ロードラブストーリー Corett

2000年2月25日発売
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 日常の移動手段としては、都市部における日々の通勤・通学を除けば、基本的には自家用車というのが、モータリゼーションの進行した現在においては主流となっておりますが、エネルギー消費量、単位輸送量当たりの窒素酸化物・二酸化炭素排出量、さらにはインフラストラクチャ整備に必要な1人当たりのコストなどにおいて、やはり公共交通機関の使用を前提とした交通システムを構築していくことが今後も必要であろう、という問題意識を抱える…などといえば恰好はいいですが、要は「列車とバスとで旅に出る」という題材だけで興味を惹かれた、というのが正直なところ。「カッコよさ」とは何の接点もなさそうな真夏の旅、移動は列車とバス、宿泊には野宿もアリ、といった情報が期待を無限にふくらませてくれたのでありました。

シナリオ

 主人公・上原涼(変更可能)は、隣に住む小学生の女の子の頼みを受け、転校してしまった少年「吉良勇太」を探しに行くことになる。たった1枚の写真だけを手がかりに、半島のあちこちを聞き込みに回ることになる。

 

 シナリオ担当は「内田竜宮丞」氏。

 動機の御都合主義さというのは、たいていどんなゲームにもつきまといますが、このゲームはそれが極端であり、冒頭から「なんでやねん」というツッコミが入ります。言うなれば、たった1人の、それもお赤飯前…じゃなくて(^^;)攻略対象ヒロインでもない(当然です)キャラの依頼で単身汗だくになって聞き込みに回るという、あまりにも突飛な「動機」に、まず勢いを削がれることになります。

 序盤の展開が「なんでやねん」で始まったところで、ストーリーの進むテンポが、ゲームの達成感へとスムーズに連なるのであればそれで問題ないのですが、彼の取っている行動と得られる情報とのギャップも多く、またそういった「情報」の入手がストーリー展開とややズレていることもあって、どうにも「おもしろみ」を感じられません。プレイヤーには、エンディングへ向けての明確な目標が呈示されている以上、主人公がプレイヤーの分身となって動く必要があるのですが、移動選択以外では、プレイヤーがストーリーに介入する余地が非常に乏しく、「つき合わされている」という感が否めません。

 探す方法ひとつ取っても、どうして「移動」しながら「聞き込み」なのか、というごく自然な疑問が当然のように出てきます。夜逃げしたのであればともかく、そうでなければしかるべき役所に行けば情報は入手可能でしょう。特に地方では、警察などの公的機関は人間の出入りをほぼ完全に掌握しているはずですし、そういうところにアクセスするのがごく当然であろうと思われるのに、通りすがりの人にあれこれ尋ねるという不可解な行動。主人公の頭が悪い、といえばそれまでですが、「お人好し」と「頭が悪い」との双方を具備した「主人公」につき合っていられるほど、私は寛容ではなかったようです。

 あちこちで得られた断片的な情報も、それらをどう組み合わせるか、あるいはどのように活用するのか、そういった面でのゲーム性もほとんどなく、むしろ、個別の(人捜しという「本来の目的」とは違うように見える)イベントを用意するためのものに見えてきます。夏休み期間をまるまる「人捜し」に費やすという、ただでさえ根拠の希薄であった行動の動機が、さらに説得力を欠く弱いものになってしまっています。

 

 では、旅先で出会う女の子たちとのイベント、という面で見た場合はどうか、というと、こちらはさほど問題はないと思います…が、行動や言動には「個性的」なキャラクターにしよう、という意図がミエミエの「あからさまな差異化」が施されているものがどうにも鼻につくので、イベントが進行しても飽きがきます。おまけに、1つのエンディングを見るのに相当の長時間を要することもあって、どうにも「この先どうなるんだろうワクワク」といった気持ちになることができませんでした。

 

 また、シナリオを展開させるためのテキストが、まずもって「稚拙」の一言に尽きます。状況説明という次元ではクリアしていると思いますので「お前に言う資格はないだろ」というツッコミが入りそうですが、会話のテンポというものを無視した叙述はよろしくない、というぐらいのことは言えましょう。実際、

やっぱりあれは翔子の声だっ。なんか変な胸騒ぎがするぞっっ。とっ、とにかく声のしたほうへ行ってみようっっ!!

 撥音(「っ」)の無用な多用による冗長さもさることながら、誰に語るでもない独り言であるにもかかわらず、安易に「変な胸騒ぎ」などという「説明用語」に頼っていることによって、臨場感のかけらもない「説明文」になっているのが明白です。万事、この調子のテキストでイベントが綴られているので、読んでいく気が失せます。

 しかも、その内容の多くが、「勇太君の情報集め」からスタートしており、特に脇役キャラとの会話の大半はこれに尽きているので、ちっともおもしろくない。「そうか、勇太君は〜」といったテキストを何日にもわたってえんえんと見せられても、ねぇ。会話イベントの頻度が多ければ、通常は退屈さを感じさせないというプラス面に働くのですが、このようにテキストが貧弱だと、うるさいというマイナス面の方が強くなってしまいます。

