めい・King にくきゅう

1998年7月3日発売
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 「…糸屋の娘は目で殺す」なんていう文句がありますが、ゲームという非常に視覚的な要素が強い商品――少なくとも現時点では、アナログ的な出力装置を介する必要がある以上、この「視覚」という要素を過小評価するべきではないでしょう――において、「有名原画家」を登用することは珍しくはありません。この『めい・King』も、有名(らしい…けれど、同人活動はおろか、マンガにもほとんど手をのばしていない私にはよくわかりません)原画家の手による「可愛い女の子」が多数居並ぶ、という構図が発売前から割と盛大に呈示されていたものでした。

 ストーリーに関してはさほど期待してはいない状態でプレイしたのですが…。

シナリオ・ゲームデザイン

 羊飼いであったカイン(変更可能)は、ある土地の精霊をひょんなことで解放し、その助言のまま、山小屋に囚われていたお姫さまを救い出すこととなる。姫の命の恩人となった彼は、王から土地を拝受し領主としてその地方を治めることになるが、さらに姫の婚約者候補にも名を連ねることとなった。その際、他の候補者との兼ね合いもあって、「5年以内に、他の領主よりもよく発展した土地にする」という付帯条件を加えられる。主人公は、都市の整備を行い、領主としての実績を上げ、姫を五年後に出迎えるべく日々の仕事に勤しむ。

  初期段階で選ばれるパートナー(質問に答えることで絞り込まれます)が1人、そしてその後の展開によって新たにパートナーが加わっていく、という展開です。シャルロット姫に会うには、休日に王城まで出向く必要があります。そして、5年の間に発生させたイベント如何によって、エンディングが決定されるというものです。

 まず、ラブストーリーといいますか、(姫・各パートナーを含めた)ヒロインたちとのストーリーについては、ほとんど内容がありませんので、期待しない方が無難です。誰に対しても「見せる」イベントがそれなりには用意されていますし、突発的に複数キャラが関係するイベントが発生したりするのもそれなりに楽しいのではありますが、どちらかというと、後述の「退屈さ」を紛らわせるための箸休め的なお話にしか感じませんでした。

 キャラクターも、姫のほか、融通の利かない女戦士、無愛想な魔法使いエルフ、ドジなメイドなど、ファンタジーものの定番的なところが揃ってはいますが、各キャラごとで見ても「見せ場」がさほどなく、姫以外でのイベントではHシーンの占める比率がかなり高く、「キャラで引き込む」だけの魅力には乏しいと見てよいでしょう。例えば、初めてのHをする前と後とで、態度も会話内容も変化がない、など、「キャラのかわいらしさ」がイベントの中で発揮されていません。キツいことをいえば、グラフィック依存のキャラに留まっている、という観さえあります。

 このゲームは、あくまでも「領主経営シミュレーションゲーム」であり、それ以上のものを求めるべきではないと思います(^^;)

 

 基本的なゲームデザインとしては、1週間単位でスケジュールを作成し、主人公・各パートナーの仕事を割り振ります。この際、出費を伴う仕事に際しては、予算の範囲内で行う必要があるため(当然ですね)、むだな公共事業(^^;)に明け暮れると泣くこともありますが、スッカラカンになっても「給料が払えなくて破産」といったことはありませんので、さほど神経質になることはありません。

 都市には、「開発」「支持」などのパラメータがあり(最大255)、これをアップさせていくことによって都市を整備していく、というものです。どのような政策をとればどんなパラメータが上がるかというのは割とわかりやすい上、「支持」「治安」以外はパラメータが下がることはまずありません。この点でも、割と気楽にプレイできます。

 経営する土地にはいくつかの発展段階があり、最初はただの小集落からスタート、次第に都市が拡大していきます(グラフィックが大きく変わっていくのが楽しい)が、資金を開発関係に適宜振り分けてつぎこんでいけば、「軍事」以外のパラメータはまず間違いなく3年でフル状態になります。初回のプレイ時からしてコレでしたから、2回目以降になるとさらに楽勝になりました。残った2年間は、休日イベント発生に全精力を注ぐのが吉でしょう。

