らぶらぶナビゲーション 〜恋の免許講習〜 カクテル・ソフト/F&C

2000年8月11日発売
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 私は、合宿制の運転免許教習所で免許を取得しました。大学生協を通じたパッケージ教習だったこともあり、同じ大学の学生がけっこう多かったり、中には高校以来会っていなかった奴と大学入学以来偶然出会ったりなど、いろいろありましたが、少なくともその間は女っ気皆無だったことは間違いありません(^^; その教習所も、別に僻地でも孤島でもなく、地方の小都市に立地していたため、その気になればショッピングセンターへの買い物ぐらい気楽にいけましたし、遊ぼうと思えばそれなりに遊べたのでしょうが、当時の私は真面目だったからなぁ(遠い目)。結果? 運動神経を反映するかのごとく、二輪免許だけで1週間近く遅れましたよ(^^;

 そんなことを考えながら買ったのが、この『らぶらぶナビゲーション』。「恋の免許講習」というサブタイトルは、なんだか『ぱすてるチャイム』(アリスソフト)のそれを連想させるものであり、実際には「恋」の部分はどの程度のものやら、と思ってプレイいたしました。

シナリオ

 主人公・伊奈柄式 克巳(変更可能)は、離れ小島での運転免許合宿に参加する。そこでの出会いは、どんな体験談として実を結ぶのか。

 

 シナリオ担当は、春菜ななこ氏、ほか。春菜氏といえば、カクテル・ソフトのラインナップの中でもすでに永久欠番的な存在とされている『きゃんきゃんバニー・エクストラ』のシナリオを担当された方として夙に有名ですので、その点でこのゲームが注目を浴びていた点は間違いありません。かくいう私もその1人だったりしますが。

 周囲から隔絶された空間で、時限的共同体ともいうべき中でどんな人間関係になり、そして紆余曲折を経つつ変わっていくのはどのようにか…という、基本をまずはしっかりとおさえています。状況に左右されながら、悩むキャラを描くこと自体は、正攻法といえます。また、合宿の最終日まで登場人物が基本的に変わらないため、この「人間関係」は最後まで重要となっていることも、シナリオの安定性を裏付けていると言えましょう。単にキャラの一挙一動だけ見ていれば、単なるワガママの応酬にしか見えないところも、「連続したイベント」として見ると、そこには確実に「流れ」を確保している点はよかったですね。

 そしてまた、本来は恋愛ものの基本要素の1つであるべき、“2人”の心理的距離の描写が、憎いほどよくできています。『With You』のある章には誤解 戸惑い すれ違いという名前がついており、おっ、なかなかいいタイトルセンスじゃないと思ったものですが(中身?…忘れましょう(^^;)、このゲームシナリオは、これをきちんと実現しています。スレていない2人が、不器用に失敗を克服して前進していく、というのは、やっぱり基本でありましょう。

 

 しかし、全体を振り返ってみると、シナリオはきちんと作られており、決して完成度が低くはないと思えるのに、気になるところがポロポロ見受けられるんですね。

 これはあんまりだろ、と思えるところがいくつかあったのですが、そのうち最も重要と思われるのが、登場人物全員が過去に主人公と何らかの関わりがあったということ。御都合主義なんとかという以前に、このパターンを何度も幾たびも繰り返されれば、「またかい」となってきます。

 

 また、かわいいキャラが複数出てくるタイプのゲームである以上、キャラクターの描写も大事になってくるわけですが、それ以前に、主人公の扱いがあんまりでありましょう。いや、「主人公らしからぬ扱い」というのではなく、ネガティブな面を強調するわ強調するわ。

 単に「オレはダメ人間だぁ」と思ってふさぎ込むようなダメ人間については、私は一様に指弾することはできません(同類だから?(^^;)が、そもそもテメェのことにしか頭が回らないほどのガキとなると、さすがに擁護したくありません。「自分のことしか考えない野郎」と設定されているわけではないけれど行動パターンは利己主義者、というものほどタチの悪いものはないわけで、気は弱い、臆病、優柔不断、万事余裕なし、テンション低い、その場の空気を把握できない、かといって我を通すだけの根性もない。

 どうもシナリオを通して性格が一定しているわけではなく、比較的まっとうな反応になることもありますし、過去の回想モードでの主人公は「なんでこいつが?」と思うこともありますが、それだからこそ、かえって「情けないモード」での主人公のダメダメっぷりが鼻につきます。

 そんなわけで、主人公にまず、ウンザリ。恋愛ゲームの主人公に多くを求めるのが間違っているのは百も承知ですが、さすがにこんなのは…。

 

 主人公のヒロインに対する行動が期待できないとなると、「ヒロインの主人公に対する反応」が大事になってくるわけですが、

人様をつかまえてモバイル君とはなんだ! 無礼者、そこへ直れ!

