はぷにんぐJOURNEY Euphony Production/アセンブラージュ

1998年2月20日発売
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 このゲームの購入動機は、実に単純なものでした。その理由はといえば、

 「パッケージに描かれているマスコットの“雪だるま”がかわいい」

 子供だまし以外の何ものでもない部分に引かれてしまうあたり、自分もまだまだ甘いな、という気がせんでもないのですが、必需品でも何でもないモノの購入動機なんて、えてしてそんなもんですよね。

 中身は、かわいい女の子たち何人もが一緒のスキー旅行。主人公のことを憎からず思っているヒロインたちが争奪戦を繰り広げる…こういうシチュエーションに対し、半ば嫉妬と羨望の入り混じった印象を受けつつ、逆にそういう状態になったときのうざったさをも冷静に考えてしまう私って、いったいどんな人間なのでしょうか(^^;)

シナリオ

 主人公・甲斐正晴は、幼なじみの夕季のことが気にかかっているが、なかなか言い出せない毎日。そんなある日、彼の悪友・一巳から、スキー旅行の誘いを受ける。スキーが苦手な主人公だが、一巳が夕季も誘うと聞いて承知。その代わり、一巳の片想いの相手で、主人公とはテニス部でペアを組んでいる美紀(みのり)にも声をかけることになる。

 さらに、同級生2人、担任の女教師も参加することになり、にわかに賑やかな様相を呈してきた。

 白いゲレンデの雪をも溶かす想いは、誰とどのようにして具現化されるのでしょうか。

 

 ベタベタのラブコメとしかいいようがありません。とにかく、気楽にほのぼのとした雰囲気がずっと続いていきます。そして、どの女の子と仲良くなるにせよ、イベントの発生が違ってくるだけで、シナリオは基本的に一本道です。

 しかし、主人公を巡って女の子たちが争奪戦を繰り広げるわけですが、夕季と美紀はともかく、それ以外は、なんで主人公に惚れたのかとか、その手の書き込みが見事にぽっかり空いているんですね。傍目から見ても、主人公と夕季とはカップルとしてしか見えず、普段の態度や人間関係から考えるかぎり、ライバルとしての資格があるのは美紀だけなんですよね。麻衣など、展開としてそれなりに面白いとは言えるのですが、「夕季から主人公を取ってやる」といった雰囲気を感じることができません。このあたり、「争奪戦」といっても、ヒロイン間での横の連関がなかなか取れていないように見えます。

 別に、修羅場を用意しろ、というのではありません。でも、主人公から見て大本命がいるのであれば、ライバルとしては、その相手から主人公を引き離して奪い取ってやる(えげつない表現やね(^^;)といった態度や行動がほしいんです。

 

 さらに、主人公の視点から見ても、夕季とそのまんまくっつく場合は問題なしとして、それ以外のキャラと結ばれる場合、「おいおい、なんで?」としかいいようがないまま進んでしまうのが痛いところ。優柔不断というのがいかされているのだからこれでいい、といえばそれまでですが、ほとんど悩んでいなかったのが気になります。女の子の迫力に押された、と見ることもできるでしょうが、ヒロインサイドで、主人公への態度の描写が少ない(美紀除く)結果、これも説得力があまりないんですね。せめて、他の女の子を選んだ場合、夕季を泣かせることを自覚しろよ、とツッコミを入れたくなったものです。

 このあたりも、好き嫌いを除いてシナリオバランスという面から見た場合、夕季がメインで美紀がサブ、以下略、という「序列」がしっかりできているように見えます。

 

 別次元の問題として、会話テキストがあまりにも文語的すぎて、到底高校生同士の会話に見えない点が多かったことを挙げる必要もありましょう。美紀のイブの告白なんか、流れ的には非常に印象的なシーンになること間違いないのですが、この文語調告白では盛り上がりません。・・・でも、それは挫折に変わってしまった・・・こんな「セリフ」、臨場感のカケラもあらしまへんがな。

 また、会話内容の矛盾がちょくちょく見られたのも、残念な点です。毎日美紀と会っていても「久しぶりにテニス」…昨日やったじぇねーか(^^;)、など、ツッコミを入れたくなった所があちこちにありました。

 

 キャラクター設定自体は、さすが『Graffiti』(「ぷち」ブランドで出されています)などを手がけてきただけあって、きちんと描けていますし、みんなかわいいです。ちなみに、制服が『Graffiti』と同じで、設定も同じ高校、ということになっているようです。どこかに既出キャラがいるかな、と探してみましたが、どうも見当たらないようで、残念(つーほどのもんではないけど…)。

ゲームデザイン

 学校、そして旅先とで、「会話する相手」を選択することで好感度をアップさせ、好感度の高い女の子とのエンディングになるアドベンチャーゲームです。一部選択肢が出ますが、重要なのはクリスマスパーティぐらいのもので、あとはよほどデリカシーに欠けるような選択をしない限り、ほとんど影響ないでしょう。

 

 イベント発生のタイミングなどを考えれば、オンリープレイで進めるのがよいでしょう。操作性がよく、またテンポよく進むので、最初からプレイしてもまったく苦になりませんから。

