真・瑠璃色の雪 〜ふりむけば隣に〜 アイル/チーム・RIVA

2000年4月14日発売
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 DOS版の『瑠璃色の雪』をプレイしてから数か月後に、今度はWindows版の『真・瑠璃色の雪』を入手しました。「リメイクではなくほとんど新作」というほど制作者側が入れ込んでいたこともあって、なるほど、単なる「修正」にとどまらないだけのものになっているな、と感じたしだいです。「こるり」なる新キャラも加わったゲームは、前作を色濃く残しながらも、根幹部分が微妙に違っているゲームという印象です。

 DOS版の発売は、1997年3月。ゲームのリリースされる季節が内容から見て時期はずれ、という悪習は、このころから始まったのでせうかヾ(^^;

シナリオ

 主人公・真鍋博士(変更不可)は、父を失ったばかりの高校生で、幼なじみの家が大家をつとめるマンションで一人暮らしをすることに。引っ越しのどさくさに見つけた壺を開けると、光とともに金髪の雪女「瑠璃」が現れた。触れることもできない彼女との奇妙な同居生活が始まる。

 …という点は、DOS版の『瑠璃色の雪』とまったく同様です。主要ヒロインたちも基本的には同じ(一部名前が変わっていたりします)です。

 

 シナリオ担当は、リバ原あき・樋口和真の両氏。

 さて、DOS版で最大の問題点として書いた、ヒロインとしての瑠璃の位置づけが中途半端というのは、やはり残っています。「雪女」という美味しそうな要素が、単に「触れられないから同居してもよい」という説明を可能にしているだけになっており、「雪女」と「彼女の行動」との間のリンクが取れていません。金髪うんぬんは見栄えだけの問題としてもかまわないのでしょうが、もっとあれこれ彼女のシナリオを太いものにすることは可能だったのでは、と思えます。

 どちらかといえば、瑠璃というキャラは、メインヒロインというより、ゲーム世界の中で道化役となっているギャグキャラという役割に徹しているような感じです。大ボケを通り越してバカという気もしますが(^^;)、Xゲームの場合「天然」+「信頼」が、容易に「一直線らぶらぶ」へと突進していくキャラクターが一般的である中、あくまでも「一番頼りになる人間」として主人公を見ている、という立場にいるかぎりにおいて、この「瑠璃」というキャラクターはなかなかの存在になっています。しかし、彼女を中心として考えてみると、イベントが増えたとはいっても、彼女のシナリオに厚みが増したわけではなく、「楽しめるための素材」に留まっている、とみるのが妥当でしょう。DOS版では、瑠璃は他キャラに対する引き立て役以上には見えませんでしたが、今回もそれは基本的に変わっていません。

 確かに、綾霞や雪那のシナリオを通じて、瑠璃の「意味」はそれなりに説明されてはいますし、ある意味では雪那エンドこそが、瑠璃のハッピーエンドの1パターンであると言えるかもしれません。しかし、彼女のシナリオだけで見た場合、言うなれば「前世からの転生」といったパターンをそのまま流用しているだけとしか見えないのです。

 異色のメインヒロインである上、DOS版では存在感が非常に薄かった(私的には、かおりんならぬ香織に次いで下から2番目)ぐらいなので、今回は根底から手直しされるのだろうと思いきや、瑠璃シナリオ自体はさして充実度が上がったわけではありませんでした。がっくし。

 

 その一方で、私がDOS版で指摘した「キャラ間の連関が非常に弱い」という弱点は、かなりの程度改善され、大半のキャラが別キャラと何らかの形で関係しています。ここまで無理にしなくても…と思える場合もありましたが、この点はむしろ評価できるでしょう。具体的な事例は挙げませんが、瑠璃を媒介に考えれば何らかの形で摩擦が必然的に起こるはずであるキャラクターなど、そこそこうまくつなげられていた、と感じます。

 しかし、「各ヒロインとのラブコメ」として考えると、やや物足りない、と思うのは確かですね。瑠璃を軸としながら、しかし瑠璃がメインヒロインではない、そういう「突然舞い込んだ不思議な日常」を舞台としたラブコメ、と割り切ればそれなりではあるんですが、いろんな要素を入れ込もうと欲張ったために、個別のキャラで見た場合、お話としては薄味に留まっている面は否定できません。

 

 日常パートでのイベントバリエーションの充実ぶりは、DOS版の比ではありません。会うたびにいろんな会話が行われ、そのたびにボケとツッコミが交わされる、という具合でしょうか。さほど極端にウケ狙いを続けるような会話ではなく、ギャグだけで合わずに疲れる、というタイプのものはほとんどありません。むしろ、DOS版ではちらほら見かけたパロディ的なギャグは、今回はむしろ姿を潜めています。これが受けるかどうかは私にはわかりませんが、スマートになった、とはいえるでしょう。

