RE-NO STAYIN' ALIVE ソフトウェアハウスぱせり

1996年6月14日発売(PC-98 DOS版)
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 比較的新しいADVの場合、ストーリーを読ませるというタイプのゲームは割とありますが、中途の展開、そしてシナリオの「出し方」となると、もうひと工夫もふた工夫も欲しいと思うものが多いようです。サウンドに代表される演出の水準が上がっている反面、シナリオの手前における「ストーリー展開」という表層部で魅力を感じるゲームに飢えていたところに、何となくプレイしたのが、この『RE-NO』でした。タイトルそのものがどことなく意味ありげだし、パッケージの女の子も割と良さげなので、何となく購入しました。

 Windows版も出ているようですが、つい最近に至るまで全然目もくれなかったのはどうしてなんでしょうか? なお、このゲームのPC-98版には、FD版とCD-ROM版とが出ていますが、私がプレイしたのはCD-ROM版です。ただねぇ、パッケージ裏の「美少女絶対保証 可愛さ爆発!美女白熱!美少女多数出演!!」はどう見ても「違う」と思うのですけれどね。少なくともキャラゲーとして見ると「どうしようもない出来」でしょう。

シナリオ

 主人公・りょうま(変更可能)は、暴力の蔓延する一都市で探偵業を営んでいる。音楽業界で働く恋人から受けた、人気歌手の護衛依頼をきっかけとして、殺人事件との遭遇、謎の家出少女の保護など、次から次へ起こる謎の出来事。さらに、不可解な事件がいくつも発生、それらは陰で何らかのつながりがある様子。主人公を取り巻く事件の数々、彼はこれをいかにしてクリアしていくのか。そして謎の真相はいったい何か。

 

 サスペンス調のシナリオですが、最初に感じたのは、伏線の出し方、そして引き込み方が実に秀逸であることです。個々の伏線そのものは、それが「配置されている」ことの合理的な説明が必ずしもつくものとは限らず(むしろかなり粗は大きい)のですが、そのタイミングが絶妙です。しかも、各キャラクターとのやり取りが、全体をシリアス一辺倒にすることなく、なおかつ、ギャグで外すこともなく、自然体で流れるのがいいですね。テンポの悪さを演出だけで補っているゲームが多い中、この点は高く評価したいと思います。

 その結果として、シナリオの流れが実にスムーズで、途中でシナリオ面でダレを感じて放り投げることはまったくありませんでした。プレイ時間がそう大幅に掛かったわけではありませんが、ほどよい緊張感を中盤まで絶えることなく維持させてくれた点で、このゲームは十分に評価できると思います。

 シナリオ自体は、どこかで見た設定、ありふれた展開、などなど、全体で見ると、さほどのものではありません。シナリオというものを「そこから何らかのメッセージを引き出す対象」として捉えた場合、『RE-NO』は、凡百のゲーム群の一に過ぎないといっていいでしょう。しかし、エンターテインメントとして考えると、こういった「引き込み方」をしっかりと出している時点で、私はすでに高い評価を受ける資格を得ていると感じます。シナリオ内容での評価が中心となるゲームばかりをプレイした結果、こういうスタイルのものを新鮮に感じたのも事実で、やや過大評価に過ぎる、という見方も可能かもしれませんが。

 

 ただ、「シナリオ全体」での評価は、ゲーム評価に直結するものではないと思う私にとっても、大きな問題点が2つあると考えます。

 

 第1の問題点は、終盤の展開が速すぎること。

 中盤までの展開は、非常にテンポがよく、「手に汗握る」とは言わないまでも、スリルを覚えながらプレイできました。後から考えてみるとお決まりのパターンであっても、プレイ中には意外性を感じさせるなど、本当に心憎いまでに「テンポ」を重視していました。伏線や謎を出すタイミングは、実に細かく考えられています。

