My Friends Euphony Production/アセンブラージュ

1999年4月28日発売
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 あるゲームのあるキャラクターに対して思い入れがある場合、そのキャラクターが次回作以降で再登場すると、それまでに抱いていたイメージがどうなるか。一般的にこうだと語るのは難しいのですが、前作のキャラがまったく同じ形で登場することはめったになく、大なり小なり「成長」したうえで現れるというケースが多いようです。当然ながら、前作で培われたイメージと新作の中で描かれるキャラクターとの間の「違い」が、マイナス方面に働く危険も大きいわけで、既存キャラの再登場という方法は、諸刃の剣とでもいった危うさを秘めているといえましょう。

 さて、『Graffiti』(ぷち)に登場した、高杉美咲、工藤真弓の両名が、今度は「主人公とは高校時代の同級生だった間柄のヒロイン」として再登場します。美咲こそが私的には一番の妹キャラにしてお気に入りであった、という個人的な関心事もあって、彼女がどういう風に登場するのか、という点に注目していました。

 初回限定版では、オルゴールがついてきました。またCD-ROMは、最近はやりのピクチャーCDですが…なんだかすごく恥ずかしい図柄です(^^;)

シナリオ

 大学生の主人公・神谷徹(変更不可)。彼のもとに、幼い日に憧れていた女性から、彼女が経営するペンションへの招待状が届く。同居している従姉の勧めもあって、いつもまわりにいる仲間たちとともに、その地で夏休みを過ごすことにした。元来が女性にモテモテの彼が彼女たちと過ごす夏の日、何が起こるのか。

 

 行動パターンというよりも会話を楽しむゲーム、とでもいったところでしょうか。キャラクターの位置づけ、あるいは主人公とキャラクターとの関係というものもそれなりにしっかりと地に足がついた感じで描かれています。そして、その会話は、なかなかキャラクターごとに変化をつけており、年齢相応の会話という印象を受けました。コテコテのギャグではなく、さりとて、熱き語らいが続くわけでもありませんが、「自然体」という表現が素直にあてはまりそうなテキストには、なかなか好感が持てました。『Graffiti』や『はぷにんぐJOURNEY』では、あまりにも文語調的な会話が耳障りでしたが、この作品ではほぼ解消されています。

 

 主人公がモテモテ状態というのはお約束なんですが、それにしても度を越している、という印象があります。なぜここまでモテるのか? 野暮なツッコミとは思いますが、同様に女の子にモテモテだった『はぷにんぐJOURNEY』以上に不自然に感じたのは、やはり、「主人公以外の登場人物は若い女性だけ」という、ものすごい環境のせいでしょう。「1人にしか手を出せないハーレム状態」といえばよいでしょうか。

 また、主人公が女の子を追いかけているのではなく、追いかけられているといってよい状態です。

 女の子相互が不気味なほどほのぼのとしていた『はぷにんぐJOURNEY』とは異なり、それぞれがかなり火花を散らしあう、というシーンも少なくありません。この点はマル。

 

 この「異常なモテモテ状態」という点を除けば、後半のシチュエーションは『同窓会』(フェアリーテール)に酷似していますね。花火イベントあり、肝試しイベントあり、と。ただ、海が近いというロケーションのため、発生するイベントのバリエーションは、こちらの方がかなり多様です。まぁ、古いゲームと比較してもしょうがないのでしょうけれど(^^;)(注:『同窓会』は、システム的にはまったく違うゲームです。また、主人公がモテるというのではなく、主人公がヒロインを追うタイプというべきでしょう)

 

 あ、あと、遊園地はやっぱり「ベルスクエア」でした(^^) カラオケシーンでの唄では、聴いたことのある曲が…この種のお遊びは、シリーズ定番と化していますね。

 ちなみに、高杉美咲の兄というのは、『Graffiti』の主人公・高杉弘樹です。『SweeperS!』(ぷち)での記述から見ると、弘樹が選んだ相手は、「桜かおり」嬢だそうですが…あれだけ影の薄いキャラをあえて選ぶとはねぇ(^^;)

 

 テキスト描写でも、会話やモノローグ以外の部分ではかなりヌケがあったのは残念。「台風は沖縄と小笠原の間を停滞」って…沖縄と小笠原諸島との間って、かなり離れているんですけど(^^;;;)