 また、キャラクターごとのイベントは、前作をそのまま、というものはさほど多くなく、むしろ新規追加分が非常に目立ちました。その分CGがかなりカットされている(詳細は後述)のが残念ですが、それなりに「楽しめる」材料は増えたと思います。双葉と若葉とが完全に描き分けられたので「どっちかな」イベントがなくなったとか、ちょっと寂しい点があったのも確かですが。

 

 エンディング(全部で12パターン)については、DOS版での若葉END1などしっとりとしたものがある一方、やはりDOS版での恵END2など「このキャラならこう笑わせてくれるだろう」というものもあります。しかし、完全に新しいエンディングが多い(DOS版をそのまま採用したのは4つ…いや5つかな)ですね。瑠璃関係以外のキャラでは、基本的に「DOS版で良かったやつを残そう」という感じで残った、という感じで、シナリオに対応させる形で存置された、とは見えないのが実情です(若葉END1が残り恵END1が消えた理由が説明できません)。

 まぁ、個人的には、とにもかくにも若葉END1が残っただけでもよし、と思ってはいますけれど、このエンディングが恋愛ゲームのエンディング最高峰に近いものと思っているだけに、あまり安易に扱ってほしくはないな、と思う面もあるもんで。うー、ゲームずれしてくると、だんだん言うことがふてぶてしくなってきますね(^^;)

ゲームデザイン

 一定期間内に場所の移動を繰り返し、人と会ってイベントを発生させ、こなしたイベントと「愛情度」(一般的に言われる「好感度」と同じです)によって、エンディングが決定されます。移動は、マップ上で行き先をクリックして行います(DOS版で可能だった「Tab」キー使用は不可)。

 DOS版では、デフォルト状態でプレイした場合、マップ上のどこにだれがいるのかはまず見当がつかない上、キャラの発生日時の幅が非常に狭く、事実上イベントの発生時刻が特定されているといってよかったため、やたらと難易度が高いと感じたものですが、『真』では、いろいろな改善点が加わったうえ、すでに大まかな流れをDOS版で掴んでいたこともあったためでしょう、難易度は非常に低く感じられました。初回プレイ時のデータで、瑠璃(こるり含む)・恵・雪那・美弥・双葉・若葉・両方(^^;)をクリアすることができました。まさか瑠璃を初回でクリアしてしまうとは…。さらに、各ヒロイン間では、基本的に2人ずつの組み合わせになっているようで、Aを攻略するためにはBも攻略しないといけない、という場合があります。これはわりと意表をつかれました。また、攻略対象キャラとは、強制的に顔見知りになります。DOS版では、恵とは顔を合わせることさえなかったり、美弥の名前を知ることもなかったりという場合もありましたが、今回は全員が強制的に登場します。

 そして、前半では、時間の許すかぎり同時攻略が可能で、基本的にクリスマスイヴまではHに持ち込むことはできません(未遂に終わるケースはあります)。それ以降は、上記の「組み合わせ」以外での複数同時攻略は不可能なので、実質的にH可能なのは1人または2人に絞られます。無関係のキャラ(雪那と双葉、など)両方とHすることはできません。また、イヴの際に絞り込みが行われますが、このときには愛情値の高低で強制的に決まる(DOS版の「END1」はそうでした)のではなく、プレイヤーが自分で選択可能になっています。このため、誰を狙うにしても、ずいぶん楽になっています。

 『真』では、マップ上に誰がいるのかがミニウィンドウで表示されます(「G-Navi」という名前が付いています。『とらいあんぐるハート』のマップと同じ)ので、どこに誰がいるかはハッキリわかります。このため、時間がたってもスカばかり、ということはまずありません。CGの見落としなどの小さいトラップはありますが、これがあるのとないのとでは、プレイのスタイルがまったく違い、「計画的にタイムテーブルを作る」必要がないので、ずいぶんやりやすくなります。一応「暇つぶし」コマンドは今回も装備されてはいますが、時間があればアイテム作成やほかのキャラとの会話を行った方がよいでしょう。

 さらに、別途「ヒント」モードがあります。キャラクターとの会話シーンでの選択時に出てきますが、一部のキャラを除けば、さほど迷うような選択肢もありませんし、さほど必要性が高いものではなく、私は試験的に2回ほど使っただけで、あとはオフにしています。

