PALETTE フェアリーテール/F&C

1998年11月20日発売
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 このゲームが発売される前、カクテル・ソフトからリリースされた『With You』が、出来としてはかなり中途半端なものであった(決して駄作ではないんですが…)と感じたものです。さらに、その後に出された『PALETTE』は、あまりグラフィック的にも惹かれなかったため、見送りにしていました。しかし、世間では(←どんな「世間」かはともかく(^^;)…「一般」とまで呼べるような「世間」ではありません)けっこう評判がいいようなので買ってしまいました。こういうケース、以前はなかったのになぁ(^^;)

シナリオ

 高校生活最後の夏休みを過ごすこととなった主人公・涼原耕平。彼は夏休みの間、2人の幼なじみ、お兄ちゃんと慕ってくる年下の従妹、さらに知り合った別の女の子など、いろいろなコと過ごしていく。そして、夏が終わり年が明け、彼は誰と微笑みを分かち合っているのだろうか。

 

 シナリオにはファンタジーやSF的な要素はほとんどなく、非常に地に足のついた設定が続きます。各キャラクターの行動パターンや思考ルーチンは、もちろんゲーム的世界に適合する形でデフォルメされていますが、突飛な設定やわけのわからない事件で話の起伏をつけるという方法は極力排され、あくまでもナチュラルなシナリオになっています。

 そのぶん、シナリオ面で見たパンチ力がかなり弱い面は否定できませんが、逆に、登場するキャラクターそれぞれに対する味付けがきちんとなされているので、「正統派萌えキャラゲーム」とでも呼ぶべき佳作といえるかと思います。

 さらに、詳細には触れませんが、このゲームの「良さ」の1つに、「プレイ後の後味の良さ」があると思います。基本的に、女の子を主人公側が選ぶ、というゲームの場合、当然「泣く」コが出てくるわけですが、後々、夜道で刺されそうな行動を取る主人公が大多数である中、このゲームでは、実にスマートな締めくくり方をしています。この点はプラス要素。

ゲームデザイン

 このゲームでは、当初からメインヒロインを自分で設定できます。というより、「誰をメインヒロインとしたシナリオであるかを選択できる」といった方が正確かも知れませんが、とにかく、初めからプレイした場合、3通りのシナリオから任意に選ぶことができます。『永遠の都』(ちぇりーそふと)のように、プレイの順序が固定されているものでもなく、また、攻略対象そのものも、メインヒロインに絞られているわけではない、というところが、非常に目新しいところです。具体的にいえば、Aをヒロインとしたシナリオをスタートさせても、Bと仲良くなることもできるわけです。

 さらに、「脇役からスタートしてエンディングまで到達」した場合と、「メインヒロインとしてスタートしてエンディングまで到達」した場合とでは、シナリオやキャラの設定がいろいろと違ってきているのに、そのシナリオ間格差が、プレイヤーを戸惑わせることはなく、むしろ、バラエティの豊富さを楽しませるという方向に働いているのが、非常に嬉しい設計ですね。やりこむほどに味が出る、そんな印象を受けます。CGを埋めるだけならば、全部のシナリオをプレイする必要はないのかも知れませんが、できるかぎりのシチュエーションを見てみたいな、と思わせるゲーム。しかも、そのシナリオの「踏破」には、かなり時間はかかりそうではあっても、極端に難解なものでもなさそうです。見ているこっちが恥ずかしくなってくるようなベタベタな展開になったり、三角関係的なものは一旦敬遠しようと思ったらいきなり泥沼なシナリオになったりと、そういった「意外性」を見せてくれるのは、非常に楽しめました。

 各シナリオごとで、主人公の設定は微妙にずれていますが、これは「矛盾」ではなく「バラエティ」と取るべきでしょう。

操作性など

 セーブ&ロードが任意の位置で可能、など、確かに相応の機能は備えており、特に文句を付けるべきではない…のかもしれませんが、ことユーザーインタフェースにかぎって言えば、『With You』が出色の出来だっただけに、これに比べるとむしろ退化している印象があります。なるほど、好感度の表記などはなかなかしゃれていると言えましょう。しかし、クイックセーブ&ロードを備え、コンフィグ設定がキーボードショートカット可能だった『With You』という良き前例があるだけに、もう少し工夫がほしかったところです。

 「F&C」ではなく「フェアリーテール」のゲームとしてみれば、文句ナシの水準でしょう。

 そういえば、インストール画面で「爆弾」が出てきますが、アレ、爆発することって、あるんでしょうか?

サウンド

 BGMは、あんまり印象に残っていませんねぇ。少なくとも、「あのシチュエーションではこんな曲だったなぁ」というイメージが結びつく曲はなかったようです。

 例によって、セカンドトラックにボーカル曲が収録されています。なんというか、非常に唱いにくい曲ですね。ヴォーカル曲というものは、気がつくと何げに口ずさんでしまう、ということが多いものだと思いますけれど、この歌、唱う気にはなれないなぁ。何度聴いても、「鳩の食う気」と聞こえるのは、私だけ?(^^;)

 まぁ、F&Cのボーカル曲としては、「唄」としてはマシな部類でしょうね。個人的には、『バーチャコール3』の「僕のひまわり」あたりのレベルの唄を出してほしいところなんですけれど。

 音声は、まずまずといったところでしょうか。キャラによっては、かなり別作品のイメージとダブってしまうというのが、F&Cのゲームの宿命(^^;)なのですが、それでも、タマちゃんの声、あれは反則でしょう(*^^*)

グラフィック

 う〜ん、なんというか……まず、原画が生理的にあんまり合いませんでした。ゲーム自体はそれなりに楽しめましたし、そこそこ満足してはいるのですが、「満足したゲーム」中で、これだけ私的に原画が気に入らなかったゲームは初めてのような気がします(^^;) シチュエーションによって顔が変わったりするし(^^;)

 キャラデザでいえば、深月ちゃんが顔を赤くしたところなどは、なかなか気に入っているのですが、特に翠がねぇ…名前が「みどり」で眼鏡っ子というのが致命傷だったか(爆)

お気に入り

 強いていえば、東雲深月ちゃんでしょうか。特に思い入れが強い訳じゃないけど。

関連リンク先

 SHEOさんが、各シナリオごとに分けて書いておられます。

総評

 グラフィックでの第一印象が良くない(いや、今でも好きじゃないのですが(^^;)、シナリオのインパクトは弱い、しかし、かなり思い切った組み立て方を行っているタイプのゲームです。キャラの数がそう多くはないので、プレイヤーサイドから見ると、そんなに萌えられなければそれで終わり、になってしまいそうなタイプのゲームでもあるので、高く評価するには抵抗がありますが。

 キャラの組み合わせ方によって、シナリオがいろいろと変化し、それに応じてヒロインたちも違う角度から描かれる結果、ちょうど水晶に光が当たるように、異なった色合いを見せてくれる、そんな「おもしろさ」を味わわせてくれるゲームであります。

個人評価 ★★★★★ ★☆☆☆☆
1999年8月28日
(2000年11月24日、加筆・修正)
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