眠れる森のお姫さま ペンギンワークス

2000年8月4日発売
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 めるへんちっくなパッケージにどことなく惹かれ、何となく買ってはいたものの、買ったときにはハードディスクに容量がさほどなく棚上げ、その後しばらく忘れ去られていたという、世にも不憫なゲームがこの『眠れぬ森のお姫さま』でした。発掘後(^^;)、妙に白っぽく、しかもいかにもかわいいかわいいしている女の子たちがどんな顔を見せてくれるのか、そう思いながらプレイいたしました。

 なお、製品には、ゲームディスクのほかにアクセサリーディスクが同梱されています。壁紙やスクリーンセーバー、デスクトップ上の時計といったデスクトップアイテムが収録され、また『眠れる森のお姫さま』のデモも同梱されています。

シナリオ

 それまで王国と共存関係にあった魔女・カラクラムが、突然王の犯罪を糾弾し、1人きりの王女・エミーリア姫を拉致した挙げ句、王に呪いをかけて森へと去っていく。騎士である主人公・アドニス(変更可能)は、極秘の王女救出部隊の一員となって森へと入って行くが、最初のモンスターの攻撃を受け、女性隊長であるイリーナと主人公とを残して部隊はいきなり壊滅。その後、森の中で、魔法をろくに使えない自称「魔法使い」娘のメリアンも加わり、カラクラムの元へと進む。カラクラムが姫を拉致した真の理由は何なのか。

 

 シナリオ担当は「山田 理恵子」氏。

 お姫さまを救出する白馬の王子様となり、ギンギンに張りつめた雰囲気の中で息をのむような展開が続く…ということは絶対に期待してはいけません(^^;

 プレイ結果としては、なかなか楽しかったのではありますが、後味の悪さをズルズルとひきずったのも一面では確かであり、そのざらつき感は、エンディングを多く見ていく(もっとも、各ヒロインごとに1つずつ、バッドエンドを含めても5つしかエンディングはありませんが)につれて、なお強まっていったのでありました。

 

 まず、いきなり人がいっぱい死にますし、さらにキーパーソンも命を落とす(ゲームオーバーではなく)ところがあるのですが、なぜその人物が死ぬのか、その「展開上の」必然性があまりないんですね。ストーリーの軸は非常に単純ですし、個別のシーンにおける行動なども、基本的に不自然さを感じさせることはあまりないのですが、それであるがゆえに、あたかも重要なシーンを適当につなぎあわせただけ、といった印象を強くさせています。特に、国王の最後の処断において、ハッピーエンドを大団円にまとめあげるためだけに強引に丸く収めているのは、どう考えても無理が残ります。プレイヤーがハッピーエンドを求めているのは、「主人公とヒロインとのラブストーリー」がハッピーエンドで終わる、という体裁が美しいからであって、全体をとりあえず大団円で締めくくってしまうことを求めているのではないはずです。一部で設定されている「悲劇」の意味が、エンディングではあまりパッとしない形で浮いてしまっているのは、どうにも後味が悪いものです。

 さらに、このゲームにおける主人公は、結局のところ「謎を解くための傍観者」にすぎず、事件の関係者(当事者)との接触は非常に重要であり、またそういったキャラクターへの彫り込みは当然必要であるのに、そこではみごとに手が抜かれています。カラクラムの扱いしかり、エンディングでの王の扱いしかり。勧善懲悪で締めるのならまだしも、結局もやもやが残る形で終わり、それでエンディングだ、といわれても、あまりスッキリしません。イリーナなどはどちらにもさほど深入りしていないのでまだマシですが、エミーリアエンドなど、本当にそれでいいのか、という思いが、喉の奥につかえたような気になったものです。

 

