GALAXY ANGEL ブロッコリー

2002年8月23日発売(CD-ROM版)
2002年12月20日発売予定(DVD-ROM版)
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 私はアニメについてはまったく興味がなく、コミックにも最近はほとんど手を出していないのでまったく知らなかったのですが、この『GALAXY ANGEL』は、いろいろなメディアミックスとして展開されており、PCゲームはその中核にあたるということのようです。このため、プレイ前、あるいはプレイ途中で漏れ聞こえてきたさまざまな声も、そういったアニメやコミック、あるいは小説とのギャップによる戸惑い、あるいは比較といったものが多く、ソフトウェアとしての評価はあまり耳にしていませんでした。もともと「女の子がかわいいみたいだな」といった程度のごく軽い気持ちで手に取ったのが動機であり、そういう点では「事前情報皆無」なままで手を付けたも同然でした。しかし実際に始めてみると、期待以上におもしろいゲームに仕上がっていました。キャラのつくりや出し方などはともかく、それを戦闘シーンの中で巧みに使っている点に、プレイ開始10分もたたずに驚き、たまらずに引き込まれていきました。

 攻略対象のキャラクターのうち1人だけ22歳(ちなみに主人公は21歳)というヒトがいるので話がややこしいのですが、以下、すべて一括して「女の子」といった表現に統一します。「女の子および姉御」とでもいうのが日本語としては正しいのですけれどね(^^; また、主人公の名前が「タクト=マイヤーズ」ということもあって、「マイヤーズ司令」と呼ばれるたびに某国のマイヤーズ統合参謀本部議長を思い浮かべてしまうのは私だけなのでしょうか(^^;;;

 なお、以下の記述はCD-ROM版をベースにしています。

※このゲームは、年齢制限のない一般ゲームです。

シナリオ

 トランスバール皇国、元皇子で現在は皇籍を剥奪されたエオニアがクーデタを起こした。辺境警備に当たっていたタクト=マイヤーズ(変更不可)は、ルフト准将の指令のもと、反クーデタ勢力の核となり、戦艦「エルシオール」を拠点として、5つの「紋章機」を操縦する「エンジェル隊」を率いることになった。かわいい女の子たちとの関係を保ちつつ、タクトは友軍と合流し、クーデタ勢力との戦闘を重ねていく。

 

 シナリオそのものは、王道をいくというのか、「主人公」と「5人の部下である女の子」を使って敵を制圧していくというもので、ごくオーソドックスな手法を取っています。悪役の使い方などもパターンにはまっているので、特にこれといって目新しいものはありません。

 ゲームはADVパートとSLGパートとに分かれていますが(詳細は「ゲームデザイン」欄にて詳述)、ADVパートでのイベントのボリュームはやや微妙なところですね。女の子たちとのコミュニケーションを取っていくことを考えればやや物足りないのですが、こちらを充実させてしまうとSLGパートへの導入が難しくなってしまいテンポが悪くなるというところで、どの程度の量が望ましいのかは人によって大きく分かれそうです。しかし、ADVパートでのやり取りが、SLGパートでの女の子たちの反応をセッティングしているという面を考えれば、私はこのゲームの分量はまずまずだったのではないかと。

 女の子の数は5人で、お気楽マイペース娘、勝ち気で素直になれない娘、人当たりはいいがやや人間不信ぎみでちっちゃい娘、豪快な姉御、無表情で経歴不詳の娘と、これまたパターンをそろえているといった印象です。どのヒロインに対しても、おおむね「見た目どおり」のシナリオが展開されているといっていいでしょう。また、若干名に対しては「特殊能力」(特技というのではなく、常人には備わりようがない能力)があり、これがエンディングで効果的に利いており、かつ中途の展開で不自然な流れを作ることなく締めているのが好感度大(ミルフィーとミントとで終えかたが180度違うのは、恋愛対象としての主人公をどう評価していたかの違いに起因するものと思われ、なかなか興味深い)なのですが、こんなこと考えるプレイヤーはあまりいないのでしょうね(^^;)。

 ただし、ヒロインキャラクターを軸としたドラマと、ゲーム世界そのものの区切りとをきちんと連動させているシナリオがほとんどないうえ、オチが単なる「2人の世界」を描いておしまいというものが多いため、最終的な盛りがりが「いまひとつ」なものになっています。クライマックスでの盛り上げ方、およびエンディングでの描写が的確なミルフィーユのシナリオを例外として、キャラをもう少し「最後の段階で」活用してほしかったな、と思います。

ゲームデザイン

 ゲームは、エルシオールの中を移動して5人のエンジェル隊と親交を深めるADVパートと、敵機と交戦するSLGパートとの2つに分かれています。

 

