰と会うためにどこに行く」といった、合目的的行動ではなく、プレイヤーから見ると「あそこに行ったら、誰かさんと出会った」という印象です。中盤以降は、基本的に、女の子たちに対してどういう行動を取るか、という選択になります。ランダム性はないのですが、選択と結果との関係がどうにも希薄なのが残念。

 全シナリオを終了するとおまけシナリオが出ますが、このおまけシナリオの破壊力は強烈なものがあります。主人公のずるいばかりのスマートさが妙に出ているともみシナリオ、本編での存在感のなさを補っている萌シナリオ、破壊的なイベントや殺しゼリフを連発してくれる千里のシナリオなど、まさにベタベタなノリが続きます。エンディングに出てくるCGは、ぜひとも見ておきましょう(^^) ただ、本編で全エンディングを見ていないという人は、もったいないので、とにかくクリアしましょう。おまけシナリオという名前ですが、その実はトゥルーシナリオ群というだけの意味を持っていますから。

 難易度はかなり低いので、特に頭を抱えることはないでしょう。せいぜい、某悪友との受け答えでエンディングが変わってくるくらいかな? あのエンディングは思い出したくないけど(^^;)

不具合・修正プログラム

 私の環境では、特に不具合などは発生していません。

操作性など

 インストール先は任意に変更可能ですが、ロングファイルネームには対応していません。また、起動の際にはCD-ROMが必要ですが、CD-ROM内の全ファイルをハードディスク内にコピーしておき(すべてコピーしても14MB程度)「SETUP.EXE」を実行すれば、CD-ROMなしでもプレイ可能です。

 Windows対応ソフト最初期のものですが、アクティブのゲーム、操作性はやはり快適です。メッセージスキップこそありませんが、もともと短いので気にする必要はなし。何よりもプログラムが軽いので、サクサク進むのが嬉しいところです。ただ、調子に乗ってエンターキーを連打していくと、選択肢の先頭部分を気付かずに選んでしまうことがあるので、注意が必要です。メッセージ速度等のカスタマイズはできません。もちろん、キーボードのほかマウスも使用可能です。

 画面は、640×400とフルスクリーンから選択可能です。セーブ&ロードは、任意の位置で4個所まで可能です。

 CGモードは、1枚ずつの表示です。見たCGの比率は、「くすり指の教科書のツボ」で見ることができます。BGMモードでは、曲名をクリックすることでBGMが流れます。

サウンド

 BGMは、MIDIで演奏されます(SC-88推奨だそうですが…BGMのためだけに高価なMIDI機器を買うのもねぇ)。担当は如月ゆうきさん。元気いっぱいの「ともみのテーマ」から、しんみりとした「淋しくなんかないもんね」(千里のテーマ)まで、バラエティに富んだ曲が多く、ゲームの雰囲気をうまく演出してくれます。個人的に好みの曲も多く、やはりHDにMIDIファイルをコピーし、BGMがわりに流すこともあります。ただ、ソフトウェアMIDIで再生すると途端に重くなるのでご注意あれ(YAMAHA S-YXG50Cにて確認)。

 音声がなかったのは残念。続編『2』では、本作品に登場したヒロイン4人が(ちょっとだけですが)再登場し、声もあるので、『Duet』では声つきかと期待したのですが、なかったようです。ともみや千里など見事にハマっていたと思うのに、残念。

グラフィック

 風上旬さんの原画。ほんわかした感じの女の子たちは、まさに「かわいい」の一言。ちょっと細身過ぎる感じがしますが、味のあるキャラを創ってくれています。ともみの「ネコ口」など、最高です(^w^) 表情の変化も割と効果的に使われていて良し。デッサンの狂いなども少し…いや、だいぶありますが、なんか「味がある」ので許しましょう(^^;) あと、Hシーンもなかなか濃い(2画面スクロールなんてのまであります)ので、『くすり2』のように軽めのものを想像していると、度肝を抜かれる可能性は充分にあります(^^;)

 背景は……見なかったことにしましょうか(^^;) 16色とはいえ、いくらなんでも寂しすぎますが。

お気に入り

 香住千里ちゃんでしょう。私自身が兵庫育ちということは全然関係ないはず(但馬と摂津じゃねぇ(^^;)

恋は、惚れた方が負けやねんで。負けたヤツは、何されても、何も言えへんねん。ケンカと一緒や

この名台詞、もぉ(*^^*)

 これに次ぐのが、お隣さんの、田中ともみ。頭に雪をたっぷり載せて…ただいま、帰って来たよとこられた日には、黙って抱きしめるしかないじゃないですかぁ(*^^*)

関連リンク先

 USGさんのサイト(閉鎖)、SHEOさんのサイト蓼原シュンさんのサイトなどにレビューがあります。

総評

 シナリオそのものには、恋愛の妙味といったものを感じさせてくれるような過程を一切省いているため、さして奥の深いものを見せているわけではありません。しかし、「甘い経験」を追体験してみたい、と思ったとき、まさに「こそばゆくなるような」ゲームの存在意義は、充分に評価できましょう。また、「食いまくってポイ」ではなく、基本的に出会う女の子は2人以下、場合によっては1人だけ、という進み方なので、気楽に雰囲気を楽しめるのが、実に嬉しいですね。

 それから、アクティブのゲームの大半がそうだと思うのですが、それまでに出されていた修正パッチや体験版なども同梱してくれています。これが結構楽しかったりするのですが、音声が増えてくると、「CD-ROMならよゆーでおっけー」ともいかなくなるわけでしょうかね……。

 

 くどいようですが、もう一度。

 途中で放棄してしまった方、ひとまず全エンディングを見ましょう。その後に最初からプレイすると、おまけシナリオに入れますが、これの破壊力はシャレになりません。ぜひとも見て下さいませ。そして、これを終えて初めて、タイトルの意味が理解可能となりましょう。

個人評価 ★★★★★ ★★★☆☆
1999年8月22日
(10月27日、加筆・修正)
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