Fall Down 〜堕ちた天使の物語〜 Lust

2002年5月31日発売
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 Webサイトに公開されていたデモムービーを、特にその内容に興味も持たないままに何となくダウンロードし、何となく再生して、そこで流れてきた主題歌に「ハッ」として興味を抱いてしまったのが、このゲームです。もともとまったく知らないブランドでしたし、館ものにはある程度注意してかかるほうがよい、という先入観もあって、ある程度警戒してかかっていたのですが、テンポのよいその曲に引かれて、結局買ってしまいました。場所を取らないDVDパッケージ(メディアはCD-ROM)という点もわりと大きな要素だった点も否定できないところが悲しいのですが(^^;

シナリオ・ゲームデザイン

 主人公・ヒルト(固定)は、何の感情も持たず、無気力にただ、錬金術師・セルゲイの館の中ですごすのみの青年。あるとき、館に突然現れた、記憶を失った少女・メーア。彼女の出現を契機に、主人公は感情を回復させていくことになる。そしてまた、メーアも記憶を徐々に取り戻していくことになる。

 

 シナリオ担当は「祈希」氏。

 シナリオの流れ自体はまことに凡庸なものであり、特にあれこれ語るほどのものではありません。しかし、特に「読ませる」展開を重視しているゲームでもないので、これについては気にする必要はないでしょう。もっとも、話の展開を追うつもりなどまったく起きない程度の内容になっているため、エンディングに到達してもおもしろくも何ともないのはいかがなものでしょうか。

 

 主人公が、朝(ステータス確認)・昼(マップ移動。行き先のキャラ確認可能)・夜(メーアとの会話など)の各パートで行動を選択し、夜には各カードを組み合わせて行動することによってパラメータを変動させたりイベントを発生させたりします。アドベンチャーゲームとカードゲームとを組み合わせている、といえましょう。

 夜のパートでのカードは、相互に関連がありそうなものを組み合わせることによって「コンボ」が発生し、これによってパラメータが大きく変動したり、あるいはHイベントが発生したりします。この組み合わせのパターンを探すのはなかなかに骨で、私は1つのセーブデータから何十回とリロードして、やっとのことでかなりの数を探し出せました。

 この「夜」のパートは、メーアの体力が続くかぎり、どんな組み合わせを繰り返すことも可能です。

 ヒロインであるメーアのパラメータは、表示されるものは6とおりありますが、おそらく2回目のプレイ以降は、簡単に全パラメータを中盤でフルにできるでしょう。したがってこの数値については、あまり気にする必要はありません。

 一方、組み合わせ結果としてのHシーンのパターンは、1つの組み合わせについてたった1つなので、ある組み合わせの場合、何回選んでも破瓜に苦しむシーンが出てきたりするのがちょっと難あり。初々しさや痛々しさが出てくるシーンと、すっかり好きモノになって積極的に求めてくるシーンとが混在していたりするので、そういったシーンの前後があまり考慮されていないのは、なんとも残念です。

 さらに、エロシーンだけを取り出してみれば、なるほど、それなりにバリエーションがありますし、それを探すのもそれなりのゲーム性を持たせてはあるのですけれど、そのシーンが基本的に主人公とヒロインとの2者関係だけであるにもかかわらず、その「2人」の関係がさっぱりわからないまま、とにかく夜になったらサルのようにやっているという状態です。シチュエーションに対してなんらリアリティがわかない状態でHシーンをえんえんと見せられても、あまり楽しめるものではありません。ヒロインであるメーアが、主人公に対して「自分がどういう立場にいるのか」を認識せず(あるいは、どう認識しているかが不明)、したがって主人公に対する感情がどのようなものかが判然としないまま、主人公に体を任せている、という観がぬぐえないのです。根が好き者だったといってしまえばそれまでですが、少なからず「異常」なシチュエーションにおけるHシーンが繰り返される以上、その「異常」さに基づく盛り上げがなければ、おもしろみは半減します。

 さらに、このエロシーンがいずれもストーリー展開とはなんらリンクしていない点も、やはりマイナスポイントでしょう。

 エロをセールスポイントとするのであれば、シチュエーションの描写の巧拙こそが重要だと思うだけに、この部分の中途半端さは、なんとも残念です。

不具合・修正ファイル

 ウィンドウモードで起動できない、ムービーが正常に再生されないなどの不具合があります。LustのWebサイトに、これらの症状に対応した修正ファイルがアップされていますが、このほかにも、CGモードに登録されたはずのCGが消えてしまうという現象を確認しています。

