おにいちゃんといっしょ FishCafe

1999年4月23日発売
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 どうも、18禁ゲーマーの中には、「お兄ちゃん」と呼ばれることに至高の快感を得られるという方が、相当多くおられるようです。個人的には、「妹キャラ」と呼べるようなキャラクターをみごとに使い切っているゲームとしては『夢幻夜想曲』が一番と思っていますが、概して、妹キャラというと「甘えん坊」というイメージがあって、必ずしもプラス方向の属性は帯びていないようです(^^;)

 しかしながら、この「妹」属性を帯びた方をターゲットとしているのがミエミエのこのゲーム。なんだかわき上がってきた好奇心に耐えきれず、買ってしまいました。まぁ、店頭に貼ってあったポスターのデザインの品が良かった、というのもあるんですが。

シナリオ

 主人公・飛田新次(名前は変更可能)は、学校の教員である父親と2人暮らし。クラスメートたちとバカ話をしながら、呑気な高校生活を送っていたが、ある日、降って湧いたように、諸般の事情によって、同級生の1人がいきなり自分の義妹になってしまう。可愛い義妹とひとつ屋根の下で暮らす主人公。そんな主人公にモーションをかけてくる別の女の子もいて、彼の心は千々に乱るる…。

 

 荒唐無稽という四字熟語はこういう時に使うのではないか? という気になります。設定がそれぞれあまりにも無理を通しているうえ、「主人公に突然“義妹”ができた」とはいっても、主人公は、自分と彼女との関係について悩みつつ、背徳的なやましさを乗り越えてのらぶらぶへと突き進む……のではなく、あくまでも脳天気にエンディングへと到達してしまいます。そこには、倫理以前の世間体とか、そういう「通常であれば何らかの形で気になる社会的なプレッシャー」が一切「ないものとされ」、淡々と進んでいる不思議な世界が流れています。

 クラスメートが突然義妹になってしまった、という設定自体は、おもしろい話へと持っていくことができそうに見えますが、その時点で、すでにある程度の恋愛感情があり、その2人が「義兄妹」になってしまったゆえの障害――そういう「最低限のお約束」は、「破られている」のではなく、「無視」されています。これなくして、兄妹の関係を書きつづっているといわれても、無理でしょう。ヒロインが「お兄ちゃん」と言ってくることの意味がまるで感じられません。ボイスつきゲームであるがゆえに、この「無理」がなおさら増幅されているという印象があります。

 どちらかといえば、近所に住む年下の女の子が「お兄ちゃん」と慕ってくるとか、そういう設定の方が、ずっとスマートにいったように思えるのですが。同級生が義妹になって、それ以降もずっとベタベタの関係が続く、というのは、話の起伏に欠ける上、エンディングで何の感慨も残さない結果をもたらすのみでしょう。

 

 主人公は、と見ると、行動に首尾一貫性がありません(^^;) 曲がりなりにもラブコメという展開にする以上、ヒロインたちに対する対応や姿勢が揺れ動くのは当然なんですが、そもそも「揺れ動き」というものを感じることができないんですね。ただ流されていくだけ、といえばそれまでですが、環境が激変する中でおたおたしている、という印象が非常に強くなっています。

 ただ、同情すべき点は確かにあって、彼を取り巻く環境の「異常な」変化の方が問題でしょう。実際、主人公と「義妹」という2人から見た場合なら「首尾一貫していない」で済むのですが、主人公の親父の視点から見た場合、彼が誰と再婚するだの他家へ養子へやるだの、無茶苦茶です。ここまでわけわからん親というのは、初めて見ました(^^;)

 オープニングで「トラブルシスター・ラブストーリー おにいちゃんといっしょ」というナレーションが入りますが、「トラブルファーザー・クレイジーストーリー おとうちゃんといっしょ」の方が適切かもしれん(^^;)

