十六夜 〜いざよい〜 ティアラ

1998年8月7日発売
ご意見などは掲示板へどうぞ

 商品の売り込みに、イメージギャップというものが客寄せの題材となるケースはままあります。ゲームという新しいメディアの場合、やや古めかしい和語がタイトルにあると、それだけで惹きつける要素になるという面があるわけで、私も易々とこれに惹かれました…はぁぁ…

シナリオ・ゲームデザイン

 陰陽師の一族の嗣子である主人公−草薙十六夜(姓名とも変更不可)は、転入した学校に、霊的に異常な存在を突き止め、学校内に張り巡らされた結界を破るべく、クラスメートの「水無月鈴音」らとともに、夜な夜な学校の「七不思議」を調べまわる。そして、すべてを終えた後、主人公の隣にいるのは…。

 

 昼間には、校内および町中を歩き、イベントを発生させます。特に退屈と感じるほどではありませんが、中盤以降、キーとなるイベントが少なく、間延びします。

 夜間には、パートナーを伴い(2人は強制、1人を任意に選択可能)校内を移動します。この時、敵と戦闘シーンになりますが、特に序盤では敵が圧倒的に強く、特にプロローグで全滅する確率が非常に高いなど、戦闘パラメータのバランスが非常に悪いのが、最大の問題点でしょう。逃げるのが一番確実ですが、序盤では戦闘のコツを掴むまでに時間が掛かるので、「最初が一番難しい」という設定には首をひねらざるを得ません。ここをクリアできなければ「劇ムズ」と感じることでしょう。

 ある程度慣れてくれば、それなりに戦闘も楽しむことは可能ですが、この段階になると、今度はイベントの発生方法が非常にシビアであることがネックになってきます。イベントを発生させるには順番などの制約が大きく、1回のプレイで回収可能なCGの量は知れています。したがって何度かプレイする必要があるのですが、残念ながら、「繰り返しプレイ」を積極的に行いたくなるような魅力があるわけではありません。イベントの発生をもっとラクにするか、あるいは、イベントシーンとキャラクターとのリンクを密接に行ってシナリオ面での充実を図るか、そのどちらかにしてほしかったものです。

 

 粗筋だけを見れば、あたかも緊張感溢れる除霊モノのように見えますが、実際には女の子とでへへぇな展開をあちこちで覗くことになったりするなど、「なんとなく過ごしている」という印象があります。「学校」あるいは「変化」といったものは非常に使いやすい素材ではありますし、学校内をさまよって化け物退治をする、というモチーフは、まぁいいでしょう。その過程でじゃれあっていた女の子と最終的に結ばれる、というのも、まぁいいんです。しかし、学校内での行動1つ1つに、どうにも脈絡がないんですよね。

 化け物退治、といっても、陰陽師であれば、それ相応の体系的な知識、野性的な感覚もあるはずですが、ポイントに気がつかないと、イベントが起きず数日、夜どおし歩かされることになります。私の場合、えんえんとザコキャラの退治にあけくれた結果、異常にレベルのみが高くなってしまいました。ひとことでいえば、「つまったときに救いがない」んですね。

 そして、個々のイベントも、あまり内容が豊富ではありません。なんだか、助平な化け物を多く持ち出すのはお約束としてもよいのでしょうが、「このイベントを終えたことで一歩前進したぞ」という達成感がないのです。「偶発的に起こった事象」にしか見えません。

 さらに、エンディングのまとめ方も難あり。Xゲームの宿命といってしまえばソレまででしょうが、ラストでラブストーリーとして完結させるのであれば、それもあまり積極的な意味があるとは思えず、はっきり言ってウンザリでした。

不具合・修正プログラム

 戦闘シーンでパラメータ表示部が乱れるほか、町中の移動シーンで強制終了することがあります。修正ファイルは配布されていない模様です。

操作性など

 特にインストール作業は必要ありません。私の環境では「C:\Program Files」の下に「16night」というフォルダが作られ、そこにセーブデータが置かれます。

 会話モードでは、グラフィックの下部にテキストが表示されます。立ちCGを採用せず、基本的には表情CGのみとなっています。「会話のスタイルを重視」したらしいのですが、寂しいのは確かですし、2人程度なら一画面で同時に表示可能ですから、この試みはあまり成功したとはいえないと判断します。

 マップ移動モードでは、目的地をクリックするだけで移動可能。戦闘モードでは、メンバーのパラメータが右側に表示され、戦闘メニューが下側に表示されます。

 セーブ&データは、マップ移動モードでのみ可能。10個所で可能ですが、イベントの発生条件がシビアなので、もっと欲しかったというのが正直なところです。

 CGモード(残りCG枚数が出ます)あり、各女の子ごとです。音楽モードもありますが、曲名やコメントは一切なく、CDプレーヤーで聴くのと同じです。いずれも、ゲームを1回以上クリアしないと不可。ただしCGは、1回でも見てさえいれば、エンディングを迎えたりセーブしたりしなくても登録されるようです。

サウンド

 BGMは、CD-DAで演奏されます。和風のサウンド、といえばよいのでしょうか。もう少しアレンジに工夫がほしかったと感じました。

 音声はありません。

グラフィック

 破軍星氏の原画。ドングリのように大きい目に特徴があります。個人的には好みの絵柄ですが、シリアスなシーンではあまり合っていないような印象です。

 塗りに関しては、やや疑問アリ。特に、肌の質感の不足には悲しいものがあります。

お気に入り

 水無月琴音かな。戦闘でも使えるほか、色々とお茶目なシーンを多く見せてくれるのがナイスな点でしょう。

総評

 AVGとRPGとの折衷を図ったというのはわかるのですが、まず戦闘そのものがシステム的に非常におもしろくないこと、イベントの発生がシビアであるうえにシナリオの味付けにほとんど役立っていないこと、この2点のために、「それ以前」の問題でつまづいているように感じます。

 キャラクターはそこそこ楽しいのですが、それぞれが闘う「シーン」が最初から最後まで「単なる作業」と化しています。また、イベントの発生も、「あぁ発生した」、そしていくつか発生したら「あらエンディング」。盛り上がりも何もあったものではなく、ストーリーというものを読みとることができません。

 「イベントなどないっ!」と割り切った『かえるにょ・ぱにょ〜ん』のようなタイプならまた別の評価もできますが、上のような状態ではどうしようもありません。戦闘とイベントとの関連づけから考え直してほしいものです。

個人評価 ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆
1999年9月20日
Mail to:Ken
[攻略ページへ] [レビューリストへ] [トップページへ]