 各キャラクターのエンディングが基本的に1つずつ(瑠璃は2つ、双葉・若葉は変則的なエンディングあり)と、シナリオが長くなったせいか、エンディングのバリエーションがずいぶんと減ってしまいました。これをどう判断するかは微妙なところですが、DOS版で各キャラごとに2つずつ用意されていたエンディングの「相違」は、メインヒロインである瑠璃の面影がエンディングに残っているかいないか、という点に帰していたのですが、肝心かなめの瑠璃が「ただの居候」以外の何者でもありませんでしたから(^^;)、どちらかといえば「タマでもいなけりゃ寂しくなる、いわんや瑠璃をや」という程度に考え、エンディングを1つに統一してしまった割り切りのよさは、プラス方向で評価したいと思います。

 

 DOS版では、「「一定以上の作業」を義務的に押しつける仕様」が大嫌いだったのですが、こういった面はずいぶんと改善されています。アイテムにかけられる時間を見極めるために街中を無意味に闊歩して改めて調べる、という必要は(場合によっては)ありますが、必須イベント自体がさほど多くないのが幸いでしょう。逆に、前半(クリスマスイヴまで)の1人あたりのイベントシーンはずいぶん少ないので、オンリープレイに近い形で進めるとたるんでしまうのが難点ともなっています。

 パラメータ管理がずいぶんと楽になった点も指摘できるでしょう。DOS版では隠しパラメータ的に存在していた「疲労度」などが抜けたり、夜更かしすることがなくなったりと、ゲームの中でプレイヤーが振り回されることがかなり減っています。また、イベントシーンでの選択肢自体も、かなり減っています。気楽にプレイできるようにはなったのですが、DOS版を先にプレイした人間としては、ちょっと物足りないと思ったのも確かです。

 また、自室でアイテムを開発することで、イベントやHシーンなどのバリエーションが増えることがありますが、開発しても「ランダムでどっか〜んで全部パー」はなくなり、開発のペースは純粋に所要時間のみに比例します。

 なお、「レイプ」はなくなりました。まー、もともとあってもなくても関係ないんですけどね。

 また、瑠璃トゥルーエンド(といっていいのかな)を終えると、おまけシナリオ2つに入ることができます。寿シナリオもありますが、別に「主人公×寿」ではありませんので、その筋に期待されないように(^^;)

不具合・修正プログラム

 アイルのWebサイトで公開されている修正ファイルを用いてプレイした結果、特に不具合は発生していません。というか、修正ファイルによる改善点が、いまひとつよくわからなかったり(^^;)

操作性など

 ゲームのインストール時には、BGMをCD-DAにするかMIDIにするかによってHD容量が異なってきますが、「標準(BGMはMIDIのみ)でも400MB必要です。インストール中、瑠璃がこちょこちょと雪だるまを作っているのがほのぼのしていていいんですが、個人的には『脅迫 〜終わらない明日〜』の「明日香ハリセン」の方がおもしろかったなぁ。もっとも、「余力がどれだけ残っていたか」を考えれば、こんなところばかりに凝られても困るのではありますが。

 ゲームを起動すると、「初めから/続きから/おまけ」からなるメインメニューが表示されます。

 プレイ画面では、メイン画面+立ちキャラが中央に、メッセージウィンドウが下部に表示されます。メイン画面の右上側に日付・時刻が表示されます。ウィンドウサイズは800×600ドットですが、メイン画面の表示自体は640×480ドットとなっています。

 マップ上では移動先の文字表示を左クリックすることで移動しますが、クリックのタイミングがずれると画面をドラッグしてしまうので、ときどき画面が左右に動いてしまってめんどう…というのは、私だけ?(^^;) マップ上の「今、どこに誰がいるか」は、「G-Navi」機能によってひと目でわかります(デフォルトでオンになっています)。時間は、DOS版と違ってそれなりにハッキリしています。なお、キーボード操作は基本的にできなくなっています。通常画面では、マウス操作のほか、キーボードだけでも操作が可能となっています。メッセージスキップ・メッセージ巻き戻し機能あり。

 また、メイン画面上部に、「基本設定パネル」がデフォルトで表示され(消去も可能)、「システム」「セーブ」「ロード」「ウィンドウ一時消去」「最小化」「愛情値ウィンドウ表示」「ゲーム終了」をワンクリックで可能にしています。ただ、なぜ「メインメニューに戻る」というコマンドがないのかが不思議。

 カスタマイズの多様さは、アイルのウリのひとつということもあって、実にきめ細やかです。右クリックへのコマンド割り当て、カーソル制御、サウンド設定、メッセージ設定、ウィンドウ設定、ヒント機能(ヒント表示の有無、愛情値ウィンドウの表示・非表示、G-Naviオン・オフ切替など)と、「これでもか」といわんばかりです。ここまであれこれする必要があるのか、とも思えますが(^^;)

