カラフルBOX DVD Edition SoundTail/RusK

2004年6月25日発売
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 いろいろと精神的に疲れたとき、のんびりとプレイできるゲームがないかと思い、事前の知識も何もないままに手にしたのが、本作です。調べてみると、かなりの長期にわたって発売が延期されたとのこと。それだけなら、べつだん珍しいことでも何でもないのですけれど、キャラクターの設定なども初期発表段階から大きく変更されていたとのことで、かなり警戒しながら手を付けたのですが、なかなか楽しくプレイできました。

 なお、ヒロインの名前がみなもだったり、彼女がまこちゃんと呼ぶ誠なる幼なじみがいたりしますが、別の某ゲームとの関係はまったくありませんので念のため(^_^;

※CD-ROM版(初回版2003年12月5日発売、通常版2004年1月23日発売)に比較して、オープニングムービーを再編集したり、イベントCGを新規追加したりしているとのことです。

シナリオ

あらすじ

 主人公・杜月鳴海(変更不可)は、両親および義妹のみなもと暮らす学生。男女問わずさまざまな悪友と、教室で、また放課後で、楽しい毎日を送っていた。そんなある日、諸般の事情で授業をサボっている隙に、欠席裁判にて、一ヶ月後に開かれる学園祭の実行委員に任命されてしまう。これをきっかけに、これまでの友人との関係が変わったり、新しい出会いが広がったりしていく。

 シナリオ担当は、柊★たくみ氏。

地に足のついたキャラ設定

 登場するキャラクターは、主人公の鳴海のほか、ヒロイン6人、男の悪友2人、立ちCGなしのクラスメートとなっています。これらのキャラクターの多くに共通しているのは、きわめて現実的な設定になっており、ゲームの中でしか出てくるはずのない“ゲームキャラ”となっていない点です(芽衣のみは別)。

 義妹やら、窓越しで会話できる幼なじみやらがいる時点で、ゲームとしてのお約束設定は踏まえており、したがってゲームスタート時点でプレイヤーに見える設定は、ベタとしかいいようがありません。その一方で、ヒロインキャラが不治の病に冒されていたり、主人公と結ばれ得ない運命になっていたりということがなく、恋愛の障害となるものがあっても、それを受け入れていくことが可能なレベルになっています。主人公にはちゃんと両親がおり、家族を構成している点も特筆できるでしょう(最近の学園もので、少なくとも片方の親が家にいる例は少ないのでは)。そのぶん、学校の女の子を自室に引っ張り込むのは難しくなっていますが、彼女たちはどうせ学校でヤるので問題ありません(爆)。

 この結果、ストーリーがキャラを引っ張ることがなく、むしろ個々のキャラがストーリーを作っていく感じがきちんと出ています。立ちCGなしのクラスメートまで含めて、1人1人が「キャラその1」にとどまらず、なおかつゲーム世界に包まれながら存在できている。この結果、ゲーム世界が、とても楽しいものに仕上がっています。

主人公は本命キャラのみにて生くるものにあらず

 攻略対象となるヒロインがたくさん出てくるゲームでは、主人公とヒロインが“2人の世界”を作ってしまい、完結したストーリーになってしまいがちです。ところが本作では、各登場人物ごとの関係がきちんと描かれています。ゆか−山田(あえてこの表記を使います)、棗−悦也−芽衣など、キャラクター相互がさまざまな距離をまじえて設定されており、それぞれの立場に応じた役割を演じてくれます。

 このため、ややもすれば主人公視点のみに限定されがちなヒロインの位置づけが、よりふくらみをもって描かれています。例えばゆかや芽衣の場合、山田というキャラの配置が、単純に「らぶらぶ展開のためのアクセント」に留まらず、キャラクターそのものを盛り上げるのに一役買っています。ゆかと山田が幼なじみ、あるいは芽衣と山田がクラスメートで親しいという設定があってこそのものではあるのですが、それだけでなく、攻略対象キャラがほかのヒロインのルートでそれぞれの持ち味を見せているのです。このため、どのルートでもいろいろなキャラの多様な表情を見ることができるため、飽きることがありません。攻略対象キャラが好みから外れていても「あの娘はどんな反応になるんだろう」という気になります。ヒロインどうしの恋のさや当てなどもあり(比較的穏当ではありますが)、こちら向きが好みの人にもよろしいでしょう。もっとも、みなもと芽衣など、ほとんど接触のない組み合わせもありますが、攻略対象が6人いれば15とおりの組み合わせがあるわけで、ここまで求めるのは無理がありましょう。

 なお、この点は賛否両論あるでしょうが――それ以前に、そもそも気にかける人が多数派かどうかさえもわかりませんが――、大人は誰一人として出てきません。主人公が両親に話しかけるシーンはあっても、呼びかけるのみで会話になっておらず(別に仲が悪いといった意味ではありません)、隣の楠木家にはそもそも姉弟以外に誰がいるのかさえ判然とせず、学校でも先生は存在しないも同然というありさま。学生仲間だけのバーチャルパラダイスといってしまえばそれまでですが、みなもという爆弾を抱えている以上、大人の関与(介入?)は何らかの形で求められるハズだと思うのですけどね。