 優柔不断である以上、あのコもこのコも食いまくり、というのを予想していたのですが、どうも違ったみたい(^^;) でも、「本命」がいること、そして「対抗」として他のコがいること、この設定を考えれば、コチラの方が自然でしょうね。

不具合・修正プログラム

 私がプレイしたときには、セリフと音声との不一致、そして未読メッセージがスキップされるという不具合がありました。修正プログラムがアセンブラージュのWebサイトにアップされていますので、ダウンロードするのがよいでしょう。

操作性など

 インストールの際には、最小限のデータのみインストール、あるいは音声以外のデータをインストールと選択することが出来ます。前者の場合、CD-ROMへのアクセスが頻繁になりますが、平均13.5倍速/最大40倍速のいずれでも問題なかったので、ある程度のスピードがあれば最小インストールで問題ないでしょう。

 表示は「標準/フルスクリーン」とありますが、この「標準」は、クライアント領域以外が真っ黒に表示されるという、なんのことはない、これまでの「ぷち」スタイルです(^^;) 640×480表示であるのなら、独立したウィンドウ表示も可能にしてほしかったところです。

 セーブ・ロードは、基本的にイベントとイベントとの谷間ですることができますが、6個所はちょっと少な目に感じます。まぁ、各キャラ1つずつで間に合う、という考えもできますが、中途のシナリオ分岐も皆無ではないので。

 シナリオスキップが可能ですが、このとき、未読・既読の区別をする設定が可能なのは嬉しいところ。

 CGモードは、各ヒロインごとにサムネイル表示されますので、未見CGのチェックは容易です。また、Hシーンのみを回想(テキスト・音声付き)することもできます。

 ところで、CG達成率・シナリオ達成率が、ともに百分率で表示されるのですが、CG達成率をコンプリートするのはそう難しくないものの、シナリオ達成率を100%にするのは困難を極めるようです、というより、私はもう諦めました(^^;)

 また、マウス操作が基本ではありますが、大半の操作にはキーボードショートカットが割り当てられており、マウスをほとんど使わずにプレイすることが出来ます。キーボード派の私には嬉しい配慮です(^^)

 いずれにせよ、ユーザーインタフェースは非常に洗練されており、かゆいところにはきちんと手が届く仕様になっていますね。このゲームがピークで、これ以降だんだん使いにくくなっているように見えるのは気のせいでしょうか?

サウンド

 BGMはMIDIですが、GM・XGから選択可能です。ゲーム自体がそう重くないので、ソフトウェアMIDI再生でも難なくプレイ可能でした。

 アップテンポで軽めの曲が多かったですね。特に印象に強く残る曲というわけではないのですが、のんびりとした雰囲気のゲーム世界に見事にあっていました。それまでのぷちのゲーム音楽に比べ、かなりグレードアップしたような印象を受けます。音楽CDが添付されていますが、これはその自信の現れといってもよいでしょう。

 ボーカル曲が2曲あります。歌唱力にやや難アリという気がしますが、なんだか耳に残り、気がついたら口ずさんでいたりするから不思議なモノ。声優さんが、キャラクターになりきって唱っているのは、『Graffiti』同梱のシングルCDと同じ。

 音声は、軒並み頑張ってはいるのですが、先述のとおり、会話に文語調が多すぎて、声優さんが四苦八苦されているのがよく伝わってきます。これはテキストの問題なのですが。

グラフィック

 人物原画は、『SweeperS!』(ぷち)も担当された、沢杜いつむ(現PN・犬神尚雪)さん。やはり、重心が高めで髪がたんまり首細い、というデザインでしたが、前よりはバランスが取れてきたな、という感じです。まぁ、可愛いから問題なし(^^) ただ、Hシーンにはいると体型が変わるような気がするんですけど(^^;)

 あと、表情変化のバリエーションが少ない気がしました(特に、麻衣・和乃)。ボディーランゲージという単語を知っているのは、こぶしを胸の前で握りしめる美紀ぐらいのようで……あ、和乃が身体を張ってるか(違爆)

 背景は、写真を取り込んだモノですね。場所は、新宿東口でほぼ間違いないでしょう。

お気に入り

 清水美紀で決まり。三角関係の一角としての自分を的確にアピールしていますし、何よりもエンディングでの笑顔がかわいいから。やはり、夕季という最強キャラがいる以上、「彼女に負けたくない」という気概を出してほしいものです。

総評

 シナリオの部分でボロクソにこき下ろしてきましたが、このゲーム、実は大好きだったりします。しかし、何かすっきりしないモノが引っかかったままでプレイを続けてきたわけで、そのもやもや感を自分なりに分析しようと考えてリプレイしたら、まぁグチが出るわ出るわ(^^;)

 ただ、上に挙げたような難点があっても、それでも「ほのぼの感」をきちんと出せていた、という見方も可能なわけです。逆にいえば、シナリオはまぁ並の水準程度にはなっていて、それ以外の部分についてはかなり高水準のものに仕上がっている、といえるかと思います。

 あとは、より破壊力の大きそうなイベントが用意されればよいかと思うのですが、これはまぁ個人的な希望という程度のもので、そうなったからといってゲームの完成度が上がるかどうかはわかりません(^^;)

個人評価 ★★★★★ ★★☆☆☆
1999年8月25日
(9月26日、加筆・修正)
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