Alive Witch

1999年11月26日発売
ご意見などは掲示板へどうぞ

 主人公かヒロインかのいずれかが途中で消えるゲームというのは数多く出ています。その段階で「悲恋」を強調するタイプのシナリオ、あるいは力技で「奇跡」を起こしてしまうシナリオのいずれかに分けられるようですが、かなりパターン化しているのも事実。そこには、人が「存在する」ことの意味を深く問わず、演出の1つのような形で「悲劇」を出している、としか見えないケースが少なくありません。もちろん、『ONE』(Tactics)のように、存在認識に踏み込むシナリオになっているものもありますが、むしろ少数派でしょう。

 そんな不安を大いに抱きながらプレイしたのが、Witchの『Alive』。新ブランドであるうえ、ほとんど情報もないまま、行きつけの掲示板でのやり取りの中で興味を抱き、購入してきました。果たしてその結果や、いかに?

シナリオ

 主人公・祐二(名前変更不可)は、幼なじみの祐里子、およびクラスメートの柚木とともに、生徒会室を根城にした「仲良しトリオ」の1人であった。しかし、彼が好意を抱く柚木と自分とをくっつけようと仕切る祐里子の努力(?)の甲斐もあり、主人公と柚木とはつきあい始める。しかし、幸せな時間は長くは続かなかった。デート中、主人公の目の前で自動車にはねられ、柚木は逝ってしまう。そして、それから…。

 

 最初のプレイで感じたのが、ストーリーバランスのまずさでした。シナリオの内容以前の問題として、導入部分に当たる、すなわち柚木が事故死するまでの時間があまりにも長すぎます。

 そこでは、見ている方がむずがゆくなるようなベッタベタな展開が続き、2人の関係もぎくしゃくしながらも微笑ましいものと映ります。また、祐里子をはさんでのやり取りも、爆笑することこそないものの、くすくす、と笑みがこぼれるようなものです。したがって、ここだけを取った場合、それなりにおもしろいのは確かです。

 しかし、この部分にかかる時間が非常に長い反面、いわば「本編」に当たる部分は、駆け足で過ぎていきます。話の展開自体が荒涼としている(←マイナス評価をしているわけではありません。念のため)ため、よけいに「いそいそと」進む気がします。

 テキストを書く分量配分を計算していなかったとしか見えないのですが。

 

 後半部の展開に関しては、シナリオ間でのクオリティ差があまりにも大きく、一概に語ることはできませんが、「存在」のあり方を、ヒロイン側が傷つき、悩み、乗り越えていく、そういうスタイルになっています。またその過程は、主人公が激しく落ち込み人と接するのを避けているという設定になっているため、「主人公視点での描写」がごく限られた範囲となっており、そのためにかえって、突き抜けるような力強さを感じさせるケースもあります(トゥルーエンド、および祐里子エンドの場合)。

 その反面、主人公の描写については、その多くがモノローグによっているにも関わらず、「定まらない気持ち」を向ける先がない、という以上のことを伝えていないようです。主人公がエンディングを何らかの形で迎えるにせよ、柚木の存在、記憶といったものを、自分の中でどう位置付けるのか。時間のかかる孤独な闘いといってもいいでしょうが、その過程が非常に薄いのは問題です。単に「立ち直りが速い」あるいは「いつまでもウジウジ」の両極端で話を進めるのを避けたという点では評価できますが、エンディングに到達するまでにかかる時間が短すぎて、内部の心的葛藤をさばき切れていません。

 人間の「死」は、生体活動の停止に留まらず、その存在が社会的に抹消されることをも意味しています。そして、「関係」を築いていた人間ほど、その「抹消」に対して臆病になるという、いうなればごく当然の問題に対し、そこで生じた悩みの解決に関してはヒロインに下駄を預けてしまい、主人公が「主」足り得ていないのは、このゲームが発するメッセージから考えると、致命的な問題でしょう。

 

 一方、「輪廻」という観点で見た場合、そこに流れる無限の時に関しても、何らかの形で触れてほしかったところですが、その種の描写が見事に欠落しています。主人公を取り巻く「世界」における「時間」、その意味するところを把握せずに「輪廻」を考えることはできないはずです。

 もちろん、「伏線を消化しない」という、いうなれば禁じ手スレスレの手法によって、むしろストーリーそのものを「物語としての演劇」に封じ込め、そこからの昇華を可能とさせることは、不可能ではありません(先述の『ONE』は、これを一定程度は成功させていたと考えます)。しかし、この『Alive』では、「考えたネタをひとまず取り入れました」というだけにしか見えません。

 このあたりは、ネタをうまく裁けなかったシナリオライター氏の力量による、といえましょうか。

 

