fern 〜だからきみのこと〜 APPLE PIE

2000年3月31日発売
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 発売当初から、その独特の雰囲気が悪くはなさそうだ、と思わせる「何か」を見せていたゲームですが、実際にプレイしてみると、意外な面がちょいちょい見えてきました。しかし、プレイ自体は非常にめんどうかつ大変で、しかもDOSライクな素っ気ない雰囲気もあって、気分が萎えることたびたびという状態でのプレイになったのも事実でありました。

シナリオ・ゲームデザイン

 主人公・片岡浩一(姓名とも変更可)は北海道の大学に進学が決まり、2週間後に転居することになる。今まで女性からのアプローチをすべて断っていた彼だが、義妹・渚をはじめ、ふとあたりを見回すと、周りにはかわいいコがいっぱい。この2週間で彼女を作るのだぁ!

 

 シナリオ担当は、「ジャン蔵人」氏。

 まず主人公ですが、あれこれ悩んだり考えたりしてはいますが、妹との関係もマトモに考えているし、過度に自嘲的でもなく、まずは素直なキャラと見てよいでしょう。主人公のダメっぷりを強調するようなゲームも多いのですが、このゲームでは割とナチュラルなスタイルを出すことに成功できていたと感じます。

 キャラクターの配置としてユニークなのは、「妹とそれ以外」との二極が明確に分離されていること。同級生だの後輩だの何だのといった典型的なパターンキャラがそれぞれ用意されてはいますが、さほど差異化に力が入っているとは見えません。「お兄ちゃん」キャラが出てくるゲームはいくらでもありますが、ロコツに妹だけを主軸に据えているか、あるいは妹が「ワン・オヴ・攻略対象ズ」になっているかのいずれかが大半でしょう。このように、マルチヒロイン形式の恋愛ゲームの中で、妹が形式的にも内容的にも特権的な地位を占めているというのは、なかなかに新鮮なものがありました。

 なにせ、渚以外のキャラを攻略しようとすると、「主人公が(このままじゃヤバいと思って)渚から逃げた」というのがミエミエ。後述のとおり、渚絡みの強制イベントが多いこともあって、攻略という面ではコースアウトしても、ストーリーの中では、最後まで渚の特別扱いは崩れません。けっきょく「渚でなく彼女が相手になったのでした、マル」という結末になるのは、非常にすごいものがあります。

 

 ただ、逆にいえば、渚以外のキャラは、1人クリアすれば十分なのでありまして(^^;) 期間が短い以上当然といえば当然なのですが、ヒロインたちはどいつもこいつも主人公に対して好意をもっているわけですが、しょせんは「〜以外」なので、これでもいいかな(^^;

 

 一応、ゲーム期間は2週間となっていますが、実際の体感時間ははるかに長くなっています。操作性の悪さもさることながら、べつだん関わる必要もないイベントにも忠実に参加しなくてはいけなかったりするし、しかも「日常」の「それほど楽しくもない」あれやこれやを意外と丹念に描いてくださっているため、それにお供するのがなかなか骨であります。「何もしない日」のつなぎ合わせ、という方式の排除じたいはけっこうなんですが、「どうでもいい日」に置き換わっただけでは、プレイの時間と手間とストレスが増えるだけで逆効果、ということに気づいてほしかった。イベントのボリュームが多いことが、必ずしも充実感と直結するわけではないのですから。使い回しイベントがないのが救いでしょうか。

 特に2回目以降は、体力勝負ならぬ耐力勝負といって良いでしょう。毎回同じシーンを見せられるのは嫌です。特に、渚関連のイベントには強制イベントがかなり多いため、渚以外を狙ってプレイすると非常に辛い…はずが、だんだん感覚が麻痺してきてどーでもよくなってきます(^^;

 また、イベントの量ともかかわってきますが、ややテキストがくどいですね。「浩一君の1日」を見ているわけじゃないっつーに、というツッコミを入れたくなったのは私だけでしょうか?

