封魔神社 Tinker Bell/サイバーワークス

2000年10月6日発売
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 パッケージに書かれた「学園妖怪退治アドベンチャー」の文字。こういう設定だと、えてして陳腐な流れが退屈な音色とともにただただ流されるだけ、という予測もついたのですが、なにぶん表にデンと控えている巫女さんの正体が、どうにも気にかかったのが、実際に手に取ったキッカケでもありました。女の子たちの着ている制服もバラバラだし、どういう設定なのか、という点も、わりと興味を惹いたものでした。このあたりについては、あまり期待しない方がよかったようでありますが…。

シナリオ

 ある事件を契機に、町中へと解き放たれた妖怪を追うため、それを鎮めるために封じられていた巫女・沙織とともに、主人公・有馬武史(変更不可)は、彼女が携える「天翔流星剣」をもって妖怪と戦うことになる。妖怪の餌食になりかかったクラスメートの恵子、元気な妖怪ハンター(笑)ユウとともに、魔物と相まみえる、その果てに起こったことは何か。

 

 シナリオ担当は、坂田徹也氏。

 キャラクターを3人並べてはいますが、実際のシナリオ展開は基本的に同じで、ただ中途のイベントとエンディングとがそれぞれ違う、というだけにすぎません。

 エンディングのパターンがかなり御都合主義的という感は否めませんが、もともとシリアスな展開というわけでもないので、これでいいでしょう。全員のエンディングが判で押したようにベタベタならぶらぶエンド、というわけではないので、むしろこれでよいのだと考えるべきかもしれません。

 ただ、シナリオの中で、各キャラクターが担う役割がそれぞれ「違う」ことが明確に示されている点は、まず評価できましょう。沙織、恵子、ユウと、三者三様の「背負うもの」を揃えていて、それらの違いをエンディングできっちり見せているので、まず最低ラインは十分にクリア、といったところです。

 しかし、ストーリーの展開に踏み込むと、全体的なボリューム不足も相まって、どうにも「お粗末」という印象が拭えません。

 

 妖怪退治、というのがこのゲームの中での1つの目標となっているように(一見)思えますが、実際のところ、その場その場で「退治」を重ねているだけで、ボスキャラの姿がなかなか見えてきません。このため、目標がなかなかわからず、「今、自分が進めているストーリー」の姿がつかめないので、霧の中を進んでいるような感じさえあります。

 さらに主人公は、妖怪を退治する青年の生まれ変わりという設定になっていますが、そこから彼が「よし、妖怪退治をやったる」となるに至る意気込みというか、そう思うようになるポイント描写がみごとにありません。どうして彼が妖怪退治をするのか、それは「設定上そうだから…」としか説明できないのは、大きなマイナス面でしょう。だいたい、主人公は「生まれ変わり」とはいっても、それはあくまでも「そういう運命にあった」というに過ぎず、あらゆる「日常」を放棄して妖怪退治に直面しなければならない、というだけの切迫感がまるでないので、引き込まれることはなく、すべてが淡々と進んでしまいます。コミカル系の話というわけじゃないですし、エロだけで成り立つ話でもないので、どうにも万事中途半端です。

 これに限らず、各キャラクターの行動が、いずれも「設定上そうなっているから」という以上の意味をもたず、「彼ないし彼女はどうしてここにいるのか、そしてどうしてそういう行動を取るのか」に関し、何ら説明がつかない点が山のようにあります。「とりあえず出てきたよん☆」で済ませていいのは沙織ぐらいでしょう。

 また、妖怪がうじゃうじゃと出てはくるものの、それぞれの説明などもどうにも不十分という印象は否定できず、唐突に「今までで一番厄介な敵だった…」なんていう記述がでてきても、どこに「厄介」さを示す描写があったのか、全然見当がつかなかったりします。

 とどめとして、イベントが「ストーリー中での位置づけがまるでわからない」状態で進んでしまうため、各イベントを終えた後も、「そしてこうなったのだ」という達成感がまるでわきません。特にユウの場合などに顕著ですが、ヒロインたちにとっては核となるイベントがあっても、その前と後とでさほどの変化がないのは、よくありません。

 要は、ストーリー自体が「何も見ないで突撃」状態に陥っており、その結果として、中だるみこそしないものの、見事に「アソビ」が欠落している、といったところです。

 

 あと、Hシーンにも問題あり。Hシーンの多くは妖怪が女の子を襲うというものとなっていますが、そうすることの意味(シナリオ展開上の説得力)があまりわかりません。また、妖怪が直接女の子に忍び込む場合と、生身の男の躰を借りる場合とが、かなり都合よく使い分けられているので、この印象はますます強くなります。

 触手モノが好み、という方にはわりとよいかも知れませんが、そうでなければ、パターンこそ多くてもあまり気持ちよくなかったりしますね(^^;) 見た目がどうも美しくないというか…。

 

 ところで、流星剣を出すときになると、いちいち娘が胸元をはだけなきゃいけないっていうのは、なぜなんでしょうか(^^;) 単なる「おいしい設定」なのか?