 また、各シナリオをキャラ別に見ても、本来はメインをはるはずであろうエミーリアの影が非常に薄くなっており、「途中参加キャラその1」に留まっています。主人公の恋愛対象となるキャラと考えた場合、イリーナは何の問題もなし、メリアンもまあいいとして、エミーリアについては、彼女が主人公に惹かれる理由がまったく見当たりません。ルルも同様です。ルルの場合、シナリオライター氏自身、無理があると思っているのか、スタッフロールの直前で何でやねんと入れていますが、エンディングでツッコミを入れるというのは、エンディング自体が未完成であることの証左にほかなりません。

 主人公との関係で見ればまっとうに見えるイリーナ・メリアンにしても、イリーナのエミーリアに対する、そしてまたメリアンのカラクラムに対する心理描写が、肝心なところで欠けているのがおもしろくありません。イリーナとエミーリアとの関係では、職務上の関係に留まらない個人的な信頼関係が構築されていたはずなのに、彼女が探索に赴く際には「部隊の隊長としての職務」あるいは「女であるがゆえのコンプレックス」といった自負心が前面に出てしまっており、これに対して、いわば姉が妹を心配するかのような「個人的な不安」といったものはカケラも見せていません。これは、カラククラムとの対決シーンにおいても、キャラの好感度は一切無関係であり、選択の余地もないのは、かなり寂しいものがあります。

 

 しかし、私はこのゲームをプレイしている間、特に序盤は、非常に楽しかったのは間違いありません。それは、特にイリーナとメリアンとを軸に(終盤になると、エミーリアがイリーナの役を引き受けます)行われるやり取りの応酬。姫君救出部隊ではなく旅芸人の一座がお笑いを披露しながら進んでいくようにしか見えません。シリアスな雰囲気などカケラも感じさせず、むしろケラケラ笑いながら楽しめました。

 シリアスなシーンになると、会話や態度の雰囲気はきちんと変わるので、メリハリのなさは感じませんでした。それよりも、シリアスなシーンでの設定が上述のとおり杜撰であるため、切迫感に今ひとつ欠けてしまっている方が気にかかりました。

 

 また、私のいつものパターンとして(笑)、攻略対象外男性キャラにも注目していましたが、悪役はただのバカ&クズでした。狡猾な野心家、冷徹な暗殺者とでもいうのならまだいいんですが、あれではただの目障りな存在に他なりません。せめて、引き立て役になる程度の人物にはしてほしかったものです。

ゲームデザイン

 基本的には一本道で、途中の選択肢によって好感度が上下し、最後のキャラクターが絞り込まれるタイプのアドベンチャーゲームです。好感度は、その場にいないキャラクターに影響を与えることもありますが(よくわからないんですが(^^;)、序盤から狙っていけばそう難しいものではないでしょう。

 なお、中途に何回か出てくる戦闘シーンでは、間違えると即死なので、戦闘シーン前でのセーブは必須です。

不具合・修正プログラム

 私の環境では、特に不具合などは発生していません。

操作性など

 インストール先ディレクトリは、任意に変更可能(ただしHDのみ)で、「最小/軽量/標準/最大」から選択可能です。最大インストールを行うと、CD-ROMなしでのプレイが可能となります。

 ゲームは、スタートメニューに登録されるプログラムグループから起動可能で、強制フルスクリーンになります。ウィンドウ表示への切り替えは不可。「Alt」+「Tab」での切り替えは可能ですが、私の環境では、切り替え後にはマウスカーソルが消失しました(^^;) 基本的に切り替えない方が無難でしょう。

 操作の基本はマウスですが、キーボードでの操作も可能になっており、またキーの割り当てをある程度カスタマイズすることが可能です。

 グラフィックは、基本的に640×480ドット全画面表示で、下部に半透明のメッセージウィンドウが表示されます。

 セーブ&ロードは任意の位置で35個所まで行え、セーブした時のプレイ実日時・シーンが記録されます。また、プレイ中には、いつでも設定変更が可能であるほか、「簡易マニュアル」を参照することもできるなど、基本的に操作は快適です。ただし、不満点は、上記の画像切り替え不可のほかに、メッセージスキップが「Ctrl」キー押しっぱなしであること。既読・未読の判別が可能なので、一見これで充分のように思えるのですが、特にシリアスなシーンなどは、誰とのエンディングになるにしてもほとんど同じなので、メッセージスキップをする時間がかなり長いため、「押しっぱなし」はなかなか辛いものがあります。ツールバーがあれば「メッセージスキップ」クリックでスキップ、とできただろうに、と思ったものです。

