紅涙 KURENAI NO NAMIDA Studio e.go!

1999年12月17日発売
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 2000年4月に至るまで「Studio e.go!」のゲームはプレイしたことがなかったのですが、『キャッスルファンタジア聖魔大戦』をプレイして、悪い点もありながらいろいろと注目に値する点も多く持っていることを知り、その結果、特に知識も何もなく入手したのが、この『紅涙』。これ以前に出ている『聖魔大戦』などとは違って、しっかりヤることはヤるというシーンがあり(情報料を「身体で支払う」という選択肢があったりします。女の子からは白い眼で見られますが(^^;)、ちゃんと「18禁」になってはいます。

 なお、ゲーム中、登場人物名は漢字表記となっていますが、引用部分を除いて、すべてカタカナで統一しました。ご了承ください。

シナリオ

 はるか昔、炎を操る魔族・焔帝、そしてその妹の命姫が、病魔や病疫から大陸を守っていた。しかし、時の皇太子と恋に落ちた命姫が落命したことから、焔帝は怒り狂い、炎の魔女と化すが、4人の娘たちによって封印されることになる。その後時は流れ、有力者「馬族」は、焔帝の力を引き出すことによって、剽盗の一族として復活することになった。

 天孔拳を極めた主人公・フェイは、街に遊びに行く途中、男に襲われている女の子と遭遇し、それがきっかけで秘石の守護者である三姉妹と知り合い、食客として彼女たちとともに暮らすことになる。彼女たちが守る「秘石」を執拗に狙う馬族。彼らは、馬族に対し、どのように挑んでいくのか。

 

 シナリオ担当は、石川洋一氏。

 ストーリーには壮大な設定がなされていますが、そのストーリーに見合っただけの大がかりな展開を期待すると、まず間違いなく肩すかしを食うでしょう。

 主人公とヒロインたちとの関係は、「前世」というものを媒介として説明されることになりますが、そこで説明されるのは、いうなれば「因縁」とでもいう次元に留まっており、彼と彼女たちとの「邂逅」は、まったくの偶然として処理されます。主人公とヒロインたちとが、純然たる「前世の記憶」を踏襲していると、「結ばれる」という結末にするのが難しいという事情があった、といえばそれまでですが、主人公とヒロインたちとが出会うに至る「運命」について、もう少し語っても悪くはなかったのでは、と感じます。

 

 タイトル画面で表示されるのが、いきなり全部漢字。スタッフロールには「中文指導」とありますので、どうやら現代中国語のようです(私は現代中国語は全然知りませんので、あしからず)。キャラ名なども基本的には中国名で、そのままではとても読めませんので、「ルビ振りシステム」なるものがあり、カタカナでルビが振られます。別に感心するほどのものではありませんが、なかなかよし。

 

 女の子との会話が楽しい。それがこのゲームでのいちばんの魅力でしょう。三姉妹はみなそれぞれがハッキリと違ったキャラを持っていて、独特の「表情」を見せてくれます。この種のゲームでは、キャラクターの違いはせいぜい「髪の色だけ」というケースさえあるだけに、こうキチンと分けているのは非常に気持ちのよいものがありました。

 その会話では、基本的にコミカルな展開が続き、飽きがきません。音声がないゲームゆえでしょうか、テキストが「見るだけで笑える」というタイプのものが多かったのも、特筆できましょう。…あたしが釣りたいのは鮭なのよ、鮭。蛙じゃないの。わかる?とかこら、藍菲。食える物を使って、食えない物を作るんじゃないよ。勿体ない。など、漢字での表記がないと、おもしろくも何ともなかったり、やたらとくどくなったりしますよね。でも、こう書かれると、笑えるんです。

 バトルシーンでも、敵キャラクターとの間抜けなやり取りがまず最初にあるため、緊張感よりはほのぼの感が出るケースが非常に多くなっています。シリアス感があるのはラスボスくらいで、あとは割とのんびり取り組めます。なにせ、相手キャラに「百貫雀(デボスズメ)」がいたりしますから(^^;) しかも、戦闘シーンが終わった後、敵役が吐いていく捨てぜりふが割とおもしろいのもよし。盗賊の頭など、ものすごくいい味出してます(^^;)

