GONE 〜過ぎ去りし日々〜 アクティブ

1998年10月16日発売
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 時代物Xゲーム。けっこうありそうで、意外となかったりします。それは、時代考証がめんどうということもさることながら、いかにしてナニするかをリクツづけるのが大変だ、というのが第一なのでしょう。そんな難しい設定を、SF的なノリで強引に押し切ってしまったのが、このゲームです。

 それにしても、タイトルもサブタイトルも、どうにも意味不明。少なくとも、タイトルからシナリオを考えても、それは実物とは大きくかけ離れるのは間違いないでしょう。

シナリオ・ゲームデザイン

 主人公・武田勇司(変更不可)は、売れない役者。時代劇の撮影中、不意に落雷のショックで、戦国の世とよく似た世界に飛ばされる。そこで出会った忍者装束の少女。そして彼はどうなるのか…。

 落雷までがプロローグに相当し、それ以降、シナリオは大きく2つ(あるいは3つ)に分かれます。

 

 シナリオのうち1つが、そのまま異世界に残るというパターンですが、この場合、主人公は異世界で戦乱の世を過ごすことになります。しかし、この展開はあまりにも単純で、用意されているイベント群も、「ハイこういう風に並んでいます」と、まるで紙芝居を見せられているような感じです。しばらく進めていくと、女の子が勝手に言い寄ってきて仲良くなって、戦闘になって、なんだかよくわからないSF的な説明が出てきて…、という具合です。エンディングなど、何らかの元ネタがあるのかも、と思わせるような、中途半端な描写でした。

 よく、「シナリオが薄い」という表現を、レビューの中で私も使いますが、このシナリオでは、用意されているイベントが単なる「シナリオの説明」であるに過ぎず、ストーリーの起伏を付加する役割をまったく担っていないのが致命的です。

 

 一方現代に戻るシナリオの方も、別の意味で薄いですね。「別」というのは、個々のイベント自体は決して「紙芝居説明」ではなく、コミカルで楽しいのですが、Hシーンの入れ方に無理があるうえ、ちょっと短すぎます。ストーリーの流れにはそれほどの破綻はないでしょうし、むしろ、慣れない環境に目をまわしながらも頑張っている乙女を初め、各登場人物がいろいろと楽しい顔を見せてくれるのが非常に楽しいですね。キャラクターの魅力はそれなりに出せているので、「楽しめた」のは確かです。

 しかしながら、そのキャラクター描写も、メインヒロインが誰なのかよくわからない、主人公が「役者」であるという設定が後半でまったくといっていいほど出てこないなど、シナリオのムラの大きさが鼻につき、どうにも素直に誉めることができそうにありません。

 

 総じて、この2つのシナリオを比べた場合、実に多くの面でアンバランスさを感じます。異世界編でシリアス、現代編でコミカルという異なるタイプのシナリオを用意したつもりなのでしょう。

 しかし、シリアスな方には緊迫感を感じることができず、ただ「追って行くだけ」というのが実情でした。これは、テキスト自体の描写が薄かったこともさることながら、SF的な設定を消化できるぎりぎりの量にまでイベントが削減されていたのが第一の要因でしょう。もともとこちらはシナリオの分岐はさほど激しくないのですから、もっと長いシナリオを用意してほしかったものです。また、現代編では、そのコミカルさは各シーンで小気味よく発揮されていたのは確かですが、それが単発のものに留まっており、全体的に見てどうにも印象に残りにくいのがなんとも残念。用意されているキャラクターの表情は確かに魅力的なのですが、彼女たちがシナリオの流れの中でどう位置付けられているか、それは、乙女を除いてまったく描かれていないといっても過言ではありません。せめて、序盤ではメインヒロインとして扱われている五月をもう少し描き込むようにすればよかったのでは。さらに、まともなHシーンが非常に少ないのも減点材料。

 

 あと、主人公設定について。

 異世界編では、主人公の行動がそれなりに意味を持ってはくるものの、エンディングパターンが少ないためもの足りなさを感じ得ません。

 一方、現代編では、主人公はどちらかというと「流される」タイプになり、劇中の登場人物其の一、という感じになっています。したがって、プレイヤーが感情移入して動くというより、主人公が存在する世界を見る、という視点になるかと思います。

 

 ちなみに、エンディングの数は、全部で20以上。多いように見えますが、実は最後の選択で分かれるものが多く、またバッドエンドなどが多いので、実際のエンディング数はさほどではありません。印象的なエンディングはかなり少ないのですが、個人的には、エンディング9が一番楽しかったですね。

