ねがい RAM

1999年3月26日発売
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 巫女さんというと、それだけで謎の牽引力をプレイヤーに対して及ぼすのはなぜなんでしょうかね。宗教関係者というのであれば、べつに神社に限る必要はまったくないのですが、考えてみれば、寺では女と結びつきにくいし(妻帯を積極的に認める宗派ももちろんありますが、一般的なイメージとは多少ズレるでしょう)、教会のシスターは(こちらはゲームの方でときどき使われることはありますが)日常であまり目にすることがない、といったものもあるのでしょう。さらに、袴姿に竹箒、というのが、日本女性の原風景として刷り込まれている面も否定できません。

 もっとも私はといえば、教会の神父の娘が巫女のバイトをやっていたという実例を知っていたりするので、実はさほどひかれたわけではないのですが、この『ねがい』は、「楽しいよ☆」ということで、発売後一年半近くたってから入手したのでありました。

 マウスカーソルが曲玉になっているのが楽しいですね(^^)

シナリオ・ゲームデザイン

 押しつけられるように神社の神主となってしまった主人公・宮司(変更可能)。夏祭を成功させるために、最初から住み込んでいた2人の巫女に加え、臨時に住み込みの巫女を雇うことになった。結果として、やたらと個性的なメンツの揃う異様な空間と化した神社の境内には、夏祭までの期間、異様な世界が展開することとなる。

 

 シナリオ担当は「まにゃ」氏。

 ストーリーの割にはずいぶんとヒロインの数が多い(全部で6人もいる)ので、いったいどういう風に話をもっていくのか、気になっていたところでありますが、実際のところ、「ストーリー」なんてものはありません。

 具体的にいうと、日々発生するイベント、それを毎日楽しんでいく、そして規定のイベント回数をクリアしたキャラとのエンディングになる、という、ただそれだけなのであって、各イベントごとの関連性はまったくありません。どのイベントも、基本的にキャラ描写を濃厚に意識しているものばかりなので、結果的に、イベント間でのズレを気にする必要がなく、どんなに断片的にイベントを見ることになっても、不連続性を感じることこそあれ、不整合や齟齬を気にする必要はありません。これはなかなかにおもしろい手法だと思います。そして、この個別のイベントが、それぞれ各イベント内で基本的には完結しており、キャラの色づけをひたすら濃くし、重ね塗りにしていくように綴られていくため、どこからロードしてもそれなりに楽しい、という面も見せてくれます。セリフの使い回しもありません。

 反面、シナリオが「個別イベント依存」というスタイルを取った結果、各ヒロインごとに紡がれるシナリオというものは特になく、各キャラがどのように「個性的」か、の刷り込みに終始しており、どう考えてもらぶらぶな展開になることは想像しにくいんですよね。こいつかわいい、と思えたところで、だからどうして主人公とこいつとがくっつくのか、となると、動機もナニもありません。

 また、エンディングの締め方が、あまりにも強引かつ唐突な場合が多く、ハイここまでです終点です〜、という感じで終わってしまうように思います。強引というか無茶というか、ハエを殺すのにカノン砲を用いるような、とでもいいましょうか、エンディング「だけ」のために用いるには大仰に過ぎる設定をぽいぽいとキラクに出されても、それを支えきれるようなストーリーが存在していない以上、最後の部分だけが膨らんでいます。終盤までケラケラの〜てんきに進めてきたのが、ラストの段階でドドンと急に重くなる、というのは、ちょっと悲しいものがあります。

 

 その分、各キャラクターの描写はなかなか強烈です。食欲魔人から電波系ピピピまで、謎の地球外生物を飼育している一大実験室といっても何の問題もないほどにヾ(^^; 極端な人間を多数並べて笑いを誘う、という手法は、そこがあたかも人外魔境であるかのごとき独特の空気がゲームを支配している場合はともかく、そうでなければ「いい加減にしなさい」といいたくなる場合が多いものですが、このゲームでは、1人当たりのイベント量が適度に計算されているせいか、テンションが終盤まで落ちることはありませんでした。もっとも、エンディング間際になると急速に落ち込んだのは、上述のとおりでありますが。

 一方、彼女たちが「巫女」である必要がほとんどなく、単に「ハーレムの制服が巫女服」というに過ぎない、というのはなんとも。さらにいえば、舞台が「神社」である必要もあまりない、という気が。住み込みで同じところにいる、という設定から「ほな神社にしよ」という判断で決まったように思えるのですが、考え過ぎかな。

 なにせ、細かいところで意外と(失礼)調べているな、と思う反面、巫女さんの仕事がほとんど掃除ばっかり、神主の仕事が巫女の監督、という状況を見れば、何がなんだかもうさっぱり、と思えます。確かに、にわかバイト巫女が過半数である以上、「巫女服着た素人娘」ということを前提にするべきでしょうけれど、曲がりなりにも「夏祭準備のためのスタッフ」として募集した連中であるだけに、それにむけて勤しむ仕事を中に織り込んでほしかった。ヒロインズの性格からすれば、学園祭準備のようなノリでアレやコレや書けたでしょうに、そういうのがほとんどなく、「こいつらを雇った理由はナニ」というツッコミを入れたくなる仕事ばっかりですから。この主人公、神主としてはいざ知らず、経営者としては失格です(笑)

 