 さらに、エンディング自体も、決してシリアスな雰囲気ではなく、ギャグで締めています。極めつけは、ファーメイ(三女)エンドの「百貫雀親子」でしょうか(^^;)

 

※:エンディングの中でも、シリアスに締めているものもあります。「三姉妹とのエンディングはギャグで締めている」と訂正させていただきます。

 

 ただ、キャラクターとして、「異国から来た女剣士」が混じるのですが、これが「日本の女剣士」をモチーフにしている上、「秘石」とも「馬族」とも何の関係もないので、浮きまくっています。三姉妹+某キャラは関係者、他は単なるサブキャラ、と明確に立場の違いができているのに、彼女の存在理由はいまひとつわかりません。それに、どうせ中国風でいくのであれば、満州族とかウイグル族とかの少女を出してほしかったなぁ。「中国人」は漢民族だけじゃないんだし(「中国民族」つーのは、概念上存在しません)。もちろん、黒髪で和服の大和撫子というのもそそるんですが、このゲームでは場違いでしょう。

ゲームデザイン

 街中を移動するAVGパートと、「依頼」を受けて街の外で用心棒的な仕事をするRPGパートとにわかれています。

 AVGパートでは、街中でどの女の子がどこにいるかが表示されているため、その場所をクリックしてひたすら接触します。時間帯によっている場所が異なり、それぞれ会話の内容が違ってきますが、1回1回の会話はごく短いもので、ほのぼのとしたものから大笑いできるものまであります。このやり取りにコテコテの大阪的ノリを感じたのは私だけかな? このAVGパートでは時間制限という概念はないので、同じ会話内容がループするまで、えんえんと話し込むことも可能です。

 RPGパートでは、「依頼」を受けて戦闘などを行い、その報酬としてお金を受け取ります。もっとも、この「お金」は、ほとんど使い道がないのが実情ですが。このパートの問題点としては、戦闘がヌル過ぎることでしょう。「連撃」などの新しいシステムにも、さほどのありがたみを感じませんでした。一応「なんでも屋」でアイテムなどを買うことができるのですが、何も買わなくてもどんどん勝ち進むことができます。必須イベントだけを消化していくと、さすがにキツいかもしれませんが、「依頼」をマメに引き受けていけば、まず何の問題もなくラスボスもクリアできるでしょう。

不具合・修正プログラム

 すでに修正プログラムが配布されており、それを用いてプレイしましたが、私の環境では、ウィンドウモードでプレイした場合、画面のあちこちがゴミだらけとなり、とうてい見るに耐えるものではない表示になります。フルスクリーンモードなら何の問題も発生していませんが。

操作性など

 インストール先ディレクトリは任意に変更可能です。ゲーム起動の際には、スタートメニューから起動します。フルインストールした場合は、CD-ROMは不要です。オープニングではムービーが再生されますが、ちょっとジャギーが目立つのが難ありのうえ、歌詞がどう聴いても英語にしか思えないので違和感バリバリです。

 操作の基本はマウスですが、会話部分では、キーボードでの操作も可能になっています。

 シナリオパートでのグラフィックは、基本的に640×480ドット全画面表示で、下部に半透明のメッセージウィンドウが表示され、その左端部にフェイスウィンドウが出ます(マウス右クリックで消去可能)。画面は、ウィンドウ表示とフルスクリーンとの切り替えが可能ですが、上記の不具合のため、私はフルスクリーンのみでプレイしました。

 戦闘パートでは、左クリックでキャラクターと行動を選択し、対象を攻撃、これを繰り返します。ステータス表示はバーで表示されるので一目瞭然。「前衛」と「後衛」とに分かれ、配置は一応自由ですが、実際に前後ともに配置可能なのはランフェイ(長女)だけで、あとは動かしようがありません(^^;)

 セーブ、そしてレベルアップが「宿屋」に泊まることで初めて可能になる、という設定は、どうにかしてほしかったものです。イベントが連続して発生するケースなどは、プレイヤーの裁量で回避できるシステムになっているとはいえ、ゲームが容易に中断できないというのは、今ではあまり喜ばしいものではないでしょう。