ゲームデザイン

 分岐点となりそうな選択肢を選んでいくうちに、各ヒロインごとのシナリオに分かれます。基本的に三択で進むアドベンチャーゲームです。

 このゲームでおもしろいのは、各ヒロインごとのシナリオに入っても、それぞれに「ライバルキャラ」がいて、シナリオが分岐した後も、その「ライバルキャラ」とのエンディングに入ることもできる、というものです。また、「ライバルキャラ」の時でないと見られないCGなどもあるので、ゲームとして遊ぶには、それなりに楽しめます。ただ、「ライバルキャラ」の設定は、シナリオ的には全然いきていないのが残念なところ。

不具合・修正プログラム

 あるシナリオをクリアした後、不正終了が頻繁に発生してゲームにならないなど、かなり大きな問題点があります。修正ファイルを適用後にプレイした方がよいでしょう。なお、FishCafeのWebサイトには掲載されていない(そもそもサポートしていない?)ので、修正ファイル掲載サイト「りぺあ」、あるいは@nifty・FCGAMEX6番ライブラリからダウンロードする必要があります。

操作性など

 ゲームの起動には妙に時間がかかるので不安だったのですが、いざ立ち上がるとスムーズに進みます。セーブ&ロードはいつでも可能、など、それなりに便利です。

 CGモード・回想モードは、それぞれ女の子ごとに分かれています。CGモードでは、各女の子ごとに「N枚中M枚」といった出方をするので、誰のイベントが不十分なのかが一目でわかるのが嬉しいですね。

サウンド

 BGMはMIDIですが、なんか印象薄いっす。

 音声は、まぁ悪くはないけど……やっぱり、シチュエーション的に萌えないキャラに「お兄ちゃん」「お兄様ぁ」「にぃーちゃ」なんていわれてもねぇ(^^;)

グラフィック

 アニメ的なグラフィックですね。表情の変化もそれなりにあって楽しいです。ただ、背景がちょっと情けないでしょうかね。

お気に入り

 4人のメインヒロインたちは、上記の理由につき却下。ということで、個人的に気に入ったのは、カニ子こと潤子。

 性格的に極悪などと主人公は言っていますけれど、「女の子」としていちばんナチュラルな行動を取っているように思うのですがね。なかなか素直にはなれないけれど、大した用もないのに夜に電話してきたり、不器用ながらも自分が主導権を握ったりと、かなり前向きなタイプではありますが、「自分」と主人公との関係を真面目に考えているキャラクターでしょう。それに、親父が関わってこない唯一のキャラなので、マトモな恋愛ができそうですし(^^;)

関連リンク先

 「複数キャラ」設定の問題点を端的に語る、兄貴さん(閉鎖)のレビューが見事。

総評

 妹ゲームとしては不可、恋愛ゲームとしても環境の変化や過程が描けていないのでイヤ、ということですが、まぁ目くじら立てるほどのものではないでしょう。カニ子の「出っ歯のおじさん」には笑えましたし(一定以上の年齢でないとわからんぞ、これは)、それなりに笑えた個所もあったことはありました。

 しかし、プレイヤーが「何を求めているか」を深く考えることなく、イメージの中だけで作り上げたトレンドに従い、創ってしまったゲームとしか思えません。

 妙な「思いこみ」を排し、ドタバタなノリを徹底すれば、意外とイける作品を作れそうな気もするんで、今後に期待したいところです。もっとも、このゲーム以降、次回作の情報をまったく聞かないので、そもそもソフトハウスとして制作をしているのかどうか怪しい気もするのではありますが(^^;)

※FishCafeからは、2001年に『ただいま修行中!』がリリースされました。ただし原画/キャラデザ以外の共通点は皆無で、FishCafeのWebサイトには『おにいちゃんといっしょ』の紹介が行われていないどころか修正ファイルさえ公開されていません。すでに「なかったこと」として扱われているようです。(2002年11月追記)

個人評価 ★★★★★ ☆☆☆☆☆
1999年8月22日
(10月8日、加筆・修正)
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