 テキストはまず悪くありません。地の文と会話との入れ方のバランスはなかなかよく、また自分ツッコミ(笑)の書き方はなかなかうまいと正直に思ったものです。

 一センテンスごとに示される情報のタイミング、あるいはグラフィックとのバランスなどを考えると、全画面表示によるビジュアルノベルといるスタイルが果たしてベストだったのかどうか、最初のうちはそう思いました。ところが、先述のとおり、とにかくヒロインたちとの掛け合い漫才、あるいは彼女たちの奇行描写(笑)が連続し、そのつながりを眺めて楽しむのがこのゲームの醍醐味でしょうし、その点で見ると、実は意外とこの手法は成功しているのでは、と思えたりしますから不思議なものです。

 ちなみに、ラストに出てくる「協力 大阪天●宮」と出てくるんですけど、やっぱり境内であんなことやこんなことをしている以上、舞台設定の「協力」にするのはマズいんでしょうか。でも、大阪キタの地理にある程度詳しければ誰でもわかりまっせ(^^;

 

 あと、これだけ巫女さんをいっぱい揃えておきながら、Hシーンでは全員全脱ぎなんですよね。巫女と言うよりは「巫女服着た娘」が大半であるだけに、数人は「半脱ぎ」状態があっても良かったのでは。全員が全員だと飽きますが、どうせこれだけ数を用意しているんですし。

不具合・修正プログラム

 私のプレイした状況では、特に不具合の類は確認しておりません。

操作性など

 インストール先ディレクトリは変更可能ですが、「ねがい」というフォルダが作成され、その中にファイルがインストールされます。最小インストールの場合に必要なHD容量は2MB強(セーブデータのみ)で、CGやシナリオデータ、BGMデータ、音声データなど、インストールしたいデータを細かく設定できるのは良し。フルインストールすると484MBが必要です。

 操作の基本はマウスですが、キーボードでの操作も可能になっています。左クリック=「Enter」キー、右クリック=「Esc」キーと単純明快なのがいいですね。また、スペースキーでメッセージを消去することができます。

 グラフィックは、基本的に640×480ドット全画面表示で、テキストは背景と重なって表示されます(スペースキーで消去可能)。画面は、ウィンドウ表示とフルスクリーンとの切り替えが可能。デフォルトでは、フルスクリーンとなっています。

 セーブ&ロードは任意の位置で16個所まで行え、セーブした時のプレイ実日時と、ゲーム中の日時とが記録されます。

 テキスト速度表示は、かなりきめ細かく変えることができます。メッセージスキップに関しては、「Ctrl」キーを押している間スキップします。既読・未読の区別を行う場合は、右クリックから出るメニューにて行うことが可能。また、フェード設定や音量設定、音声設定など、かなり細かい設定変更が可能です。

 CGモードは、各ヒロインごとの表示、または全体表示を選ぶことができ、1枚ずつ表示され、達成度も表示されます。BGMモードもあります。

サウンド

 BGMは、I'veのアレンジということもあって、ボーカル曲こみの、なかなか良いものとなっています。真夏の季節感を、くどすぎない程度によく表していますね。

 音声つきです。一応名前は変更可能ですが、変更後も音声での呼び方がデフォルトのままというのはいかがなものかと。

グラフィック

 原画は…「ひ・み・つ」ってアンタ(^^;) 個性的といえば個性的ですが、この絵で萌えろといわれれば私は無理ですが、一般的にはおそらく許容範囲内でしょう。ただ、胸がやけに強調されているのが気にかかりましたが。

 「会話をしているとき」と「キャラを遠目に眺めているとき」とでバストアップが変わるのがなかなか良い演出になっています。

 また、背景が非常にていねいかつきれいである点は、特筆するべきでしょう。神社という舞台である以上、割とテキトーな絵ででっち上げることも可能だったでしょうに、ここは良かった。

お気に入り

 特にありません。これだけの人数がいて、それなりに気に入っているゲームであれば、たいてい好みのキャラは出てくるものなのですが、このゲームでは「会話」を楽しんだという思いこそあれ、キャラの個性で楽しんだという印象はありませんでしたから。

関連リンク先

 SHEOさんそとみち.さんのサイトにレビューがあります。

総評

 まず、イベント自体は、とにかく楽しいものですし、ギャグ&漫才的なノリが濃厚です。パロディ的なものに弱い人(←オイラ)でも何の問題もありませんでした。そうはいっても、やや中途半端に思った点は少なくありません。

 また、キャラクターの作り方が、やや極端に走っている感はありますので、ややここで人を選ぶ可能性はありますね。

 第一の問題は、やはり恋愛要素が見事に薄いこと。ベタベタがほしいとか、修羅場を入れろとか、そういうのではなく、のほほん的(どたばた的?)日常生活が漫然と流れていく中で、主人公とヒロインとがお互いに好きになる(「好きあっていく」ではなく、「相互の一方通行」という意味)理由がどうにも希薄で、そのためのイベントが少ないのが致命的でしょう。

 第二の問題としては、やはり一気呵成にエンディングで用意された一連の流れ。ヒロインにもよりますが、かなり無理を押し込んでいるのは間違いなく、シナリオ自体も成立し得ていません。

 「日常」をただ楽しむゲーム、と考えれば、充分に元を取れますが、シナリオやキャラやHやらには、多くを期待しない方がよいでしょう。むしろ、会話のセンスの光り方をこそ、評価の対象にするべきであろうと考えます。

個人評価 ★★★★★ ★★☆☆☆
2001年3月17日
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