D+VINE[LUV] アボガドパワーズ

2000年2月26日発売
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 18禁のRPGときいて私がすぐに連想するのは『闘神都市』シリーズ(アリスソフト)です。そして、それと同じ水準で比較できるだけのサブイベントを大量に用意し、またある意味ではいろいろと違ったおもしろさを味わうことを可能にしたのが、この『D+VINE[LUV]』(「ディヴァイン・ラヴ」と読みます)。買った動機は、単に「絵がきれいそうだし」というだけで、大した期待はしていなかったのですが、意外にもハマってしまい、初回プレイでエンディングに到達するまでには50時間を要してしまいました(^^;) ゲームオーバーがないにもかかわらずこれだけの時間、実に疲れましたが、それなり「以上」の満足感を抱くことができました。

シナリオ・ゲームデザイン

 精霊の加護で栄えたとされる、謎の古代文明『旧世界』の遺跡。それらを探検して回る冒険者の青年、ハイド(変更不可)は、アーヴィルという都市の古代遺跡に入り、その洞窟へと足を踏み入れた。そこで彼は、財宝でも何でもない、不思議なものを発見する。その発見を端緒とするドラマは、どのような展開を用意しているのか。またハイドは、どんな「探検」生活を送るのか。

 

 シナリオ担当は、三上三九三(みかみ・さくぞう)氏。

 全体を貫くシナリオという点で見ると、凡作以外の何ものでもありません。シナリオに関わってくるキャラクターは片手で数えられる程度ですし、彼らが語っているエピソードの量自体もごくごくかぎられています。オープニングや途中の(数少ない)イベントを経る時点で、どういうエンディングになるかを容易に想像でき、実際そのとおりになるため、お世辞にも「感動のエンディング」といえるシロモノではないでしょう。このゲームに対して「深遠なテーマと遠大なストーリーを掲げた大作」と考えて取り組むと、思い切り外すことは間違いありません。

 シナリオに直接関わるイベントは、かなりの部分がダンジョン(「洞窟」)内部で、一部が街で発生するのですが、前者は戦闘によるレベルアップ&アイテム収集で夢中になるためそっちのけとなりますし、後者はサブイベント探しに躍起になるため今の「話」がどの程度進んでいるかをきれいさっぱり忘れてしまいます。実際、忘れてしまってもゲームのプレイ自体は楽しいので、問題はないといえばそれまでですが、その程度のシナリオでしかない、という見方もできます。

 

 さらに、こういった「徹底的に世界の中で動き回る」タイプのゲームの場合、主人公の行動パターンがプレイヤーとどのような関係になるかが非常に重要であるわけですが、主人公のハイドはといえば、好奇心と(女性に対してのみ働くようにみえる)義侠心とで動き回るものの、シナリオと関係のないパートでの活躍の方がはるかに目立ってしまいます。これは、キャラクターとしてのハイドが軽薄で無節操という面もさることながら、彼が関わる(そして、この世界における)イベントの多くが、シナリオとは何ら関係なく街中で発生しているという面が多く指摘できます。街中のイベントはといえば、(ヒロイン格であるユウラに関するものを除けば)「わざわざダンジョン探索をサボって街中でイベント探しにあけくれ」た結果発生させる、というものばかり。これは問題でしょう。サブイベントの量が半端なものではなく、また「一見むだのように見えるアソビが充分にいい味を出している」点は高く評価したいとは思いますが、それとは別の次元で、「メインとなるシナリオを進める過程」におけるイベントは非常に貧弱であることと合わせて考えると、イベント配置にはどうにもアンバランスさを感じます。

 また、サブイベントのそれぞれが、基本的には単発のものとなっているのも、ちょっと残念なところ。遊郭内での一連のイベント発生などもあるにはありますが、「大陸でも辺境に位置する、小さな街」(マニュアルより引用)内で、数日かけて大量のできごとを発生させているにも関わらず、イベント発生前と発生後とで「街の中」の風景や空気がまったく変わっていないのも不思議。だいたい、あれだけあちこちで中出しやってりゃどこかでその種の騒ぎが起きてもいいだろうにヾ(^^;

