くすり指の教科書2 アクティブ

1997年7月31日発売
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 ゲームをある程度以上の本数プレイされている方なら、ゲームパッケージの絵柄に惹かれて(上手下手という次元ではなく)、なんとなく買ってしまった、という経験をお持ちではないでしょうか。私にとっての『くすり指の教科書2』は、まさにそういったゲームでした。前作はおろか、アクティブというソフトハウスの存在さえこの当時は知らなかった私でしたが、風上旬さんの独特の絵柄に、なんとなく魅せられてしまたわけです。今から冷静に見ると、かなり粗っぽいのは否定できませんが、それでも、上手下手ではない魅力を感じたのは確かです。またゲームの中身にも、独特のこそばゆさが満ちており、くすぐったい感触を味わうことになりました。

シナリオ

 主人公・春日野一哉(姓名変更可能)は、公務員コースに所属する専門学校生。妙にノリのいい武田俊夫(←前作の主人公)と馬が合い、話し込むうちに、俊夫の発案でサークル(?)を作ることになる。さて、どんな女の子を誘おうか。そういったことにさっぱり縁のなかった一哉の周りに、ちょっとした変化が起きる。

 

 ゲーム全体を通じて、主人公の視点から見て「あのコは…」という展開になっています。前作に比べてシナリオの数は格段に少なくなる一方、ヒロインごとに、シナリオが2つ用意されています。シナリオには、前作よりもややシリアスな雰囲気を盛り込んではいるものの、それが解決される過程などについて詰めているわけではなく、各ヒロインの描き込みによる魅力の演出で話を作っている、という印象です。恥ずかしいシナリオが続きますので、正面切ってプレイを続けられるかどうか。このゲームをプレイしたころの私、たしか顔が火照っていたのが自分でもわかる、という状況だったのを、今でも覚えています。あー恥ずかしい(^^;)

 何よりも、エンディングでの破壊力が、すべてでしょう。これは、各シチュエーションごとに出てくる単発の「むずがゆくなるセリフ」だけに依拠しておらず、あくまでも各シナリオの展開がきちんと描かれているがゆえの結果となっています。ただし、冬編のパワーに関するかぎり、前作の方が明らかに上でしょうね。Hもすんごく薄いし(^^;)

 

 ただ、前作と比べて「狙ったな」と思われる点が1つ。それは、あるシナリオを除き、そのすべてに三角関係が存在していることです。したがって、どのシナリオをプレイするにしても、誰かかが必ず泣くことになります(「泣く」のは、女性とはかぎりません)。したがって、単純に「甘ったるい」のではなく、「ほろ苦さ」も少なからず残ります。大団円にうまく丸く収まるわけではなく、しこりが何らかの形で残りそうです。「あるシナリオ」以外、どのキャラクターを見ても、先の展開は予想できなかったぐらいでしたから。

 特に、夏編におけるHシーンの取り扱いに関しては、意外に凝っているな、という印象です。キャラクターによって大幅に違うのですが、「つながりを求めてもそれだけでは不可」というタイプ、「限りなく近づくこと、それだけで2人の距離も限りなく縮まる」というタイプとに分かれるのです。このあたり、なかなか意図的な狙いを感じるのですけれど。偶然とは思えません。このほかにも、「キャラ設定」に絞ってシナリオを読んだ場合、「キャラがいろいろと対比的に把握できる」構図を堅持したシナリオゆえ、あれこれ考えることができるシナリオになっています。このように凝った結果、各シナリオごとにけっこう重たいテーマを引きずる形となり、脳天気なラブラブモード一直線になっていないので、若干の暗さを帯びています。

 

 ヒロインの姓は、「岡町」「逆瀬」「夙川」「牧落」「南方」。わかる人にはすぐわかる通り、阪急電鉄の駅名から取られています(正確には、「逆瀬」という駅はなく「逆瀬川」です。また、「夙川」は「しゅくがわ」と読むのが正しい。「しゅくかわ」という読み方はおそらく存在しません)。この程度のお遊びなら、「関西人にしかわからんネタ」として楽しめますね。

 あと、ラストで『くすり指の教科書』の女の子が出てくるのは楽しいですね。なお、「俊夫の友人」は出てきません。ほっとしたというかがっかりしたというべきか(^^;)

ゲームデザイン

 ゲームは、春編・夏編・冬編と分かれています。

 春編では、学校および町中を歩き回って女の子と会い、お目当ての女の子を決めることになります。誰にも決まらないという場合にも救済キャラはいますので、気楽にプレイ可能です。

 夏編で、その女の子との物語となりますが、夏編は選択肢による分岐(楽勝ですが)でシナリオが分かれます。各ヒロインごとに、シナリオは2つずつ用意されていますが、これのいずれも見る必要があります。

