星の降る里 −STARDUST MEMORIES− Face/フレンズ

2000年7月28日発売
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 記憶喪失ネタのシナリオというのは、題材が一見安直であり、しかも思い出した後の結果は容易に想像できるだけに、思い出すに至るプロセスが重要になってきます。そんな「プロセスの意外さ」を見せてくれるのだろうという期待を抱きつつ、少しく垢抜けないパッケージのキャラデザにも一抹の不安を覚えつつ、なんとなく手に取ったゲームでありました。

 プレイ開始直後、「一抹の不安」は、真実を本能的に感じ取っていたのだということを、痛いほど感じるはめになりました(T_T)

シナリオ

 事故で記憶をなくした主人公・新井哲也(固定)は、その記憶を取り戻すために故郷に帰る。懐かしいはずの故郷には、自分のことを知っているものと思われるかわいい娘たちがいた。彼女たちとの会話を通じ、主人公はしだいに記憶を取り戻していき、むかし交わしていた約束に気づくようになる。

 

 ベタベタな「幼なじみとの会話を通じて…」パターンかと思いきや、そもそもヒロインたちとの「会話」などというものは存在しません。いや、一応「言葉のやり取り」はあるんですが、「記憶は戻った?」といった応酬のみです。こういう主人公のゲーム中での説明以外の何物でもないやり取りは、登場人物間のコミュニケーションにはなってはいません。

 「過去」が明らかになっていく展開は単調であり、主人公が「記憶を失う」という大仰な設定を使いこなせていないどころか、これなら単に「昔のことは忘れた」からスタートさせたって充分にお釣りがくる程度のモノです。さらに、「過去」の描写それ自体も、イベントと呼ぶのもおこがましいほどのごく小さい出来事を針小棒大化し、それを「ヒロインとの忘れがたい想い出」として無理やり「特別扱い」しているのですが、プレイヤーにとっては、それが「想い出」となるほど重要なイベントにはどうしても見えません。この結果、「こいつら何やってんの?」という状態になります。

 

 キャラについても、「お兄ちゃん」と慕ってくるキャラを筆頭に、定番的なパターンキャラを揃えてはいるのですが、誰とのシナリオになっても、基本的な展開やヒロインたちの行動がまったく同じであるため、2人目の途中で早々にやる気がゼロになる可能性が非常に高いでしょう。パッケージにはフルボイスで贈るマルチシナリオストーリーとあるんですが、これも「マルチシナリオ」っていうんでしょうか?

 

 こうなると、残るはもはやHシーンぐらいしかないのですが、これもまた薄いし、第一そこにたどり着くまでに妙な努力をさんざん求められます。あるエンディングを終えると選択肢が増え、初っぱなからHシーンを見ることも可能になります(ただしバッドエンド直行)が、ソレ目的でもパフォーマンスはむしろ悪い方に属するでしょう。シチュエーション的にも、Hシーンを挿入するタイミングをどこか勘違いしているように見えますし。

ゲームデザイン

 中途の選択によってヒロインが絞り込まれますが、絞り込むところは1個所だけなので楽勝です。また、途中でクイズ的な選択肢が出て、それを一定以上クリアしないと先に進めないようになっています。しかし、このクイズ的選択肢がまことに腐っておりまして、最初に出てくる半分くらいはマニュアルを見ればわかるのですが、後半になるとまったくヒントがないまま、私が昔着ていた浴衣の色は?なんてのがでてきます。

知るかい、ンなもんッ!!

 ここまで芸のない選択肢が居並ぶゲームは、ほかに例を見ません。

 これ以外でも、選択肢の作り方に芸がなさすぎ。移動先を決める選択肢など、

あっち/こっち/そっち/ここに居る

ふざけんな!!

と思ったのは決して私だけではないと思います。

不具合・修正プログラム

 私の環境では、大きな不具合などは出ていませんが、一部画面が乱れることがありました。

操作性など

 フルインストールで370MBほど消費します。ボリュームの割にずいぶんディスク容量を食うものですが、音声がベタのWAVEファイル、グラフィックもベタのBMPファイル(拡張子は付されていません)なので、納得。これぐらい圧縮できないものでしょうか。

 操作はマウスのみで、キーボードは受け付けません。メッセージを読んで選択肢を選ぶだけなので、私にはキーボードの方がやりやすいのですが、それはまだよし。問題は、このかったるいテキストでありながら、メッセージスキップがなく、さらにメッセージ速度調整もできないこと。カチカチと溜息をつきながらクリックを重ねるのは、正直辛かったです。

 グラフィックは、640×480ドットでフルスクリーン表示されます。ウィンドウ表示はできません。下部に半透明のメッセージウィンドウ、左上部に現在位置が文字で説明されます。

 セーブ&ロードは任意の位置で5個所まで可能で、セーブ時の実日時が記録されます。

 おまけ機能としては、CGモードがありサムネイル表示されますが、サムネイルを見ていると、どのヒロインとも基本的に懐古シーンやHシーンが同一パターンというのがよくわかり、このゲームの基本構造がビジュアル的にもハッキリわかる親切設計になっております

サウンド

 BGMはMIDIで演奏されていますが、シーンとBGMとのバランスがめちゃめちゃです。日常シーンとHシーンとで同じBGMが流れたというのは、多くのゲームをプレイしてきた私にとっても初の体験でありました。こんな具合ですので、クオリティについては語るべきコトは何もありません。音声は、まあ悪くはありませんが…。

グラフィック

 原画担当は…スタッフロールをスキップしまくっているので憶えていません(爆) 肉付きと目の向きがどことなく不自然な気もしますし、とにかく「かわいい」という感じはしないし「美しい」という感じもしないんですよね。塗りがどうも野暮ったいことも手伝って、どうにもパッとしません。おまけに、塗りムラがあってニジミが出ている上、背景(これもパッとしない)と立ちグラとの重ね合わせが汚いというのはいただけません。

 2人以上のキャラが画面上に出る場合、会話の対象キャラが大きく前面に出てくる演出は悪くないのですが、それよりも、表情が変わるたびにいちいちブラックアウトして違うグラフィックを呼び出すという、この上なくうっとうしい仕様のため、それも帳消し。

お気に入り

 誰の名前も覚えたくないってば(溜息)

関連リンク先

 他には被害者はいないみたい…喜ぶべきなのだろうけれど複雑な心境…。

総評

 一応きちんとインストールできて一応きちんと起動でき、プレイ自体には支障はない、そういうゲームの中では、私的印象度が最悪に近いゲームです。シナリオやらキャラやらが癇に障るゲームはこれまでにもいくつもありますが、ここまでくると、金を払ったユーザーが「ダボハゼ」扱いされていると感じざるを得ません。

 あえてこれに突撃するだけのメリットはまずもってないでしょう。

個人評価 ★☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
2001年3月10日
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