 ところが、ラストになると、「真実」の明かされ方が、黒幕が偉そうにすべて語り、それでオシマイというもの。単に「力業ですべてを収束させる」というのではなく、それなりにつじつまを合わせてはいるのですが、本来ならばクライマックスとなってしかるべきところが、黒幕による口頭説明、縷々朗々と事実が語られるので、ただただテキストを読むだけ。この間、プレイヤーは、「ふ〜ん」と納得はするものの、なんだか問題の解き方を解説してもらっているような味気なさを覚えました。

 おまけに、善玉悪玉の区分けがあまりにも明快過ぎるため、「悪事」そのものにリアリティが欠けており、それまでさほど深刻には感じなかった「不自然さ」が、クライマックスとなるべき所で一気に噴出したのは、「盛り上げ」という面で見ると致命的に近い問題でしょう。中盤までの展開を見る限りでは、名作に名を連ねてもおかしくない仕上がりになっているだけに、最後で冷水を浴びせられたような思いをします。

 

 第2の問題点は、主人公の心情描写が、あまりにも希薄であること。

 内省的といえば聞こえはいいけれど、実際にはうじうじと1人悩むタイプの主人公を大量に見ているだけに、さっさと納得してずんずん突き進む主人公の姿は、確かに爽快感を覚えるともいえます。しかし、主人公は、彼自身の後天的な努力でなんとかなるものではない「宿命」あるいは「十字架」を帯びています。ラストの内容に直接関わるのでこれ以上の内容には触れませんが、自己存在を根底から見直す必要があるような設定になっているのは確かです。ところが、主人公は何も考えない。これでは、むしろ自省心を放棄した「考えない突撃野郎」としての主人公が浮かんでしまいます。

 彼のモノローグを状況説明に絞り込み、さらに、過度に助平な人間にしないことで、ハードボイルドなキャラクターにしているのでしょうが、行動している「自分」が座標軸のどこにあるのか、それを見つめることなく(「目を背けている」ではなく、そもそも「見るか見ないかといった考えそのものがない」という状態)達観している主人公に対し、終盤で感情移入することなどとうてい不可能です。悩んでしかるべき設定になっているのであれば、それなりに考える必要がありましょう。

 

 また、キャラクターで見ると、非常にもったいない気がします。メインと想定されているのであろう2人を初め、登場する女性たちはそれなりの役割を演じてはいるものの、その魅力を示すほどの活躍はしていないのが実情。一番活躍していたマチルダについては「次回作のお楽しみ」なのか、手の内を見せずに終わり、それ以外は「活躍」とは呼びにくく、シナリオ展開の中での「駒」に過ぎません。

 こういう基準での評価自体が無意味であるという指摘もあるでしょうけれど、もっと磨けば光ったであろうキャラクターを見ていると、ちょっともったいないない気がします。キャラクターで見せるゲームではない、というのは確かなのですけれど、見せられるものを見せないというのは、ちょっとね。

ゲームデザイン

 基本的に、一本道のシナリオとなっています。途中には選択肢も出ますが、コマンドを総当たりにすれば先に進む場合が多く、二択・三択に見える場合も、不正解の選択肢は単なるダミー、正解選択肢を選ぶまで先に進めないようになっているに過ぎません。ただ、捜し物のシーンなどでは画面のあちこちをクリックすることになるので、こちらの方がむしろちょっと手間取る、という程度でしょうか。

 なお、Hシーンについては、多くのシーンで「抱く・抱かない」を選択できるのは、なかなかに嬉しいところ。無節操にHを重ねても展開には何の影響もありませんが、これはこれでよし。ただし、全員とHしてもCGが100%にはならないというのは、いかがなものでしょうか。

操作性など

 ゲームを起動すると、メインメニューで「最初から始める/途中から始める/名前変更/CGの部屋/音楽の部屋/パセリの小部屋/ゲーム終了」から選択できます。

 画面表示は、通常画面では、下部にメッセージウィンドウが表示されます。全画面CG表示時は、画面の下の方にメッセージウィンドウ(半透明)が表示されるようになっています。