 そして、夏編の全シナリオを終了すると、冬編に入れます。

 難易度は非常に低いのですが(春編で、雛ルートにはいるのがやや難しいかな)、それもCD-ROMの中に攻略法が書かれていたりするので(^^;)、問題ないでしょう。

不具合・修正プログラム

 私の環境では、何ら不具合はありませんでしたが、アクティブのWebサイトに修正ファイルがアップされていますので、何か問題が出ている方はどうぞ。

操作性など

 アクティブのゲームだけあって、操作は非常に快適です。

 インストールはオートラン対応。インストール先ディレクトリは変更可能ですが、ロングファイルネームには対応していません。インストールする際、HDの容量によってオプションを選択(最小/標準/標準+WAVE/最大)でき、最大インストールをすればCD-ROMなしで起動可能です。

 操作は、キーボード・マウス・ジョイパッドを使うことができます。

 グラフィックは基本的に全画面表示され、下部に半透明のメッセージウィンドウが表示されます。テキスト表示は、いつでも消すことが可能です。640×480←→フルスクリーンの切り替えが可能。

 メッセージ速度表示の調整はなく、すべてノーウェイトで表示されます。メッセージスキップは、「F9」キーで高速にスキップ可能です。

 セーブ&ロードは、任意の位置で、4個所までセーブ可能です。セーブを「F2」キー、ロードを「F3」キー一発で可能というのも嬉しいところ。また、オープニング画面に戻ることもできます。

 CGモードは、キャラクターごとに表示され、それぞれに名称がついています。この際、一枚絵だけでなく、立ちCGや背景CGなどもすべて表示できるのが太っ腹。Hシーン回想モードあり。また、BGMモードもあります。

サウンド

 BGMは、アーティスティックコンセプツの担当。MIDIとWAVE(DirectSound)から選択可能ですが、あまり違いはわかりませんでした。ゲーム中の曲自体は、可もなく不可もなくといったところでしょうか。さほど強烈な印象が残ったものではありませんでした。

 何よりも、CD-DAで収められている「くすり指の約束」が見物、じゃない、聴き物(?)でしょう。特に、「弥子Ver.」は、必聴ナリ(^^)

 音声は、フルボイスですが、名前をデフォルトのままにしていればすべて読み、名前を変えていれば名前の所だけ外して呼んでくれます。なんでも、別々にレコーディングしたのだそうで。女性のみ、主人公以外、全員、など、きめ細やかに設定可能。演技自体も、なかなかよく決まっていると思います。某関西の娘さんの発音が、「文字化された関西弁を無理に読んでる関西人」らしいな、と思ったのは私ぐらいのものでしょうか?(ちなみに私は、兵庫県西宮市で育ちました)。

 音声の破壊力というものは、らぶらぶべったべたなところよりも、むしろ悲痛極まる画面での方が大きいようです。このゲームの中で最もインパクトがあったのは、最低…(byあゆみ)だったりします(^^;) この他にも、…おっかしいなぁ。代打屋あゆみは、最後に大きなホームラン打って幸せになれた…ハズ、なのに…なぁ…など。

グラフィック

 風上旬さんの原画。ほんわかした感じの女の子たちは、まさに「かわいい」の一言。ちょっと細身すぎる感じがしますが、味のあるキャラをつくってくれています。あと、Hシーンはやや薄いので、前作のように濃いめのものを想像していると、度肝を抜かれる可能性は充分にあります(^^;) デッサンの狂いなどはありますが、まぁ気にしない気にしない。

 背景は……これまた、見なかったことにしましょうか(^^;)

 それにしても、塗りがかなりマズい気がします。暗めの画面ではどよんと濁った感じになってしまう上、肌のコントラストも強すぎるみたい。

お気に入り

 香住千里に田中ともみ…てのはダメ?(^^;)

 真面目にいけば、希ちゃんかな。ある意味では、一番扱いにくい女の子でもありますが。非常に「よくできた」キャラクターだけに、主人公が彼女につき合っていけるのかどうかは、正しくプレイヤー次第。単に「男に都合がよい」だけではない、芯の強さを評価したいと思います。

 2番手は、あゆみ。希シナリオでのエンディングで、いずれにも悲壮なものがありますが…。

関連リンク先

 USGさんのサイト(閉鎖)、SHEOさんのサイト九牙さんのサイトなどにレビューがアップされています。

総評

 ピンポイント的なパワーに関しては、前作の方が上だったでしょう。また、全編を貫くBGMなどの演出も、(今回のほうが力が入っているのはわかりますが)前作の方が効果的だった印象があります。また、シナリオの展開も、必ずしも「王道」に沿ったものでもなく、それなりにヒネリをきかせていましたが、その結果、キャラ「だけ」に依存するという前作の荒削りパワーがやや失われたという印象があります。「まとまってしまった」ために、やや薄味になっている、というべきでしょうか。

 シナリオ面での練り混みは、明らかに前作よりも上まわっていますが、それ以外の面で見ると、やはり若干パワーダウンしている印象です。

 (ちなみに私は、『2』→『1』の順にプレイしているので、「慣れたから」というのは当てはまりません)

個人評価 ★★★★★ ★★☆☆☆
1999年8月29日
(10月27日、加筆・修正)
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