雪語り リニューアル版 TAKUYO

2003年7月4日発売
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 このゲームは一般ゲームとして発売されていますが、TarteからCD-ROMのPC18禁ゲームとして、2001年11月16日に発売されたものがオリジナルです。その後、オリジナルでは攻略非対象だったキャラが攻略対象となった、やはりPC18禁のDVD版が2002年6月28日に発売されました。さらに、2002年12月26日には、キャラクターを新規追加のうえシナリオを拡充したドリームキャスト版が、TAKUYOからリリースされました。ところがこれだけでは終わらず、2003年7月4日になると、今度はPC一般版が、シナリオを追加して発売されるにいたりました。いわば、バージョン違いのゲームが全部で4つ、PC版だけでも3つあるわけです。対応するOSには、すべて「98/Me/2000」が含まれており(オリジナルのみXPが含まれていませんが、これは発売時期を考慮すれば当然でしょう)、プラットフォーム間の差があったとも思えないので、後になるほど盛りだくさん、ということになります。

 こういう手法はあまり好きではないのですが、ある程度間をおいてから興味を持った私は、当然のように、ラストのものを買いました。もちろん、PC一般ゲームそのものがごく少数になっているため、一般版を優先して手に取った、という面もありますが。追加要素がオリジナルよりかなり大きいので、『雪語り Service Pack3』とでも表記したい気分になりますが、パッチの割引提供なんていう粋なサービスはないようです。

 ちなみに、TAKUYOのWebサイトには昨年12月(引用ママ)に発売したDC版のシナリオを再リメイクし、なんと原作より、シナリオを250%も増量!とありますが、この「原作」がオリジナルのPC18禁CD版なのか、あるいはDC版なのかよくわかりませんし、「250%も増量」も、2.5倍になったのか3.5倍になったのか不分明なのですが、ご存じのかたはおいででしょうか……って、全部買うような酔狂な人はいないですよね(^_^;

シナリオ

あらすじ

 主人公・新見孝志(変更可能)は、年中発掘調査に出歩いている放任主義の父親を持つ以外には、これといって特徴のない高校生。冬のスキー教室に、悪友の強引な誘いに巻き込まれる格好で参加した彼は、そこで「雪女伝説」と、それにまつわるさまざまな現象と出逢うことになる。

 シナリオ担当は、紺野優希/四天氏。

ムダの多いキャラクター群

 キャラクターは、家族ぐるみのつき合いのある幼なじみ・睦月、あまり愛想がない優等生のクラスメイト、騒がしい後輩、人気のある女教師、元気な妹(したがって攻略対象外)、そしてスキー教室で知り合った少女といったところ。この種のゲームでは典型的なパターンをそろえていますし、各キャラの振る舞いなどもだいたい一目で見当がつきます。学園をベーシックな生活空間として基本的な人間関係を作り、スキー場でイベントを起こすタイプのストーリーです。

 ところが、ちょっと問題がありまして。明らかに特殊な存在である紫苑は別として、それ以外のキャラクターの立場に格差が、あまりにも大きいのです。幼なじみである睦月が、主人公の「記憶」を媒介に関わってくるのは、これまた“お約束”の展開といえましょう。しかし、それ以外のキャラクターは、ストーリーに対して無理やり関係づけられたとしか見えないのです。キャラが優先してシナリオをそれに従属させている、といったところでしょうか。また、ヒロイン別のエンディングを見ても、だいたいオチが似たり寄ったりで、これまた、無理に締めているといった印象が拭えません。

 要するに、キャラクターの使い方に無理があり、各イベントが追いつけていません。睦月ルートで基本的なエッセンスをすべて出してしまい、あとはトゥルールートでまとめているのですが、その中間が存在せず、「こいつらの存在意義って、ナニ?」となってしまうサブヒロインたち。なんだか、とってもかわいそうです。