不具合・修正プログラム

 私のプレイ環境では、特に不具合などは発生していません。…つーか、下記のような仕様でなおかつバグがあったらキレてるよ、あたしゃ(^^;

操作性など

 最初に一言。操作性は最悪の部類に入ります。ゲームデザインじたいはどう見てもさほど複雑なものではないし、コンフィグ要素もさほどいらないはずなのに、いちいち癇に障る操作性を提供してくださっているのは、いったいなぜなのでしょうか。

 インストール先ディレクトリは任意に変更可能で、170MBの空き容量が必要です。このグラフィックでいったいどうしてこんな容量を、と思ったのですが、後述のとおり、グラフィックが未圧縮のベタファイルですからねぇ、納得。プレイにはCD-ROMが必須です。

 ゲームは、スタートメニューに登録されるプログラムグループから起動可能で、強制フルスクリーンになります。ウィンドウ表示への切り替えは不可。「Alt」+「Tab」での切り替えは可能です。なお、各種設定機能は記憶されないので、起動するごとに再設定が必要となります。また、タイトル画面からは、ゲームを終了させることはできないという、これまた不可解な仕様があります。いったんゲームを開始して終了すればいいんですけれど。

 操作は、すべてマウスで行います。キーボードは原則として受け付けませんが、例外として「Esc」キーを押すことでゲーム強制終了可能です(確認ダイアログが出ます)。1回あたりのプレイ時間が長いうえ、操作はまことに単純なものなので、キーボードも使用可能にしてほしかったのですが。

 グラフィックは、640×480ドット全画面表示で、下部にメッセージウィンドウ、左上部に日付、右上部にパラメータが表示されます。このパラメータ、「妹」と「それ以外」とで分けているのが、あからさまというかなんというか(^^; ただ、シーンが切り替わるたびに各サブウィンドウが上下にのそ〜っと動くのは、見ていて楽しくないし、いい加減うっとうしくなってきます。

 セーブは日付の変わり目で行うことが可能ですが、ゲーム期間から考えて5個所というのはあまりにも少ないのが残念。ロードは任意の位置で可能です。

 メッセージ速度調整は可能ですが、メッセージスキップ機能はありません。ひたすらマウスを連打する必要があります。これを各ヒロインごとに何度もしなくてはいけないのかと思うと、気分が萎えてきます。

 CGモードは、今どき1枚ずつ表示というシロモノで、しかも達成率表示もありません。いったい何を考えているのでしょうか。

サウンド

 BGMは、MIDIで演奏されます。これまたDOSライクというか、どことなく「以前どこかで聴いたような」といった感じの、少し古い印象を受ける曲です。

 音声はありません。この種のキャラ中心ゲームで音声なしというのは、ずいぶんと寂しいものがありますが。

グラフィック

 原画担当は「藤本 秀明」氏。女の子はまずまず可愛いんですが、なんつーか、胸が前に屹立して腰が縛ったように細いという、まるでヒョウタンのような体型をしているのですごく不自然です。なお、画像ファイルは、BMPファイルそのままなので、拡張子「.APR」を「.BMP」に書き直せばそのまま見ることができます。

お気に入り

 渚以外で、という条件付きであれば、あゆみちゃんかな。

関連リンク先

 見当たりませんねぇ。見なかったことにしたい、とまではいかないまでも、そう書くべきセールスポイントが強くなかったのは確かですし。

総評

 単に「お兄ちゃん」と呼んでくれるキャラがいる、というだけのゲームではなく、それなりにシナリオの根幹面で「取り組み」を見せてくれた点は、評価できます。

 ただし、攻略可能なキャラの頭数だけを増やしたところで、渚以外の各キャラクターとのストーリーの展開には限界がある以上、「渚以外」のパターンを単に分散化させているだけで、焦点がぼやけてしまったのが痛かったところ。加えて、ユーザーインタフェースの悪さ、演出のふがいなさも相まって、リプレイが非常に苦痛であり、コンプリートしようという意欲をみごとにまで削いでくれます。

 決して地雷ではないと思いますけれど、プラス評価できる部分を、マイナス評価がすべて食いつぶし、トータルでは赤字になっていると判断しております。それでも、なにげに評価は少し上がりましたが(^^;

個人評価 ★★★★★ ☆☆☆☆☆
2001年3月17日
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