DIVI-DEAD(ディヴァイデッド) シーズウェア

1998年1月23日発売
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 ただ漠然と、どことなく暗い雰囲気のグラフィックに惹かれて手に取ったのが、このゲーム。それまでに輝かしい実績を残していたソフトハウスというのは、購入当時にはまったく知らず、そのころはまだバグ満載のソフトハウスという輝かしい勲章も帯びてはおらず、私にとっては「地味なゲームの一つ」に過ぎませんでした。

シナリオ

 主人公・響矢蘭丸(変更不可)は、人里離れた山奥にある全寮制の高校に転入する。たびたび見ることになる、奇妙な「夢」。自分との関係が今ひとつ不明確な「叔父」の意向もあり、彼は、不思議な、そしてさまざまな謎の現象は何か、と思い始める。

 

 謎が謎を呼ぶ、そこに「不思議的世界」が介入してくるので、雰囲気の中に身を浸しながら、先がどうなるのか手探り状態で進む…というゲームシナリオなんでしょうけれど、少なくとも私には、とても「先がどうなるのか」という興味でゲームをプレイすることはできませんでした。意地でなんとかクリアしたといっても過言ではないでしょう。

 

 この理由としては、後述のとおり、イベントと遭遇するのに消費する時間と労力が妙に大きく、最初はイライライライラな、のちには無感動となるルーティン作業を経由しなくてはいけないこともありますが、それ以前に、プレイヤーと主人公との関係が曖昧なままゲームが進んでいるという面が大きいでしょう。彼の行動原理自体もさることながら、情報格差が大きく、なんでそうなるのかさっぱりわからんうちに、主人公が勝手に納得して先に進むことが多く、あまり引き込まれません。その主人公も、能動的に情報を引き出すというより、各所に配置された(駒みたいですな)人物たちがぼろぼろ手渡してくれる情報を受け取っていく、という感じなので、「手がかり発見!」という気にもならない。あるいは、思わせぶりな態度は示すものの、結局何を意味するのかと思うと、何も意味していなかったり。この結果、「謎を解くために進める」というより「進んでいくと謎が解けるだろう」という、はなはだ後ろ向きのスタイルでプレイすることになります。

 

 また、単一のエンディングだけでは、何も見えてきません。これ自体は、マルチエンドの一手法ですので珍しくもなく、他のエンディングを見ようという気になります。実際には、後述のとおりイベントと(中略)経由しなくてはいけないこともあって、なかなか辛いものがあります。なにせ、次のエンディングを見つけだすときには、すでに前のエンディングで見た内容をすっかり忘れていますから。

 これは、エンディング付近になって、「謎解き」が一気になされるため、ともいえます。各シナリオ自体の独自性(「独立性」ではありません)がそれなりに高ければ、少なくとも前のシナリオとの記憶の混濁などということは起こり得ないのですが、このゲームでは分岐自体見つけにくい上、エンディング近くまでは類似のルートをトレースさせられるため、エンディングだけ違っても「はぁ…」という気にしかなれません。

 そのエンディングも、感動的で素晴らしいものになっていればいいのですが、私には、これでやっとゴールインしたな、という以上の感慨は持てませんでした。さらに、トゥルーエンド的な「総合解説部分」があれば、まだ「なるほどね」程度のことは思えたのでしょうが、どのエンディングも「違う角度からのエンディング」と言うべき締め方になっているので、「あっそ…」に留まっています。

 

 シナリオの中に組み込まれているプロット、そして各エンディング間の連関から導出できるネタなどについては、それなりにおもしろそうなものがありそう、と、思えます。しかし、毎日毎日何時間もゲームプレイに費やすのであればいざ知らず(そもそもそれだけの牽引力をこのゲームが持っているとは思えませんが)、そうでないかぎり、ストーリー部分についてあれこれと思いを巡らせることができるほど、私の頭はタフではなかったようです。要は、あまり覚えていないんですよね(^^;

ゲームデザイン

 学園内の各所を移動してイベントを発生させるタイプのアドベンチャーゲームです。マップ移動方式とはいえ、どのようなイベントがどこで発生するかを推測するのはほぼ無理、しかも、実際にイベントが発生する個所はごく限られている、さらに移動時間の概念がない…結果として、隅から隅まで丹念に回らなくてはならず、非常にめんどうです。