 メッセージ表示速度は、「高速/標準」から選択可能です。しかし1回クリアしてしまうと、メッセージ速度調整よりもメッセージスキップ機能がほしいですね。これがないと、未見CGを探す気にはとてもとても(^^;)

 セーブ&ロードはいつでも、5個所まで可能ですが、私の環境では、なぜかセーブした当時の記録が表示されませんでした。なお、ロードすると実際にセーブした場所よりも少し前から始まるようです。

 CGモードは、「LADY'S ROOM」「MAN'S ROOM」「ETC CG」と分かれており、それぞれのパートごとに達成率が百分率にて表示されます。それぞれ、「MANUAL」(クリックするごとにCGが切り替わる)「AUTO」(自動でCGが流れる)を選べますが、Hシーンの再生があるわけではないので、「AUTO」はまず不要でしょう。ただし、1回各モードにはいると、各パートの全CGを見ないと抜けられないのは困りもの。なお、各キャラクターの立ちCGや背景CGまで鑑賞可能です。

 音楽の部屋(BGMモード)では、CDプレイヤーをクリックすることでBGMを選択・聴くことができます。MIDI/FMから選択できます。曲名つき。

サウンド

 BGMは、一部無音にすることで、逆に凍てつくような緊張感を出すのに成功しているところがあり、「やられた」と思ったことがありました。個人的には、レストランのテーマが割と好みだったりします。曲ごとのメリハリはあるものの、ちょっと賑やかすぎる感じも。

グラフィック

 キャラクター原画は「TD-X」氏の担当。前作『TRUE LOVE』と同様のキャラデザです。前作に比べてそれなりに女の子たちもかわいくはなっているのですが、キャラクターごとの描き分けがあまりできていません。また、ハードボイルドには必要不可欠な男性キャラたちのデザインがかなり狂っているようでもあり、「野郎はかまわんだろう」という感じがあるのはマイナス。ジャギーも目立ちますし。

 ところで、恵梨香の服、どう見てもセーラー服と思ったら…お〜い。パッケージを見て、高校生が活躍するタイプのシナリオかと思っていたのですが、あれは見るものを単に惑わすだけですかい。私は別にセーラー服フェチじゃないけれど、引いておいて突き落とすのはどうにも嫌です。

お気に入り

 キャラクターに萌えるタイプのゲームではない上、そもそもキャラがゲームの中でさほどの活躍をしなかったこともあり、「特になし」としかいいようがありません。恵梨香なんかは、確かに好きなキャラではあるんですけれど見せ場がないし、大岡警部も中途半端。やっぱり、「キャラクターをたてる」という面で見れば、このゲームは確実に失敗しています。

関連リンク先

 本当に地味なゲームなのでしょう、これを取り上げているページそのものが非常に少ないのですが、鷹月ぐみなさんのサイトが短いながらも的確。鷹月さんの「Lemontic Palace」の方にもイラストだけは上がっていました(現在は閉鎖)。

総評

 総体的に見て、「意欲」は十分に伝わるものの、時間切れという印象があります。

 序盤での伏線の出し方、中盤での話の広げ方は、ゲームをしているというより、探偵ものの映画を見ているような印象さえありました。後づけでツッコミを入れたくなるような粗だらけの伏線や展開ではありますが、表現手法においては卓越していると判断できます。

 それだけに、尻すぼみに終わっていること、主人公の心情描写があまりにも薄いことが悔やまれます。真面目にゲームを作っていることがよくわかる出来であるだけに、もっと時間を掛ければ相当なモノに仕上がったのではないか、という気がしてなりません。こういう「展開の妙」を感じさせてくれるゲームはそうないだけに、なおさらです。

個人評価 ★★★★★ ★★☆☆☆
2000年2月7日
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