ツインズストーリー きみにつたえたくて… 富士通/富士通パレックス

1998年9月25日発売
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 掲示板で一般ゲームの話題になったときに紹介されて手に取ったという経緯があるゲームです。しかし実際に入手してプレイを始めたのは2002年2月で、1人クリアしては休み、を繰り返していたゲームでした。もっとも、攻略対象キャラが10人もいて、なおかつリプレイするためのユーザーインタフェースが今ひとつであれば、今の私にとってはこうなってしまうのは自明だったのかもしれませんが(^^;

※このゲームは、年齢制限のない一般ゲームです。

シナリオ

 主人公・館野成雄(変更可能)は、双子の妹である成美(こちらも変更可能です)と二人暮らし。2人は名門学園高等部の男子部と女子部にそれぞれ進学した。かわいいけれど生意気な妹である成美に支えられながら学園生活を送っていくなかで、成雄には気になる女のコがでてきた。彼はそのコのハートをみごと射止めることができるのだろうか。

 

 シナリオ担当は、金澤幸多郎・増渕寿和両氏。

 このゲームシナリオの中で特筆できるのは、成美という妹キャラの存在感が強いことでしょう。

 家事万能で毎朝主人公を起こしている一方、遠慮なくああいえばこういうという生意気盛りな面もあります。通常は主人公を名前で呼び捨てにしており、“おにいちゃん”などという場合は何らかの下心があり、決して“無条件で甘えたり信用したり”ということがありません。まして“おにいちゃんだーい好き”なんてことはあり得ません(笑) 主人公が女の子とうまくやってご機嫌で帰り「手伝おうか」などと言おうものなら、いい! いいから、部屋で寝てなさい!というありさまです(^^;

 しかし、主人公の脇に成美というキャラが存在することによって、シナリオの背筋がきちんと通り、そしてエンディングを印象的なものにしていると感じます。最終段階で実際に成美が主人公の背中を押す形でバックアップしているシナリオは、沙姫・真美・瑞穂の3つくらいですが、これ以外のルートであっても、なんだかんだいいつつ主人公が“1人ではない”ことをいつも証明する存在として働いています(大げさか?)。主人公と成美の間には、心おきなくいっしょに暮らしている関係だからこその信頼感があり、それをいろいろなシーンで感じられるのが楽しいところです。

 そういったことまでつっこまないまでも、日常的な成美との会話そのものに同一シーンのリピート(焼き直し)がまったくない一方、“日常”の繰り返しということを思わせる程度に類似したものにしているのはさすが。毎朝毎朝漫才で爆笑ということはありませんが、むしろ自然体の心地よさを感じさせてくれます。

 さらに、ちょっとヒネた見方をすれば、同年の妹がいれば、そのツテで女友達を作ろうと考えるのはごくふつうの発想であって(笑)、その点からも、自然体のストーリーになっていると感じます。実際に妹が仲を取り持ってくれることはありませんけれど。

 

 一方、各ヒロインごとのシナリオはおおむね淡々と進み、一応各キャラクターごとに山となるイベントが1つないし2つあるだけで、これらもわりとあっさり済んでしまいます。各季節ごとに定番イベントが発生はするものの、仲のよいキャラといっしょに過ごすだけで、ラブラブイベントなどほとんどありません。このため、攻略したとはいっても「途中にどんなことがあったか」をあとになって思い返しても頭に浮かばない、ということさえありました。恋愛ものとしてごくオーソドックスなイベントが配置され、劇的な展開は(一部を除いて)あまり出てきません。各キャラクターのそぶりなどもかなりわかりやすいもので、主人公が鈍感であるために時間が引き延ばされているような印象を持ったシナリオもあったのはやや残念。

 ただし、エンディングにはかなり強烈なものも含まれており、特に一部のバッドエンドでは終了後呆然とさせられました。展開が不合理というより、主人公の置かれた立場とそれまでの過程とを考えると、そういうエンディングになることがどうにも納得できなかったものです。詳細は割愛しますが、せめてエンディングの直前の情報をもう少し(事前に)見せてほしかったな、と感じたものです。

 また、トータルとして各ヒロインごとのシナリオの密度の差が非常に大きいのも感心できません。各キャラクターごとのシナリオを見ていくと(キャラの描写はまた別の話)、成美の親友3人はまだいいとして、紗弥佳やもみじは存在意義からしてよくわかりませんし、真美や華乃はそれぞれ中盤のイベント密度が低くて冗長、アデレイドは中盤の伏線が終盤の急展開を支え切れていないといった具合です。これだけの人数ぶんの話を定まった期間で取り上げる以上、仕方ないのかもしれませんが。