 そんな次第で、都市経営自体に関しては、あまりにもヌル過ぎといった感じがあります。都市が発展すると王様から褒美がもらえるとか、先述の都市景観変貌といった変化こそあるものの、さほど考えることもなく話が進むでしょう。都市が変化するごとに、周囲のキャラの発言や態度が微妙に変化していく、ということも特にないようですし。

 誰にどんな仕事を割り振っても、パラメータの上下にはほとんど影響がないようですが、戦闘要員だけはあらかじめきちんと絞っておいた方がよいでしょう。ティアやリリルに兵士をつけてもむだですから(^^;)

 なお、ときどき物売りがアイテムを売りに来ますが、コレ、何か利用価値があるんでしょうか?(^^;) 予算があり余っている最後の1年半くらいになると売りに来ないし、必要そうなイベントも特に見当たらないし、よくわかりません。第一、「何を買ったか」ということも記録されないので、戦闘などに使えるかどうかもわかりません。このあたり、ちょっと中途半端な仕掛けのように思えます。

 

 ゲームをプレイする際に大事なのは、平日の業務よりもむしろ、休日の行動の方です。王城に赴き姫と会ったり、パートナーと鍛錬・調査したり、「領主特権」である夜伽の命が可能です。姫狙いの場合は取る行動は一つですが、そうでない場合は、適宜女の子たちとあって、あれやこれやとお楽しみするのが良いでしょう。

 気になる(^^;)「夜伽」ですが、日々の行動で蓄積される好感度に応じて、プレイが変わってきます。さほど深くやり込んでいないので断言はできませんが、途中の選択肢によって展開がかなり変わってくる可能性もありそうです。

 また、女の子と町中を歩く場合、買い物をしてあげる場合がありますが、買ったものに応じてその後イベントが発生する場合が多いようです。

 

 また、条件しだで、イベントが発生したり戦闘が発生したりします。この「戦闘発生」では、戦闘に参加するパートナーを選んで都市を防衛することとなります(海外派兵ならぬ対外侵略は禁じられているようです…つまらん)。

 ただし、この「イベント」自体が、あまり練られていません。

 本当に稀に発生する一回きりのイベントはそれなりに楽しいのですが、発生させようとしてもなかなか出てきません(^^;) シフォーネとリリルとの漫才などは笑えますが(シフォーネのナニワ語ツッコミが見たかった(^^;)、狙って出せるものではない上に、発生頻度が低いのは難点。

 特に「戦闘」では、しょっちゅう同じようなパターンの戦闘が繰り返され(次第に敵が強くなってはいきますが…)、相手が負けて引き下がるときの捨てぜりふもほぼ毎回同じ。特に山賊イベントなど、「またアレを繰り返すのかよ…」と、げんなりすることしきりでした。

 

 さて、シミュレーションゲームとして見た場合、そのメインが土地経営ではなく、「経営生活」そのものになっていることを考えれば、イベントなどの発生タイミングが不可解である上、1回に必要なプレイ時間が異様に長い(10時間は必要でしょう)というのは、やはり良いことではないと思います。好感度の上げ方にもよるのでしょうが、一プレイで同時に狙えそうなキャラはせいぜい2人程度なので、各エンディングを見ようとすると非常に回数の多いプレイを余儀なくされます。

 おまけに、やっと迎えた肝心のエンディングにしても、ごくあっさりしたもので、呆気ないの一言に尽きます。さらに、後述のように操作自体もスムーズとはいかないので、リプレイしようという気があまり起きません。

不具合・修正プログラム

 リソースをどんどん食いつぶしていきWindowsを落とす、を筆頭に、山のような不具合があります。にくきゅうのWebサイトにある修正ファイルを用いてからプレイしましょう。そうしないと、満足にプレイできません。

操作性など

 基本的な操作はマウスで行います。キーボードは使用不可。コマンド選択画面が多いので特に気にはなりませんでした。

 画像表示は、メイン画面が640×480で、設定画面やメッセージウィンドウ、パラメータ等が別ウィンドウで表示されます。フルスクリーン表示はできません。この「複数ウィンドウ表示」という方式はあまり好きではないのですが、それでも設定画面が常に出ているというのはいったいどういうことなんでしょうか。ツールバーに入れるなり右クリックメニューに収めるなりという仕様がほしかったところ。

