Piaキャロットへようこそ!!3 F&C/FC02

2001年11月30日発売
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 人気シリーズ作品の続編です。どうしても前々作ないし前作と比べられる運命にあるため、なかなか良い評価を得ることは難しいのでしょうし、それゆえにメーカーサイドもかなり力を入れて制作したのであろうと推測されます。しかし、事前のキャラクター別情報がどうにも明確ではなく、したがってどのようなことを「楽しむ」ゲームになっているのか、その点が今ひとつハッキリわからない状態でプレイすることになりました。

 なお、私はPC版の『Piaキャロットへようこそ!!』(以下『Pia1』)および『Piaキャロットへようこそ!!2』(以下『Pia2』)をプレイ済みの状態でこの作品に手をつけました。コンシューマー版についてはまったく知りません。

シナリオ

 主人公・神無月明彦(変更可能)は、ファミリーレストラン「Piaキャロット」本店でアルバイトをしていた。ある日彼は、新規開業する4号店へのヘルプ派遣要請をオーナーから受ける。気になっていたバイトの同僚「高井さやか」に引き留められることを期待して彼女に相談を持ちかけた主人公だが、彼に惹かれつつも素直になれない彼女に送り出される格好になり、1人で4号店に向かうことになる。彼は、やはり2号店からヘルプとして派遣された「愛沢ともみ」をはじめ、さまざまな女の子と出会う。彼の夏物語に綴られるパートナーは誰なのだろうか。

 

 シナリオ担当は、稲村竜一氏。主人公は、『Pia1』攻略対象ヒロインの1人、神無月志保(本作では3号店の店長になっています)の実弟という設定になっています。

 前作までと本作とでもっとも大きく異なる点は、各ヒロインとの「ストーリー」を楽しむというより、各ヒロインが抱えている悩みなどを克服していく過程が描かれ、その結果として主人公とヒロインとが結ばれる、というスタイルをとっていることです。

 ヒロインが抱えているものについては、「このくらいのことでくよくよすることもないでしょ」といえるものから、これなら悩むのも当然だろうといった深刻なものまでさまざまですが、いずれにせよ、そこに主人公が関わって解決していく、というものなのですが、この「関わり方」に中途半端なものが多いのは困ったところ。なぜ主人公でなければ解決できなかったのか、あるいは主人公がどうして解決できるような行動を取れたのか、そのあたりのツメが甘く、主人公とヒロインとが「最終的に結ばれた」という事実が、本当に単なる「事実」にとどまり、ドラマティックな盛り上がりをそぐ結果に終わっています。詳細は後述しますが、エンディングへの伏線という役割が先に出てしまっているせいでしょう。

 

 ストーリーの平板さを避けるために用意されたイベントは、地に足がついていないというのか、唐突かつ説明不足のものが非常に多い点は問題です。唐突だから理解不能、説明不足だから意味不明、というわけではなく、なぜそこでそういうイベントが起こるのか、そして登場しているキャラクターたちがとった行動をどう解釈できるのか、という点で、プレイヤー側が合理的に説明できる範囲が非常に狭くなっているのです。言葉を換えれば、シナリオライター氏がプレイヤーに対して求める行間補正量が多すぎる、ということにもなりましょうか。

 さらに、クライマックスに至るイベントについては、まさに「取って付けたもの」と見えるものが非常に多く、特に年上系各シナリオはほぼ例外なくそうなっているといえます。ハッピーエンドにたどりつくために関門が用意されなくては話が締まらない、というのは、確かにその通りなのですけれど、解決過程にリアリティがなければ、肝心のエンディングで「満足してハッピーな気持ち」になることはできないでしょう。

 

 また、これと直接関係することとして、エンディング以降の後日譚が用意されていないキャラが多いことも相まって、エンディング以降、その後に2人の関係が長続きするのかどうか、かなり疑問が残ります。同年代・年下系はまだいいとして、年上キャラとその後も関係を持続できるかどうか、私には疑問です。特に、いくつかのシナリオでは、そのまま結婚あるいは婚約にまでなだれ込んでいますが、結ばれる前の葛藤解消と新規関係構築とを安易に融合させている観は否めず(要するに、悩みの克服、即「ゴールイン」としての結婚となっている)、これでは「刹那的に形を作った」といわれても仕方ないでしょう。