 しかし、「主人公との関連」という点を捨象する(要はHシーンが全然関係してこない場合に限定する)と、小イベントそれぞれに、実に細かいこだわりやユーモアが埋め込まれており、ちょっと息抜きがわりに街を散歩、という雰囲気をよく出しています。「ホネ」を持ち歩くと犬が、「さかな」だとネコが寄ってくるあたり、本当に楽しくなっています。

 

 さて、戦闘部分では、各階層ごとにモンスターがおり、下の階層に行くほど強くなっていく(当然)わけですが、モンスターの種類はさほど多いわけではありません。毒を使ったりする嫌なタイプのもの、やたらと動きが速いもの、長距離から攻撃してくるものなどがありますが、基本的に、ヒット・アンド・アウェイを重ねることで攻撃を加え、倒していくことになります。攻撃力が一定以上あれば、タイマンでバシバシ叩き合うのもひとつの手ですが、特に第3階層あたりでそれをやると、瞬く間に囲まれてタコ殴りに合います。モンスターの動きはなかなかに俊敏ですが、そこから逃げることは充分に可能なので、ダメージを与えて逃げ、を繰り返すのが良策でしょう。また後半になれば、魔法攻撃主体にすると比較的スムーズに進みます。

 ただ、大きく分けて4つある階層の最奥部には、ボスキャラが1ないし2陣取っています。彼らの強さは、それまでのザコキャラとは比較になりませんし、また帰還魔法も効きません。私は毎回正攻法で挑んだのですが、あらかじめ街で回復アイテムを十分に用意させて臨めば、実はあっさりと勝てたりします(これに気付いたのはだいぶん時間を要してからでした)。

 また、主人公は戦闘を重ねる過程でダメージを負うわけですが、これに対応する形で、ダンジョン内でさまざまな回復アイテムを拾い、使うことで、いちいち街に戻らなくてもある程度対応できるようになっています。アイテムについては次段で触れますが、やたらと食べ物アイテムが多いことに「何だよオイ」と最初思わせながら、実はそれらが重要な生命線だったりするあたり、おもしろい工夫と感じます。また、食べ物の中には「腐った」ものもあり、食べると逆にダメージをくらったりすることもあります。

 経験値稼ぎとレベルアップについては、ボーナスポイント(「魔石」)の割り振りという形で表に出てきますが、6通りあるパラメータを均等に割り振るよりも、これはと思うものに集中させるほうがよいでしょう。また、パラメータが一定以上でないと装備できないアイテムなどもあるので、いろいろと楽しみがいがあると思います。

 

 さて、このゲームの中でおもしろいところといえば、実に800種類にのぼるアイテムの収集でしょう。敵を倒すと得られるものの中には、多くの食べ物などごくごく平凡なものから、めったにお目にかかれないものまで、多彩です。アイテムの中には、戦闘の際に有用なものが多いのはもちろんのこと、全然役には立たないもの、サブイベントのために必須となるものなど、多種多様で、1回のゲームクリア程度では、とうてい全アイテムを網羅することはできません。

 このため、メインシナリオをクリアしても、そのままアイテムデータやもろもろのパラメータを維持したうえで、ゲームをそのまま継続することができます。こうすることで、発生させられなかったイベントを探したり、アイテム探しを続けたりすることができます。なかなか憎い形になっていますね。

 ゲーム全体のボリュームにくらべ、シナリオが薄いうえにありきたり、というのが、なんとももったいないところではあります。むしろ、アイテム収集やサブイベント探しなど、メインとはずれた部分で、たっぷり楽しむことができる形になっています。逆に見ると、シナリオはあくまでも「中心線」にすぎず、そのまわりに生い茂った枝葉の色つやを眺めることを想定しているのかもしれません。

 

 ただし、やはりこの点は惜しい、と思える問題点が2つあります。

 まず、2人のメインヒロインのうち、サクラの方は、存在意義がゼロどころかむしろ「いらない」ということ。なんかしらんけどずっと宿屋に泊まりきりで何もしてないというキャラクターは、客観的に見てすごく不気味かつ邪魔なんですけど。確かに、顔を真っ赤にして腕をぶんぶん振り回すチビアニメはかわいいですが、ただそれだけですしね。