 メッセージ速度などの調整、スキップ機能などはありません。

 セーブ&ロードは、各週ごとに255個所(!)まで可能で、セーブの際にはセーブ時の実日時とゲーム中の年月日が記録されます。

 CGモード(各ヒロインごとにサムネイル表示)や音楽モードもあります。

サウンド

 BGMはMIDIで演奏されますが、まったく印象に残っていません。酷なことをいえば、特に演出効果としての意味を出していなかったような気がします。

 音声は、女性のみ一部あり。イベントによって喋ったり喋らなかったりするのが残念。いらん音声ファイル(戦闘時の「れでぃ〜、ごぉ!」とか)もあるので、もう少し「どこで使うか」を考えてほしかった…というのは、望みが大きすぎましょうか。

グラフィック

 先述のとおり、大野哲也さんのキャラ原画。目に非常に特徴があるほか、とにかくゴテゴテした異様な服装が目につきます。また髪型もなかなか凄いものがアリ。正直言って万人向きの絵とは思えませんが、個人的には割と気に入っているので良し。パッケージ絵に比べ、ゲーム中のグラフィックでは、やや塗りがかすれているような感じで、さほど綺麗には感じなかったのが残念です。

 会話画面では、キャラの立ち絵とフェイスウィンドウとが表示されるのですが、「表情変化」をどちらがどう示すのかという「役割分担」ができておらず、立ち絵で顔を赤くしたりフェイスウィンドウの方で視線をそらしたり、非常にややこしいことこの上ありません。立ち絵では姿勢と服装の変化をつけるだけ(もっとも、服装はどのキャラもいっつも同じですが)、表情はフェイスウィンドウに任せる、と割り切ってくれた方が、女の子の「かわいさ」を素直に出せたように思います。

 Hシーンでは、やたらと体液描写がこれでもかといわんばかりに濃厚なのが印象的です。テキストもここの部分に関しては割と気合いが入っているので、結構ドロドロなんですが、もともとマンガ的なデフォルメが強いので、ちょっと違和感があります。

 CGの枚数自体は割と多いのですが、如何せんイベントを発生させるのが大変で、なかなか(^^;)

 戦闘シーンではちびキャラがアニメしますが、何度も何度も見たいほどのものでもないので、オフにできるようにしてほしかったところ(クリックするとスキップはしますが、いちいち面倒)。

お気に入り

 特になし。

関連リンク先

 SHEOさん長すぎ!!・・・・・以上というご指摘で、まずはこのゲームのメインパートがすべて語られていると言っても過言ではないでしょう(←いいのか、そこまで言い切って(^^;) また、攻略に必要な情報もありますので、「やり込みたい」という方はどうぞ。

 これとは別に、成瀬せりあさん(閉鎖)の、「メインの街育成パートを難しめ、アドベンチャーパートは易しめにするべき」というご意見には、まったく同感です。

総評

 にくきゅうのゲームならば、操作性に関しては期待しない、と思っていたのですが、問題点はそれだけではない、と考えるべきでしょう。

 育成ものとして、狙い所が今ひとつ定まらないままできてしまった作品、という印象が拭えません。都市経営よりも「パートナーたちとの生活」を充実させる、というのは確かに1つのやり方としてわかるのですが、その割には生活描写が薄い上、イベントを発生させるための条件がシビアであり、しかも長時間の繰り返しプレイを必要とするというのは、どうにも誉められたものとは思えません。

 初回バージョンでかなりヒドイものを出しているという点を割り引いたとしても、ゲームとして「どういうところで面白いと感じさせるか」というツボ狙いの段階で失敗しているという感じがします。

 育成シミュレーションゲームの中に恋愛要素を入れたものとしては、後に大野氏がぱじゃまソフトからリリースした『プリズムハート』が一定の成果を出していますので、こちらをプレイする方が良いでしょう。

個人評価 ★★★★★ ☆☆☆☆☆
2000年11月27日
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