ただいま修行中! FishCafe

2001年7月19日発売
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 FishCafeというブランドのゲームとしては『おにいちゃんといっしょ』というゲームがありましたが、このブランドはその後作品をリリースすることなくWebサイトも閉鎖してしまいました。しかしその後「FishCafe」ブランドのゲームの広告を某雑誌で偶然見つけ、びっくり。原画担当は同じ人のようですが、それ以外のスタッフや組織形態などがどうなっているのかはさっぱりわからないまま買ってしまいました。

 ゲームの内容はさておき、前作のわけのわからないまま流れていく妙なノリが生き残っていればいいかな、という程度の期待を込めていました。実際にはキャラ原画以外の共通点は皆無なので、かなり早く購入したにもかかわらずなかなか最後まで進めなかったというシロモノと相成りました(^^;

シナリオ

 主人公・トーニ(変更不可)は、国家認定の試験に合格して資格を持つ魔法使いとなるため、街へとやってきた。トーニはそこで幼なじみのアネットと再会し、またハーフエルフのミリルも現れ、彼のまわりは大にぎわい。何のかんのいいながらも、毎日魔法学院に通って勉強に励むトーニは、試験に無事に合格できるのか。そしてその隣にいる女性は誰なのか。

 

 シナリオは非常にオーソドックスなものです。いくつか細かい設定が用意されてはいますが、それらも予想される範囲内で消化されていきます。宿の夫妻の挙動は最後まで不審さいっぱいですけれど(^^;)、基本的にさほど頭を抱えるところもなければ感動するようなシーンもありません。

 主人公は一応宿屋に泊まっているのですが、宿屋の夫妻とは顔なじみと言うこともあって家族同然の態度で生活しているので、文字通りアットホームな毎日を送ります。各キャラクターの「外面とはちょっと違った世界」がありますが、この部分の動きがやや急であるため、どこまで当人たちが真剣なのかよくわからんというケースもままあったのはいけないでしょう。また、家族的であったかい雰囲気が出せていながら、それがエンディングにはあまり反映されていない点もちょっと残念。

 日常会話のテンポがなかなかよく、特に最初のうちは各キャラクターの特徴をうまく伝えていますが、中盤以降はその「平凡さ」の描写があまりにも淡々としたものになっています。日常を描写することに徹したともいえますが、むしろどこまでいっても変わり映えがしないことを強調している面が前に出ています。育成SLGであればさほど問題にする必要はないでしょうが、育成パートは非常に簡単であることを考えれば、特に主人公の「動き」の小ささが気になります。

 振り返ってみると、ほとんどなんの印象も残らない平板なシナリオと見えます。「ほのぼのさ」という点でも、プレイの序盤ではそれが心地よく感じられても、中盤以降はそれが退屈さを促す要因になりかねないなど、全体的に起伏に欠けていた印象が否めません。

ゲームデザイン

 ゲームは、攻略対象(基本3人+隠れ2人)のキャラクターとの好感度と、試験の結果とによって決まるようです(一部のキャラクターは特定のフラグを通過する必要があります)。ゲーム期間は約10週間となっています。

 ADVのうち移動パート(強制イベント発生時も含む)では、キャラクターが3D表示されます。この際の感情表現は確かにうまく使われているのですが、残念ながら実際に物語と関わってくるキャラの数が非常に限られているため、いまひとつパンチに欠けたのも確か。手間をかけただけの効果があったとは思えませんでした。

 勉強(一応SLGパートといっていいのかな)では、毎日授業の内容を選択して進めていきます。「誰と」「何を」するかが重要ですが、ターゲットとする娘と一緒に勉強しつつ、まんべんなくパラメータを上げていけばまず問題なく合格できるでしょう。選択肢でのヒネリなどもほとんどありません。

不具合・修正ファイル

 不正終了が起きるなどの不具合が確認されています。修正ファイルが、FishCafeのサイトで公開されています。

デモ・体験版

 いずれも、存在を確認していません。

操作性など

 対応OSはWindows98/Me/2000ですが、WindowsXPでも動作しました。CD-ROM2枚組となっており、フルインストール時に必要なHDD容量は約1GBで、プレイ時にはCD-ROMは必要ありません。なお、CD-ROM内のREADMEファイルには「DISC1/2」と表記されていますが、実際のCD-ROMには「DATADISC/GAMEDISC」と書かれているのは混乱します。

 画面はグラフィックが640×480全画面表示で、ウィンドウ表示とフルスクリーン表示との切り替えが可能です。

 メッセージ読み返し機能やスキップ機能(既読/未読の区別あり)のほか、「F5」キー押下によって授業内容に応じたやり直しが可能など、ユーザーインタフェースは細かいところまで配慮されています。音楽・効果音・音声のボリュームは5段階で変更できるほか、「サブキャラ攻略ルートのON/OFF」などというメニューまでありますが、ここまでいくと「ゲーム」という“製品”として考えるべき範囲がどこまでなのか、という疑問を感じます。

 セーブ&ロードは、任意の位置で60個所まで可能で(全部使い切ることはまずないでしょう)、セーブ時の実日時とゲーム中の日付、プレイ時の主人公のパラメータ、ゲーム画面とが記録されます。

 CGモード(ヒロイン別、サムネイル表示)や音楽モードのほかシーン再生モード、エンディング再生モードもあります。エンディングは、各キャラクターのハッピーエンドのほかバッドエンド(ヒロインとの条件は満たしているが試験には不合格)があり、実はこれを埋めるのがけっこう骨だったりします(^^;

サウンド

 BGMはPCMで再生されますが、特に印象に残るほどのものではなし。

 音声は主人公を除きフルボイスで、演技はまずまずといったところか。

グラフィック

 キャラクターデザイン担当は「かんざきひろ」氏。絵柄は悪くないのですが、肌の塗りなどがベタで質感皆無(油を塗ったように見えます)、おまけにやたらと線が太いために、画用紙上で絵が動いているようにさえ感じました。

 しかしこのゲームの特徴は、単体で見た場合の絵ではなく、立ちキャラが右へ左へと頻繁に(効果音付きで)忙しく動くことにあります。これによって各キャラの喜怒哀楽や性格などを描写しており、なかなかみごとに利いています。シナリオの重み自体はそのぶん軽くなっていて、やや演出過多ぎみと思えましたが、もともとベタな展開ですし、これはこれでいいかと。

お気に入り

 元気なシーラですね。好きなシーンというのは特にありません。

総評

 「グラフィック」欄で記したとおりで、左右に大きく動くなどのビジュアル描写で各キャラクターを使っている点で目新しさはありますが、それ以外では特に触れるものもありません。イベント配置のバランスがよくためにテンポよく進められ、またユーザーインタフェースに配慮されているために最後までプレイはできましたが、特に引き込まれるものもありませんでした。

 「ゲームを作る」際に必要なセンスの良さはあるにしても、プレイして「楽しめる」ものにはなっていないというのが私の判断です。日常を送っている登場人物を描くことのみでは、プレイヤーは単なる傍観者以上にはなれないのですから。

個人評価 ★★★★★ ☆☆☆☆☆
2002年12月23日
Mail to:Ken
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