月陽炎 〜千秋恋歌〜 すたじおみりす

2002年3月1日発売
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 私は2001年になるとゲームの購買意欲がずいぶんと下がりましたが(単純に忙しくなったという面もありますが)、『月陽炎』というゲームは発売日購入した数少ないゲームの1つでした(これを含めて3つ発売日購入)。独特の幼いキャラがどことなくかわいい、というだけの理由だったのですが、女の子の魅力が十分に発揮されたゲームでした。シナリオの展開、特に終盤の動きには「勘弁してよ」と思ったものですが、それを差し引いても楽しいゲームだったことは確かです。この『月陽炎』の中で魅力を出していながら不遇を託っていた鈴香と、完全におまけ扱いされていた双葉とが抜擢され、アナザーストーリーが組み込まれたファンアイテムが出ると知り、早速入手することになりました。

 インストール後、トップメニューを見ての第一声。「美月、みりすと同じ扱いかい(^^;」 まあ実際、脇役キャラとしても、美月より柚鈴のほうががんばっていて、美月には見せ場はほとんどないんですけどね。

 なお、このソフトは大きく分けて「アドベンチャーパート」「ミニゲーム」「みりす付箋紙」の3パートに分かれています。このレビューでは「みりす付箋紙」については割愛します(デスクトップはシンプルなものにしておきたいため、この種のツールって使ったことがないので、コメントのしようがありません)。また、『月陽炎』のことを、以下「本編」と表します。

シナリオ・ゲームデザイン

 アドベンチャーパートは、鈴香シナリオと双葉シナリオとがあります。鈴香シナリオはエンディングが4つありますが(ハッピー/トゥルー系2つ、バッドエンド2つ)双葉シナリオはエンディングは1つだけです。シナリオ担当は、本編と同じ「宮蔵」氏。

 この両シナリオのボリュームはかなり多く、プレイは2時間や3時間で終わるものではありません。本編では日々の会話の楽しさが魅力の1つとなっていましたが、今回は柚鈴が最初からまともに話してくれるので(なんだか本編よりツッコミが厳しくなってるけど)楽しさ倍増なので、メッセージスキップなどできやしません(^^; 長くても退屈することはなかったので、私はこのアドベンチャーパートだけで元を取れた気になりました。

 

 まず鈴香シナリオですが、大きく分けてルートは2つあります。一方はそれなりに万事丸く収まるエンディングで、もう一方は本編の流れを踏まえて新たに「外伝」として作られたようなエンディングへ収束します。前者がハッピーエンド、後者がトゥルーエンドでしょうか。私は最初にトゥルーエンド、ついでハッピーエンドを見ましたが、バッドエンドを見るのが意外と難しく、なかなか手こずりました。もっとも選択肢の数は大して多くないので、多少の試行錯誤で簡単にパターンを読めると思います。

 鈴香の魅力が存分に発揮されていて、本当にかわいいのがよろしい。顔を赤くする仕草は本編でもかいま見えましたが、このシナリオでは照れた顔がさまざまなバリエーションを示しており、飽きない以前に「うぅ、かわいい〜」と思ってしまいます。特にラブラブ状態になった後のベタベタぶりもいいですし、柚鈴や美月の冷やかしなども非常に楽しいですね。

 ハッピーエンドについては、本編鈴香エンドの重苦しさをどこかへ忘れたように、しかし一応の区切りが必要という形で締めています。このため後味の悪さは特にないのですが、こちらを先に見ると「本当にこれでいいのかな」と思うかも。全員が自然にハッピーというわけではないので、不自然さがないのがいいところか。こちらのエンディングが「千秋恋歌」となっています。

 一方トゥルーエンドの方は、ラブラブパート自体はむしろ長くなっていて、そのぶん熱々な展開がこれでもかと続きます。これでオチをどうつけるんだろうか、と思うと、いわば唐突に終わります。しかし、この「唐突な終わり方」自体は、不自然というのではなく、それ自体がむしろ演出の一部になっているように見えます。詳細は控えますが、ベタベタで幸せモード全開という状態がエンドレスかと思えるほど続くという「不自然さ」が、むしろエンディングにおける「現実」の裏返しになっているように感じたしだいです。個人的にはこういう手法は嫌いではありませんが、素直なハッピーエンドじゃないと納得いかない、という方は多いでしょうし、果たして「トゥルー」なのかどうか、という意見も出そうですが、本編の延長上にあるエンディングであるとはいえるでしょう。

 また、Hシーンがずいぶんと濃いですね。トゥルー系の場合、社務所でHというシーンがあるのですが、これはすごかった。巫女服という以外には特にこれといった奇抜なアイテムがあるわけではないのですが…まあ詳細は見てのお楽しみ、でしょうか。鈴香もどんどん積極的になっていくし、これがまたかわいいんですよ(*^^*) ラブラブ後の雰囲気の流れとしては、本編の柚鈴ルートに近いものがありますね。

 

 一方、双葉シナリオの方は、完全に一本道ですが、ちょっとしたサスペンスものとなっています。主人公は事件を追及する探偵、双葉がその助手ということで、本編「双葉シナリオ」の後日譚で、完全に一本道です。

 ストーリーの流れ自体は、特におもしろいというほどのものではなく、伏線の貼り方も割とあからさまなので、悪役の正体以外はだいたい見当がついてしまいます。見当のつかなかった悪役は、もっとデカい連中がバックについていると思っていたのですが、これが肩すかし。それなりに「見せ場」へ持っていく流れは悪くないのですが、ストーリーを追っていくときに「手に汗を握る」というような高揚感は特にありません。むしろ、主人公が途中で出会った柚鈴と美月のリアクションの違いの方がずっと印象に残っているのが現状です。まあそれ以前に、このルートで鈴香と会ったときに「なーに言ってんの、ついさっきはあんなことやこんなことをやってたくせに」と思っ……コホン(^^;)