 ADVパートでの移動回数はあまり多くありませんが、各ヒロインのフェイスアイコン付きのマップ移動方式なので、話したいキャラのところに行けばいいだけですし、選択肢も妙なものはないので悩むことはないでしょう。 ここでの会話選択肢によって「信頼度」というパラメータが上下し、これがその後の戦闘時の各紋章機の能力に大きな影響を与えます。また「信頼度」が累積した「好感度」というパラメータによって、エンディング対象となるヒロインが決定しますが、好感度が最高の女の子が自動決定されるわけではない(後述)ので、ゲーム進行を要領よく進めたいのであれば、むしろまんべんなく各ヒロインとコンタクトをまめに取っていくほうが、ゲームを進めるうえでは楽になります。この「信頼度」「好感度」は、エルシオール内の「クジラルーム」に行くことでチェックすることが可能です。

 中盤に「ラストダンス」というイベントがあり、ここで5人のヒロインのうち誰を選ぶかが決定されます。ここでは好感度の高い上位3人のキャラから「私を選んで☆」と申し込まれるので、このうち1人を選んでパートナーとします。残り2人は選択できません。なお、ここで決定したパートナーヒロインの紋章機はそれ以降非常に強力となり、反則的な威力を発揮してくれます。「愛の力は偉大」ということなのでしょうか(^^;

 

 SLGは、リアルタイムSLGとなっています。戦闘に入る前に配置図がマップ表示され、具体的にどのような戦術を採るかを把握できます。しかし、戦術が重要になってくる戦闘シーンは2つか3つ程度で、実際にはじっくりと敵機を殲滅していけば問題ありません。難易度はかなり控えめですが、逆にスコアを競うといった副次的な楽しみ方も可能です。また戦闘中「Pause」キーまたは「P」キー押下で一時停止も可能です(ちょっと反則っぽい気もしますが)。

 各紋章機に対して、どの敵機を攻撃するか、あるいはどのように移動するかの指示を出すことで戦闘を行います。条件が整えば威力満点の「必殺技」を使うことも可能となります。各紋章機の戦闘能力は、おおむねその直前のADVパートにおける信頼度によって上下するので、気力がみなぎっていれば凶悪なまでの力を発揮します。ただしエルシオールそのものはまったく戦力にならない(事実上、補給機と考えて差し支えありません)うえ、エルシオールが戦闘不能になると問答無用でゲームオーバーとなるので、ここだけは注意が必要です。

 デフォルトでは「カメラビュー」(エルシオールからカメラ表示した画面)が表示されます。必殺技をハデに繰り出したときのエフェクトは特筆もので、特にラッキースターの必殺技「ハイパーキャノン」はぜひともこの画面で見ておきましょう。最近のゲームの中で「見ているだけで楽しい」と思えた数少ないものです。ただし、カメラビューでは各ユニットがどこにあるのかが把握できないため、実際の指示は「マップビュー」(平面図)で行います。戦闘を安全に行いたい場合はこちらで行いましょう。この両画面は、いつでも切り替えることができます。さらに、戦闘中にはエンジェル隊の各隊員が逐次音声つきで戦況報告をしてくれるのですが、これのバリエーションが実に多彩で楽しいこと楽しいこと。何回プレイしても飽きません。

 また、戦闘シーンの前後で挿入されるムービーの美しさもさすがです。2Dと3Dとを無理に重ね合わせている観もあって、特にキャラクターの作りには少なからぬ違和感があるのですが、これはアニメをまったく見ない人間だからこそ覚えたものかもしれません。ともあれ「宇宙の空間感覚」をきちんと味わうことができるもので、これだけでも元が取れる……というのは過大評価かな。

不具合・修正ファイル

 設定画面などで特定の操作中、あるいは一部環境下でSLGパート中にフリーズするとがあるそうです。このほか、新しいグラフィックアクセラレータなどに対応した修正ファイルが、ブロッコリーのサイトで公開されています。

デモ・体験版

 デモムービーがGAMESPOT JAPANで公開されているほか、Impress Game Watchで一部のキャラクターをガイド役とした体験版が公開されています(2002年12月18日現在、ミントバージョンのみ確認)。

※2004年12月18日現在、双方ともリンク切れ。

操作性など

 私が購入したのは「限定版」で、ブックレットが付いていました。このほか「超限定版」もあるそうですが、なぜか「通常版」があるという話は聞いていません。そういう表示方法ってかなり問題があると思うんですけれど。