ゲームデザイン

 基本的に、前半(大学・街・自宅を舞台とした生活)および後半(ペンション「ミステル」での余暇)とに分けられます。

 前半では、女の子たちとの会話、あるいは、誘いに対し、どういう対応をとるかで、好感度が変わってきます。シチュエーションごとに選択肢が出ますが、「意中の女の子以外を邪険に扱う」のがいいようで(^^;) しかし、フラグ立てにこだわる必要はなく、また好感度は後半である程度回復可能なので、八方美人でも何の問題もありません。

 後半では、「会話をしたい女の子」を1人選び、彼女と話し込むというスタイルです。ちょうど、『はぷにんぐJOURNEY』のようなシステムですね。

 

 ストーリーの欄でも書きましたが、前半は、コマンド選択式の典型的なアドベンチャーゲーム。後半は、対話する女の子を選ぶだけ、という、『はぷにんぐJOURNEY』システム。『Graffiti』でのマップ移動に怖れをなしておられる方も、心配はご無用です。あっちゃこっちゃ食いまくり作戦(^^;)でもしないかぎり、セーブ&ロードといった作業はありません。

 

 また、各ヒロインとエンディングに到達するのは非常に容易ですし、CGを全部ゲットするのも、さほど難しくはないでしょう。ただ、「シナリオ100%」は、やはり大変そうです。

不具合・修正プログラム

 オープニングやエンディングで音声がブツ切れになる、選択した音源と、実際に再生される曲とがズレる、という不具合があります(後者は、XGで再生の場合にて確認)。いずれも、アセンブラージュのWebサイトにアップされている修正ファイルを用いることで回避できます。

操作性など

 オートラン対応、インストール先ディレクトリは任意に変更可能ですが、必ず「MYFRIEND」なるフォルダが作成され、ここにインストールされるようになっています。

 インストールには、最小インストール、標準インストール、フルインストールから選択でき、フルインストールを選択した場合、BGMにCD-DAを選択することが可能となります(それ以外の場合は、MIDI再生)。なお、上記の修正プログラムを使用できるのは、標準orフルインストールの場合だけなので、注意が必要です。アンインストーラも付属しており、トップメニューからアンインストールできます。

 入力デバイスはマウスのみで、キーボードは受け付けません。『はぷにんぐJOURNEY』で実現されていた、キーボードによる軽快な操作を知っていると面食らいます。機種による不具合があったらしいのですが、この仕様にはちょっと疑問を感じます。プログラム自体も、前作までに比べてかなり重くなっています。

 表示はといえば、中央にグラフィックが表示され、右部にデコレーションが、下部にテキストが表示されます。また、640×480とフルスクリーンの切り替えが可能。『はぷにんぐJOURNEY』では、ウィンドウモードにするとバックが真っ黒だったので、これはありがたいですね。

 セーブ&ロードは任意の位置で可能ですが、6個所までというのはちょっと少なく、もう少し増やしてほしいところです。セーブすると、プレイ時の実日時が記録されるほか、セーブしたポイントが何日目のものかも記録され、さらに、セーブしたときの画面まで縮小表示されるのは、非常に使いやすくてよし。なお、ロードも任意の場所で可能です。

 メッセージ速度・早送りは、「逐次選択」「すべてスキップ」「なし」から選択可能。また、マウスの左右両ボタンを同時に押す(正確には、左を押しながら右も押すこと。右を押しながら……だと、メニューが表示されます)ことで、任意にスキップ可能。また、テキストの表示速度は、「標準」「高速」(ノーウェイト)から選択できます。

 また、CGモード(各ヒロインごとに、サムネイル形式で表示されます。また、総合達成率も表示されます)、回想モード(各ヒロインごと)・BGMモード(曲名をクリックすると演奏されます。音源は、MIDI-GM/GS/XG、CD-DAから選択できます)があります。

 また、ゲーム中に好感度を確認できるのは、『メモリーズリフレイン』(ぷち)以来の伝統(?)として、やはり今回も装備されています。

サウンド

 BGMは、MIDI(GM/GS/XG)、CD-DAから選択可能です。GM、XG、CD-DAを聴き比べてみると、特に高音域での表現などで、XG再生がいちばんいいように思えます(YAMAHA YMF724XG搭載音源)。GSについては、再生できる環境にないのでよくわかりません。しかし、『はぷにんぐJOURNEY』と、イメージ的に重なる曲が多いですね。「幼馴染」のように、元の曲を書き換えたのがモロわかるようなものも(^^)。