 ただし、副産物というべきかもしれませんが、本来は没個性このうえないはずの紫苑が、それなりにキャラ立ちしています。ほかのキャラクターが、いわばレディメイドの記号を割り振られていたいっぽうで、紫苑は「それ以外」という、いわば消去法的な造形になっている(ように思えました)ため、すごく自然体に見えました。

 このほか、雪山をなめているとしか思えない軽率な行動があったかと思えば、実際に遭難しかかるときにやたらと冷静になったりと、同一のキャラがシーンによって場当たり的に変わってしまうのは、いかがなものか。カメレオンを眺めていてもおもしろくないんですが。

取り去ったあとで

 冒頭で紹介したとおり、このゲームはもともと18禁としてリリースされ、その後コンシューマに移植され、さらにPC一般と再移植されるという経緯をたどっています。このため、各ヒロインごとのルートでは、もとが18禁だったということがアリアリとわかる展開になっています。もちろんHシーンはまったく描かれていませんが。

 この結果、ストーリーの流れが、後半ですごく平板になっています。すなわち、クライマックスとなるところで盛り上がるはずの主人公とヒロインが、いったいどのような関係になったか――肉体関係の有無というレベルだけではなく、精神的に相手をどの程度受け止めたり受け入れたりできるようになったか――に関する判断材料が、非常に乏しいのです。

 もともとリーチがかかっている状態(笑)の睦月なら、別に肌を重ねずとも、何らかの形でケリをつけることは可能でしょう。一言「好きだ」といってしまえばそれで済んじゃいますから。しかし、ほかのキャラクターの場合、そのヒロインが主人公にとって“特別な存在”であることを示すイベントがなく、本当に淡々と進んでしまい、エンディングで「彼女が特別」状態。確かに、プレイヤーがロックオンしたからそうなったんですけれど、これでは楽しくもなんともありません。

 ただし、紫苑だけはちょっと例外で、それらしいコトをやってるようなやってないような、微妙な表現になっていますが、あのシチュエーションでああなって何もないってことはたぶんそのあの(以下略)。

主人公たちの“家系”って何?

 妹以外の各ヒロインをクリアすると、トゥルールートに入ることができますが、この段階にいたって、主人公たちの家系がどうのこうの、という設定が突然出てきます。それまでは、主人公が運動部に入っていないのに反射神経が非常にいい、という程度のことしか書かれていないので、非常に面食らいました。

 これにかぎらず、後出しで設定が“公開”される個所がかなり多かったのは、ちと問題でしょう。話を進めて行くにつれて「もう何が出てきても驚かないぞー(棒読み)」という状態でプレイしてしまいました。話の筋は通っていても、筋を通すことが先になっているというのがハッキリ見えてしまっては、どうもいけません。

ゲームデザイン

 ごくオーソドックスなアドベンチャーゲームです。エンディングを迎えることのできる攻略可能なヒロインは5人で、それぞれにラブラブエンドが用意されています。前半部分の行動でキャラと出逢ったり、会話中で好感度を上下させたりして、各ルートに入る格好になります。あるキャラクターはほかのキャラクターをクリアしなければ攻略できないなど、エンディングフラグがいくつかあるのですが、このトラップさえ注意すれば、さほど難しくはないでしょう。さらに、この5人を全員クリアすると、トゥルールートから大団円エンドに入ることができますが、このルートだけボリューム的に突出しています。各ヒロインごとのルートをプレイして「短いな」と思われたかたは覚悟が必要……ですが、睦月と紫苑はともかく、それ以外の3人も一応終えなければいけないのは、けっこうつらいかもしれません。

 なお、おまけDiscには、かなりボリュームのあるおまけシナリオが入っています。新規CGだけでなく、チョイ役とはいえここだけでしか出てこないキャラまでいるので、オールクリアしたら一度は見ておきましょう。

不具合・修正ファイル

 私の環境では、進行に支障があるような不具合は確認していません。ただし、シチュエーションと立ち絵が一致しないシーンがありました。パーティの準備をするところでスキーウェア姿にて登場というのは無理でしょう、なんぼなんでも。

