LOFTY FORM r.

1997年11月14日発売
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 純和風のXゲームというものを作るのは非常に難しそうですが、ナンセンス的に「和風の味付け」をしたゲームがありました。それが、この『LOFTY FORM』。全体を流れる独特の雰囲気は、決してシリアス一直線ではなく、むしろコミカルなものなのですが、その中で使われている「和風の素材」が浮くことなく、楽しくプレイできた小作でした。

シナリオ

 悪人を片づけることを任務とする「始末屋」、薬師寺一族。当主の長子である紫苑(変更不可)は、帝国元帥でありながら影で悪事を働く黒部昭義の暗殺を行う。ところが、これが帝国への謀反とされ、叔父によって里を追われる羽目に。紫苑とその仲間は、北へ向かって旅に発つことになる。追っ手や敵と戦う毎日だが、彼らの尋常ならぬ強さの前には、さほどの障害ではなかった。

 

 主人公が徹底的に寡黙であり、ほとんど言葉を発しないままシナリオが進みます。したがって、主人公の立場でゲームを進めるのではなく、あくまでも第三者的な視点で進んでいくことになりますが、そこで描かれている彼らのやりとりは、その大半がドタバタ漫才といった感じで、肩の力を抜いてお気楽極楽な気分で楽しむことが出来ます。豪快に爆笑を連発させてくれるわけではなく、むしろ各人の心境をよく出しながら雰囲気を作り上げ、流れるテキストを眺めながら、くすくすっ、と微笑ませてくれるような、非常にソフトなユーモアを感じることが出来ました。まじめな顔で変なことを語り合っているキャラクターたちの空気を味わえる、それがこのゲームの真骨頂でしょう。

 

 展開で「おいおい」と突っ込みたくなるシーンも少なからずありました。特に、シナリオの根幹となりうる設定の甘さは目に余るものがあります。特に「月乃」の存在やその周囲の描写など、「これで締めるつもりなのか?」と感じたのも確か。しかし、こういう設定に関しては、おそらく「取りあえず出しました」といったものなのであって、深く考える必要はないのでしょう。

 

 なお、登場人物のうち、実際に「キャラクター」として存在していると見なせるのは一桁に過ぎません。パッケージにはあたかも大量のキャラがシナリオのボリュームを増しているように書かれていますが、誇大広告とはいわないものの、ちょっと風呂敷広げすぎ。もっとも、人を増やしすぎて自爆しているわけではないので、さほど気にはなりませんでした。コアとなるキャラクターは、きちんと書けていましたから。

ゲームデザイン

 コマンド選択式のアドベンチャーゲームですが、おそらく完全な一本道のようです。バッドエンドなどもどうやら存在しないようです。

操作性など

 インストール作業は不要で、オートランによって自動的にゲームが起動します。セーブデータは、起動ドライブのルートに「AARU」なるフォルダが作られ、ここに保存されます。

 操作は、マウス・キーボードの双方で可能。メッセージスキップも「Ctrl」キー押下で可能、など、シンプルではありますが、必要な機能はひととおり装備されており、プレイ中にストレスを感じることはまったくありませんでした。

 画像は、イベントシーンでさえフルスクリーンとはならず、通常シーンでは背景(すごく小さい)と人物立ちCG(これも小さい)とが出ます。

 ゲームを1回クリアすると、トップメニューに「男の世界」というモードが表示され、ここからCGモード・BGMモードに入れます。CGモードでは、イベントCGと小さいCG・人物CGが表示され、また回想モードもついています。

サウンド

 BGMはMIDI(GM/GS/SC-88Pro)で演奏されます。比較的静かな感じの曲がいいですが、さほど印象に残るようなものではありませんでした。

グラフィック

 キャラクター原画は、メイン級とサブキャラとで受ける印象がかなり違いますが、個人的にはなかなかきれいなものと受け止めました。それにしても、きれいなのはいいのですが、何でこんなにグラフィックを小さくしているのか、理解に苦しみます。確かに画像が小さい方がゲームはスムーズに進みますし、テキストが主体となるタイプのゲームではあるのですけれど、グラフィックの表示それ自体が「演出」ともなることを考えれば、ちょっと疑問です。

 Hシーンのグラフィックも、なかなか濃いものがあります。うまく表現できませんが、かなり「エロゲー的色彩」を濃く帯びた感じのグラフィックですね。

お気に入り

 お転婆娘こと、桓武初美ですね。ヒロインが役立たずである上、キャラもたっていないのに比べ、自由闊達に動いているためか、非常にいきいきしているように見えました。

総評

 シナリオ面で書いたとおり、「まじめな顔で変なことを語る」キャラクターたち。それを楽しめればそれで良し、そういう感じのゲームです。いかにも「笑わせてやるっ」というタイプのテキストも非常におもしろいですが、こういう静かな楽しみ方ができるゲームも悪くないですね。そういう点では、(作成者側が意図したかどうかは別として)隙間的な狙いをうまく成功させていますし、こういったタイプのゲームが他に出てきてもいいのでは、と感じます。あまり多くを望まなければ、それなりに楽しめましょう。何よりも、語らずして笑わせるというセンスに、私は大いに好感を持ちました。

個人評価 ★★★★★ ★☆☆☆☆
1999年9月28日
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