ハートの破片(かけら) Seal Staff

1997年9月12日
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 妙なタイトルを見た場合、そこから類推した結果がどうなるかは、その人の感性なりボキャブラリーなりに依存するのでしょうが、私はこのゲームのタイトルを見て、ふと違和感を覚えました。ハートが「かけら」(漢字で書くと「欠片」が正しいのはいうまでもありません)という状態になっているということは、失恋モノかいな、と。ふぅむ、変化球勝負をしかけてくるとはいい度胸じゃないか、と、手に取ってしまいました。

 …相手を買いかぶっていました(T_T)

シナリオ

 高校に入学したばかりの主人公・桜井将兵(変更不可)。新生活に何か物足りなさを感じた時、ふと思いついたのが部活動を始めることだった。そこで彼は、どんな女の子と巡り会うことができるのだろうか?

 

 部活で始まる恋物語という、ベタその上ない展開ですが、各女の子とのシナリオが非常にあっさりとしています。各キャラクターの演じる「動き」は、ほぼお約束通りながらも起伏はついていますし、一部救われないキャラクターも用意するなど、それなりにバリエーションをつけようという意図はありますが、どうにも印象に残りにくいのが事実。

 その理由は、描写不足、の一言に尽きましょう。キャラクターの配置以前の問題として、主人公との関連づけが弱いため、主人公とヒロインとの間柄を、感覚的に受け止めることができず、主人公の「恋愛」に対し、あくまでも他人事的な「醒めた目」で眺めざるを得ません。さらに、主人公の立場が「流される」といった書き方が多く、なんでラブラブになるのかといった描写が決定的に欠けています。ヒロインの描き方はまずまず悪くないのに、もったいない。もう少し、インサイドのための技術を磨いて欲しいものです。

 そしてまた、主人公が描き出す「物語」自体がどうしても「作為的な展開」を中に入れていることもあって、ただただ「見ているだけ」としかいいようのない描写がダラダラ続くので、最後まで見ていく気がなかなか起こらなかったのが問題でしょう。

ゲームデザイン

 基本的には、マルチエンドタイプのアドベンチャーゲームですが、冒頭でキャラクター選択的な分岐があるだけで、あとは基本的に一本道です。中途の小分岐、あるいは中途半端なエンディングなどもありますが、要所ごとにセーブしておけばすぐにゲームはクリアできてしまいます。また、エンドフラグ方式が採用されており、トゥルーシナリオに最初から入ることはできないようになっています。

 音声がないこともあって、全クリアまでにかかる所要時間はかなり短くなっています。難易度も低いので、気楽にプレイしたい人向け、といえましょう。

不具合・修正プログラム

 私の環境では、特に問題などは発生していません。

操作性など

 CD-ROM媒体としては珍しく、オートランに対応していません。最初は戸惑いました。それにしても、起動にはCD-ROMが必要である上、CD-ROMドライブは先頭のドライブでないと不可というのはいただけませんね。

 基本的にマウス操作が中心ですが、スペースキーで左クリックと同じになります。メッセージスキップはなく、早送りしたい場合はスペースキーを押しっぱなしになりますが、選択肢が出ても平気で飛んでいくのはちょっと難あり。もっとも、キーボードの「B」キーでいくらでも戻れる(選択肢の前まで戻れます!)ので、頓着することないのですが(^^;)

 セーブ&ロードは任意の位置で27個所まで可能です。ただし、セーブデータの上書きができない上、メニューの「セーブ削除」を選んでもセーブファイルが削除されません。ごく単純なゲームだけに、それほど多くのセーブを必要としないので、特に致命的な問題ではないのですが、気持ちのいいものではありませんね。

 CGモードはヒロインごとに分かれ、達成率表示もヒロインごとと総合との双方が表示されます。おもしろいのは「シーンの録画」機能で、お気に入りのシーンを記録しておいて,後で見ることができます。このゲームでは、特にシーン単位で興味が湧くことはなかったので、テスト的に使うに留まりましたが、Hシーンやクライマックスシーン以外の部分も任意に見られるので、非常にユニークな機能と評してよいと思います。

サウンド

 BGMは、PCMで演奏されます。特に印象に残るような曲ではありません。音声はなし。

グラフィック

 アニメ調のキャラ原画ですね。うーん、何と評すればよいのやら…640×400の画面で過度にアップして描かれているので、窮屈という印象が強くなっています。どうも、眉毛になんとなく違和感を覚えます。

 背景は写真を取り込んだもの。

お気に入り

 特に印象に残ったキャラクターはいないんですが…強いて挙げれば、テニス部の葵でしょうか。思いこみが激しい反面、自分が認めたことには徹底的に素直になるのがよし。

総評

 部活をネタにした学園恋愛ものとしては、キャラクター設定やゲームシステムなど、比較的基本に忠実と見える点が多いのですが、いかんせんプレイヤーを主人公とシンクロさせる力がまったくないのが致命的。このほか、絵的にも地味で、なんら「盛り上がる」装置を感じることができません。これでは、凡百のゲーム群の中に埋もれてしまう運命は免れられません。これ以降のシールスタッフの作品で、シナリオのメリハリが効いていることを望んでおきます。

個人評価 ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆
1999年10月13日
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