KING Caroly

2000年8月11日発売
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 陵辱ゲームというのはいろいろありますが、単に女性を拉致監禁して犯す、それの繰り返し…というタイプのものが多いような感じがします。もちろん、それも1つの方法でしょうが、私としては、何らかの「名目」を伴った「陵辱」の結果、当初は一方的な加害者としての主体が、しだいに別の表情をも見せざるを得なくなっていく、そんな過程が描けているゲームの方が好みだったりします。

 さらに、陵辱ものとはずいぶん毛色の違った感じの、ロリ系の女の子たち。そこに待っているシナリオはどんなもんなのか、と期待してプレイいたしました。

シナリオ

 実業家の一人息子であった帯刀大介(変更不可)は、帯刀グループの総帥として事業を展開するも、悪辣な陰謀や部下の反目などが次々と起こり、グループは壊滅し、彼自身も過労で昏睡状態となる。ある時彼は、番犬として彼に仕えてきた老犬ドーベルマン「キング」の身体に、自分自身を乗り移らせることができることに気づく。この時を機会として、彼は自分に仇をなしてきた浅ましき人間どもに対し制裁を下さんと、彼らの娘などを襲うことにする。

 

 シナリオ担当は「冬寂」氏。

 「復讐」の形態が「娘などを襲う」というスタイルになっているのは、こういうゲームの常なのでしょうが、直接当人に鉄槌を下すわけではない方がより「復讐」として陰惨である、という狙いは悪くないですね。当人は病院で横たわりつつ、老犬(忠犬?)の躰を借りて街を自由に行き来し、興奮状態になると人間となる、という手法も、狼男さながらの描写でわりと好感を持てます。

 ターゲットも、元気な女子校生、孤独で淋しげな娘、元女優という人妻と、バリエーションに富んでおり、なかなかそそるものがあります。

 

 おもしろいのは、陵辱される側の女性たちが、もともと元気だったころの主人公に対して好意的な態度を崩しておらず、理不尽な陵辱を受けても、それを受け入れてしまう可能性があるという点にあります。こういう設定でもないかぎりハッピーエンドは用意できないということを考えれば別段「おもしろい」というほどのことでもないのでしょうが、この設定のために、陵辱している主人公自体が、「俺はいったい何をやっているんだ…」と思う余地が残っています。もちろん、これらも選択肢しだいなのではありますが、主人公がヒロインに対して陵辱を重ねるうちに情が移っていく場合もある、というわけです。陰惨さもいくぶんか緩和されており、かといって滑稽さも特にないという、いい感じのバランスが取れていると思えます。

 もちろん、ヒロインたちは相応のショックを受けるものの、よくありがちな精神崩壊はいオシマイ、という展開はたどらず、どちらかというと、ヒロインたちが「犯される」ことに対しては拒否反応を示しつつも、主人公が転落していった過程についてはむしろ同情的である上、陵辱する主人公自身も、ヒロインに対して、「部下が誰もいなくなり際限なく淋しくなったオレの状況そのままじゃないか…」と思い始めるなど、なかなか複雑な心理状況になっていることが、(不満足ながらも)描けています。

 

 ただしその一方で、主人公・悪役・ヒロインという三者関係が、バッドエンドのラスト付近に到達するまでどうにもつかみにくく、最後になってやっと「ああそういうことなのか」とわかるというバランスのまずさは、あまり誉められたものではありません。また、張られた伏線があまり消化できていないとか(典が学校を一週間休んだといいながら、その間に何があったかの描写がまったくないなど)、いろいろと工夫されたと思われる設定などが反映されていない(特に彩華など)とか、わりと「もったいない」と思わせる部分が目立つのも確かです。さらに、上で指摘したような「複雑な心理状況」も、より掘り下げていけば、なかなか重厚なシナリオになった可能性もあり、「このあたりでいいかな」という感じで終えてしまったのではないか、という「もったいなさ」も感じます。

 さらに、ボリューム的な物足りなさも否めません。やや毛色の変わった陵辱ゲームとして見た場合、シチュエーション的にもかなり多いものが用意されている反面、それに対応するテキストがずいぶんと少ない感じがします。エロというのはグラフィックだけでなく、テキストとの相乗効果もあってこそのものだと私は思うのですが。

