みずいろの地図 jANIS/ivory

1999年10月22日発売
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 サブタイトル的に記されている「不幸少女救済AVG」の文字。少女を「不幸にする」タイプのゲームであればいくらでもありますが、すでに「不幸になっている」少女を「救済」するというゲームは、さほど見ていません。しかも、AVGとなればなおさらです。その「救済」という宣言の内容にはどのような描写があるのか、と思い、発売日購入したゲームです。決してホモシナリオがあるからという理由ではありません(^^;)

シナリオ・ゲームデザイン

 主人公・清水洋明(変更不可)は、派出所勤務の警察官。町内を巡回するうちに、彼はいろいろな少女たちと出会う。そこで待っているドラマとはいったい何か。

 

 ゲーム期間は1か月間で、その間、町中を1日1回巡回してイベントを発生させる必要があります。巡回はマップ移動方式となっており、移動先は8個所(派出所も行き先に含まれます)。ゲーム期間が短いだけに、フラグ立てが相当厳しく見えますが、実際にはキャラクターの登場場面はほぼ固定なので、そう迷うことはないでしょう。

 そして、各キャラクターごとにシナリオが進み、最終的なフラグが立った時点で、そのキャラクターとのエンディングになります。基本的に、シナリオは各キャラクターごとに1つだけで、イベントを漏らす可能性はほぼ皆無でしょう。バッドエンドも見ないとCGが埋まらないキャラクターもありますが、CGモードがサムネイル表示なので見当をつけるのも容易です。ボリュームだけでなく難易度自体も非常に低いといえましょう。ゲームを開始したその日のうちに、全CG回収を達成するのも難しくはないかと思われます。

 

 第一印象といえば、とにもかくにも「薄い」でした。

 ゲーム期間が短い上、イベントの数がさほど多くないこともあって、非常にテンポが速く、Hシーンへもごくあっさりとなだれこむという印象です。「不幸少女」という設定自体に偽りはないのですが、その「不幸」ぶりが取って付けたような感じになっており、それを「少女」および主人公が消化していく過程がみごとにバッサリと省略されている感じです。励まされて元気になって、だけでは、物足りなさを感じます。

 しかし、Hシーン即エンディング、ではなく、そこからが本番というキャラクターが多いので、そこでの描写はそれなりにできているシナリオもあります。ただ、やはりキャラクターによっては、一応「はっぴーえんど」にしましたよ、という「作為」がミエミエというものもあり、くふうされているという形跡があまり感じられません。「Hだけが恋愛の表現ではない」というのはわかりますが、それを示すだけの描写がたりなかったように感じます。具体的には、メインヒロインである智子など、ハッピーエンドとバッドエンドとを比べてみた場合、「どうしてこの違いが出たのか」を振り返っても、さっぱり訳がわからないのです。要するに、フラグ立てだけではない「背景」の作りがきちんとできていないわけで、この点が「薄い」と感じさせる根本要因なのでは、と思います。

 

 登場人物のバラエティはそれなりに富んではいますが、キャラクター性よりもシナリオ展開の方で見せているという印象ですね。悪く言えば、各キャラクターごとの「描き分け」があまりきちんとなされてはおらず、したがって「萌え」狙いでのインパクトはかなり弱いものと感じました。

 主人公の設定が警察官というと、公権力を行使してどーたらこーたらというイメージがどうしてもわいてしまいますが(私が神奈川県民だったというのもあるかも)、そういう面は特に出ていません。「巡回」と称して町中を自由に移動できること、制服ゆえにどこでも勝手に入れる(←実際にはそんなことは絶対にありません)というつごうのよい設定になっていることに生きている、という感じですね。

 

 会話は、なかなかいいテンポでされています。シリアスなシーンでの各キャラクターの心情描写、さらにHシーンでの書き込みなども、手抜きなしできちんとなされている(ただし、「盛り上げる」感じの話にはなっていませんが…)のは評価できましょう。通常シーンでのテキストに芸がないぶん、ギャップを感じるのは確かですが(^^;)

不具合・修正プログラム

 メニューバーで「終了」から「タイトルに戻る」を選択すると、ゲーム画面がブラックアウトするケースがありました。修正プログラムは出ていません。

操作性など

 インストールはオートラン対応。インストール先ディレクトリは変更可能ですが、「jANIS\みずいろの地図」というフォルダが作成され、その中にファイルがインストールされます。インストールする際、HDの容量によって、最小/標準から選択できます。

 操作の基本はマウスですが、選択肢以外ではキーボードも使用可能です。

 グラフィックは基本的に全画面表示され、下部に半透明のメッセージウィンドウが表示されます。テキスト表示は、いつでも消すことが可能で、フォントは任意のトゥルータイプフォントを使用できます。また右上に、日時が表示されます。640×480←→フルスクリーンの切り替えが可能。