 対応OSは、Windows98/Me/2000/XPです。CD-ROM5枚組となっており、このうちインストールに使うものが4枚、残りの1枚がサントラCD(ただしなぜか主題歌などボーカル曲は非収録)で、それぞれ5人のヒロインの絵が描かれたピクチャーレーベルになっています。フルインストール時に必要なHDD容量は約2GBで、プレイ時にはCD-ROMは必要ありません。

 ムービーなどのエフェクトで見せるタイプのゲームということもあって、そこそこ高いスペックが必要です。推奨環境は「PentiumIII 500Mhz/メモリ256MB/VRAM 16MB以上のビデオカード」となっていますが、ビデオカードによってはこれでも多少もたつくかもしれません。やや古めの筆者の環境(Athlon Thunderbird800MHz+RADEON 7500)ではまったくストレスなく動作しました。

 画面はグラフィックが640×480全画面表示で、強制フルスクリーン表示です(オプションを付けて起動することでウィンドウモードにすることも可能です)。ADVパートでは下部にメッセージウィンドウが表示され、「Ctrl」キー押下によりメッセージスキップ可能です(既読/未読の区別はなし)。

 セーブ&ロードは、指定されたポイントで11個所まで可能ですが、ゲームの所要時間が長いこと、シーン再生モードなどがないことを考慮すると、もっと多くのセーブが可能であってほしかったところです。このゲームは基本的にユーザーインタフェースは非常にすぐれているのですが、この点だけはいただけません。

 各ヒロインごとのCGモード(ムービー再生も可能)&音楽モードがあります。ただし、各イベントシーンの再生がほしかったと思うのは私だけでしょうか?

 これらの操作の大半は、キーボードとマウスの双方で可能です。実際のプレイ時にはほとんどストレスを感じることはなく、またリプレイがまったく苦にならない仕様となっています。

サウンド

 BGMはPCMで再生されます。個別の曲はなかなかいいのですが、どうも音がやや割れたようなところが耳に付きました。オープニング「Eternal Love」とエンディング「天使たちの休息」はボーカル曲となっており(唄:飯島真理)これもよし。ただしサウンドファイルがどれかがわかりにくく、事実上いちいちゲームを起動しないと聴けない仕様になっているのが残念。

 音声はSLGパートの主人公を除きフルボイスです。演技はなかなかのものですが、特に戦闘中にさまざまな声があがるのが実に楽しい。単に女の子の声が聞こえてくるだけで十分に楽しめるのですが、敵の捨てぜりふ(微妙に格好悪かったりするのがまたいいんです)などが絶妙です。ただし、主人公の声がいただけません(--; ADV部では、SLG部へ移行する直前の合唱「了解!」が、何度聞いてもいいですね(^^)

グラフィック

 キャラクターデザイン担当は「かなん」氏。ややとがったアゴと、全体的に幼げな表情が特徴です。輪郭線に多少の違和感がありますが、なかなかキレイになっています。ただ、ムネを妙に強調しているのはかえって違和感がありますね。

 グラフィックの数は、各ヒロインごとに12〜3(細かい表情変化などは1つにカウント)あり、これとは別にイベント用ムービーが3本用意されているなど豪華………なんですが、終わってみるとさほど記憶に残らないのはなぜなんでしょうか(^^;

お気に入り

 ミルフィーユですね。ベタなキャラといってしまえばそれまでですが、ラストでのしんみりした締めのよさが個人的に気に入りました。シーンとしては「お花見」シーン。

総評

 何より、すぐれた戦闘シーンの作りがこのゲームの魅力でしょう。戦術的な幅がかなり限られているという難点はありますが、攻撃する際のエフェクト、そして逐一返ってくる戦闘員(=ヒロイン)からの反応の2つが、適度な緊張感とともにみごとに利いています。

 その一方で、個別のヒロインがかわいいだけに「ヒロインの魅力を見たい」という需要もありそうですが、このゲームでADVパートをこれ以上広げると、むしろ全体的なバランスが崩れるとも思ったものですが、ここは評価が分かれそうです。実際、ADVパートのみを切り離すと「キャラはいいけどシナリオが…」という、ある意味では決まり文句とも言えそうな評価に落ち着くのが目に見えている程度のものになっています。実際、ミルフィーユ以外のエンディングはどれもやや中途半端という観が否めません。

 キャラクターの魅力そのものを、広義の「演出」の中に取り込んでいるという点で高く評価できるゲームと考えるのが妥当でしょう。ただし、いわゆる「ギャルゲー」として見ると、このゲームを単体で十分に楽しむにはやや辛いのではないか、そう思えます。

 ひと味違った戦闘SLGゲームとして、非常に高水準の作品に仕上がっています。

個人評価 ★★★★★ ★★★☆☆
2002年12月20日
(2003年1月5日、一部修正)
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