冗談抜きで、そう思いましたよ。名前(このデフォルト名の由来、何?(^^;)は変更可能で、その部分は発音されないのですが、この「モバイル君」はそのたびに声つきで呼ばれるんですよね。あだ名というものは本人の意思とは関係なくつけられるものでしょうから仕方ないんですが、私はこんな呼び方されたらたぶんキレます

 

 こうなってくると、もはやキャラがどうのこうのという面では、個人的には評価も何もできないという次元にまで印象が落ちました。

 また、このゲームのウリの1つであり、『晴れのちときどき胸さわぎ』と比較できそうなギャグの応酬にも、それほど楽しいものとは感じられませんでした。テンションの高いヤツが自分で大回りしながら寒いギャグを発し、それが単発に留まって結局どんどん寒くなり、地球温暖化防止を身体を張って行っているような言動・行動には、「見なかったことにしていい?」状態です。『晴れとき』でのようにドツかれまくることもなければ、その応酬自体を当人たちが楽しんでいるのを実感できる、そんな描写になっていればよかったのですけれど。

ゲームデザイン

 ごくオーソドックスなアドベンチャーゲームで、序盤で各ヒロインごとのルートに分岐し、それ以降は即死か継続かの選択肢だけになります。一部、引っかけのような選択肢がありますので、クイックセーブは必須ですが、選択肢を超えてゲームオーバーになることは確かなかったと思いますから、実際の難易度はかなり低い方でしょう。

 逆にいえば、各ヒロインごとのルートで見ればほぼ一本道となっており、シナリオを味わうことが可能です。

不具合・修正プログラム

 私のプレイ環境では、特に不具合の類は発生していません。

操作性など

 CD-ROM2枚組となっています。ゲームCD-ROMのほか、主題歌などが収録された音楽CDがあり、その第1トラックが「ミニミニドラマ」なのですが、その中身は……寒いので20秒聴いて止めました(^^;

 トップメニューには「はじめから」「つづきから」「Music Mode」「CG Mode」「終了」…あれ、コンフィグメニューは? ツールバーにもそういったものはありません。なんで? と思いながらプレイすると、プレイ中にのみ可能なんですね。

 画面は640×480ドット全画面表示で、フルスクリーン表示とウィンドウ表示との切り替え可能です。下部にメッセージウィンドウが半透明表示されますが、これが独特の曲線と長方形・正方形とを組み合わせた形になっているのは、クルマ的イメージ(んだそりゃ)を酌んでいるのかな? メッセージウィンドウ内のサブメニューとして、メッセージスキップ(既読・未読の区別なし)・クリックセーブ・ロード・コンフィグが出ます。左クリック=エンターキーで進み、右クリック=「Esc」キーでメッセージウィンドウが消去されます。ただ、ツールバーから「終了」することはできても、タイトル画面に戻ることはできません。

 CGモードは、各キャラごとに一枚絵CGがサムネイル表示されますが、後述のミニウィンドウのパターン確認ができないのは本当に残念。類似の手法を取っていた『Lien』(Purple)ではあったのに。BGMモードもあり、曲名を選択することで再生される方式になっています。

サウンド

 BGMは、MIDIで演奏されます。SC-55・SC-88・GM・GS・XGの各規格に対応。夏という季節をうまく表していると感じた曲が多かったと思います。また、OP/EDは、CD-DAのボーカル曲となっています。

 また、主人公以外はフルボイスとなっていますが、テキストについていけていないのがよくわかります。演技力不足というより、シナリオ部分だけ渡されて読まされたのでは、という気がするのですが…実態はわかりませんが。

グラフィック

 原画担当は、『晴れとき』の大田武志氏。ただ、デッサンにやや狂いがあるほか、どことなく粗っぽいという印象を受けましたが、これは私ぐらいでしょうか。

 さて、このゲームのウリ(と思われる)の1つである「ミニウィンドウ」ですが、『晴れとき』のように上下左右に動いたりはしませんし、アニメーションもないし、従ってベンチマークテストもできません(笑)が、バリエーションだけを見ていればそれなりに楽しいです。しかし、それが使われているシチュエーションは、やっぱり寒いのが実情。頼むから、声を活かせるような設定を用意してください。

 らぶらぶ状態になると、照れ顔のアップが出てきたりしますが、これはなかなかよろしいですな。

 あと、HシーンCGですが、最近のカクテルのゲームの中では非常に頑張っている方でしょう。しかしがむちゃ凄い…溜まってたのね主人公ヾ(^^;

お気に入り

 1人挙げるなら、トーコですね。比較的疲れないでプレイをすることができたから…って、何だか思い切りネガティブな理由ですね。主人公に毒されたかな?(^^;

 ミナモも悪くないんですが、悪役がいるから引き立っているという面もあるし。

関連リンク先

 SHEOさんのサイトにレビューがあります。似たようなご意見ですね(^^;

総評

 シナリオ部に書いたとおり、精神的にさほど安定していないキャラクターたちの、揺れる動きを恋愛ものとして描いている、という点では、まっとうな姿勢をきちんと見せた好作品…になったはずなのに、いろんなプロットがそれをブチブチとぶち壊してくれるさまは、本当にすごいものです。

 『晴れとき』だって、あくまでもギャグは「演出」であって、それは単独で楽しむことが可能ではありましたが、あくまでも本体部分は別のところにありました。しかし、この作品では、その「演出」部で、プレイヤーの気を削いでしまい、あまつさえキャラクターにも間を置かせるという、不可思議なモノになっています。

 シナリオの根幹部分の叙述がしっかりとできているだけに、ものすごくもったいないゲームになってしまっているな、という印象です。何度も楽しんでやる気にはなれないなぁ。

 ちなみに、某シナリオをクリアすると出てくる隠しシナリオ、あのムスメだけは関わらなかったことにしたいですね、できれば(^^;

個人評価 ★★★★★ ☆☆☆☆☆
2001年3月17日
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