 CGモードは、サムネイル表示されます。Hシーン再生モードあり。BGMモードもありますが、曲名は表示されません。

サウンド

 BGMはPCMで演奏されますが、あまりパッとしない、というより印象に残っていません。それよりも、失敗したときの「パピッ」といった効果音などの方が、よほどうまく使われておりました。

 音声は、主人公を除いてフルボイスで、各キャラごとにオン・オフの切り替えが可能です。メイン級キャラの演技はまずまずですが、イリーナの声だけ音量が小さかったのが気にかかりました。また、主人公が名前変更可能であるため、その部分だけ空白になるのですが、デフォルト名の場合はフル音声で呼んでほしかったなぁ。

グラフィック

 原画担当は「てぃんくる」。非常に白系統の強いハイキー調の絵柄が特徴です。

 第一の特徴として、女性キャラに比べ、男性キャラがずいぶんとひどい。特に国王など、どう見ても中世の小国の王には見えず、ロシアのツァーリかトルコのスルタンかといった設定に見えるんですけど(^^;

 女性キャラはみんなかわいいんですが、基本的に描き分けがあまりできてはおらず、誰が誰やらよく見分けがつきません。共通点としては、全員が「リボンにポニーテール」で「つるぺた」(爆) しかし、イリーナのムネ、マニュアルによると「B/84」とあるんですが、ほんまかいな。やっぱりこれ、「鯖」…あ、ナニか首筋に冷たいものが(^^;

 背景は、単独で見るとそう悪くはないのですが、キャラが白基調であるため、バランスが取れておらず、「背景と立ちキャラとが張り合わされている」と見えるのは減点。しかも、重ね合わせ自体もきれいではなくジャギーも目立つので、もう1つ減点。

お気に入り

 見せ場のないキャラクターばかりなので、選択肢は事実上イリーナとメリアンに絞られるのですが、私はイリーナの方が好きです。メリアンが主人公にベタベタくっつくと嫉妬するなど、見かけに似合わずかわいいシーンが多いですし。

関連リンク先

 SHEOさんのサイトにレビューがあります。基本的に、私とほぼ似たようなスタンスになっていますね。

総評

 めるへんちっくなグラフィックに惹かれた方、特に「すけすけ寝間着にちゅるぺたばでぃ」にそそられる方は、まず問題ないと思いますが、それ以上のものを求めると、かなり高い確率で肩すかしを食らうでしょう。私は、登場人物たちのくだらないやり取りが楽しく、それなりに楽しみながらプレイをすることはできましたが、シナリオの根幹が非常に杜撰であり、これで「お姫さま救出」など、噴飯ものです。救出部隊というより弥次喜多に近いパーティは、あくまでもその喜劇的世界の中のみで魅力を発揮していることを考えても、バックグラウンドの重い展開が不要物と化しているのは、悲しいかぎりです。会話を楽しめればそれでいいではないか、という見方もできるかもしれませんが、それだけのために何人もの人物が死ぬという展開は、後味の悪さを残します。

 キャラゲーとして見るとそう悪くはないし、会話のセンスもまずまず、何よりも女の子がみんなかわいいので、一概に捨てられるゲームではないのですが、これでは未完成品と言われても仕方ありますまい。まぁ、スタッフ一覧に、シナリオ担当者の名前が載っていないことが、すべてを物語っているのかもしれませんけれど。

 決して嫌いなゲームではないし、楽しかったので、私個人は買って十分に満足しておりますが、とうてい高い評価をつけることのできるシロモノではありません。グラフィックのよさも、嗜好に合えばまず問題ない、それ以上の保証はできません。

個人評価 ★★★★★ ☆☆☆☆☆
2001年3月5日
Mail to:Ken
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