 また、あまりにも文章表現力に乏しい点も指摘できましょう。いたずらに難解な抽象名詞を引き出して自爆するというパターンではなく、どうもボキャブラリーが少ないという印象。前半部の会話は、それなりに楽しいものの、登場人物たちの精神年齢は、かなり低いという印象が否めません。後半部では、主人公の苦悩が「理屈ではない」=言語の論理で説明できないというスタイルのため、いわば「大事なところ」で問題になっていないのが幸いではありますが、シリアスなゲームを作るのであれば、もう少しテキストにこだわってほしかったと感じます。

 あと、本来ならば改行されるべき所に改行が入らない、句読点のヌケが多い、メッセージウィンドウが3行までしかないのにテキストは4行単位が多い、など、問題がかなりあります。誤字も多いですし。

 シナリオ以前、「文章を書く」という水準の問題なんですけれど…。

ゲームデザイン

 選択肢はあまり多くありません。意中の女の子に会うような選択肢を選んでいれば、そのキャラクターとのエンディングになるようです。ただ、エンディングフラグ方式が採用されているようで、あるエンディングの後に新しい選択肢が出現します。

不具合・修正プログラム

 ほかのプログラムを立ち上げた状態で起動すると、リソースを食いつぶしていくことがありました。Windowsを再起動すれば大丈夫でしたが、リソースメーターを起動して計測してみたところ、リアルタイムで空きリソースがどんどん減っていきました(^^;) 相性の悪いアプリケーションと衝突するとこういう現象が発生するようですので、極力ほかのアプリは終了させておくのが良いでしょう。

操作性など

 ゲームにはDirectX5.2以降、およびMediaPlayerが必要です。ただし、MediaPlayerも古いバージョンのものでは音が鳴りません。6.4以降が必要のようです。いずれも、ゲームCDに同梱されています(当然ですが)。

 オートランでインストールメニューが立ち上がります。マニュアルには、ゲームを起動する際にはゲームCDから、と書かれていますが、実際には、ゲームの起動にはゲームCDは不要で、「スタート」メニューに勝手に(^^;)登録される「Alive」から起動します。CD内のREADMEまで間違っているのは問題でしょう(--;)

 画面は640×480サイズで、ウィンドウモードとフルスクリーンとを切り替え可能。画面はグラフィックが常にフル表示、下部にメッセージウィンドウが半透明で表示されます。

 メッセージ表示は、速度切り替え可能ですが、もともと速いので、あまり必要なさそう(マシンパワーに依存するかもしれませんが)。右クリックメニューの「スキップ」、または「Ctrl」キー押下でスキップ可能ですが、前者はちょこちょこ止まるうえにスキップがきかない個所も多く、困ったものです。

 セーブ&ロードは、任意の位置で、10個所までセーブ可能です。セーブすると、プレイ時の実日時が記録されます。

 CGモードは、各ヒロインごとに、サムネイル表示されます。Hシーンオンリーということはなく、すべてのCGが表示されます。テキスト付きの回想モードはなし。BGMモードでは、表示される曲名をクリックすると演奏されます。

 スタッフロールがないのが寂しいですね。マニュアルも素っ気ないですし。

サウンド

 拡張子WMA(Windows Media Audio)ファイルで演奏されます。ピアノ演奏が個人的にはなかなか気に入りました。少しもの悲しい旋律に感じるのは、ゲームの雰囲気に合っているというべきでしょうか。

グラフィック

 スタッフロールなし、マニュアルにも記述なしなので、キャラ原画担当者は不明ですが、どこかで見たような絵柄です(その後の情報によると、「瀬ノ本久史」氏の担当だそうな)。台形でタレている目が妙に印象的。女の子はみんなかわいいのですが、髪型がちょっと変です(^^;) 表情変化のメリハリはいいですね。一方、背景がちょっとショボいのは残念。

 やや暗めの色彩ですが、ゲーム世界にはむしろよいと見るべきかも知れません。

お気に入り

 誰か一人、といえば、ヒロインの柚木になってしまいますが、「萌え」とはちょっと違いますね。彼女の場合、自分の「葛藤」表現が、どことなく個人的に気に入ってしまいました。

総評

 かなり辛辣な筆調になってしまいましたが、これは、物心ついてからこのかた、近親者などとの死別経験が皆無だったという、個人的な(非常に幸運なる)事情も多分にあると思います。したがって「残されし者」の感情について、あたかも見てきたかのように把握することはできません。

 それでも、主人公の「迷い」に関し、かなり疑問を抱いたのは事実です。パーソナリティとして受容できるかどうか、ではなく、あくまでも「迷い」の帰結が納得いかないわけです。

 恋愛ものとして捉えるのが本筋ではないことを前提としたうえで見た場合、キャラクターの配置もかなり粗があり、各シナリオの方向性に統一がとれていないこと、そしてマルチシナリオにもなっていないことを考えた場合、見るべき点はあっても、高い評価をすることはできそうにありません。

個人評価 ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
2002年2月9日
Mail to:Ken
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