Camera Eyes Uncanny!/バニラ

2000年8月25日発売
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 「サイコドラマ・ノベル」と銘打たれ、しかもパッケージにはどことなく含みのある笑顔をもつ少女がセピアカラーの中に立つ。いろいろな意味で危険な香りが漂いますが、敢えて手を出してみました。結果は…火を見るよりも明らかだった、というべきなのかもしれませんが(^^;

シナリオ

 都内各所で発生している連続婦女暴行殺人事件。主人公の水城惣介(変更不可)は、親友の九重賢治らとともに、事件の調査を担当する、警視庁のプロファイリングチームに所属する心理捜査技官。壁に突き当たっていた捜査は、急転直下、犯人の自首という形で流れを変えるが、それは意外な人物であった。犯人の口から流れる事件の真相とは何か。

 

 シナリオ担当は、「羽合“A”唯孝」氏。

 ストーリーの大半が、犯人および主人公の回想シーンで語られています。主人公と犯人との共有する「記憶」の中における要素を活用…というと、だいたいパターンは決まってきますし、トゥルーシナリオへの締め方も見当はつきますが、まず予想どおりのオチでありました。

 まずは「記憶」の扱いですが、やはりこのゲームでもかなり適当にあしらわれている、という面は否定できません。一プレイ当たりのボリュームの乏しさもさることながら、「現実」の惨劇と「過去」の想起とがどうしてリンクされているのか、まずその一番大事なところが何も語られていません。

 「過去は現在を説明できる」「歴史が現実を規定する」という強固な公式が存在し、そこからすべての物語を派生させることができる。そう割り切った上でないと、このゲームシナリオは楽しめないのでしょう。別に、あらゆる事象において因果関係をもって説明しないといけない、というわけではないのですが、鍵となっている人物の行動原理が、「記憶」に起因するという以上の説得力を持たないのでは、シナリオに重さがないどころか、そもそも「どうして、この時期になって」そういった状況に至ったのかが皆目見当つきません。しかも、事件のトリガーが省略されているにとどまらず、エスカレートしていく過程、さらには事件が転回する契機についても、何の説明もなくただ示されているだけであり、本来やってはいけないはずの「説明文垂れ流し方式」がまかり通っているのが痛いところでしょう。

 

 また、全体の構成を見た場合、エンディングフラグ方式が採られていることもあって、1回で全体を俯瞰することは無理ですが、しかし「1回では把握できないほど複雑なプロット」が散りばめられているわけでは決してなく、むしろHシーンを入れるパターンや回数を適当に分散させている、というに過ぎないように思えます。

 あと、誤解のないように付け加えておきますが、凄惨なレイプというシーンはそれほどなく、H自体は双方の合意に基づく、あるいはそれに準ずるものが多くなっています。ただ、Hシーンの後に、非常に高い確率で女性側が殺されるという、その点が変わっているといえましょう。したがって、ダークなシーンが入っているとはいっても、陵辱ものを期待されると、200%の確率で外しますので、ご注意下さい。

ゲームデザイン

 暗めの画像をバックとしてテキストが全画面表示され、場所に応じて二択の選択肢が表示されて分岐する、あるいはフラグ立てが行われるという、ビジュアルノベルです。1回のプレイは数十分と、かなり短い部類に入るでしょう。

 選択肢の数自体はさほど多くないものの、エンディングフラグ方式が採られていますが、それぞれキーとなるエンディングに到達するためのフラグ立てはかなりシビアで、勘と記憶とに頼っていた場合、全ルートをコンプリートするのは非常に大変です。メッセージスキップなどという気の利いた機能はないため、どの選択肢が正解なのか、それをクリティカルに選ぶ必要があります。難易度はわりと高めです。

 試行錯誤を重ねるとかなりの時間を要しますし(経験済み)、正直なところ息巻いて取り組むほどボリュームのある設定や展開が用意されているわけでもないので、アンキャニーのWebサイトに公表されている攻略情報をもとにプレイしていく方がよいでしょう。ただし、正解選択肢だけをクリティカルに選んでいくと、CGの回収漏れが起こりますので、一応念のため。

不具合・修正プログラム

 4つめのエンディング終了以降の再プレイで、強制終了してしまうバグが検出されています。アンキャニーのWebサイト(2002年11月現在、確認できず)に修正ファイルがアップされていますので、これを用いてからプレイしましょう。

操作性など

 インストール先ディレクトリは、任意に変更可能(ただしHDのみ)で、必要なHD空き容量は約80MBと、非常に少なくなっています。内容相応という見方も可能ではありますが(^^; なお、サポート外ながら、CD-ROMから直接プログラムを実行することも可能です(ただしセーブ不可能)。

 ゲームは、スタートメニューに登録されるプログラムグループから起動可能で、強制フルスクリーンになります。ウィンドウ表示への切り替えは不可。「Alt」+「Tab」での切り替えは可能ですので、攻略情報を見ながらプレイするときなどは、ウィンドウを必要に応じて切り替えることもできます。

 操作の基本はマウスですが、キーボードでの操作も可能です。エンターキーまたはスペースキーがマウス左クリック代替となっていますが、スペースキーの方が文字表示が速くなります。

 グラフィックは、640×480ドット全画面表示です。文字表示は画面表示の上に重なる形になります。

 セーブ&ロードは任意の位置で5個所まで行えますが、セーブした時のデータはロード時には一切表示されないため、ゲームをプレイする前に、HD上で対応するセーブファイルの番号を見て更新日時を確認してから起動しましょう(^^;) 画像表示設定や文字表示速度調整、フォント設定、メッセージスキップなどのユーザーフレンドリーな機能はみごとなまでに省略されているシンプル設計となっています。選択肢が表示されたときに勝手にマウスカーソルがその上に動く、といったことはないので、ひたすらスペースキーを叩き続けていればいいのですけれど、1プレイ時間が短いからいいようなものの…。

 また、CGモードもあり、各キャラクター別に、シーンがタイトル分けされており、タイトルをクリックすることで見たCGが表示されます。

サウンド

 BGMは、CD-DAで演奏されます。しかし、あまり印象に残っていません(^^;) むしろ、全体を通して流れている「シャーッ」というノイズの方が、独特の雰囲気と合っていたように思います。

グラフィック

 原画担当は、「高野皇子」氏。少女らしいというか、小さな貝のような目とややほっそりした表情が特徴の女性たちです。ロリっぽいわけではなく、女生徒がいちばんしっくりとくるタイプの図柄ですね。Hシーンで突然女性がどアップになるのには驚きました。まぁこういうのも悪くはないですが。

 それより、写真を取り込んだだけの背景が、なんとも寂しいものです。綺麗にする必要のない部分だから、という姿勢で手を抜いたのでは、という気になって仕方がありません。

お気に入り

 そんなものありません(^^;

関連リンク先

 このゲームのレビューを扱っているところは、リンク先には見当たりません。地味なゲームなので、まぁ納得はいきますが。

総評

 シナリオ以外では特段見るべきものはなく、肝心カナメのシナリオが大したことなし、では困ります。サイコドラマ、といいながら、「サイコ」という名で語っている題材はあまりにも陳腐かつ浅薄で、意外性もなければ臨場感もありません。さらに、エンディングフラグ方式を採用しながら、エンディングを迎えるごとに新しい展開と結末とがプレイヤーを納得(満足)させるわけでもなく、単に「達成」のための通過点にしかすぎなくなっています。

 過度な期待はしない、つもりで購入したのですが、それでも期待は「過度」だったようです(T_T)

個人評価 ★★☆☆☆ ☆☆☆☆☆
2001年3月17日
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