 さらに、共通する強制イベントと、ヒロイン別の個別イベントとの整合性が欠けていたのは、明らかに問題です。これは特に沙姫ルートで顕著でしたが、個別ルートではヒロインが落ち込んでいて気まずくなっているのに、共通ルートでは自然に対応していたりします。個別イベントの山となっているところでは共通イベントと重ねないようにする程度の配慮は当然だと思うのですが、これは困ったところ。

 

 各キャラクターはやや類型的ともいえる顔ぶれをそろえています。各キャラクター間の関係も、仲良し4人組のほか、真美と華乃を仲良しにして華乃と雪乃を姉妹とする一方、それ以外のキャラは軒並み孤独な雰囲気・孤高の感じを漂わせるなど、かなり細かく配慮されているのがうかがえます。また、10人中実に8人が同学年というのも珍しいのでは。

 ただし、主人公の行動範囲が妙に限定されているのか、攻略対象となるヒロインが全員女子部に所属していてそれ以外はない、というのは寂しいですね。

 攻略対象ヒロイン以外とのやり取りも、約一名を除けば基本的に日常的だけれどそれなりに楽しい、といったものが続きす。響子先生や正弘はもちろん、実は古賀先生の怒鳴りもけっこう楽しめたりします。

 

 ところで、男子部と女子部とが別の敷地に完全に分かれているのに、のちに共学化される(これが直接エンディングに反映されるものはなぜか非常に少ない)のですが、2つのキャンパスをどう分けたのでしょうね。文系と理系など、コース別にキッチリ2つにした、とでもいうのでしょうか。

ゲームデザイン

 攻略対象キャラは10人です(雪乃を攻略対象とカウントした場合ですが、あのエンディングでそう呼べるかどうかは疑問)。なお、成美エンドもちゃんとありますが、別におにいちゃんラブラブエンドではありませんので念のため。

 毎日曜日に午前と午後とのスケジュールを決定し、休日(日祝日)の自由行動でほかのキャラクターと会うことで話が進んでいき、基本的に1年間がゲーム期間となっています(ヒロインによっては、もっと早くエンディングに到達するものもあります)。

 パラメータが2つあり、毎日のスケジュール実行の結果(成否によって上下します)で決まるものと、イベント中に出てくる選択肢によって上下するものとがあります。これらのパラメータは各ヒロインのエンディング条件の1つとなっていますが、実際にはかなり無理な同時攻略をしないかぎり、さほど気にする必要はありません。

 

 自由行動中に各ヒロインと会いますが、ヒロインと会えるのは月に2回です。同じ月に2回会い、またパラメータや好感度などの条件を満たしていれば、各ヒロインの個別イベントが発生します。1回の自由行動につき3人まで会うことができ、また自由行動は月に5回以上あるため(夏休みおよび冬休みの間は別)、数回会えなくても場所を変えれば比較的簡単に会うことができるので、全体として、攻略はそう難しくありません。ただし、短期間で集中的にイベントを発生させる必要があり、またその前にパラメータを上げておかなくてはいけないキャラもあります。

 また、この場所移動パートの直前に、(1回につき1人だけですが)各ヒロインごとのヒントをくれます。登場位置や必要となるパラメータなどを推定できるので、ぜひとも押さえておきましょう。

 

 ただし、雪乃がらみのイベントについては、その大半が彼女や華乃に気をかけていなくても発生するのがかなり鬱陶しかったですね。邪険にすれば校門前に現れなくなるようにしてもよかったと思うのですけれど(個人的には遠慮したいキャラでしたし(^^;)。

不具合・修正ファイル

 私の環境では、特に不具合は発生しませんでした。ただし、画面切り替えやロードなどのレスポンスがどうにも遅いのが困ったものです。

デモ・体験版

 デモの存在は確認していません。体験版は、公式サイトによると“9月24日発売”「LOGIN」誌に収録されているとのことですが……これって1998年11月号、と見ていいのでしょうか? 今となっては探すのも難しいのですが。

操作性など

 対応OSはWindows95/98ですが、WindowsXPでも問題なく動作します。CD-ROM3枚組となっており、うち1枚はアクセサリーCD-ROMです。プレイ時にはCD-ROMが必須ですが、手動でフルインストールすればCDなしで起動できます。