 もう1点は、ダンジョン内でのイベント発生が極端に少ないこと。アイテムからイベントが発生する、というシステムを取っている以上これでもかまわないだろう、といわれればそれまでですが、下へ潜れば何かが起こる、ということを期待しても、何も起こらない、これがひたすら続くので、ちょっと寂しいものがあります。地下単独でのイベントは序盤で若干発生しますが、あとはテレス絡みのイベントが少々あるだけなんですから。

不具合・修正プログラム

 いろいろと不具合があるようで、アボガドパワーズのWebサイトに修正ファイルがアップされています。私はこの修正ファイルを用いた状態でプレイしましたが、遺跡5-2を探索中、突然強制終了することがありました。また、グラフィックボードやマザーボードのチップとの相性により問題が発生する場合がままあるようです。

操作性など

 対応OSはWindows95/98ですが、Windows2000/XPでも動作します。

 ゲームCD-ROMは2枚組となっており、一方がインストールディスク、もう一方がゲームディスクとなっています。インストール先ディレクトリは任意に変更可能です。ゲームを起動すると、「Initialize」と「Start」というメニューが出て、後者を選択すると、3つのセーブファイル(それぞれが独立しています)から1つを選んで開始、前者を選択すると、それらのセーブデータを消去することが可能となっています。これらのセーブデータは、すべてオートセーブ方式(ダンジョンあるいは建物から外に出た場合に自動的にセーブされる)をとっており、同一フラグ上で作成されたセーブデータは自動的に上書きされます。逆にいうと、ゲーム中の任意の個所でセーブしてその直後を確認したい、という場合は、オートセーブで作成されたセーブデータをエクスプローラなどで待避させる必要があるわけです。こういう「実質的なセーブは1個所のみ」という『痕』方式、それに加えてオートセーブというのは、どう考えても使い勝手がいいとは思えません。ゲームオーバーが存在しない上、メインシナリオ終了後もサブイベント発生のためのプレイはエンドレスで継続可能であるため、セーブファイルを多く作成する必要がないというのは一理ありますが、例えば「テレスがスレインに挑むシーンをもう1度見たい」という場合などは、非常に困難を極めます。シーン再生モードがないことも考えれば、この仕様には大いに疑問を感じます。

 ゲーム操作の基本はマウスで行います。

 移動、および、画面上に落ちているアイテムを拾う場合は、左クリックします。移動の際、敵が近くにいない場合は、「Shift」キーを押しながら左クリックすることで高速移動可能となっています。カーソルキーで移動することもできますが、移動方向は上下方向とはかぎらないため、戦闘パートではキーボードでの移動はまず無理でしょう。さらに、マップ上での敵との遭遇に際しても、一対一戦闘(『闘神都市』シリーズのようなタイプ)ではなく、敵が近寄ってきてそれと闘うという方式をとっており、進行ルートの選択によって攻撃あるいは待避を行うため、スピードが要求されます。このため、マウスのボタンに指を掛けながら上下左右に動かすはめになり、とにかく利き手が疲れてきます。ゲームそのものはなかなかおもしろく、長時間にわたってプレイしてしまいがちなのですが、調子に乗っていると、鉛筆で字を書けなくなります(本当)ので、ほどほどにしましょう。このゲームで徹夜プレイは無謀の極みです。

 一方、すでに所有済みのアイテムを使用する場合、あるいは使える状態になっている魔法を用いる場合は、右クリックします。ゲーム中盤以降、フェイズトランス(一瞬で街へと帰還できる)やヒール(HP回復)といった魔法を多用することになるため、右クリックにも迅速な対応が求められます。上述のように、左クリックで移動・選択することも合わせ、利き手には相当の負担がかかりますので、なるべく操作しやすいマウスを使う必要があります。