ゲームデザイン

 基本的に同一のシナリオで、選択肢によって中途のイベントとエンディングとが変わるというスタイルのアドベンチャーゲームです。現れる選択肢の数は少なく、基本的に狙ったキャラに近い選択をしていけば、ほぼ自動的に、CG・エンディングともコンプリート可能なので、難易度はかなり低い方でしょう。

不具合・修正プログラム

 一部のサウンドカードで、特定の音声が再生される直前に「PointerErr」の表示が出て終了するという問題があるそうです。これを修正するファイルが、サイバーワークスのWebサイトにアップされており、これを用いることで、回想モードが追加され、またCGモードでは画像の変化も表示するようになりました。

操作性など

 CD-ROM1枚です。CD-ROMなしでの起動も可能ですが、BGMがCD-DAなので、CD-ROMなしで起動するとBGMが流れません。

 操作はマウスのみで、キーボードは受け付けません。ごく単純で選択肢も少ないので、キーボード操作も可能にしてほしかったところですが。

 画面は、640×480・フルスクリーンを切り替えることができます。画面下部にメッセージウィンドウが表示され、任意に消去することも可能です。立ちCGでは姿勢の変化・位置の変化(近いと大きく、遠いと小さく出ます)がありますが、それとは別に、かなり大きめのフェイスウィンドウで表情変化が示されます。

 メッセージスキップも可能ですが、既読・未読の区別はありません(止めるタイミングがやや中途半端なのが難ですが)。読み返し機能あり。フォント変更も可能となっています。

 セーブ・ロードは、任意の場所で6つまで可能となっており、セーブしたときの実日時が表示されます。

 トップメニューから、CGモード・回想モード(修正ファイルを用いた場合)・音楽モードにはいることができます。CGモードでは、全CGがサムネイル表示されます。音楽モードでは、曲タイトルは示されません。

サウンド

 BGMは、CD-DAで演奏されます。なかなか凝った感じの曲ではありますが、それより、シチュエーションごとにいろいろと用意されている効果音がなかなかに印象的です。Hシーンの場合、なんかグチョグチョ音に気合いが入っているように感じたのは考えすぎでしょうか(^^;)

 女性のみフルボイスです。演技はけっこういいと思います。キャラの数もさほど多くはないことも相まって、各キャラの違いを、なかなかうまくフォローしていたように感じます。

グラフィック

 酒月連さんが原画担当。女の子はなかなかかわいく描けていますが、どちらかというと元気印系の娘は活発さをうまく出している反面、ウジウジ系の娘(といっても1人しかいませんが(^^;)はあまりにも冴えがない、という感じに見えます。エンディングに一瞬だけ出てくる3人のちびキャラがなかなか可愛いです(^^)

 謎なのは主人公。妖怪と戦うときには筋肉ムキムキのマッチョになるんですが、いつもこうなんでしょうか? あるいは、戦いの時だけムクムクとなるのか?

 妖怪どもについては、特にコメントはしません。もともと「触手モノ」と考えていれば買っていなかったと思いますし(^^;)

お気に入り

 3人の中で1人、となれば、ユウでしょうか。生木を…じゃない(^^;)竹を割ったような性格がなかなか気持ちいいですし、悲壮さも救われる範囲内ですし。意外としおらしい一面も見せてくれるのが個人的にマル。

関連リンク先

 私のページからのリンク先では、このゲームを取り扱っているところは見当たらないようです。

総評

 どうにも「作り足りない」という物足りなさを感じます。触手モノとして割り切れればいいのでしょうが、題材は面白そうなので、詰めをきちんとすれば、それなりに「進めて面白い」と思えるだけのものになりそうな感じがします。また、エンディングのパターンが幅広い反面、シナリオはほぼ一直線なので、「なぜこれだけの違いが出るのか」と、どうにも不自然な印象も否定できませんでした。

 中途半端な作品、という程度のことしか、現時点では語れそうにありません(^^;) あと、「お兄様っ☆」と慕ってくるキャラがお好み、という方にはいいかも。

個人評価 ★★★★★ ☆☆☆☆☆
2000年11月18日
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