バーチャコール山賊版(フェアリーテールリミックスVol.4所収) フェアリーテール/F&C

1998年4月24日発売
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 この「バーチャコール山賊版」は、要するに『バーチャコール3』(以下、「VC3」)の攻略可能キャラ+ウィンディの、計7人をネタにしたシナリオです。私は、ウィンディのイベントによって、『VC3』に対しては最悪に近い印象を抱いているのですが、果たしてその印象は修正されるのでしょうか…?

シナリオ

 起動すると、いきなり『エヴァ』的な明朝体フォントがお出迎えしてくれます(^^;)

 外伝、というよりも、この7人それぞれを、違うネタで味付けしみました、という感じの話になっています。それぞれはみな完全に独立したショートストーリーで、中途に選択肢はありません。また、それぞれのシナリオの作り方も、みな異なっています。重たい話、暗い話、お気楽な与太話、などなど。

 したがって以下、各ヒロインごとに。なお、シナリオに限定せず、かなり広範囲に触れます。

ウィンディ

 ビジュアルノベル形式となっています。無機物であるウィンディの感情とは、そしてプログラムとは何か、という話題。ウィンディの性格は、『VC3』本編(壊れる前)と、基本的に同じです。ボリューム的には少なめ。

 単独で見れば、いろいろと受け止め方があるのでは、というシナリオです。ロボット論などでは一度は出てくる話ですし、取り上げ方自体はさほど斬新なものではありませんが、ゲームの重要な登場人物として「すでに色の付いた」キャラクターに対する扱いとしては、やや中途半端という気はします。

 ただ、それ以前の問題として、「あのイベントの裏にはこういう設定とのリンクもありうるのだ」という、言い訳めいたものを感じてしまいました。こう断じるだけの根拠はありませんが、後味の悪さを「中和」させるために、無理に意味づけをしているのではないか、という気がしてなりません。

西園寺琴乃

 『VC3』のイベントシーンと同様の展開。琴乃以外の女性キャラが、友人として登場します。かなりお気楽なドタバタ漫才劇ですが、琴乃萌えの人にウける内容かどうかは、はなはだ疑問ではあります(^^;) まぁ、「は?」「へ?」「い?」「お?」「え?」「あ?」「う?」「そ?」「ふざけるな!」には爆笑しましたが(^^;)

 ナニなシーンでもあれば別だろうけどねぇ…。

海老原るりあ

 本編の「るりちゃん」とは似ても似つかない、大人的恋愛(ただし相手が年上)譚。演出効果もさることながら、テキストの配置は見るべきものを感じます。しかし、題材がやや陳腐で、かつ、後半の心境描写が、「自分の戸惑いを言葉に仕切れていない」もどかしさを感じます。これも、るりちゃんLOVEな方には辛いかも。

深水まどか

 ノラ猫の視点で、モノローグにて綴られる物語。「悲しい色」「孤独な生き物」といったキーワードが踊る、暗めの話。存在というものについていろいろと考えを巡らせており、話の長さも適度。ストーリーとしての完成度は高いと思います。ただし、まどかFANには、やはり受け入れがたいものでしょうねぇ。

森本英理奈

 画面の2/3がテキスト表示というスタイル。準ビジュアルノベルという感じでしょうか。舞台はアメリカ農民の生活らしき設定で、主人公・エリナの、思春期特有の心の揺れを描いています。人間関係がわかりにくいのが最大の難点。比較的ライトなノリで進みます。小品ですが、可もなく不可もなくまとまっていますね。

佐倉美奈子

 『VC3』の世界にかなり沿った路線で描かれる。ビジュアルノベル形式。画像表示の効果の巧みさは見事。年上の女性からみた恋愛。あまり濃くはないけど、しっかり18禁なシーンがあります。ただ、シナリオは非常に堅実で、それゆえに笑いやツッコミを入れにくかったのが難。一言でいえば、ありきたり。

有栖川光海

 エンディングが終わって、なーんだ、という印象を受けました。残念ながら、「記憶」とか「存在」とか「生命」とか、そういうものの扱いとしては、ウィンディを出されている以上インパクトという点では勝負になりません。七編の中で一番印象が薄いのが、光海のシナリオでした。

操作性など

 各シナリオ中は、セーブ&ロードはできません。一直線なので、ただただ、エンターキーを押すか左クリックするかを続けるだけです。

 各シナリオの既読・未読は、山賊版トップページの枠の色でわかります。

 なお、全シナリオをクリアすると、スタッフロールが出ますが、ここで出る画面演出の効果はなかなか過激なものです。ディスプレイからある程度目を離してご覧になることをお勧めします。

サウンド

 『VC3』に使われていた曲の使い回しが多かったのですが、さほど印象には残っていません。

グラフィック

 本編のグラフィックをもとにアレンジしているもので、原画はすべてもとのものです。

お気に入り

 う〜ん、この欄、このゲームについては浮きまくっとるなぁ……取りあえず、ウィンディ編に出てきたハッキングプログラム、としておきましょうか。

関連リンク先

 ぜんぜん見当たりませんね。単独で取り上げて何かを書くというほどのものではない、と言ってしまえばそれまでなのですが。

総評

 『VC2.2』的な「外伝」を期待されると、面食らうだけでなく、失望することになると思います。ウィンディと美奈子は、そういう解釈で間に合いますが、ほかのキャラクターは、「姿形は同じ、口癖なども似ているけれど、その実はまるっきり違う」と考えた方がよいでしょう。

 各シナリオは、バラツキこそあるものの、かなり気合いの入ったものですし、それなりの評価はできるでしょう。しかし、この「山賊版」の位置づけとして、既存のキャラとオーバーラップさせることによってどれほどのプラス効果があったのか、私個人としては大いに疑問の残るところです。確かに本編でのキャラは、前作(『VC2』)に比べて印象に残りにくかったのは事実ですが、それでも、顔を見れば「こんなキャラだった」と反応はしますし、第一本編をプレイしていないキャラがこれを見ることは考えにくいですよね。そうすれば、この、かなり斬新な試みも含むように見えるショートストーリー群が、どの程度いきてくるのか。「××ちゃんはこんなコじゃな〜い!」で終わりになってしまうのではないでしょうか。

 外伝たる『VC2.2』のできがかなり良く、また今回も、シナリオ、画面効果の双方において、かなり野心的な試みは見られるのですから、既存作品との整合性を、よく考えてほしい、そう思います。

 この作品に対して語られる機会はあまり見受けないことを見ると、さほど悪い印象はもたれていないのか、そもそも「見なかったことにしよう」状態なのかはなんともいえませんが、私個人としては、「試みとしては評価できる」と、考えています。

個人評価 ★★★★★ ★☆☆☆☆
1999年8月26日
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