 ともかく、流れの中で、双葉の存在感がそれほど大きくないんですよね。画面の中に登場しているときはそれなりにお茶目ぶりを出してくれるのですが、いなくなったら完全に「主人公の世界」になってしまい、「ヒロインとしての双葉」がどこかに消えてしまっています。会話をしていればかわいいのは確かなので、最後まで側にはべらせていた方が良かったのでは、と思うのですが。

 

 ミニゲームは、画面上で移動するアイテムをうまく誘導し、時間内にできるだけハイスコアを稼ぐというもので、1面ずつクリアするごとにご褒美CGが表示されます。高得点を狙うと辛いかもしれませんが、一回「トライアル」で操作法を練習しておけば、そう難しくはないでしょう。

不具合・修正ファイル

 私がプレイした環境では、特に不具合などは確認できませんでしたが、発売前夜の段階で、すでにすたじおみりすのWebサイトに修正ファイルがアップロードされていました。

操作性など

 対応OSは、Windows95/98/Me/2000ですが、WindowsXPでも問題なく動作します。しかし、必要となるHDD容量が非常に大きいので、現実問題としてはWindows95OSR2以降でないとプレイは厳しいでしょう。

 CD-ROM1枚で、必要なHDD容量はマニュアルによると「700MB以上」となっています。しかし、このゲームをプレイするには本編がインストールされている必要があり、本編をプレイするには約1.5GBのHDD容量が必要である点に注意。また、このソフトをインストールすると、基本的に本編と同じディレクトリにインストールすることになります(インストール時、本編のインストール先確認画面が出ます。ここで異なるパス指定をした場合どうなるかは未確認)。おそらく、一部のグラフィックデータやBGMデータなどを流用しているものと思われます。私の環境では、本編と合わせてのファイル容量は、約2GBでした。

 アドベンチャーパートでの画面構成は、本編とまったく同じなので、省略します。

 ミニゲームでは、セーブ&ロードはできませんが、タイムアウトした場合はその面にリトライすることができます。また、獲得した点数は記録されます。なお、機敏なマウス操作が必要なので、マウスがあまり賢くないと結構苦労します(^^;

 全エンディングをクリアすると、それまでモノクロだったトップメニューがカラーのものに変わります。また、入れるメニューはエンディングをクリアする順に増えていくようで、最終的には「思い出のアルバム(CGモード)」「蓄音機(サウンドモード)」「活動写真館(Hシーン回想モード)」「序章/終章鑑賞」「試着室(ヒロイン表情変化・着せ替えモード)」が出現します。CGモードでは、アドベンチャーパートでの一枚絵CGのほか、ミニゲームでのご褒美CGも表示されます。BGMモードでは、本編で出てくる歌は省略され、新しく加わったものおよび主題歌を再生できます。

 おもしろいのは「序章/終章鑑賞」で、アドベンチャーパートのエンディングのみならず、本編の序章や終章を見ることができます。『月陽炎』はエンディングフラグ方式を採用していたため、味のあるオープニングやエンディングであっても、あるエンディングを迎えてしまうともう見られないというケースが多かったことを救済するためにつくられたものと思われます。もちろん、こういったものは本編につけておくのがベストなのでしょうが、実際に要望や反響が大きかったためにつけられたサービスだと考えるのが自然でしょう。こういうユーザーフレンドリーなモードは大歓迎ですし、本編ともども、作り手の思い入れがいい方向に発揮されたものと考えます。

サウンド

 BGMはPCMで再生されます。本編のBGMを流用しているものがかなり多くなっています。

 主題歌は、鈴香編の「千秋恋歌」(作詞:宮蔵、作曲:まにょっ(LittleWing)、唄:KIRIKO各氏)と双葉編の「あなたにCheck it!」(作詞:宮蔵、作曲:Manack、唄:KIRIKO各氏)があります。それぞれ、鈴香と双葉のテーマ曲ということなのでしょう。「千秋恋歌」の方は、曲自体はよいのですが、どうにもヴォーカルがついていくのが辛そうに感じました。「あなたにCheck it!」は……ふた昔前くらいのアイドルソングのような感じで、『月陽炎』の雰囲気からはずいぶん違うような。まあ双葉だし仕方ないかな(^^;

グラフィック

 アドベンチャーパートのキャラクターデザインは、本編同様、「仁村有志」氏。目の回りから口元にかけて、女の子の魅力をうまく出す絵柄になっています。表情のバリエーションも豊富で、見ていてとても楽しめます。

 Hシーンが基本的に着衣バージョンのみというのも本編譲りですね(^^; 特に鈴香の場合「シナリオ・ゲームデザイン」部でも触れたとおりかなり過激で、キャラのイメージと意外と合っている展開が楽しかったデス。

お気に入り

 鈴香に決まりですね。照れたときの表情がたまりません(*^^*)

総評

 ファンアイテムというものは、ゲームのファンというよりもアイテム収集意欲に訴えかけて販売するものが多いのが現状でしょう。しかしこの『月陽炎 〜千秋恋歌〜』は、本編が気に入った人で、特に「鈴香に幸せを見させてやりたい」といささかなりとも思った方でしたら、まず満足できると思います。

 苦言を呈するとすれば、HDD容量が厳しい人は、それだけでプレイが絶望的になりかねないという点でしょうね。でも、この価格でこのボリューム、そしてかわいいキャラの魅力を存分に発揮してくれれば、言うことはありません。

個人評価 ★★★★★ ★★★☆☆
2002年3月3日
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