 セーブ&ロードは、任意の位置で、なんと200個所まで行えますので、実に便利です。セーブすると、セーブ時の実日時、ゲーム中の日付、該当イベントの説明、そしてセーブ時の画面プレビュー表示までなされるのはありがたいですね。

 「おまけ」から、CGモード・Hシーン鑑賞モード・エンディング確認モード・BGMモードに入れます。ちょっと残念なのは、おまけモードでの「遊び」が弱くなったこと。DOS版では、操作説明やCGモードその他もろもろで、ゲーム中に登場したキャラクターの大半がナレーションをしてくれたのですが、Windows版では、こういった細かいサービスがずいぶんとカットされています。DOS版「操作説明」での双葉&若葉の漫才はおもしろかったんですけどねぇ。

 CGモードでは、キャラクターごとに、今まで見たCGを見ることができ、それぞれサムネイル表示されます。各CGには名前がついていますが、未見CGは表示されない(DOS版では「選択不能の薄色表示」でした)のがちょっと残念。Hシーン鑑賞モード、エンディング確認モードも同様。BGMモードでは、各曲ごとにコメントがついています。

サウンド

 BGMは、MIDI(GM-GS)またはCD-DAから選択できます。私はCD-DAでプレイしましたが、この場合にはハードディスク上に600MB以上の容量が必要となりますので、注意が必要です。DOS版での雰囲気をよく残しながら、「冬」らしいクリアな音色が出ています。

 驚いたのは、音声のキャスティングがなかなかみごとに合っていること。最初は、恵など「幼過ぎないか?」と思ったものですが、キャラデザや行動パターンがDOS版以上に幼くなっていることも考えると、むしろ役がうまく適合しているな、と思ったものです。特によい、と思ったのは、瑠璃と綾霞の2人ですね。

グラフィック

 原画担当は、リバ原あきさん。例によってというか、巨乳キャラがひしめき合っていますが、それとコントラストをつけるという意味もあってか、貧乳キャラも割と頑張っています(^^;) 恵など、さらにロリっぽさが増したようですし(^^;;;)

 一部のキャラクターでは、キャラデザが大幅に変わっています。個人的には、双葉&若葉は前の方が好きだったんですけれど、まぁ好みの問題でしょう。それより、綾霞がぐっと美人になったので、よし(^^)

 CGのないイベントがずいぶんと増えてしまったのが残念なところです。特に、DOS版でCGがあったのにカットされたシーン(陽子の「タマに頬ずり」とか)が多いのは困りもの。CD-ROMギリギリ一杯まで詰め込んでいるのはわかるんですけれど…。また、イベントシーンで描き直したものでも、DOS版のデザインの方がよかったな、と思えるトコロもあります。双葉&若葉Hシーンでの「発覚」など、DOS版では3人が1画面に出ていたのに、『真』では石化した双葉だけなので、いまいち緊迫感に欠けます。

 特に、雪那シナリオの後半では、真名ちゃんがほとんど姿を見せませんね。彼女には立ちCGが(DOS版の時から)なかったためなんでしょうが、「声はすれども姿は見えず」というのは、ホントに寂しいものです。イベントの量を増やすのはいいのですが、その結果グラフィックを大幅に減ずるというのはやめてほしかったですね。

お気に入り

 DOS版に引き続き、真名ちゃんが一番いいですね。「グラフィック」欄で書いたとおり、立ちCGが存在しないため、あまり後半では見せ場がなかったのが残念ですが。「幼稚園の劇」やら「ままたま、ままたま〜」やらには爆笑させてもらいました(^^;)

総評

 シナリオ面で、イベントが増強されるなどの面はあったものの、ストーリー的に深みが出たわけではないので、あまり好きにはなれません。一方、ゲーム性がやや弱くなった点については、賛否両論あるでしょうが、個人的には「むだな手間」以外の何ものでもないスタイルは好きではないので、改善と判断します。

 総じて、「いろんなものを詰め込んだ」という雰囲気が強く、自己主張の強いキャラクターやストーリーがあるわけではなく、またキャラクターもパターン的な域をあまり出ていないため、意外と目新しさを感じない、という雰囲気になっています。ゲームたるものかくあるべし、という方はともかく、いろんなスタイルのゲームに触れたい、という姿勢を多少なりともお持ちであれば、それなりに楽しめるとは思います。

個人評価 ★★★★★ ★★★☆☆
2000年5月8日
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