 メッセージスキップは、「F3」キーを押すことで次の選択肢まで高速スキップ、あるいは「Ctrl」キーを押している間スキップします。選択肢による微妙なイベント違いなどは特にないので、未読・既読の区別がなくても、特に問題はないでしょう。

 トップメニューには「最初開始」「途中開始」「画面欣賞」「音楽欣賞」「回想様式」「遊戯終了」というコマンドが表示されます。「画面欣賞」がCGモードで、各キャラクターごとにサムネイル表示されます。「音楽欣賞」では、曲名をクリックすることで、BGMが演奏されます。「回想様式」は、Hシーンを回想することが出来ます。

サウンド

 BGMは、PCMで再生されます。どうしてCD-DAにしなかったのか、不思議。これまた「中華風」といえばいいのか、割といい感じの曲ではあります。

 音声はなし。女の子との会話がメインというゲーム(と思う)なので、あった方がよかったかも。例外的に、戦闘シーンでのかけ声だけはあります。

 なお、アクションを起こすたびに「ポヨン」という音が出ますが、これがまた雰囲気をうまく出していて、よしと思います。

グラフィック

 山本和枝さんの原画。やはり女の子はきれいですし、また人数も絞ってあるせいか、きちんとキャラクターごとの描き分けもできています。ただ、メイリン(次女)のムネ、「丸いのが2つぼよよん」という感じで、セクシーを通り越して不自然です。

 塗りもていねいだし、グラフィックについては文句ないでしょう。

お気に入り

 メイリン(次女)がやっぱり一番ですね。からかうとおもしろいですし(←こーゆーキャラがけっこう好みだったりして…)。

 プレイ直後は、ファーメイ(三女)の健気で一所懸命なところも割と好きだったのですが、しばらく時間をおいてから見ると、あまりにも男性にとって都合のよい女性像というのがあからさまなので、ちょっと格下げ。性格がよすぎて、不自然さが先に立ってしまいます。「こんな女いねーよ」と言いたくなるのは、別にこのゲームだけでなくどんなゲームでもあるのですが、「都合のよさ」がここまで露骨に出てしまうと、個人的には引っかかりを感じてしまいます。そこまで割り切れていないんでしょうねぇ。

 このほか、リースゥ(占い師)も、独特の味を出していていいですし(敵も多そうですが)、ランフェイ(長女)の豪快な性格も悪くない…って、ほとんど全員かいっ(^^;)

 あと、リーシン(なんでも屋の娘)が攻略可能だったら、言うことなかったんですが(^^;) まぁ、彼女はメイリンと瓜二つの顔なんで、無理かな。

関連リンク先

 Nagyさんのページ(閉鎖)で評がありますが、表層に浮き上がってくるテーマのうち局所的な部分に照準を合わせているので、やや独特のバイアスがかかってはいます。

総評

 シビアに言い切ってしまうと、このゲームは「羊頭狗肉」という言葉から逃れられないでしょう。シリアスで時代のかった設定を用いていながら、その実、設定が単なる「ストーリーの流れ」を作る軸以上の意味を持っていません。「女の子と楽しい日々を過ごす」ことが第一の魅力であり、それはそれで楽しいのですが、シナリオに何らかの骨の太さを感じさせるオープニングを用意しておきながら、いともあっさりと流してしまう物語展開には、「安易」という言葉がまずは当てはまるでしょう。

 その一方で、会話の回数を非常に多くする、戦闘シーン自体にもギャグをふんだんに入れるなど、あくまでも「経過」の「楽しさ」に主眼を置いているのだ、と見れば、充分に愉快愉快という心持ちでプレイできます。自由度の低さは否定できませんが。

 やはり「ギャグの波長が合う人」には、それなりに楽しめる、そういうゲームといえます。女の子たちとしつこいぐらいに多様な会話を交わすことになるので、かわいいコとのお喋りを楽しむ、そう考えれば、十分におもしろいものです。

個人評価 ★★★★★ ★★☆☆☆
2000年4月19日
(4月22日、「シナリオ」部分を訂正、ほか一部修正)
(5月25日、加筆・修正)
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