ランス3 −リーザス陥落− アリスソフト

1991年10月15日発売
1997年12月18日発売(Windows95版;『アリスの館4・5・6』所収)
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 『アリスの館4・5・6』所収のゲームにもいろいろと幅があります。その中で、古さを感じながらも現在でも充分に通用する、と感じたのが、この『ランス3』でした。『ランス(初代)』→『ランス2』→『ランス3』とプレイしていきましたが、『館』をお持ちの方は、ぜひとも「古い順に」プレイされることをお勧めします。新しい方からプレイすると、前の作品のショボさが目につきますから(^^;)

シナリオ・ゲームデザイン

 リーザス王国は、温暖な気候ゆえに高い経済力を誇っていたが、ある日、リーザスの隣国であるヘルマン王子パットンが、大軍を率いて侵攻してきた。さらに、彼らは魔人と手を組んでいたため、精鋭を誇るリーザス軍もまったく歯が立たず、リーザス城は陥落する。そのまぎわに王女リアは、敵軍の狙いがリーザス城に封印されている魔剣「カオス」にあると考え、忍者のかなみに聖盾を渡し、これを鬼畜戦士・ランスの元に届けさせた。リアは、過去ランスに犯された経験があるが、それを契機に彼にベタ惚れ状態であり、その腕を無心に信用していたのである。報酬の多さにつられ、奴隷のシィルを伴って行動を起こすランス。そして、ランスの鬼畜的英雄伝説の1ページが、新たに書き加えられるのであった。

 

 ゲーム自体は、主人公・ランスを操作し、移動させたり、またあちこちで戦闘をさせたりといった、ごくごくオーソドックスなRPGです。しかし、そのバランスの良さは、非常に水準が高いものになっています。

 まず、戦闘を行う各エリアの広さが、適当であること。どこまでいっても延々と同じようなダンジョンなどを繰り返し繰り返し行き来させられては、楽しいものではありませんし、何よりも飽きが来ます。しかし、「詰まりそうなポイント」を原則として1つ程度に絞り、退屈でもなく、かといって物足りなさをも感じさせることがありません。

 また、経験値稼ぎも、あまりあくせくする必要がないのがいいですね。ランス曰くこの世界の怪物は、人に殺され経験値の元になる運命なのだそうですが、あちこちを適当に寄り道していれば、それで十分という程度の経験値で問題ありません。ゲームのプレイ時間を伸ばすためとしか思えない過度な「高い経験値の要求」は必要ないため、素直にプレイを進めることができ、「作業」感を覚えることはほとんどありません。

 さらに、上のような理由で、個別の戦闘パートにかかる所要時間がコンパクトにまとまっている結果、全体の流れから見た場合、「展開の把握」が非常に容易になっている点を、指摘しておくべきでしょう。すなわち、「今、何をやっているのか。そして、この先どうするのか」が、非常にわかりやすくなっているのです。戦闘そのものを目的と割り切っている場合は、こういった「展開」にこだわる必要はありませんが、この手法によって、シナリオの流れを掴むことができ、それが「ランスの行動パターン」を「見える」ものにしてくれています。これは、特に「主人公の視点」が第一にされているゲームでは非常に有利に働くものでしょう。

 

 登場してくるキャラクターも、実に多彩ですね。『ランス2』以前に登場したキャラクターのほか、リックやバレス、レイラといった『鬼畜王』ではおなじみの面々も顔を出していますし、チョイ役も含めて、キャラクターの描写が実によくできています。この点では、メイン級キャラ以外の存在感が見事になかった『ランス2』とは格段に進歩しており、後の『鬼畜王ランス』への布石となった、とも言えるかもしれません。キャラクター間で交わされる会話も、ランス的と言うべきか、ごくごく軽いギャグが頻繁に発せられ、退屈しません。

 もっとも、ランスシリーズ全般に言えることでしょうが、あくまでも「俺様こそが正義」というランスが描く世界なので、女の子がひどいめに遭うのが嫌だ、と思われる方は、それだけで避けた方が良いかと。

 

 操作性に関しては、かなり「やりにくい」と感じたのも事実。移動は、キーボードのカーソルキーが使えるのでなんら問題ありませんが、コマンド選択のときに必要なアクション回数の多さは尋常ではありません。セーブ&ロードなどはともかくとして、イベントシーンではコマンド総当たり選択を強いられるのは少し興ざめです。時代を考えればやむを得ない、ともいえるでしょうが。

不具合・修正プログラム

 プレイした際には特に不具合として気になるところはありませんでしたが、アリスソフトのWebサイトに修正プログラムがアップされていますので、これを使っておくとよいでしょう。

操作性など

 マウス・キーボードの両操作が可能です。個人的には、移動やコマンド選択でキーボードが使えるのは非常に楽でした。

 システムメニューは、任意の個所で「キャンプ」を行うことで呼び出せます。この仕様はなかなかピンとこず、最初はかなり戸惑いました。セーブ&データは、この「キャンプ」から行え、8個所までセーブしておくことができます。

 CGモードは、上述の「キャンプ」から「思い出」を選択することで、それまで見たHシーンの画像を見ることができます。BGMモードはありません。

サウンド

 BGMは、MIDIで再生されます。『鬼畜王』などでのちに利用された曲が非常に多いのが印象的です。さすがに今聴くと、クリアとは言い難い音色ですが。

グラフィック

 登場人物の顔立ちがそれぞれはっきりと区別できるように描き分けられているのは、さすがです。肌のグラデーションなど、現在の水準ではお話にならないという面も確実にありますが。

お気に入り

 見当かなみ。初代や『ランス4』よりもさらに悲惨な目にあっていますが、彼女が幸福になるというシナリオってあるのでしょうか?『鬼畜王』の幸福エンドだって、絶対に「幸せ」といえる状況ではありませんでしたし…。

総評

 私は、おそらく大多数の方の評価とは違う点をあえて重視しているため、シナリオにあざとさや嫌みを感じさせない『ランス3』を、『闘神都市2』以上に評価したいと思っています。

 なるほど、RPGとしてみた場合は、確かに『闘神都市2』の方が水準が上ですが、エンターテインメントとして展開される「世界」の描写という点で見た場合、どうしても残る「後味の悪さ」というものが絡んでくるためです。

 ランスシリーズ、特に『ランス2』以降のRPGでは、主人公たるランスが「唯我独尊」を徹頭徹尾その身体で実現していくという点で、それがたとえ「男性至上主義」であったにせよ、観点を単一化しているために割り切りが容易であり、非常に心地よいものがあります。これが、「一見中立的な価値観で見ることができるにもかかわらず、女性が徹底的に抑圧されている」『闘神都市2』との、決定的な差と感じます。

 

 そんな「ランスシリーズ」の中でも、この『ランス3』が出色のできであるのは、やはり、「退屈させないテンポの良さと適度なボリューム」、そして全体的なバランスの良さでしょう。シナリオが質量ともに「頃合い」であり、トータルで見た場合にいちばん印象に残りやすくなっている点を評価したいと思います。

個人評価 ★★★★★ ★★★★☆
1999年10月1日
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