 画面はグラフィックが640×480全画面表示で、16ビットカラー表示時にのみウィンドウ表示とフルスクリーン表示とを切り替えられます(ハイカラー表示時にはフルスクリーン固定)。下部にメッセージウィンドウが表示されるオーソドックスなスタイルですが、メッセージウィンドウを消すためには右クリックメニューから逐一選択しなくてはならないのがやや面倒。しかしそれ以上に使い勝手の悪さを感じさせるのが、メッセージスキップはあるものの、既読/未読の区別がないうえ、次の選択肢に到着しても止まらない(ある選択肢を選ぶと継続してスキップされ続ける)という点で、このために実際のプレイ時にはEnterキーの連打のほうが速く進んだものです(ただし画面切り替えがかなり遅いため、空打ちを重ねましたが)。「イベントスキップ」という項目もありますが、使い道があるのでしょうか? ただし、文字速度調整(3段階)は可能です。

 ゲームを起動すると「はじめから」「つづきから」「オプション」「終了」の4つが表示されますが、しばらくすると(ある程度パワーのあるマシンならかなり速く)別画面へと切り替わってしまうので、初回プレイ時にはかなり忙しくなります。

 セーブ&ロードは、選択肢が表示されている個所以外の任意の地点で、10まで可能です(セーブ実日時とゲーム中の日付が記録されます)。ただし実際にセーブされるのは各日の最初なので、ロードするとセーブした日の最初から開始することになります。

 トップメニューから入れる「オプション」には、CGモード(各キャラクター別、ただし1枚ごとの表示で達成率なども不明)とBGMモードがあります。

 なお、公式サイトからサブストーリー(別プログラムになっています)がダウンロードできます(2003年6月29日現在)。

サウンド

 サウンドはCD-DAで再生されます。BGMは特に印象に残るものではありませんでしたが、各シーンによくマッチしたものになっていたと感じます。

 音声は、主人公以外パートボイスとなっています。あまりミスマッチを覚えることはありませんでしたが、沙姫だけはちょっと違和感を抱きました。どうにも年齢があわないというか何というか…。

グラフィック

 原画・キャラクターデザイン担当は、上里竹春氏。両目の間がかなり空いているのが特徴的。パッケージの成美の絵の雰囲気が各ヒロインキャラと共通の雰囲気を見せていますが、今となってはかなり野暮ったく感じてしまうのはいたしかたないのでしょうか。ところで、“校則でいつも制服が義務づけられている”そうなのですが、これのおかげで私服姿がほとんど見られないのに大いに不満をいだいたのは私だけでしょうか?

 背景画像の塗りは悪くないのですが、構図がかなり崩れています。特にもみじの部屋など、重力の向きがどう働いているのか教えてほしくなりました(^^;

お気に入り

 お気に入りキャラは、華乃ですね。二学期まではみごとに無表情なのですが、終盤になって笑顔を見せてくれたときが非常にかわいいので。これに次ぐのが瑞穂、泉かな。

 ゲーム中のシーンでは、主人公を校門で出迎えた華乃(雪乃ではありません)と、瑞穂ルートであるアイテムが届けられたときの成美の反応が印象的です。

総評

 妹である成美とのやり取りがこのゲームの最大の魅力でしょう。主人公と妹とが双子の兄妹だということが直接シナリオにつながっているわけではありませんが(実際私はプレイ開始当初「“ツインズ”である必要がどこにあるんだろう」と思ったものです)、妹というキャラクターを、徹底的に“身近な存在”であるという、言うなれば(実生活において)あたりまえであることをきちんと踏まえたうえですとーりーが作られており、最後まで安心して進められる点が評価できるでしょう。

 その一方で、各ヒロインごとのストーリーに起伏がさほどないためにゲーム進行中にダレを感じやすく(これをフォローしているのが成美との会話なのですが)、1年というプレイ期間が長く感じられる点が残念。お世辞にもいいとはいえないユーザーインタフェースも相まって、難易度自体はさほど高くないとはいえ、全キャラをクリアするのはたいへんです。日常会話そのものはけっこう楽しいし、また無理な山場を設けようといった“背伸びした展開”がなかった点はいい反面、引きつけて離さないといったほどの強力な魅力があるわけでもありません。ビジュアルを抜きにしても、これを書いている時点では古くささを感じてしまうのも確かです。

 しかし、このゲームでしかない“気のおけない同居人”を媒介としたストーリーという最大の魅力は、十分に生きていると思います。その点で、キラリと光るものをもっている作品、といえましょう。

個人評価 ★★★★★ ★★☆☆☆
2003年6月29日
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