くれいどるそんぐ 〜昨日に奏でる明日の唄〜 ういんどみる

2004年2月27日発売
ご意見などは掲示板へどうぞ

 全般的にややロリっぽい感じの女の子がいっぱいいるファンタジー世界。今さら目新しさのカケラも感じることができない設定ではありますが、王道ものゆえの安心感を求めて、ふらふたと手に取りました。さして多くを期待したわけではなく、従ってよほどのことがないかぎり、驚喜することも落胆することもないだろうと、どこか醒めた目で見ていた自分がどこかにいたことは確かでした。

シナリオ

あらすじ

 王都は、伝説の生き物・聖竜の遺骨が発見されたというニュースでにぎわっていた。冒険者の主人公・クロイス(変更不可)は、すでに滅びたはずの竜の子どもをかかえた少女と出会う。幼いころに亡くした妹の面影を感じさせたその少女とともに、クロイスは仔竜をかくまうことになった。さまざまなよき協力者、理解者とともに、目標を見失っていた彼は、生き生きと動き出すことになる。

イベントパッチワーク

 シナリオ担当は、あごバリア/ちゃとら/EQ氏。

 核となるシナリオの流れは基本的に1つで(1人だけ毛色が違いますが)、あとはどのヒロインと仲良くなっているかによってイベントのスタイルが変わってくるだけです。

 したがって、各ヒロインごとのキャラクターの立ちぐあいが重要になってきますが、これがどうにも弱い。出てくるキャラクターはそれなりにバリエーションに富んでいるのですが、各ヒロインルートでのイベントごとに「ああ出てきたな」という感じであって、女の子たちが物語の中で生き生きと動いているさまを、ほとんど感じることができません。

 むしろ、まずイベントが用意されていて、その舞台を演じる共通の役者として「ヒロイン」が出てくる、という程度の印象です。これは、それぞれのイベントでヒロインが発することばそのものは、単発のものとしてみるとそれなりに楽しいのですが、いわば“その場かぎり”の楽しさにすぎないためでしょう。ヒロインとのバカ話を主人公が演じるのは悪くはないのですが、それを重ねただけでは、シナリオに活力を与える結果にはなりません。漫才というものは、観客を笑わせることはできますが、演者=プレイヤーは、それを流していくしかできないのですから。

王道ストーリー

 前述したとおり、基本的なシナリオの流れはあらかた固まっています。あらすじのところで説明した、仔竜を抱えた経緯と顛末がベースとなっています。筋としてはおおむねベタなものであり、ゲームを進める前から想像できる範囲にじゅうぶん収まることでしょう。このため、意外性を求める人、何らかの感動を求める人には、おそらくつまらないという感想になるのでは。

売り手市場(笑)

 キャラクターのパターンは、王女さま(家事万能な常識人)、酒場の看板娘(ポーカーフェイスの小悪魔)、若き部隊長(頑固で純情)、不思議少女とそろっています。王女が市場で買い物を値切ったりするのはあまり見ないパターンではありますが、全員が主人公とは幼なじみの関係にあるので、そちら方面が好みの方にはたまらないのでは。もっとも、最初からハーレム状態ともいえるわけで、これで相互の衝突がほとんどないのは、私にはむしろ不自然というか、不健康なのではと思ってしまいました。

幸せなのは本人たちのみ?

 “イベントパッチワーク”問題とも重なるのですが、王道ストーリーを作っていくとはいうものの、それをベースとしてヒロインとのラブラブな展開をたっぷり楽しめるかとなると、どうにも薄いものにしか思えません。テキストの絶対的なボリュームはけっこう多いのですが、エンディングに到達しても、今ひとつ達成感を感じられないのです。

 これは、前述のように最初からヒロインのラブラブスイッチがマックスになっており、単に“誰か1人を選んだ”というだけではストーリーが大きく転換するわけではなく、それ以外のキャラクターもそれなりに出てくるため、甘い展開を存分に、とはいかなくなっているためです。Hシーンのボリューム(量、回数とも)が増えてはいるものの、個別のシーンもストーリー展開にはまったく関係ないため、ヒロインの魅力を増すにはいたっていません。

ゲームデザイン

 最初から攻略できるヒロインは5人です。選択によって誰に会えるかは非常にわかりやすいので、難易度はさほど高くありません。なお姉妹丼エンドもありますが、この場合は好感度調整が必要となるので少し手間がかかるかもしれませんが。