 

 キャラクターとしては、友達以上恋人未満の同級生、年下キャラ、年上キャラといった顔ぶれで、特に年上キャラの比率が高いのがこの作品の特徴でしょう。また、年上キャラとのHシーンがかなり多くて濃い点も、前作に比べるとかなり変わっています。それまでさんざん口奉仕のあったキャラが、牧場で「濃いミルク」とのたまったりするシーンでは大笑いしました(^^) あと、これまでの2作品とは異なり、客が攻略対象キャラになることはありません。ガラの悪い客を相手にすることはありますけれど。

 なお、メインヒロインのさやか、コンシューマー版に引き続き登場のともみの両シナリオでは、前作のシナリオやキャラクターが非常に重要な要素となっています。しかし、先述の通り、前作のキャラの活用がうまくいっていないだけでなく、またさやかシナリオでの前田耕治とともみシナリオでの彼とでさえ、同一人物と把握することにかなり無理が残る点を考えれば、この手法は失敗だったと思います。ともみシナリオ単独であればまだいいのですが(耕治が短期間でこんなに悟りきった態度をとれるとはとうてい思えませんが)、さやかシナリオの方では明らかにズレを感じます。

 

 「萌え」自体は、前作までに比べてかなり弱めで、特にさやかやナナ、美春などは、プレイヤーに対してあえて距離を置かせるような描写をしているように見えます。さやかは「こいつどうしてこんな行動とるんだ?」と第一印象で思う人は多いでしょうし、ナナは序盤での呼び方が非常にうざったく、美春も「心当たりがないのに嫌な態度を見せる」点をどの程度許容できるか、というハードルがあります。序盤から素直にかわいいと思えるキャラもいますから(ともみや朱美が好例)ニーズを柔軟に吸収しようという意図はうかがえますし、はじめからベタベタタイプばかりを並べているよりはバラエティに富むこういう手法の方が受け入れやすいでしょう。ただし、裏を返せば、どういうタイプを求める人にとっても、結局は受け入れにくいタイプのキャラが必ず出てしまう、という面もあるので、誰がプレイしても多少の不満が出るわけで、このあたりのバランスはなかなか難しいところなのでしょう。

ゲームデザイン

 アルバイトのシフトを決めてパラメータ調整を行い、また会話を行うキャラクターを選んで好感度を上げつつイベントをこなしていくタイプのアドベンチャーゲームです。最初に「制服セレクト」があり、フローラルミント・トロピカル・ぱろぱろの3つの制服から選ぶことができます。2回目のプレイ以降では、オープニングはスキップすることが可能です。

 攻略対象キャラクターは8人で、選択によっては中盤以降登場しなくなるキャラもいます。選択可能な職業は6つあり、これらを1週間単位で、午前・午後の選択を含めて任意に選びます。

 パラメータの調整バランスはまずまずですが、イベントや会話パターンが非常に豊富であるため、パラメータを上げることを最優先した場合、かなり多くのイベントを見逃すことになります。その一方で、中途で発生するイベントの進行には一定以上のパラメータが必要であるケースも多くなっています。このため、イベント発生とパラメータ管理とのバランスが非常に難しく、1回のプレイで「イベント制覇・ハッピーエンド到達」を狙うのは相当に難しくなっています。しかし、シナリオにかなり重たい題材が入っており、全員を何度もプレイしたくなるとはとういて思えないだけに、パラメータの使い方には疑問が残ります。

 演出としておもしろいのが、シナリオと無関係に、過去のキャラクターがさまざまな形で出てくること。イベントCGの中で出てくるキャラもいれば、ランダムでチップキャラとして登場するキャラもいます。名前が出ているわけではないので確実というわけではありませんが、『きゃんバニエクストラ』の麻里などというおそろしく古い人物、あるいは『Pia1』のデッシュのオバちゃんも出てくるダスよ(笑) 作品別で見れば、『With You』の登場キャラがずいぶん多いようです。

