ハートフルメモリーズ 工画堂スタジオ【くろねこさんちーむ】

2000年4月21日発売
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 かわいい女の子が2人こちらを見ている、ひと回り大きめのパッケージ。ちょっと価格も高めでしたが、事前知識も何もなく手に取ったゲームがこれでした。

 なお、この作品は「リトルウィッチパルフェ」シリーズの第4作に当たります。これまでは、主人公がパルフェ→レネット→フローレと女の子ばかり続いてきましたが、このゲームの主人公は男性で、周りが女の子ばっかりという、この種のゲームでは正統派スタイルになっています。

※このゲームは、年齢制限のない一般ゲームです。

シナリオ

 フロルエルモスで黒猫魔法店を経営していた女の子・パルフェは、ある日、傷を負って行き倒れていた主人公・浩治(変更可能)を助ける。しかし主人公は、自分の名前以外の記憶の一切を失っていた。大魔導師のもとに赴いた2人は、彼が「地の精霊剣」の所有者であること、そして大魔導師に50万ゴルダという多額の借金を負っていることを告げられる。パルフェの好意で、黒猫魔法店で働くことになった主人公。彼の正体は何なのか、記憶は戻るのか、そして真実は何か。

 

 シナリオ担当は「貝阿弥範明」氏。

 ヒロインを筆頭としたほかのキャラクター名がすべてカタカナ、というよりヨーロッパ的なのに、主人公のデフォルト名だけが日本人名であるのは違和感バリバリですが、これはこれで理由は一応あります。でも漢字表記だとさすがに調子が狂うこともあって、私は「ケン」という名前でプレイしました。

 

 いろいろなイベントが積み重なってできているシナリオ、といったところでしょうか。比較的ライトなノリのイベントが大量に用意され、各イベントでそれぞれのキャラクターが持ち味をよく発揮しています。ランダム性があるイベントが多いためどの程度まで見られるかは当たるも八卦というところですが、飽きるヒマなくいろんな話がポンポン出てきます。かなりクドいと思われる可能性もあり、またファンタジックな世界とそぐわない話に白ける可能性もありますけれど、楽しませるイベントは非常に完成度の高いものです。

 また、各イベントが、端役に至るまでさまざまなキャラを「生き生きと」動かす役に立っているため、その1つ1つが「クリアするために必要な部品」という意識を感じさせません。一部のパターン使い回しをのぞけば、メッセージをさっさと読み飛ばしてしまうことはほとんどなく、ゆっくり眺めてニコニコしていられます。

 

 しかしトータルで見た場合、エンディングへの流れが「勢いで書かれている」という面は否定できず、また複数用意されたエンディングを統一的に把握することが不可能(無理に話を合わせようとすると破綻します)という面があるので、プレイ中は楽しくても、終わったときにも楽しさが残るかどうかは微妙。しかも、かなり高い確率で多くのキャラが死ぬうえ、結局さっぱりわからない設定も多くなっているのはマイナスです。

 キャラクターの性格描写などはキッチリしているのに、ストーリーが今2つぐらいというのは、ちと悲しいところ。

 特に、本来であれば「謎が明らかにされる」はずのグランドエンドを見ても、鍵となるべき黒騎士との関係がわからない、ライラの存在も説明がない、など、「何もわからない」ことがいっぱい。とどめは、パルフェとルティルとの双方に対して、帰るの帰らないのという点で矛盾したセリフを堂々と出していること。巷では「ってそれでいいのかお前は!!」という声もあるそうですが、まったく同感です。

 それでも、なんだかんだと楽しくプレイできるのは、やはりイベントのパワーというべきでしょうか。

 

 キャラクターは、ドジだけど頑張り屋のパルフェ、快活で明るくやきもち焼きのルティルの2人を軸に、いつもマイペースでニコニコしているフローレ、台風のように騒ぎを巻き起こしては消えていくココット、謎の猫耳娘ライラなど、話をしているだけでなごむ連中がいろいろ揃っております(笑) 前作までのキャラが再登場するケースがかなりあり、ココットの父親やサケマスなども出てきます。レネットは出てきませんが、出てくると話がやたらとややこしくなったでしょうし、これはこれでオッケーかも。

 