 主要ヒロインを全員クリアすると、メニューに「After...」というものが表示され、隠しシナリオに入れます。これは一応後日譚という体裁になっていますが、実際には約一名をのぞいて誰も歳を取っていないので、そのままでは攻略対象とするのに差し障りがあるキャラクターとのエンディングを迎えさせるための、一種のカモフラージュですね。大きくなったら意味ないじゃんと思ってしまってはいけないのでしょう(爆)

不具合・修正ファイル

 メーカーサイトで、ボリューム調整の不具合解消などの修正がなされた修正ファイルが公開されています。

デモ・体験版

 体験版が協力Webサイトで公開されています。

操作性など

 DVD-ROM版の対応OSは、Windows98/Me/2000/XPです。なお、マニュアルには「NEC・PC-9821シリーズ・富士通FM-TOWNS用のWindowsでの動作は保証しておりません」とありますが、FM-TOWNS用のWindowsは95 OSR1が最後だったはずなんですが(^_^; DVD-ROM1枚で、フルインストール時に必要なHDD容量は約2.58GBで、プレイ時にはDVD-ROMは必要ありません。初回版には小冊子が付いています。

 画面はグラフィックが800×600全画面表示で、ウィンドウ表示とフルスクリーン表示とを切り替えられます。下部にメッセージウィンドウが表示され、画面効果の切り替えが可能です。また、メッセージ表示速度切り替え、メッセージスキップ、オートプレイ、テキスト読み返し機能など、現在のゲームで標準的な機能はすべてそろっています。動作も軽快なので、プレイしていてストレスがたまることはないでしょう。

 セーブ&ロードは、任意の個所で60個所まで可能で、ゲーム中のイベント名とスクリーンショットの縮小表示、およびセーブ時の実日時が記録されます。

 トップメニューでは、当初は「はじめから」「続きから」「環境設定」しか表示されませんが、ゲームを進めていくと「CG鑑賞」「シーン鑑賞」「BGM鑑賞」が表示されます。CG鑑賞およびシーン鑑賞はヒロインごとに分けてサムネイル表示されます。シーン鑑賞では、Hシーンのほかにエンディングシーンも再生されます。BGM鑑賞は、曲名を選択する方式で、主題歌の異なるバージョンを再生することもできます。

サウンド

 サウンド担当はOdiakeS氏(Ecnemuse)です(サウンド形式は不詳)。BGMのバリエーションはそこそこですが、各シーンごとにメリハリがついています。比較的ポップでドタバタちっくな曲が多いのですが、ファンタジー世界でのんびり楽しく過ごしているという雰囲気がよく出ていると思います。主題歌「空に馳せた願い」は透明感があっていい曲なんですが、ボーカル曲としてはやや曲調がつらい気がします。

 音声は、主人公以外フルボイスです。どのキャラもなかなかよかったのですが、小悪魔ちっくなセレニアがけっこうよかったですね。

グラフィック

 原画担当は、こ〜ちゃ/啼兎☆氏。ややロリっぽい絵なのに無理に胸を出しているようなプロポーションなんですが、これはこれでいいかな。

 背景画像は非常にきれいなんですが、どうにもバリエーションが少ないと感じられたのは気のせいでしょうか。

お気に入り

 お気に入りキャラは特にいませんが、いちばん印象に残っているのは、謎の本(爆) この本が活躍するルートじたいはどうでもいいんですが、こういう妙ちくりんな脇役が気になってしまうというあたり、どのヒロインに対しても醒めた目で見てしまっていた証拠なんでしょうけれど…。

総評

 キャラクターとのおしゃべり自体はそれなりに楽しいのですが、それがストーリー展開にほとんど絡んでいないため、盛り上がりに欠けてしまっているのが、なんとも惜しい。雰囲気の作り自体は決して悪くないですし、各シナリオごとに、主人公がヒロインに惹かれていった過程をさらに深く書き込んでいけば、ほのぼのアドベンチャーとして、もっと楽しい作品になったのではないでしょうか。もちろん、個別のヒロインに萌えを感じることができればそれでいいのでしょうが、こればかりは何とも。

 シナリオやHシーンのボリュームはいっぱいあるのですが、多ければいいというわけではありません。“楽しさ”を感じさせるためのくふうがほしかったところです。

個人評価 ★★★★★ ☆☆☆☆☆
2004年4月20日
Mail to:Ken
[レビューリストへ] [トップページへ]