不具合・修正ファイル

 貴子の焚き火イベントが2度発生してしまうという不具合が確認されています。F&Cのサイトに修正ファイルがアップされています。

操作性など

 対象OSは、Windows95(SP1以降)/98/Me/2000(SP1以降)ですが、WindowsXPでも問題なく動作します。

 CD-ROM2枚組(ピクチャーレーベル仕様)で、インストールの際に必要なHDD容量は、350MB〜1.2GBです。フルインストールすると、起動の際にCD-ROMが不要となります。F&Cのゲームで「起動時にCD-ROM不要」という経験はなかったのですが、これはありがたい仕様です。例によってマニュアルはなかなか凝っています。

 ゲーム操作はマウスが基本ですが、キーボード入力である程度進行させることも可能です。コンフィグメニューでは、音楽・効果音・音声・メッセージスキップ・自動メッセージ送り・文字表示方法・諸効果などの調整が可能です。ただ、調整項目があまり多いという気にならないのはなぜでしょうか(^^;

 画面は、640×480の全画面表示で、ウィンドウ表示とフルスクリーン表示とで切り替えが可能です。画面左上に日時表示(キャラ絵が重なる場合は半透明表示化)、下部に透明のメッセージウィンドウが表示され、コンフィグ・ロード・メッセージ読み返し・メッセージスキップなどのボタンも表示されています。メッセージウィンドウの枠はデフォルトでは青で、またコーナーは角が取れて丸くなっており、WindowsXPのLunaのようなデザインになっています。

 セーブ・ロードは自室での行動選択画面で30個所まで可能で、ゲーム中の日付・セーブ次の実日時がセーブリストに表示され、リストを選択するとパラメータ・攻略中のキャラ(任意に選択可能)・制服が記録されます。

 CGモード・音楽モードは、トップメニューから入ることができます。CGモードは、各キャラクターごとにサムネイル表示されますが、最初に選んだ制服ごとに違うグラフィックとして認識されるため、制服を着る機会のない1名を除けば最低3回はクリアしないとCGモードが埋まらないという仕様は、これまでのシリーズものと同じ仕様。CG達成率も表示されます。また、クリアすると、各キャラクターを担当した声優氏のコメントを聞くことができるようになります(マニュアル非記載)。音楽モードでは、曲名が表示され、選択することでBGMが演奏されます。

サウンド

 音楽担当は「おおくまけんいち」氏。

 BGMは、MIDIまたはPCMで再生されます。それほど印象に残った曲はありませんでしたが、違和感を覚えることはありませんでした。前々作や前作では、日常でかかっていた脳天気なBGMがなかなか良かったのですが、この作品では「明るく楽しく」といった雰囲気を存分に感じられる期間があまりないこともあってか、ひたすら落ち着いていたような印象があります。

 オープニングおよびエンディングにはボーカル曲が用意されています。『Pia2』のすごい歌とは異なり、しっとりとした感じの曲ですね。特にエンディングの「恋人たちの伝説」は、最初はどうにも耳になじまなかったのですが、素直なハッピーエンドというわけではない、ということを前提として聴けば、けっこういい歌なのでは、と思うようになりました。ボーカル担当は「美羽」氏。

 音声については、まずまずでしょうか。「え?」と思うところはひとまずありませんでした。

グラフィック

 キャラデザ担当は、橋本タカシ・藤宮博也・蓮見江蘭・鈴平ひろの各氏。これだけの頭数があるとキャラごとの顔つきがバラバラになりそうなものですが、実際には、藤宮氏担当キャラ以外は見分けがつかない程度にそろっています。もっとも、『With You』で一躍ファンを集めた橋本タカシ氏のキャラ絵に、当時ほどの魅力を感じられなかったのもまた事実で、むしろ違いが際だっている藤宮氏のキャラ絵の方が「かわいらしさ」をキチンと出せていたように思います。