 

 さらに、Hシーンの描写が滅茶苦茶です。稚拙を通り越して、ここまで不可解な表現をされると、逆に笑いを誘います。狙ってやった…にしては、ちょっと無茶な感じがしますけれど。

ゲームデザイン

 列車・バスによる移動を行います。列車には、普通・急行(割高です。現実では、有料の急行列車などもはや絶滅寸前ですが)の2種類があります。また、夜になると、ホテル・野宿を使い分けることができます。当初の所持金は10万円で、心細くなればバイトで稼ぐことも可能です。30日間のゲーム期間内にイベントを発生させることになります。

 1つのエンディングに到達可能な時間は8時間程度。この時間も、「のめり込んだ」結果ならいざ知らず、「さんざんつき合わされた」結果でのこの時間なので、実際の体感時間ははるかに長いのが実情です。

不具合・修正プログラム

 行動設定画面で、行き先を決めずに画面から抜けると、なぜかゲームが進まなくなります。

 また、ゲームを起動しながらほかのタスクを動かす(別ウィンドウで、エディタにテキストを書く、など)と、ゲームが不審な動きをします。おいおい(-_-;)

操作性など

 すでに2000年(いや、99年の時点でも)にはその姿をすっかり消していると思いこんでいた「ADM」が使われています。これが原因なのかどうかはわかりませんが、動作が万事重くなっています。Athlon800MB+GeForce256という、このゲーム発売当時ではミドルレンジ以上のスペックでもイライラする反応の悪さは、やはりプログラムの問題と見るべきでしょう。特に、システム画面での重さは、今どきこんなゲームあるかい、と思ったほどです。さらに、列車がの〜んびりとマップ上を動く(アニメーションのオフは不可)、パネル類の移動効果(これもオフ不可)など、長時間プレイには辛い「効果」が非常に多く、ストレスを増幅してくれます。

 画面表示は640×480で、フルスクリーン表示・ウィンドウ表示を切り替えることができます。画面下部に半透明のメッセージウィンドウが表示されます。

 メッセージ速度調整は3段階で可能、「F3」キー押下または「Ctrl」キー押下(後者は押している間のみ)メッセージスキップします。しかし、メッセージスキップよりも、アニメーションをオフにしてくれた方がよっぽどいいのですが。また、マウスクリックのほか、エンターキー押下でも進行します(エンターキーを2回叩けばメッセージは瞬間表示できますので、こちらの方が楽。ただし、「読む」タイプのゲームではないので、この仕様はあまりありがたがるべきものではありません)。

 セーブ&ロードは、システム画面以外で、20個所まで可能です。また、オートセーブ機能もあります。

 おまけモードとしては、CGモード(各キャラごとにサムネイル表示)・回想モード(各キャラごと)・音楽モード・環境音(いわゆる「効果音」のこと)モードがあります。

サウンド

 BGMは、PCMで再生されますが、どうにもパッとしません。むしろ、効果音が非常によい…というより、妙な音にまでいちいち凝っています。なんと、JR東日本の発車メロディまで入っていたのですが、こいつは強烈でした。かなり多くの駅で使われているメロディなのですが、これの使用料、いったいいくらかかったんでしょうか(そんなトコにコストをかける必要はないと思いますけれど)。マニアックなネタというよりは、ゲームストーリーに妙なリアル性を注入することでフィクションとしての展開を阻害しているようにさえ思います。

グラフィック

 キャラ原画は「村崎久都」さんの担当。どことなく眠たそうな目に癖がありますし、まず悪くはありません。しかし、立ちグラでのジャギーが目立つうえ、どうにも線の粗や色ムラが多いように思います。

 また、背景はあまりにも不可解。田舎に出かけているはずなのに、遠景にそびえ立つ摩天楼は、いったい何を意味しているのでありましょうか(^^;

 どうでもいいこととしては、駅舎のデザインが渋すぎるというか何というか…元ネタが東古市駅(福井県)とか西岩国駅(山口県)とか、こっち方面(笑)には相当に詳しい人でないとわからないものを使っているあたり、妙なこだわりを感じます。発車メロディとは違って、こういうこだわりなら害はないしかまいませんが。

お気に入り

 特にありません。キャラへの思い入れが出る前に、ひたすら退屈な「作業」を繰り返させられるという印象が強く刷り込まれただけでしたから。

関連リンク先

 このゲームのレビューを扱っているところは、リンク先には見当たりません。地味なゲームなので、まぁ納得はいきますが。

総評

 マップ移動のかったるさ、グラフィックの切り替えの重さ、達成感も緊張感もなくただ時間のみを費やすゲームプレイ。このゲームを強く印象づけたのは、こういったものばかりでした。移動とイベント発生との関連はそれなりに取れているので、ユーザーインタフェースを改良すれば、ゲームとしての取っつきやすさは数段上になったでありましょうが、このままでは凡作と呼ばれても何の反論もできないでしょう。

個人評価 ★★★★★ ☆☆☆☆☆
2001年3月12日
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