GRAY JUDGE ソルシエール

1999年1月30日発売
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 片腕に手錠という少女(にしか見えん)。シンプルな中にも、「何かが秘められている」という印象を受けるパッケージに、ついつい手をのばしていました。数時間後には嘆息しきりとなることも、この時はまったく気がつかぬままに…

シナリオ

 治安維持組織が民営化された近未来。零細警察会社に勤務する主人公は、普段はズボラでいい加減ながらも、いざというときの実行力や判断力、そして格闘能力などは卓越していた。彼のまわりに起こる事件、それを解決する過程で、何が起こるのか、そしてその結末には、何が待っているのか…。

 

 ドタバタ的なギャグで固められたシナリオかと思いきや、必ずしもそうではありません。しかし、シリアスなサスペンスものかというと、これまたそうではありません。なんというか、話のつくりが、非常に中途半端です。各章ごとのストーリーをたんねんに読んでみても、結局「何を見せたかったのか」がわからず、「取りあえず先に進むか…」という気持ちでのプレイになってしまいました。また、演出面でも、さして惹かれるものがなかったため、かなり退屈。ハードボイルド物に必要な「緊張感」に欠けています。特殊な設定の主人公である以上、それをいかにして「踊らせる」かが大事なのに、ここが抜け落ちています。

 

 トゥルーシナリオをラストから振り返った場合「結局何だったんだ…」と思いたくなります。不可解なシナリオの組立があるとはいえ、最後に豪快な力技でどでーんと世界をひっくり返してくれるタイプのものならまぁ悪くないんでしょうが、「力」があまり入っておらず、腰砕けのような印象があります。エンディングを見せるために伏線を張っていくという作業自体も綿密になされておらず、「どうしてそう行動するのか」がさっぱりわからないままで終わってしまった、という印象です。

ゲームデザイン

 コマンド選択によって進んでいくアドベンチャーゲームです。実際には、コマンド総当たり的な場合が多く、旧態依然ともうしましょうか、もう少しひねった進め方ってものがあるだろ、といいたくなりましたが、別に操作性が特に悪いわけでもないので、まぁいっか。

 

 マルチシナリオ方式となっており、それぞれのシナリオ分岐は、数回プレイすれば明白なので、難易度はかなり低い方です。初期設定こそ同じなれど、その後の展開や人間関係は、各シナリオによって異なります(キャラを入れ替えただけで全然異なってないのもあるけど…)。ただ、『TAXI幻夢譚』のようにスタート直後で枝分かれするのではありません。

 しかし、「シナリオ」欄で書いたとおり、練り混みがまるでたりないため、マルチシナリオの利点である「全体で一つの世界を呈示する」ということは実現できておらず、むしろ、各シナリオ間の密度・ボリュームのバラツキのみが気になってしまいました。特に、トゥルーシナリオの無意味な長さと薄さは、どうにかしてほしかったものです。おそらく、『』のようなスタイルを模索したのだと思いますが、世界の描写からして稚拙であり、比較になりません。

操作性など

 HDへのインストール作業は必要ありません。CD-ROMを挿入すると、オートランでゲームが起動します。この際、筆者の環境では「C:\Program Files\SORCIERE\GRAY」というフォルダが作られ、ここにセーブデータが保存されます。この保存ファイル情報は、レジストリにも記録されます。

 基本的に、マウスのみの操作です。

 画面は、(一枚絵CGの場合を除き)背景画は小さく、人物の立ちCGは大きめに表示されますが、この「小さい背景画面」というのは、非常にさびしいですね。

 セーブ&ロードは、任意の場所で可能。セーブファイルは、デフォルトでは10個所まで可能ですが、「拡張セーブ」によって、無尽蔵にセーブファイルを作成することが可能です(まず不要でしょうが…)。セーブすると、プレイ時の実日時が記録されるほか、セーブしたポイントが「ACT×」というスタイルで表示されます。また、タイトル画面には、いつでも戻ることができます。

 CapsLockによって、メッセージをノーウェイトで表示することができます。また、「Ctrl」キーを押しっぱなしにすることで、メッセージスキップできます。

 CGモードは、サムネイル形式で表示されます。回想モード・BGMモード(曲名表示ナシ)ともに、タイトル画面に表示されるメニューから入ることができます。回想モードでは、テキスト付きのシーンが、各ヒロインのHシーンごとに見られます。

サウンド

 BGMは、MIDI(GM)で演奏されます。小気味よいテンポの曲が多く、なかなかいい感じですね。しかし、1つの曲に対しアレンジを加えることで曲数を増やしているのはいただけません。

 音声はありません。

グラフィック

 まずはキャラデザですが、とにかくムネを強調しまくってくれていますね(^^;)。いえ、決して巨乳というわけではないんですけど、むちむち感が見るだけで伝わってきそうな描き方なんですよ。身体そのものはスレンダーなキャラも多く、なんだか違和感があります。デッサンもけっこう狂っていますし……

 背景画は……特に何もいうこともありません(^^;)

 Hシーンについては、まずまず、というところでしょうか。無理矢理なシーンなんかもあります(^^;)

お気に入り

 特になし。本来なら萌えそうなタイプのキャラクターもいるのですが、それ以前に、キャラクターの描きわけがきちんとできているとはいえなかったもので。

総評

 ラスト自体、ある程度見当がついたのですが、これ自体は別に問題ありません。しかし、あまりにも展開が強引であり、さらに、「オチ」として楽しむことができるような帰結にもなっていません(一言でいえば、「意外性皆無」)。これをして「力技」というには、「力」が足りません。無理です。プレイヤーは「ほぇ?」とおいていかれたまんまになってしまいます(^^;)

 中途に出てくるシナリオ自体は、まずまずのものになっています。しかし、サスペンスとしての組み立てになっているとはいえず、かといって、「徐々に謎を明らかにしていく」タイプのシナリオになっているわけでもありません。全体を通じてギャグが埋め込まれているわけでもありません。

 結局、中途半端、どっちつかずなんですね。未来の「警察」あるいは「治安維持組織」というものを正面から取り上げるのであれば、民営化された組織、なんていう設定は割とおもしろいかも知れません(小説では時折見掛ける手法ですが、ゲームでは初見)。でも、実際のシナリオを見てみると、その実態は、探偵事務所以外の何物でもないんですよね。シナリオの展開も陳腐で、例えば『暗闇2』(Melody)のあかねシナリオの方が、ずっとおもしろい……比較しちゃいけないのかも知れませんけど、『GRAY JUDGE』の方が、長さだけはあるもんでねぇ。

 『TAXI幻夢譚』でうかがわせたパワーは、もはや枯渇しているのでしょうか。悲しくなってきます。何のバグもないのが救いですが。

個人評価 ★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆
1999年10月3日
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