ゲームデザイン

 初期の移動画面での選択でターゲットが1人に確定し、各ヒロインへの選択結果によってハッピーエンドかバッドエンドかが分かれるアドベンチャーゲームです。各ヒロインへの対応は3通りの選択がありますが、選択のパターンは実に単純で、鬼畜な方を選べばバッドに、そうでない方を選べばハッピーになるだけです。エンディングは各ヒロインごとに2つずつ、計6つですし、難易度は非常に低いといえましょう。

 なお、エンディングは、ハッピーエンドは基本的にラブラブエンドとなっています。こういう展開でラブラブになるというのはずいぶん御都合主義もいいところですが、女性陣は最初から主人公に対して好意的だったので、それはまあ良しとしましょう。ただし、仇敵どもへの対処を曖昧にしてエンディングに結びつけているため、どうにもハッピーエンドの「軽さ」が否定できません。バッドエンドでの陰惨さがなかなか見応えのあるものばかりであるため、この対照の差がどうにもしっくりこないものがあります。

不具合・修正ファイル

 私の環境では、特に不具合などは発生していません。

操作性など

 CD-ROM1枚組です。音声などはなく、基本的にシンプルな操作画面となっています。

 操作はマウス・キーボードの双方で行えますが、選択肢が出現した場合、デフォルトでは上側が選択された状態となっているので、エンターキーを連打すると必ず上側を選択してしまうことになります。これはあまり誉められた仕様ではないでしょう。

 画面は、640×480・フルスクリーンを切り替えることが出来ます。画面下部にメッセージウィンドウが表示され、任意に消去することも可能です。また、メッセージスキップもでき、フォント変更も可能となっています。

 セーブは、一日の終わり、あるいは「月が丘の廃墟」に行くことで行うことができますが、ゲーム中のロードはできず、いちいちタイトル画面に戻る必要があります。

 CGモードでは、見たCGがキャラごとにサムネイル表示されますが、Hシーン再生モードがないのは、こういうタイプのゲームとしてはやや疑問が残るところです。BGMモードはありません。

サウンド

 BGMはMIDI(おそらくGM)で演奏されますが、いかんせん曲数が非常に少なく、オープニング・エンディングなども含めて9曲しかありません。このため、画面と曲とのリンクがあまり取れておらず、雰囲気をうまく盛り上げるには役に立っていません。もう少し工夫してほしかったものです。

 音声はありません。また、効果音もなく、非常に寂しいという印象は否定できません。

グラフィック

 RYOさんの原画。なかなかロリっぽいというか、幼い感じの女の子をうまく描いていますね。目がくりくりした愛らしい感じの娘に対してえっへっへぇなことをするにはもってこいの絵柄かな?ヾ(^^; なんというか、犯されているときの「目が死んでいる」女の子たちの表情がなかなかいいんですよ。塗りもなかなかよく、好感を持てます。

 その反面、背景がどうにも寂しいのが残念ですね。

お気に入り

 1人をあげるなら、森川典でしょうか。元気なスポーツ少女と言うより、健気さがなんとも。

関連リンク先

 私のリンク先では、このゲームを取り扱っているところはないようです。確かに、どうにも中途半端な感じのゲームですし、「地雷」臭が漂ってきそうな雰囲気のパッケージでもありますからね(^^;)

総評

 全体的なボリューム不足、という印象は否定できないにしても、陵辱ゲームとしては、際限なく救いがたいわけでもなく、わりといい線行っているものだと感じます。こういうタイプのものでは、得てして男性本位・女性蔑視の視点が拭い難く染みついているものですし、その点についてはこの作品も完全に逃れることはできていないのですが、嫌みのない程度にまで「因果応報」といった結果が用意されていること、そして心理的にヒロインの方が男性を逆に包み込んでしまうエンディングが用意されていることで、ある程度緩和されているといえましょう。小粒なので物足りないという点を差し引けば、まずまずの作品だと評するのが妥当かと考えます。

個人評価 ★★★★★ ★☆☆☆☆
2000年10月8日
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