王道展開の心地よさ

 ストーリーの作りも、キャラクターと同様、地に足のついたいいものになっています。

 会話や行動がいちいちギャグチックで、ボケとツッコミを繰り返しながらゲームが進行していくといった展開になっています。そうはいっても「お前何も考えてないだろ」的なキャラはあまりなく(みなもはその傾向あり)、日常生活を送るうえでのバカ騒ぎといったレベルであり、日常生活を送る生活規範を破壊するようなものではないため、さほど抵抗を感じにくい描写になっていると思います。

 また、このゲームの特徴のひとつに、「ゲシッ」(バキッ、かな?)といった感じの殴り殴られ擬音が多用されていることがあるでしょう。山田→鳴海というパターンが全体の7割近いと思われますが、鳴海→綾音などのパターンもあります。そのたびに真っ青な空が映るので、人によっては流れが止まったように感じられるかもしれませんが、私はとても楽しめました。

 その一方で、展開があまりにもあっさりしすぎており、主人公とヒロインの軸を固定してしまうことに疑問を抱かせるオチになっているものも見受けられます。これが顕著なのは義妹のみなもなのですが、両想い→なし崩し→両親そっちのけというのはいかがなものか。また、キャラクターの細かい設定(みなもの部活など)のうち、ほとんど生かされていないものがけっこうあるのも気にかかります。

 また、テキスト中で使われている用語に、不特定の人がプレイするには意味不明ではないかと思われるものが多用されていた点も、気にかかります。内輪ネタ的なギャグを使うだけならまだしも、適切な用語がほかにあると思われるのに、あえて非・一般的な用語にこだわるのは、ほめられたものではありません。

ゲームデザイン

 攻略可能なキャラクターは6人です。放課後の行動選択でイベントを起こすほか(登場キャラクターが明示されるので簡単)、これ以外にも発生する強制イベントも多く、これらの中で出てくる選択肢によって各ルートに入ります。選択肢は素直なものが多いため、クリアするだけなら難易度はかなり低くなっています。その一方で、隠しCGが数多く用意されており(ゲーム中、唐突に出てくるヒントメッセージに要注意)、CGコンプリートにはかなりの手間が必要です。

 残念なのは、各イベントごとの整合性が取れていない個所が多い点。例えば、放課後であるキャラ甲と会った後、同一イベント内で別のキャラ乙が「今日はゲーセンに行っていた」といいます。その翌日、放課後にキャラ乙と会うと「最近ゲーセンに行っていない」というセリフが出てきたりします。この程度のフラグ調整がさほど困難な作業であるとも思えないだけに、ちょっと残念なところ。

 任意のキャラクターをクリアすると、「空打(からぶち)」なるミニゲーム(一言でいえばドンジャラ)をプレイできるようになります。クリアした各ヒロインごとの「ストーリーモード」と、各ヒロインを相手にする「CPUモード」が用意されており、ストーリーモードで3回勝ってクリアすると後日譚(おまけイベント)が見られます(途中で負けてもコンティニュー可能)。本編では、棗が鬼のように強いとなっていたのですが、実際には綾がやたらと強いような気が。もっとも、「空打」は「Esc」キーでクリアできてしまうという裏技があるんですけどね(^_^;

不具合・修正ファイル

 私の環境では、特に不具合は確認されていません。

デモ・体験版

 CD-ROM版の体験版が、有志Webサイトで公開されています。なお、私は体験版を先にすべてプレイしましたが、立ちCGが基本的にDVD-ROM版本編ではより大きくなっており、また一部の表情パターンが変わっています。基本的な仕様は変わっておらず、雰囲気もうまく伝わるので、先行プレイには問題ありません。デモ版は確認していませんが、PS2版のデモが過去に公開されていました(現在、公開個所は未確認。本稿執筆時点で、販売元のKIDではデッドリンクになっています)。

操作性など

 DVD-ROM版の対応OSは、Windows98/Me/2000/XPです。DVDケースパッケージで、マニュアルはハガキサイズの紙1枚に、インストール方法と最低限のトラブルシューティングが書かれているのみで、ほかの事項はすべてディスク内のオンラインマニュアル(PDF形式)に記載されています。インストール時に必要なHDD容量は約2.5GBで、プレイ時にはDVD-ROMは必要ありません。

 画面はグラフィックが800×600全画面表示で、ウィンドウ表示とフルスクリーン表示を切り替えられます。下部に半透明のメッセージウィンドウが表示され、透過率の変更や画面効果の切り替えができます。