 しかし、複数原画家起用のメリットかも知れませんが、各キャラクターごとの区別が明確である点は良かったですね。キャラクター数が多いゲームでは、髪型と髪の色とを同じにすると見分けがつかないというケースが往々にしてあるのですが、『Pia3』のキャラではこういうことはまったくなく、一目で容易に見分けがつきます。もちろん、仕事中は大半のキャラが同じ服を着ているという環境である以上、ここについては厳しさが要求されるのは当然なのでしょうけれど。

 ただし、各キャラの姿勢に不自然な点が多かったことは問題でしょう。『Pia2』ではシチュエーションにそぐわないポーズが気になったのですが(両手を腰に当てながら、照れて顔を赤くするのはヘンだ、など)、それ以前に、腰を妙な具合に曲げているポーズが多かったのが目につきました。

 また、制服は3種類の中から選択可能ですが、ぱろぱろ以外の2つについては、ファミレスの制服というよりはイメクラか何かを連想させ、一般接客業の制服には場違いなことこのうえありません。特にトロピカルなど、あの格好で厨房に立ったら保健所から指導を食らうのではないでしょうか。夏だから露出度を高くできるという短絡的な発想に基づくデザイン選択なのでしょうが、「アルバイトを通じての恋物語」である以上、「職場としての一定程度のリアリティ」は求められてしかるべきでしょう。

 背景はきれいではありますが、光線効果の多用が妙に気になります。また、どうにも質感に乏しく、「美しい」と思えるシーンが数多くあった『Pia』に比べ、今ひとつという気がします。

 チップキャラがちょこちょこ動き回るのはこの作品も同じです。ともみのアンテナリボン(笑)がぴょこぴょこ動くさまが楽しいです(^^)

お気に入り

 キャラの中では、ともみとナナとが一直線で並んでいます。頼ってくれる素直なキャラクターという点で共通していますね。決して胸の大きさがどうこうとかいう理由ではありませんよ(^^;

 特にここが印象に残った、というシーンはありません。あれこれ気にとまるところはありましたけれど。

総評

 シリーズもの、そして前作登場キャラクターが再登場したゲームの宿命ではありますが、前作でプレイしたプレイヤーにとって、そのイメージをかなり引きずりながらのプレイとなることは間違いありません。具体的には、さとみ、あずさ、ともみ、前田耕治といったキャラクターがキーパーソンとなっています(オーナーや志保さんも出てきますが、ストーリーの流れには直接関わってきません)。これらのキャラクターが、前作でのイメージをもとに、あるいは変わっていない、あるいは成長したことを見せつつ、ストーリーの中にとけ込んでいるのならいいのですが、前作でのイメージがこの作品の中で修正されたり、あるいは前作のストーリーを正当化するシーンを挿入したりしているため、多くの個所でギャップを感じます。このため、今までのシリーズもののうち、特に『Pia2』系統の作品をプレイされている方であれば、「こいつがそんなタマか」と思うケースがかなりあるでしょう。

 また、各キャラ別のシナリオにしても、ハッピーエンドへ持っていくために盛り上げる要素をむりやりねじ込んだと思えるイベントが多い上、設定が重いために、かわいいキャラとの出会いを素直に楽しむ、ということを第一の目的にすると、あまり良い作品には見えないでしょう。

 その一方で、パラメータの上げ方や選択肢の選び方などによる会話バリエーションが非常に豊富であり、これらを見ながらキャラクターとの会話を楽しむ、という点では、前作以上に楽しむことはできるでしょう。

 トータルでの評価は非常に難しいところですが、多くのものを欲張って詰め込みすぎ、どのシナリオを見ても中途半端に思える点が残ってしまった作品と思います。シリーズものゆえの縛りがあるのは確かですし、その範囲内で新しい方向性を求めるという姿勢は確かにうかがえますが、なによりも「あまり楽しくない」。これが、私的印象度をそこそこのものに留めてしまった窮極要因だと考えます。

 ものすごくどうでもいいことですが、木ノ下家の家系は酒乱なのだと思っていましたが、本作では大食いになっているようです(^^;

個人評価 ★★★★★ ★☆☆☆☆
2002年1月5日
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