 あと、特筆すべきこととして、決戦前夜に16歳の娘が夜這いにきて主人公が彼女を妊娠させるというなかなかすごいシーンがあります(^^;) 倫理規定がうじゃうじゃとうるさい18/15禁ゲームでは不可能な大技に、萌える以前に笑ってしまったのは、煩悩が先に立つ脳内回路がゆがんだ働きを行った証左なのでありましょうか。

ゲームデザイン

 アドベンチャーパートでは移動先で女の子たちと出会い好感度を上げ、またイベントでの選択を適宜行うというスタイルですが、シナリオの分岐要因となる選択肢はさほど多くはありません。また、メインヒロインであるパルフェに対しては「出会って会話」という要素はありません。自分から足を運んで会話イベントを起こす必要があるのは、ルティルとフローレの2人です(ただしフローレは攻略非対象キャラ)。シナリオの進行とは無関係なイベントも大量に隠されており、また2回目以降のプレイで出てくるどうでもいいイベント(お茶目な「泉の精」とか)などもあったりと、アドベンチャーパートで退屈することはないでしょう。

 シミュレーションパートでは材料を採取してアイテムを作り売るというサイクルになっていますが、コツをつかめば難しいことはありません。初回プレイではどのみち様子見でしょうし、実は借金を返済する必要もなかったりするのですが、2回目以降はいろんなアイテムを発見し作っていくという要素も加わります。借金返済よりアイテムコンプリートの方がはるかにたいへんでしょう(かくいう私も、これを書いている時点でまだ1つヌケがあります)。ちなみに、私の稼ぎの最高記録は160万ゴルダ、1日での最高は5万2,000ゴルダです。移動時間を有効に使うことが大事になってきます。

 

 エンディングは、バッドエンドをのぞき、パルフェ・ルティル各2つ、および「グランドエンド」(左記4エンドをすべて見てから到達可能です)の合計5つです。

 ゲームの難易度自体はそれほど高くないのですが、特にパルフェエンドを狙う場合、事前の知識も試行錯誤(セーブ&ロード程度のことは含めません)もなしにパルフェエンドに到達するのは事実上不可能です。ある特定個所の選択で、常識とは真っ向から反するような選択をしないとパルフェルートに入れないのですが、パルフェエンドが隠しエンド的に扱われる理由などありませんし、何度プレイしてもバッドエンドになってしまう仕様は問題です。要は、「剣術大会後にルティルとの約束を優先する」(ネタバレにつき白文字化)とよいのですが、パルフェ狙いでこんな選択する人はまずいませんよ。ほかにも金額という要素もあるし、リプレイにも相当の時間がかかるだけに、かなりのプレイヤーがルティルエンドのみで挫折したはずです。いったい何を考えているんだか。

 

 また、攻略対象ヒロインがパルフェとルティルの2人に限定されている点も、首を傾げざるを得ません。シナリオの展開上、対象ヒロインを多くすることは好ましくなかったということはわかりますが、各エンディング間の整合性があまり取れていないことを考えれば、付け足しのようなエンディングを加えても違和感なしに処理することは十分可能だったはずで、特に精霊石に関わる女性キャラなら何の問題もなかったでしょう。根幹となるシナリオを味わうよりはかわいいキャラたちと仲よくすごす、それがこのゲームの魅力であるだけに、攻略対象を2人に絞っているのは失敗と思います。中でもフローレなど、彼女の母親にあなた自身がお祝いでいいじゃないと言わせるなど、エンディング対象キャラと期待させる発言やイベントも多く、また「主人公が積極的に会いに行くことでイベントが進行する」スタイルを取っているだけに、何とかならなかったものか、という念が強まります。

不具合・修正ファイル

 メモリまわりの不具合があるのか、ときどきエラーが発生して落ちることがあります。これが怖いので毎日毎日マメにセーブしていました。修正ファイルは用意されていないようです。

操作性など

 対応OSは、Windows95/98です。WindowsXPでは正常に動作しませんでした。

 私が購入した初回限定版はCD-ROM1枚(ピクチャーレーベル仕様)で、インストールの際に必要なHDD容量は色数などによって変わりますが、最大インストールの場合には約330MB必要でした。なぜかパッケージには必要容量が書かれていないのですけれど。プレイ時にはCD-ROMが必須です。