デモ・体験版

 デモムービーが、TAKUYOの公式Webサイトで公開されています。

操作性など

 一般版の対応OSは、Windows95/98/Me/2000/XPです。CD-ROM3枚組で、このうち1枚は「ゲームデザイン」で触れたおまけCDとなっており、おまけシナリオのほかに追加CGなどのアクセサリが入っています。インストール時に消費するHDD容量は約1.06GBで、プレイ時にはCD-ROMが必要になります。

 基本的に、操作はマウスをクリックして進めていきますが、ほぼすべての操作をキーボードで行えるほか、各種操作をホットキーに割り当て、自由に変更できます。デフォルトでは、セーブは「F1」またはテンキーの「0」、ロードは「F2」またはテンキーの「1」といったぐあいに、ファンクションキーとテンキーで操作できるため、長丁場になるとかなり楽になります。メッセージスキップや履歴表示もこれで可能です。同様の操作はマウス右クリックでも表示されるため、キー操作を忘れてもまったく問題ないなど、基本的な操作方法は充実していると言えます。

 画面はグラフィックが640×480全画面表示で、ウィンドウ表示とフルスクリーン表示とを切り替えられます。下部にメッセージウィンドウが表示されます。セーブ&ロードは、任意の個所で87まで可能で、セーブ時の実日時とスクリーンショットが記録されます。

 トップメニューでは、当初は「はじめから」「つづきから」「おまけ」が表示され、「おまけ」からは「CG鑑賞」(イベントCGをヒロイン別にサムネイル表示)、「エンディング再生」(各ルートのエンディングを再生)、「音楽を聴く」(曲名から選択して再生)を選択できます。

サウンド

 サウンド担当は、梶原正裕氏。比較的しっとりした感じの優しい曲が印象的な反面、日常で使われるタイプの曲は、やや流れたような印象を受けました。オープニングとエンディングにはボーカル曲が使われています。

 音声は、主人公以外男性も含めてフルボイスです。

グラフィック

 原画担当は、左氏。立ち絵はそれなりにいいのですが、照れたときの表情に無理が残っています。しかしそれ以上に、デッサンが大きく崩れているのが気に掛かります。明日香のエンディングのグラフィックなど、どう考えたって立っていられる姿勢ではないのですけれど…。また、シーンによって突然顔つきが変わって「あんた誰?」状態になることもあり、髪型を見なければ区別が付かなくなることもありました。どうにも安定していないので、そちらが気に掛かる方はやめておくほうがよいでしょう。見ていてけっこう疲れます。

お気に入り

 お気に入りキャラは、やはり紫苑(同い年バージョン)ですね。睦月のような存在のキャラがいて、なおかつそっちに走るかとなると、かなり微妙なものはありますが、怖くない程度に想い続けてくれるというのがツボにはまりました。いえ、長いこと想い続けるというパターンだと、得てして怖いキャラに仕上がってしまうんですけれど、いい意味で普通のキャラに収まっていましたから。

総評

 某キャラクターが完全に日常生活にとけ込んでしまっているなど、意外性がほとんどないながら、地に足の着いたストーリーになっているのは好感が持てます。変な背伸びをせず、いわば等身大のストーリーを展開しているため、少なくとも不快感を抱くことはないでしょう。

 その一方で、物語の密度が、各シナリオ間であまりにも違うため、途中でどうしてもだれてしまいがちになります。もともとドラマティックな展開があるわけではなく、ゆったりとかわいい女の子をはべらせる(笑)タイプのゲームなので、へたに各キャラごとのエンディングを用意する必要があったのかどうか、という感じが残ってしまいます。まあ、そのまま実行すると「××はなぜ攻略対象外なんだ」とボヤくことになるのでしょうけれど(^_^;

個人評価 ★★★★★ ★★☆☆☆
2004年9月21日
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