螢舞う夜 メイフルハウス・かれん/アクアリウム

1999年1月14日発売
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 日本女性という言葉から連想可能なファクターはいろいろありますが、中でも宗教的に聖化された存在として、「巫女」という要素があります。神主とは明らかに異なるイメージをもって連想されるわけで、そんなキャラクターが前面に出ているXゲームとなると、いろいろと妄想が頭をよぎり、なかなか楽しめます(^^;)

 黒髪でストレートロングの巫女さんが箒を片手に振り返る。ステレオタイプ化された「巫女装束」と化していますが、パッケージ全体が非常に渋い黒を基調にしている…それが『螢舞う夜』の第一印象。しかし、シックに過ぎるようで、売場ではさっぱり目立ちませんでした。

シナリオ

 自分の想いを伝えることなく、不慮の事故でこの世を去った少女。彼女の声はしかし、想いの相手の耳に届いていた、そのことから、すべてが始まった。主人公・詩浦悠也(変更不可)と、彼の幼なじみは、翌朝にポルダーガイスト現象を目撃し、由衣の親友である巫女さんに相談する。彼女は、かすみは、事を起こしたのが、少女の霊の嫉妬心によるものと判断し、少女を無事に成仏させる方法を見つけるまで、神社で共同生活を送るよう提案する。

 神社で過ごした数日の間、主人公は、誰に惹かれていくのだろうか……。

 

 購入前のイメージは、ホラーの入ったオカルトものかと思っていたのですが、そう思わせるのはオープニングだけ(だって、最初に出てくるCGが死体だったりします(^^;)で、神社に舞台を移してからは、ほんのーりした雰囲気の中でのほほーんと過ごしていきます。とあるエンディングに到達したんですが……べたべたのラブコメやね(^^;)

 オープニングでキツめのものを出してくることでインパクトを出すという手法はいいのですが、その後は暗さの欠片もないので、「霊を成仏させる」というテーマが完全に浮いてしまっています。幽霊談としてもラブコメとしても中途半端です。

 また、最後には必ず大団円で終わり、「幽霊」という設定であるからこそ可能な展開がなされていないのも不満。現世に名残を残している霊魂というキャラクターを取り扱う場合、哀しいエンディングがあっても良さそうなものなんですが、こういったタイプのものは、あまり多くないんですよね。どのみち、主人公と幽霊との2人が現世でつきあえない以上、「蓮のうてなで…」という結び方をしてみるのも良いでしょう。

 しかし…冬を舞台に螢、っていうのは、いくらなんでも無理ありすぎのような気が…(^^;)

ゲームデザイン

 神社における行動選択(基本的に三択)によってイベントを発生させるタイプのアドベンチャーゲームです。ある制限日数の中でイベントを起こし、その結果がエンディングに反映される模様です。

 1回のプレイ時間は30分あまり(うち、オープニングは約7分でした)なので、数回プレイしていれば、そのうち全エンディングに到達できると思います。

操作性など

 インストールの際には、最小/快適/最大から選ぶことが出来ます。CD-DAでBGMを演奏したい場合は、「快適」以上が必要です。

 入力デバイスとしては、マウス、キーボードの双方が使用可能です。セーブ&ロードは任意の位置で可能。セーブは40個所まで可能ですが、そんなに使うことはないでしょう。セーブ&ロード画面では、セーブした実日時のほか、その時表示されていた画面が縮小表示されます。ただ、選択肢が出ているところでセーブすると、「どこでセーブしたのか」という見当がつかなくなります。

 画面表示は、中央にグラフィックが表示され、下部にメッセージウィンドウが表示されるという、ごくオーソドックスなパターンです。

 メッセージ速度、マウス制御速度とも、10段階調整+ノーウェイトで設定可。また、メニューバーの「文章送り」をクリックするか、「Ctrl」キーを押しっぱなしにすることでメッセージスキップできます。

 CGモード・回想モード・BGMモードは、トップメニューからのみ可能。『春風少女』では、ゲームプレイ中でもCGモードに入れたのですが……ボリュームや難易度の違いでしょうね。CGモードは、「通常シーン」と「Hシーン」とにわかれ、それぞれサムネイル表示されます。

サウンド

 杉本倫孝氏の担当。『春風少女』のように、ゲーム世界をぐいぐいと引っ張るタイプの曲ではないですね。『宵桜』のようにかなりアップテンポの曲が多かったため、少し毛色を変えてみた、といったところでしょうか。各曲の個性がかなり強すぎ、全体のバランスがかなりばらけているのは残念です。

 個人的には、各キャラクターごとのテーマソングが印象的で、特に、「刹那花」が好きですね。アレンジがもう一押しほしいかな、という気はしますが。

 ボーカル曲の多用も、相変わらずですね。なお、BGM以外の効果音もところどころで使われています。

グラフィック

 園田逸明氏の人物原画は、くりっとした目に、少しとがりの目立つ輪郭。デッサンの狂いも多少ありますが、こういう絵柄も好きなので良し。塗りは相変わらずですが、少しエフェクトを弱めにしてあるようです。

お気に入り

 刹那かすみ。ちょっとボケててまっすぐで、と、まさにティピカルな記号をそのまま援用しています。狙ったまんま作られているキャラと言えなくもありませんが。

総評

 ホラーとらぶらぶとの奇妙な接合の結果、どっちつかずになっていると感じます。さらに、ボリューム自体が絶対的に不足しており、飽きる間もなく終わってしまいます。

 「死」と「恋」との関連を明示させるわけでもなく、かといって「幽霊」という「対象」をまともに扱っているわけでもない。主題があまりにも不明確で、セールスポイントを呈示できそうにありません。

 『春風少女』で感じさせてくれた底力は、BGMなどにうかがうことはできましたが、トータルではお勧めできるものではないでしょう。

個人評価 ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆
1999年9月19日
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