 独特のユーザーインタフェースを採用しているので、慣れるまでにはちょっと時間がかかりそうです。Windows標準とは微妙に変えたデザインは、どことなく少女漫画ちっくな気がします。画面はフルスクリーンとウィンドウ表示とを切り替え可能で、グラフィックが全画面表示となり、それ以外のメッセージウィンドウをはじめとするさまざまなサブウィンドウがフローティング表示されます。しかし、複数ウィンドウ間の重ね合わせがあまりスムーズでなく、別ウィンドウ内にボタンが隠れて押せないということがしばしばあります(ウィンドウを動かせば済む話ではありますが)。また、メッセージウィンドウ自体の自動制御も中途半端な感じです。

 また、メッセージを送る際には、エンターキーを押すかメッセージウィンドウ内の小さいボタンをクリックすることになりますが、後者は非常に面倒なので前者で進めることになります(エンターキー押しっぱなしで擬似的にメッセージスキップとなります)。しかし、サブウィンドウのボタンを押す際にはマウスが必須となる上、別ウィンドウをクリックするとそのウィンドウがアクティブになってエンターキーが利かなくなる、音声スキップが中途半端になる、などなど、見た目と違ってどうにもかわいくないインターフェースとなっています。微妙に、かゆいところに手が届かない仕様と言えましょうか。

 セーブは、1日の最初に10個所まで可能で、ゲーム中の日付と所持金とが表示されますが、いまどき保存時の実日時が表示されないのは不親切。ロードは黒猫魔法店にいるときだけ可能ですが、セーブはともかくロードはいつでも可能にしてほしかった。

 1回クリアすると、「魔法図鑑」と「アルバム」(CGモード。サムネイル表示されます)とに入れるようになります。BGMモードはありません。

サウンド

 BGMは、CD-DAで演奏されます。目立った特色のある曲ではありませんが、ゲーム中の雰囲気、特にのどかなシーンにはよくマッチした曲だと感じます。エンディングでは、テーマソング「poetly love」(ボーカル:堀江由依)が流れます。平板なメロディですが、どことなく耳に残るいい曲ですね。ボーカルは「悪くはない」くらいかな。

 音声は、主人公以外のキャラに当てられていますが、無音イベントもかなりあります。イベント量自体が半端でない以上仕方がなかったのかもしれませんが、しゃべったりしゃべらなかったりなので、残念。ここで話してほしい、というところで声がなかったりするのはねぇ。

グラフィック

 原画担当は「羽音たらく」氏。大きい目とぽっちゃりした感じの女のコが魅力的です。表情の変化も的確ですし、特に女の子が照れたりムキになったりしたときの顔がいいですね。

 背景なども非常にきれいで、文句なし。美しい、と息をのむほどではありませんが、すごくていねいに処理されているのがわかります。

 また、シミュレーションパートではSDキャラがアニメーションします。それなりに見ていて楽しいのですが、スキップできないのはちょっと嫌ですね。

お気に入り

 キャラクターとしてはルティルも好みなんですが、ここは判官贔屓もこめ、フローレの方を推しておきます。飄々としてつかみ所をなかなか見せないキャラですが、上述「あなたがお祝い」イベントやらお見舞いイベントやらで出てくる表情がたまりません。

 シーンでいえば、やっぱり温泉(笑)

関連リンク先

 わりと目立ちやすいパッケージなので、プレイしている人の数は決して少なくはないと思いますし、行きつけの掲示板で話題にしたこともあったぐらいなのですが、私のリンク先ではこのゲームのレビューをアップされている方はいないようです。

総評

 やはり、異様なゲームデザインが、このゲームの評価を一定以下のものにとどめてしまっている原因でしょう。シミュレーションパートが甘めでそれなりに楽しめる程度に押さえられている一方で、このようなスタイルを取った方法は感心できません。

 一方で、これだけキャラクターの魅力をうまく引き出し、なおかつイベントの楽しさを満喫できるゲームは、そう多くはないと思います。どれだけ隠されているのかわからないイベント群をプレイするたびに見つけていくのは、実におもしろい。大仰な設定と無茶な終え方、かなり後味の悪さを残すエンディングなどという難点があり、単純にはかりに掛けるべきではないのかもしれませんが、個人的には楽しさを先に出している点を評価したいと思います。

個人評価 ★★★★★ ★★☆☆☆
2001年12月5日
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