不具合・修正プログラム

 アクティブのWebサイトに修正ファイルがアップされています。しかし、これをもとにプレイしましたが、見たはずのCG(異世界編開始直後、ゆきのCG)がCGモードに登録されません(^^;)

操作性など

 アクティブのゲームならでは、というべきでしょうか、非常に快適にプレイできます。さほど多くのカスタマイズができるわけではありませんが(ゲーム自体がシンプルですから不要)、ユーザーインターフェースの良さでは、私がプレイしてきたゲームの中でも一番でしょう。

 インストールの際には、最小・標準・最大の3とおりが選べます。最大インストールをすれば、CD-ROMなしでゲームを起動することが可能となります。

 操作には、マウス、キーボード、ジョイパッドを切り替えることができます。

 画面は、640×480とフルスクリーンから切り替え可能です。メッセージ速度表示の調整はなく、すべてノーウェイト表示。メッセージウィンドウの四隅のボタンをクリックすることで、それぞれ、メッセージウィンドウ消去・システムメニュー呼び出し・メッセージ読み返し・メッセージスキップが可能です。また、いつでもヘルプを見ることができます。

 セーブ&ロードは、任意の位置で10個所まで可能です。また、選択肢を選んだ直後の時点でオートセーブが行われます(が、使ったことはほとんどありません)。セーブが「F2」キー、ロードが「F3」キー一発で可能というのも嬉しいところ。また、オープニング画面に戻ることもできます。

 CGモードは、サムネイル表示されます。回想モードは、各シーンごとにタイトル名がつけられているので、それを選択するという形になっています。また、BGMモードもあります。

サウンド

 BGMは、アーティスティックコンセプツの担当。MIDI・PCM(DirectSound)から選択できます。しかし、PCMの方が音質が明らかに音質がいいのはなぜ?(^^;) オープニングの「いつでも空は青いんだよ」、あるいは日常で流れる「Slight Wave」がけっこういい感じですが、クライマックス付近のBGMが全然印象に残っていないと言うのは、なかなか示唆的ですな(^^;) 悪い曲ではないにせよ、あまりゲーム世界を盛り上げているという感じは受けない、というところです。

 音声は、これまたアクティブらしく、細かに切り替えることが可能ですが、割と演技の水準がいいと思います。乙女の「あい」が、なんだか耳に残って(^^)

グラフィック

 原画は、しぃけんしゃるさんの担当。目を中心に、各キャラクターが魅力的に描き分けられていて、個人的にはなかなか気に入りました。立ちCGでの表情変化も楽しいですし、コミカルシーンでのデフォルメも面白くてポイント高し。

 背景もわりときれいですが、もう少し描き込んでもよかったのでは、と思います。

 そういえば、立ちCGが、すべて画面の右側のみに出るというスタイルになっていますが、各キャラクターの全身を出しつつ、背景をきちんと見せることができ、なかなか効果的ですね。単純にド真ん中よりも、こちらの方がむしろ落ち着いた感じを受けました。

 

 ところで、マニュアルの挿し絵や「ぷくぷくシール」で使われるデフォルメキャラが、なかなか楽しいですね。蝶を追っかけてる五月など、キャラクターをよく表しているというかなんというか(^^)

お気に入り

 う〜ん、乙女と五月と、どちらを取るべきか…。個人的には、大団円エンドが一番好きではあるのですが、グラフィック的には、五月エンドでの五月の横顔が非常に好きなので、五月に軍配を揚げておきます。

関連リンク先

 Tenjoさんのサイトにレビューがあります。

総評

 マルチシナリオにしたにもかかわらず、バランスが取れていないのが一番の問題点でしょう。個人的には、コミカルなノリの現代編だけで十分だったようにさえ思えます。あまり多くを期待できるゲームではなさそう、そんな感じは最初から持ってはいましたが、少なくとも「一粒で二度美味しい」的な「マルチ」にはなっていません。やはり、異世界編でシナリオボリュームを増やし、現代編でキャラクターの持ち場をもっといかす、この2点が補完できれば、なかなかの佳作になっていたのかも。

 うがった見方をすれば、タイトルと内容との不一致などから考えて、当初予定していたシナリオが削りに削られ修正に修正が加わり、こういった結果として出てしまったのではないか、と想像することもできます。あくまでも想像であって実際にどうだったかはわかりませんが、一枚絵CGの出てくるイベントシーンが(特に現代編では)非常に少なかったことを考えれば、あながち的外れでもないように思います。

 身も蓋もない言い方をしてしまえば、「凡作」でしょう。楽しかったので満足はしていますが、特に勧められるような要素があるわけでもないと判断しています。

個人評価 ★★★★★ ★☆☆☆☆
1999年11月11日
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