 途中のごく数個所だけ、「どちらに先に行くか」でシナリオが分岐するところがありますが、ほぼ惰性で「端っこから選択」状態になっていると、こういうところも簡単に見落としてしまいます。ぷちぷちしらみつぶし作戦をプレイごとに取る必要があるため、プレイヤーが「辛抱強くつき合っていく」つもりでないと、このゲームを最後まで見届けることはできないでしょう。逆にいえば、このゲームを最後までできないという人の多くは、その理由の大半がここに起因するのではないかと思います。

 そんな面倒さも、必然性があるのならそれはそれでいいのですが、偶発的な事件に期待するタイプのシナリオではなく、「この先にどういう事実(真実)が待ち受けているのか」と突き進んでいくタイプのストーリーである以上、シナリオをぶつ切りにするような手法をあえて取った意味がよくわかりません。プレイ時間を無駄に引き延ばすだけ、と見るのは、考えすぎではないでしょう。

 ちなみに私は、意地で自力でやった結果、まる2個月かかりました。ええいっ、ゲーム中の時間以上にプレイ時間をかけさせるたぁ、ええ根性やないけ、ワレぇ。ユーザーインターフェースが良好だからプレイできたようなもの、という気もいたしますが。

不具合・修正プログラム

 私のプレイした環境では、特に不具合などは発生していません。

操作性など

 インストールする必要はなく、データは基本的にすべてCD-ROMから直接読み込まれます。CPU負荷率も低いようですし、グラフィックがきれいである割にはハードウェアへの負担が小さいのは好印象を持てます。なお、セーブファイルは「C:\CSWARE\DIVIDEAD」フォルダ(強制的に作られます)の中に保存されます。

 操作はマウスで行いますが、キーボードの操作も大部分の個所で可能です(詳細は、ゲームディスク内のREADMEファイル参照のこと)。グラフィック表示は画面中央部、下部がメッセージウィンドウ、その左側のボタンでセーブ・ロード・コンフィグ、右側のボタンでおまけモードに入れるようになっています。

 セーブ&ロードは任意の位置で行え、セーブ時の実日時が記録されます。

 テキスト速度表示調整はできませんが、「Ctrl」キー押下でスキップすることが可能となっています。

 CGモードは、サムネイル表示されます。かなり細かいイベントのグラフィックまで表示されるため、枚数はかなりのものにのぼります。また、達成率も表示されます。

サウンド

 BGMは、MIDIで演奏されます。雰囲気には合っていますが、単独で聴いてもさほど印象には残りませんでした。

 音声は、男女含めフルボイスです。キャラに萌えるタイプではないどころか、そもそも性別によってキャラクターの役割に重大な差異があるわけではないので、これが妥当でしょう。

グラフィック

 原画担当は、「うちだまさたか」氏。目に少し陰を含ませつつ、生気の多寡を示す(なんのこっちゃ)独特の味があり、こういう絵は好きではあります。しかし、間違っても「美少女ゲーム」といったカテゴリーにマッチするグラフィックではありませんな。少なくとも、キャラをいかす絵ではないし、エロティックな香りもそんなにないし、どちらかといえば「人間が周囲の状況の中でどんな存在なのか」を暗示する指標として「キャラクターという駒」を描いている、そんな感じです。うーん書いている当人もよくわからなくなってきました(^^;

お気に入り

 特にいません。

関連リンク先

 蓼原さん九牙さんの各サイトにレビューが掲載されています。

総評

 とにもかくにも、疲れるゲームです。精神的にではなく、肉体的に。

 謎解きゲームとしてふさわしいデザインが実装されているとは私にはとうてい思えません。また「演出」と呼ぶにはあまりにもひどいとしか表現しようのない機械的操作を重ねていくことで、プレイヤーが「マン・マシーン」化し、思考が鈍っていくように思えたのですが、これは私の頭が弱い(頭が悪いというのでなく、耐久性がない)せいだけでもないでしょう。

 シナリオの味わい方というものは、決してストーリーをとにかく丹念に追うばかりが能ではありませんし、むしろストーリーの継続性を積極的に破壊することで、各プロットそれ自体を要素として楽しむこともあり得るでしょう。しかし、このゲームは明らかにそういうものではなく、「追う」こと、そして「その先」を見ること、これらが目標になっているはずです。にもかかわらず、この部分が欠如していては、話になりません。

 せめて、ストーリーが評価できる程度の余裕を、プレイヤーサイドに与えてほしかったのですが。これについてこられる奴のみが味わう資格がある、というのなら、それはそれで致し方ないことでありますけれど。

個人評価 ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
2001年3月17日
Mail to:Ken
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