夏色デスティニー Milky Farm/オークランド

1998年7月25日発売
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 「呆れてものも言えない」という「地雷」がいかなるものか、と問われて、直ちに「こんなゲームだっ」と、幾多の具体例を挙げられるとすれば、そういう方には同情を禁じえませんが、逆にいえば、そういうゲームであっても「売れたらそれで良し」というゲームソフトの世界、売って売りっぱなしという悪慣行を支えているという見方も可能なのかも知れません。生活必需品ではない、単なる趣味の領域では、買う側が賢くならなくては、巡り巡って駄作の連発・質の低下、粗製濫造という、お定まりの転落パターンに陥ることが必至です。

 ゲーム版「買ってはいけない」の代表格といえるのが、私が「ゲームリスト」で、蠅ある(笑)「1点」評価に値する、と断じたゲーム群ですが、おそらく最悪の部類に属すると言って良いのが、この『夏色デスティニー』です。まず、バグの多さ、そして、あまりにも杜撰な作り。こういった「悪例」が、Xゲームの中には確実に存在している事例の1つとして受け止めていただければ幸いです。

シナリオ

 主人公は、地方の女子寮管理人を勤める祖母から、夏休み中にその代理を頼まれる。寮では、5人の女の子たちが出迎えてくれた。一つ屋根の下で、管理人代理として女の子たちと過ごす1か月間、どのような展開と結末が待っているのか…。

 

 パッケージのグラフィックや設定などから、ほのぼのとした恋愛ものを連想される方が多いでしょうが、実際にはめちゃくちゃで、見境なくレイプしまくらないと話が進まない、という、どうしようもない話です。Xゲームのジャンキーと化している人間が偉そうに言えるせりふではありませんが、「レイプ」という、人格を蹂躙する行為を描くのであれば、それ相応の「重み」をもって描かれるべきでしょう。頭を軽くげんこつでこづくような感覚で「レイプ」したりされたりという環境では、そもそも「お話」になりません。では、鬼畜な陵辱ゲームかと言えば、そもそもHシーンの描写が杜撰で、とても読むに耐えません。しかも、犯される方も明くる日になったら涼しい顔、これでは「レイプって何?」と考えさせられます。シナリオを書いた方は、「これでおもしろい」と思う、と考えたのでしょうか。

 また、そもそもテキストそれ自体をとってみても、プロが書いた文章とはとうてい思えません。語彙が足りないという水準のテキストをえんえんと見せられても、嬉しくもなんともありません。

ゲームデザイン

 自己育成タイプのシミュレーションゲームという面と、イベントさがしのアドベンチャーゲームという面とを備え持っています。『Piaキャロットへようこそ!』(カクテル・ソフト)と似たパターンです。

 ところが、まずパラメータ管理がどうしようもありません。勉強すると学力が下がるというのはどういうこと?

 さらに、アドベンチャー的なイベントを発生させるには、当然のように主人公が移動という行動をとる必要があるわけですが、この際、「気力」なるパラメータが消費されていきます。昼間はマップ移動方式が基本となっていますが、マップの端に到達した時点で、この「気力」はすでに半分以上が消費されます。つまり、「あちこちを探索してタイムスケジュールを設定する」という作業そのものができないわけで、これでどうやってイベント発生を楽しめというのでしょうか。

不具合・修正プログラム

 不具合については、あちこちに書いているので、ここでは触れません。

 オークランドのWebサイトに、セットアップファイルを含めた修正ファイルがアップロードされていました(2002年11月現在、確認できず。「りぺあ」にアップされています)。これをダウンロードしましょう、というか、ダウンロードしないとプレイできません。

操作性など

 ゲームをCD-ROMドライブに挿入すると、オートランで自動起動しません。これは仕様でなく、「autorun.inf」の記述自体が間違っているという、あまりにも初歩的なミスによるものです。この時点で、すでに「どうしようもない」香りが濃く漂ってきます。

 また、このゲームをプレイするにはDirectXが必要ですが、CD-ROMにはDirectXが同梱されていません。「雑誌の付録またはマイクロソフトのホームページからダウンロードして下さい」とありますが、そのままでは「仕様上」プレイできないゲームを販売するという時点で、商品としては欠陥品でしょう。

 さて、いよいよインストールですが、私の環境ではそもそもインストールができませんでした。修正ファイルの手助けでなんとかインストール可能。インストーラ自体に致命的なバグがあってはどうしようもありません。また、アンインストーラーがないなど、Windowsアプリケーションとは思えない作りです。

 グラフィックの下部にテキストが表示されるますが、画面の切り替えは非常に遅く、見ていてイライラしてきました。また、マップ中の文字は手書きのままで、非常に小さく、見にくいのも問題です。画面は、640×480とフルスクリーンから選択可能…なはずですが、筆者の環境では、640×480で起動しようとすると、256色モードへの切り替えを要求されました。

 セーブ&データは、主人公の拠点である管理人室において可能、8つまでOK。ゲーム中のイベント名が記録されます。ロードはメインメニューからのみ可ですが、プレイ中にメインメニューを呼び出すことは可能なので、セーブ&ロード自体はさほど苦ではありません。

 メッセージ早送りは、「F9」キーを押すことでスキップ。選択肢が表示されると自動的に止まります。

 CGモード(サムネイル表示)、音楽モードあり。ただし、見た覚えのないCGが表示されるなど、ファイル管理がなっていません。

 なお、上記の修正ファイル内に含まれているおまけプログラムを使うことで、主人公の名前変更・回想モード(一枚絵CGが出ない会話のみのイベントも含め、ほぼすべてのイベントごと)などが可能。このプログラム自体(だけ)はけっこう親切です。

サウンド

 BGMは、MIDI/WAVEですが、音楽に疎い私でもわかるような、明らかなアレンジ不足が耳につきます。おまけに、WAVEでBGMを流すと、音は飛んだり割れたりと、聴けたものではありません。MIDIでも、音色がかなり不安定です。さらに、ゲーム内で使われる効果音も、うるさいだけ。とうてい「効果」を出していません。

 オープニングに流れるボーカル曲はまぁ悪くないんですが、ゲーム中のヘボいBGMは明らかに不可点ですね。

グラフィック

 原画(破軍星氏)はけっこういいのですが(ちょっと目の扱いが気にかかりました)、塗りや加工の段階で、シャレにならない水準のものになっています。

 まず、どす黒い肌色を初めとして、生気のないキャラクターの表情をみごとに作っています(乾笑)。また、背景CGなど、「建物のぼろっちさを演出している」と見れば、非常によくできています。

 断定はできませんが、おそらくDirectX対応のために256色に減色したのでしょうけれど、ディザは目立つしにじみはひどいし…。

お気に入り

 これほどまでのゲームとなれば、キャラクターに対して思い入れなどうまれようもありません。

総評

 原画の雰囲気が良さげ、という理由で買ってしまったのですが、逆にいえば、それ以外は一切のウリがないという代物です。ゲームの販売姿勢はおろか、制作そのものが「プレイヤーをなめている」としかいいようのない作りになっています。

 オークランドのWebサイトを見ると、別ブランド「スピカ」から新作『エンジェリーズン 〜天使のいいわけ〜』がリリースされるそうですが、前作で失墜した信用を回復できたという感触を得ているのでしょうか。

 最後になりましたが、この拙文が、今後への何らかの参考あるいは警鐘にならんことを…

個人評価 ★☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
1999年10月3日
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