デモ・体験版

 デモは、各キャラクターの紹介とゲームの雰囲気を出すものになっていますが、カードバトルのシステムを把握できるものではないうえ、キャラのゲーム内での役割がさっぱりわからないため、デモにひかれてカードバトルに期待して購入するのはかなり危険なものと思われます。

 体験版については、存在を確認していません。

操作性など

 対応OSは、Windows98/Me/2000/XPです。

 CD-ROM1枚で、実際に消費するHDD容量は約470MBです(パッケージ・マニュアルなどには記載なし)。インストールのオプション設定はありません。

 画面は、800×600ウィンドウ表示とフルスクリーンとを切り替え可能で、下部に半透明のメッセージウィンドウ、右下部にパラメータなどの状態が表示されます。メッセージウィンドウは、その上部をクリックすることで消すことが可能ですが、この操作方法がマニュアルに書かれていないのは不親切です。ゲーム中の右クリックメニューから、画像表示選択・メッセージ表示速度・フォント・サウンド設定・セーブ&ロードが可能です。

 基本的にマウスをクリックして進めますが、スペースキーを押してもメッセージを送ることができます(エンターキーはききません)。スキップは「Ctrl」キーを押しっぱなしにすることで可能ですが、既読・未読の区別がなく、なかなかとまらない点は困ったものです。

 セーブ&ロードは、昼間に21個所まで可能です。セーブ時の実日時とゲーム中の日付が記録されます。量的にはまずまず問題ありません。

 おまけモードは、CG閲覧のみで、Hシーンの回想モードやサウンドモードはありません。このCGモードも、一度見たはずのCGが見られなくなることもある、次のシーンに移るときにどう操作したらいいのかさっぱりわからないなど、どうにも不十分な観があります。DOS時代のゲームじゃないのですから、もう少し「基本操作」をしっかり装備してほしいものです。

サウンド

 音楽担当は、「Dynamiteあさぷ」氏。曲の数は9曲(ボーカル曲含む)とかなり少なく、すべてCD-DAで再生されます。特に印象に残る曲もありません。しかしオープニングの「Higher than Sky」(歌:三上裕子)は非常に格好いいもので、久しぶりに強い印象を受けた曲です。

 音声は、主なシーンでボイスが入る形です。演技はまずまずですが、ゲームのボリュームを考えれば、あってもなくても大差なかったように感じました(^^; なにより、緊迫感が満ちあふれているシーンで、日常的で脳天気なおしゃべりの声が出てくると、白けます。演技力以前の問題のような気がします。

グラフィック

 原画担当は「T-dog」氏。各キャラクターの描き方はまずまずですが、特にこれといった特色もなく、可もなく不可もなくといったところでしょうか。しかし、CGが量的に極めて少ないのは大きな問題です。背景パターンが各場所ごとに1つずつあるのみで、しかもHシーン以外のイベントCGがほとんどない(エンディングによってはある可能性も否定はできません)というのは非常に寂しいものがあります。さりとてHシーンも、そのバリエーションはかなり多いものの、1つのバリエーションについてCGが1枚ずつ(ごく一部、2枚のものがあり)では、テキストが流れてもどうにもむなしさが残ってしまいます。

お気に入り

 特にありません。確かにメーアはそれなりにかわいいのですが、どんなキャラなのかが結局理解(というより把握)できませんでしたし、ほかのキャラは完全にどうでもいいですし。

総評

 全体としての冗長さ、そして何らかの設定があるものと見せておきながら、それを結局処理し切れていないもどかしさが、何よりも先に気にかかります。

 カードゲームというシステムを用いることで、シミュレーションパートに工夫を加えようとした発想は悪くないと思いますが、この手法がシチュエーションの変化をうまく出すことに成功しているわけではなく、むしろストーリーの流れを阻害しているのが実情です。カードゲーム自体は特に面倒ということはなく、難易度もほどほどのバランスを保っているとは思いますが、Hシーンのバリエーションを比較的容易に見せるという点ではうまくいっていますが、各キャラクターの感情を断ち切ってしまい、あたかも録画済みのアダルトビデオを再生するかのような手法になってしまっているのはいただけません。

 シナリオ展開の浅薄さ以前に、主軸となるべきカードパートの「位置づけ」をきちんとしていれば、もっといい作品になったのではないか、そう考えます。

個人評価 ★★★☆☆ ☆☆☆☆☆
2002年8月8日
(8月10日、追加・修正)
(10月**日、「デモ・体験版」を追加)
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