Rimlet Tail

2000年7月28日発売
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 新ブランドのリリースしたゲームに関しては、事前情報が特にない場合、購入の動機が得てしてグラフィックに走るのは、パッケージから得られる情報の多くがそれである以上、当然のことといえましょう。この『Rimlet』を私が手にしたのも、まさにそんなパターンでした。ソフトタッチのやさしそうな色使い、そしてややロリぷに系の儚げな感じの少女、と、人をそこはかとなく引きつけるだけの要素をきちんと備えていたヾ(^^;のも、また確かです。

 そういう次第ですので、シナリオにはさほど期待していなかったのですが、結果はというと…。

 なお、オリジナルサウンドトラックCDが同梱されています。

シナリオ

 主人公・高峰純也(固定)は、梅雨時の街角で出会った1人の少女・玲奈と出会う。彼女は、喫茶店『Rimlet』のマスターの娘で、幼い外見を持ち感情を表に出さない少女であった。主人公は、喫茶店の看板娘である麻由美や、学校に転校してくる元気者の紗絵とも知り合う。その後、主人公の周りは、どのように変化していくのだろうか。

 

 シナリオ担当は、紺野優希・四点の両氏。

 基本的に、不思議少女とでも呼ぶべき雰囲気を強く残している玲奈がメインヒロインとして設定されているようですが、それはいいとして、設定が非常に単純かつ浅薄、さらに展開が強引そのものです。

 まず、シナリオの根幹となる設定に関しては、玲奈の正体自体を明かして、それでおしまい、という体裁を取っていますが、この結果、プレイヤーは「…はい?」「うん、そうなのか、なるほど。で?」という以上の感慨を持つことができません。彼女の真の姿がわかるとはいえ、その「真の姿」は、あくまでも説明されるだけにすぎず、見るものにとって、迫力を伴って伝わってくるということがないのです。これは、設定が単純であることもさておき、その設定自体が物語の中で膨らまされておらず、彼女のちょっと不思議な雰囲気をすべて「これが真相だ」でまとめてしまっていることも理由に挙げられましょう。ゲーム世界の設定を単純なものとしてパッと明かす、というのは、プレイヤーの世界への没入を拒むことにほかならないのですが。

 しかも、展開自体が、彼女に関する謎を明かす前に盛り上げていく、という演出面も含めた工夫がさほどなされておらず、プレイヤーが「どうしてなんだろう」と手に汗を握るようなこともありません。このため、最終的に救いのない形になったところで、胸が痛むこともなければ、感動することもありません。当然、そこで「奇跡」が起ころうが起こるまいが、それは自分と無関係な彼岸の世界でただただ流れていく物語列の1つにすぎないわけです。

 要は、設定にせよ展開にせよ、プレイヤーを中に取り込むための工夫が何らなされておらず、枠のみが示されているもの、という印象です。

 

 ラブストーリーとして見た場合はどうかというと、これまたシナリオ自体はスカスカなものにすぎません。しだいに打ち解けていくのはいいのですが、気がついたら好きになっていた、という、作る方にとっては非常に都合のよい展開が結末を用意してしまっているので、主人公への感情移入はもちろん、ヒロインへの思い入れもさほど出てこないのが実情です。

 さらに、各キャラクターごとの設定もやはり、判で押したように「背負うものがある」というものにすぎないため、結局はそれぞれが看板を掲げた駒にしか見えてこないのも、問題でしょう。キャラごとの描き分け自体ができていないというわけではないので、背景となる設定とキャラとが密接に結びついていれば、こういう不自然さは生じなかったと思えるのですが。

 

 ただ、1つだけ誉められる点として、雰囲気作り自体はなかなかうまくできていたことが挙げられます。シチュエーションの作り方、そして各キャラクターの「顔」の出し方、そういったものの描写がていねいだったため、うんざりすることはさほどなく、ややセピアカラーの混ざったような穏やかな流れに身を委ねることができた点は、書いておくべきでしょう。