 しかしボーカル曲については、破壊力がかなりダウンしたという印象が拭えません。これまで、『Graffiti』初回限定版同梱のシングルCD収録「Memories」(特に、裕子Ver.)、『はぷにんぐJOURNEY』の「TO THE JOURNEY」「ミスホワイトに口づけを」といった、必ずしも上手とは思えないながらもけっこういい感じの曲が多かっただけに、この「インパクトの弱さ」が気にかかります。歌唱力よりも、「耳に残りにくい歌」という方が問題のような気も。

 音声はといえば、Xゲームのボイスとしては、非常にクオリティが高い部類に入ると思います。主人公を除きフルボイスです。各キャラクターの雰囲気はよく出ています。

グラフィック

 犬上尚雪さん(以前のペンネーム「沢杜いつむ」)さんの原画。『SweeperS!』のころは、やたらと髪の量が豊富で重心が高そうなキャラデザでしたが、次第に洗練されてきましたね。やっぱり、ほのぼの系キャラによく似合うデザインだと思います。

 何よりも気にかかっていたのが、美咲・真弓の両名。『Graffiti』で原画を担当されていたあらなが輝さんの雰囲気をどう描いているかに目を付けていたのですが、かなり落ち着いた雰囲気の美咲、少し大人になった感じのする美咲とも、「犬上色」(なんだそりゃ(^^;)に上手く手直しされています。『SweeperS!』に出てきた某カップル(笑)は、モロにあらながさんのデザインをそのまんま使っていたのですが。それにしても、真弓のあのクセっ毛は、やはり修正されていますね(^^;)

 背景も、今までに比べ、かなりていねいに仕上げられているようですが、基本的には、写真で取り込んだグラフィックに、フォトレタッチソフトでエフェクトをかけています。ただし一枚絵では、背景とキャラとが少し浮いている観がなきにしもあらず、ですが。

お気に入り

 やはり高杉美咲です。他は認めません(^^;) 「一見押しが弱そうだが、実はかなりしたたかな面を持っている」のは今回も同じで、挙措などから「大人っぽくなった」のは確かなのですが、悪酔いして迫ってくるシーンなどは「やっぱり美咲だ」と思ったり(^^)

 個人的に好みのキャラではないのですが、真弓の成長ぶりはなかなかのものでした。見た目のお子様ぶりはそのままですが、芯が強くなり、一皮むけた感じです。『Graffiti』では、正真正銘のお子様でしたが(^^;)

関連リンク先

 兄貴さんのサイト(閉鎖)、SHEOさんのサイトでレビューが掲載されています。

総評

 元となった『Graffiti』をプレイしていたか否かで、高杉美咲・工藤真弓のイメージ、さらにはこのゲームに対するイメージはまるっきり変わってくるでしょう。しかし、プレイ済み・未プレイの差を超えて、まとまりはある小粒な、そしてほつれの少ない作品、という形に仕上げているのは、評価に値すると思います。ほかのソフトハウスでしばしば見られる、不自然なイベントや不愉快なイベントもほとんどないので、不快な違和感を覚えることもありませんでした。また、既存のキャラにも不自然さをまったく感じることがないというのは、むしろ驚嘆に値しましょう。「このコはこんなんじゃないぞー」と声を大にして言いたくなるゲームが多い中、非常にスマートに決めているのは、高く評価したいと思います。

 しかし、前作『はぷにんぐJOURNEY』に比べると(内容・デザイン的にはこちらの方がずっと近いので)、各キャラクターの描き方はしっかりしているものの、個々のイベントシーンでゾクッとくるような破壊力のある個所がほとんど見当たらないのは、非常に残念です。この背景には、演出(特にサウンド)など、全体的な水準は上がってもインパクトではむしろ下がっている面があることがあげられましょう。

 さらに、どのエンディングを迎えるにせよ、前半で2人から告白を受ける以上、「振った」女の子に関する記述がなかったのは減点モノです。『はぷにんぐJOURNEY』で気に入っているのが美紀だったという個人的な好みもありますが、ラストにはちょっぴりほろ苦さを入れてくれたほうが、むしろその後のハッピーぶりをより「地に足のついた」ものにしてくれたと思うのに、残念。おかげで、エンディングの印象が薄い、という点では、アセンブラージュの恋愛ゲームナンバーワンとなってしまっています(補注=後に出された『アルバムの中の微笑み』が記録を更新しました(苦笑)。

 さらに、既存ゲームからの再登場キャラが一番目立っている、ということじたい、このゲームの中ではキャラ作りが失敗していることを物語っている、と言えるでしょう。

個人評価 ★★★★★ ★☆☆☆☆
1999年9月3日
(9月26日、加筆・修正)
(2000年10月22日、加筆・修正)
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