 セーブ&ロードは、任意の位置で11個所までセーブ可能です。また、画面上の手錠(^^;)の赤い方をダブルクリックすると「クイックセーブ」、青い方をダブルクリックすると「クイックロード」できます。ロードは、任意の場所で可能です。

 メッセージ速度表示は、「低速/標準/高速/超高速」から選択可能です。メッセージスキップは、メニューバーの「選択肢まで進む」をクリックするか、メッセージウィンドウ上の警察マーク(名称は知りませんが、交番などに出ている金色の五角形をしたアレ)をクリックすると進みます。右クリックで止まります。ただ、既読・未読の区別がないのは残念。

 CGモードは、各ヒロインごとにサムネイル表示されます。また、Hシーンの回想モードもついています。Hシーンは1人1回というわけではないので、「1回目」「2回目」…それぞれを選択できるようになっています。BGMモードはありません。

サウンド

 BGMは、MIDIで演奏されます。エンディングのテーマソングのみがCD-DAです。クリアな感じの曲で、シーンごとのメリハリをつけるのに一役買っていると思います。オープニングで、AVIムービーのバックにボーカル曲が入りますが…『星のささやき』や『とらいあんぐるハート』をプレイされた方なら予想できるような、あーゆー曲です(^^;)

 主要キャラクターはフルボイスとなっています。音声を出すか出さないかを選択することができます。かなり音声のクオリティは高いと思います。あまり多くを語るのは避けますが、最初から最後まで音声オンでプレイした、とだけ記しておきましょう。

グラフィック

 あきふじさとしさんの原画担当。あきふじさん原画の前作『星のささやき』では、漫画的なデザインがそのまま使われているという印象がありましたが、今回は一応「CG」という形できちんと加工されています。ややタレ目で四角形っぽい目が特徴的です。ただ婦警さんだけ、なんとなくキャラデザが「違う」ように見えるのですが…気のせいかな?

 CGの表情変化が乏しいのが残念ですね。もともと、イベントシーンでの会話内容もさほど実の濃いものではないうえ、画面上でキャラがその魅力を生き生きと演じてくれた『星のささやき』に比べて、この点では明らかに後退しています。これに限らず、画面演出全般にわたって、工夫があまり感じられません。前作の漫画的なレイアウトが不評だったのでしょうか?

 グラフィックの塗りは、かなりていねいになっていますね。これは明らかに進歩しているのですが、やはり、キャラがいきてこそのゲームだと思うので、個別の絵がキレイになるだけでなく、「絵」そのものを「演出」とする工夫を見せてほしかったものです。

お気に入り

 相川可奈ちゃんでしょうか。ストーリーとして一番まとまっていたというのが大きいでしょうし、「緑の黒髪」というのがなかなか(^^) ただ全般的に、キャラクター描写そのものが薄いことは確かで、数日経てば「そんなコもいたなぁ」という状態になるのが実情です。

関連リンク先

 やはりというか何というか、兄貴さんのサイト(閉鎖)が一番イっちゃっていますね(^^;)。氏のサイトでは、このゲームはホンモノと認定されておりました。

総評

 ゲーム全体を見渡してみると、どうにもこうにも「お手軽」という印象があります。各シナリオが無内容というわけではないのですが、いとも簡単にクリア可能であることにくわえ、起伏の付け方があまりにも甘く、「不幸」から「救済」という真剣さがあまり感じられません。お約束パターンとはいえ、可奈などはまだそれなりの「見せ場」を用意していますが、エリナなどはいい線いっていながらもやっぱり味付けがたりませんし、ほかのキャラクターは「勝手にやってなさい」という印象しか受けませんでした。

 単なるらぶらぶ路線でない恋愛もの、というのは、難しい。これは確かにわかります。しかし「不幸救済」と銘打つのであれば、各キャラクターの「不幸」を掘り下げたうえで、主人公・ヒロイン双方の心理が浮かび上がるような描写が必要でしょう。麗華などはヒロインサイドでの描写が一部あったものの、「取って付けたようなもの」という印象が拭えません。恋愛ゲームで「不幸」からの「救済」という場合、どうしても「辛い」ものを含めざるを得ないと思うのですが、その痛みが全然出ていません。

 

 アイボリーの作品としては、光るものを見せていた『星のささやき』や『とらいあんぐるハート』のような「何か」がまったく感じられず、凡作に列しているというのが、現段階での印象です。

個人評価 ★★★★☆ ☆☆☆☆☆
1999年10月24日
(2000年1月2日、加筆・修正)
(10月19日、加筆・修正)
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