 このメッセージウィンドウがリングノートの格好をしており、左側に表示されるメニューもこれとうまくマッチしている……のはいいものの、表示されているメニューはほとんど使う必要がありません。「Return」(テキスト進行)は単純に画面上を左クリックまたは「Return」キー押下、「Forth」(メッセージ読み返し)はマウスホイール回転または「Page Up」キー押下、「Skip」(既読メッセージスキップ)は「Ctrl」キー押下(なお、未読メッセージのスキップは不可。既読メッセージ自動送り設定も可能)、「Close」(メッセージウィンドウ消去)はスペースキー押下と、ほかの方法をとるほうがずっと簡便だったりします。メッセージスキップを解除するタイミングが遅れがちであるなど、細かいところで、操作性に疑問を抱いたところがいくつかありました。

 セーブ&ロードは、任意の個所で50個所まで可能で、ゲーム中のスクリーンショットの縮小表示、およびセーブ時の実日時が記録され、キャラごとのアイコンを同時に埋め込むことができます。シナリオクリアの難易度はあまり高くないため、単純にコンプリートするためならこれで十分ですが、個別のイベントシーンを見たいという向きには、やや物足りない量と感じられます。

 トップメニューでは、当初は「はじめから」「システム」「終了する」しか表示されませんが、いったんセーブすると「つづきから」が、また誰か1人をクリアすると「おまけ」が表示されます。「おまけ」から、「からぶち」「CG鑑賞」(ヒロインごとにサムネイル表示)「音楽鑑賞」(曲名選択方式)「Hな回想」に入れます。

サウンド

 オープニングとエンディングにはボーカル曲が使われていますが、さほど印象には残っていません。BGMのバリエーションはけっこう多いのですが、キャラごとの曲よりもシーンごとの曲のほうがメリハリがあります。全体的にポップな曲が多く、雰囲気がよく出ていると感じます。

 音声は、主人公以外フルボイスです。レベルは比較的高いのですが、綾の声がちと年増ぽいと思ったのは私だけでしょうか。

グラフィック

 メイン原画担当は、浅羽ゆう氏。キャラデザにはややクセがあり、特に平行四辺形状の眼は、やや人を選ぶ図柄ではあると思います。私は、これも悪くはないと思いますが、まあスマートとは言い難いかと。それより、立ちCGのバリエーションの多さが特筆できます。ただし、ところどころデッサンが妙なところがあり、特にゆかのお菓子作りの絵など、だまし絵かと思ってしまいました。

 一部イベントシーンでは、サッカーボール状のまん丸顔に小さな白眼というデフォルメキャラが出てきます。こちらのデザインは、南向春風氏の担当。ギャグ調の絵であり、いかにもそれらしいシーンで使われているのですが、いかんせん活用シーンが少ない。ボケツッコミで日常を送っている登場人物たちなのですから、このグラフィックをもっと使いこなしてほしいと感じたものです。

 背景画像はそこそこきれいですが、特に印象に残るものではありませんでした。

お気に入り

 お気に入りキャラは、ゆかですね。素直で礼儀正しくて頑張り屋、さらにしつこくない程度に一途に慕ってくるなど「こんな娘いるわけねーじゃん」的なベタヒロインではありますが、会話をしていて楽しいので。ついで、妙に息がピッタリ合っている山田です。

 楽しいシーンはたくさんありますが、悦也の肩に背後から「ぽん。」と手を置く棗先輩(裏)かな(^_^; デフォルメキャラの迫力がすごい。ほかにも、山田と2人して廊下に立たされているシーンとか。

総評

 キャラクターに嫌みがなく、テンプレート化された設定から微妙にブレをもたせながら、王道学園ラブコメが展開されます。このため、ストーリーに刺激を求める人には、物足りないと感じられるでしょう。また、イベントシーンを繰り返していくことで、キャラの描写がくどいと感じられる可能性も高いと思います。しかし、キャラクターごとの相関をきちんと処理したうえで、居心地の悪さや落ち着きのなさを感じさせないスマートな作りに仕上がっているという点を、評価したいと考えます。きれいどころに囲まれるという以前に、学校で悪意のない友人たちに恵まれ、のほほんと毎日を送ってみたいというときに、格好の作品だといえましょう。ライトな学園恋愛ものがお好きな向きには、特に。

 その一方で、ヒロインとラブラブになってからの流れが速かったり、もういくつか個別イベントがほしいと思ったことが何度かあったりしました。ミニゲームを入れたり隠しCGを入れたりするよりも、シナリオの細部で作り込んでくれれば、言うことはなかっただけに、少し残念ではあります。

 なお本作は、KIDからPlayStation2版が移植されていますが(2004年5月27日発売)、こちらでは新規CGが追加されているとのことです。発売時期では、PCのDVD版のほうが後なのですが、KIDのWebサイトを見るかぎり、PC-DVD版では使われていないCGもけっこうある模様。いったいどうしてなのでしょうか。

個人評価 ★★★★★ ★★☆☆☆
2004年12月19日
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