 テキストの筆致については、まずまずといったところでしょうか。

ゲームデザイン

 選択肢によってフラグ立てを行い、エンディングを決定するタイプのアドベンチャーゲームです。選択肢の数は2桁に達しないという程度なので、難易度はかなり低いでしょう。ただし、行動パターンと発生イベントとの関連がどうも不明確なので、意図しないキャラクターとのエンディングに到達してしまう可能性も高い点に、やや問題があると感じます。

不具合・修正プログラム

 パッケージの中にフロッピーの修正ファイルが収められています。これを用いてプレイしたところ、特に不具合などは発見されていません。

デモ・体験版

 デモムービーは、雨が降る中でたたずむ玲奈が帯びているやや寂しげな、あるいは儚げな雰囲気をうまく表しています。振り返る表情など非常によくできているものですが、その雰囲気が本編できちんと発揮できているかとなると「否」と答えざるを得ません。デモのできじたいはよいものの、中身がそれに追いついていない好例といえましょう。

 体験版については、存在を確認していません。

操作性など

 BGMがCD-DAとなっており、プレイ時にはCD-ROMが必要です。操作には、マウスが基本ですが、キーボードも使用可能となっています。

 画面は、640×480とフルスクリーンから切り替え可能です。画面下部にメッセージウィンドウが表示され、その右端部にあるボタンを押すことで、メッセージの読み返しが可能です。ただし、メッセージ表示の速度切り替え機能はなく、またメッセージスキップもありません(エンターキーを押しっぱなしにすることで流れてはいきますが、既読・未読の区別など当然ありません)。

 セーブ&ロードは、任意の位置で20個所まで可能です。プレイ時の実日時が記録されますが、セーブファイルが溜まってくると、どのシナリオでのセーブファイルだったか、きれいさっぱり忘れてしまったのは、私ぐらいのものなのでしょうか(^^;)

 スタートメニューから入れるおまけモードでは、CGモード・BGMモードがあります。CGモードでは、見たCGがサムネイル表示されます。

サウンド

 BGMは、CD-DAで演奏されます。主題歌「冷たい雫」はボーカル曲となっており、個人的にはなかなか好みです。基本的に、BGMはゲームのシーンをうまく表現しており、単独で聴いた場合はさほどではないながらも、しんみりとしたいい感じを受けます。ピアノ曲が非常に多かったのも印象的ですね。

 また、冒頭でも記したとおり、サントラCDが同梱されています。ただ、収録曲は、ゲーム内で使われているものと同じもののようです(私の耳が鈍いだけかも知れませんが)。

 音声はありません。

グラフィック

 秋月亮さんが原画を担当。かなり幼い雰囲気を濃く出したキャラクターになっています。Hシーンでは、なんだか幼女にいたずらをしているような感じになりますヾ(^^; 表情変化もさることながら、背景との重ね合わせなども非常に綺麗ですし、一枚絵グラフィックでも、色の使い方や表情の出し方が非常にいいですね。

 また、背景もずいぶんとていねいに描かれており、好感を持てます。

 総じて、グラフィックの水準はずいぶんと高いもののように思います。

お気に入り

 玲奈ぐらいしか出てきませんね。紗絵なんかも、キャラ的にはわりと好みのパターンなのではありますけれど、心情描写などがかなり杜撰で、プレイ中にはさほど惹かれることはありませんでした。

関連リンク先

 SHEOさん、USGさん(閉鎖)、横山堂さんの各サイトで取り上げられています。これらのレビューを先に拝見していれば、私はこのゲームを買わなかったかもしれませんが…あうう。

総評

 とにもかくにも、シナリオの薄さ、特に設定の甘さと展開の無神経さとが、このゲームに対する評価を大きく減じているといってよいでしょう。ファンタジーの雰囲気を出すのであれば、あらかじめ相応のゲーム世界を作り上げていく必要があるのに、そういう姿勢がまったく見られず、自己完結したゲーム世界がただ孤独に漂っているだけでは、さほどのおもしろさを感じないのが自然というもの。グラフィックの質がいいだけに、非常に惜しいように思えます。また、サウンドなどもなかなか力が入っており、地力自体はそれなりのものを備えているように感じます。

 もう少し、ていねいなシナリオ作りに取り組めば、よりよい作品ができるのではないか、と思ったしだいです。

個人評価 ★★★★★ ☆☆☆☆☆
2000年9月24日
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