 たいていの場合、キーボード操作も可能ではありますが、斜め方向への移動がやりにくいうえ、瞬時の対応にはどうしても限界があり、気がつくとタコ殴りモードに突入するケースが後をたちません。キーボードは補助入力装置と割り切る必要があります。

 グラフィックは、基本的に640×480ドット全画面表示(256色)で、強制フルスクリーンとなります。DirectX3を用いているため、クリップボード経由での画面キャプチャはできませんが、キーボードの「B」を押すことで、インストール先ディレクトリ内「bmp」フォルダにBMPファイルとしてキャプチャされるようになっています。

 このほかコンフィグ画面で、メッセージスピード(普通/高速)、BGMの有無、効果音の有無、メッセージウィンドウの背景(有り/無し)、フレーム数の表示(オン/オフ)、フレーム設定(15フレーム/30フレーム/ノーウェイト)の設定ができます。後2者は、1秒間の画面更新回数とその設定です(私はデフォルトで何の問題もなかったのでよくわかりません)。

 メインシナリオのエンディングを終えると、「謎のマンホール」(要はスタッフルーム)に入ることができ、ここでBGMモードやCGモードに入ることが可能となります。CGモードは、サムネイル表示されるものの、表示されないCGは詰めて表示されるので、一目で「どのCGがないか」と探るのは不可能だったりします(^^;)

サウンド

 BGMは、CD-DAで演奏されます。ダンジョンでは階層ごとに異なったサウンドが用いられるなど、シチュエーションごとに細かく作られており、曲数は実に26にのぼります。シーンの雰囲気を盛り立てるのに役立っており、特に緊張感を増す場面には非常に良い曲が多いと感じます。

グラフィック

 本田直樹さんの原画。なかなかにきれいなグラフィックですね。全体的に貧乳キャラが多いです(^^;) あと、ユウラの「セーラー服」のように、いかにも「狙ってます」というコスチュームが多いのも楽しいですね。

 戦闘シーンのほか、通常画面では、チビキャラがてこてこと動きます(RPGですから当然といえばそれまでですが)。このアニメーションがなかなか凝っていて、サクラが顔を真っ赤にして両手ぶんぶんというのがもぉ楽しくて(^^) また、戦闘シーンでも、移動がずいぶんとキビキビしており、嫌でも緊張感が増すようになっているのがマル。

お気に入り

 マリ子とかミアとかす巻きちゃん(←なんちゅー名前や)とか…う〜ん、貧乳萌えのケはないと思っていたのですけれど(^^;) なにぶん、メインヒロインの出番があまりないもんでねぇ。

関連リンク先

 成瀬せりあ(閉鎖)さんの、豊富なゲーム歴に裏打ちされた論評は、読み応えが十分です。このほか、USGさん(閉鎖)やSHEOさんのサイトでも、また異なった視点からの言及があります。

総評

 どんなゲームが「RPGとして」楽しいか、それを突き詰めると、「戦闘」という単純作業に対し、いかにおもしろみを付け加えるか、そしてそれを「(突破すべき)どのような壁」にするか、という点が出てくるでしょう。このゲームでは、「アイテム収集」というテーマを設けることにより、前者のハードルを楽にクリアしています。

 惜しむらくは、やはり、シナリオの薄さでしょう。シナリオとしてのエンディングはあっても、ゲームとしてのエンディングがないというのは、シナリオそのものが初めから重視されていないことの証拠であり、こういった割り切り方はそれなりに良いものと考えますが、あちこちで起こしているイベントやキャラクターのボリュームを見ると、メインシナリオを骨太のものにできるだけのパワーは充分にあったように思えるだけに、なんとももったいないという印象があります。

 ずいぶんと長期間にわたって開発され、満を持してリリースされたゲームであり、そのボリュームはみごとなものです。また、「アソビ」がむだにならず、きっちりと「ゲームとしての楽しさ」を提供する素材となっている点も、充分高評価に値しましょう。久々に、達成感のあるゲームに出会えた、と感じたしだいです。

個人評価 ★★★★★ ★★★★☆
2000年4月9日
(2000年5月15日、加筆・修正)
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