巫女舞 〜ただ一つの願い〜 étude

2004年11月26日発売
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 小さい目とおちょぼ口の巫女さんが田舎にいっぱいいるという、いったいどうしてそんなところに年ごろの娘さんがたくさんいるんだろと思って手に取ったのが、このゲーム。過疎の村うんぬんという設定があったものの、最初からツッコミどころを探しながらのプレイと相成ったため、過度の期待をせずにプレイしましたが、その姿勢は正解だったようです。購入そのものが正解だったかどうかは、かなり疑問が残りますが(^_^;

シナリオ

あらすじ

 主人公・元樹(変更可能)は、会社の休暇を利用して旧友に会いにいくべく、かつて自分が育った故郷に戻る。実際には旧友はすでに引っ越しており、呆然とした主人公だったが、いろいろあって、祭りの準備に忙しい神社へ厄介になった。そこには、幼なじみの夏希をはじめ、四人の巫女がおり、彼女たちのうち選ばれた一人が、巫女舞を演じることになるという。彼女たちと触れ合っていく中で、主人公の視点は誰に向けられるのだろう。

 夏の田舎を舞台としたゲームですが、田舎独特のドロドロした雰囲気はなく、むしろ開放感・透明感ある雰囲気になっています。祭が終わると、ファンタジー世界に突入する形になります。

 シナリオ担当は、4名が分担しています。

起伏に欠ける展開

 上述のとおり、村は過疎化が進行しており、どうして神社にこれだけ女の子が集まっているのか、よくわかりませんが、それはさておき。

 舞台が神社を中心として、基本的に村の中で収まっています。各ヒロインごとの設定を、ひととおり説明するような格好のストーリーになってはいるのですが、非常に淡々と進みます。シナリオの使い回しがあるわけではなく、各キャラごとにイベントなどを個別に用意しているにもかかわらず、なかなか変化を感じませんでした。ヒロインとの感情のやり取りなどあって無きに等しく(茜のみはエンディング含めてそれなりに良し)、恋愛ものとして見ると物足りません。

 シナリオの後半には、どのキャラクターのルートにおいても、超常的な現象に主人公が振り回される格好になります。しかし、これも「ふーん、なるほど」と思える程度であり、みごとなほど意外性がありません。

 あまりにも起伏に乏しいのが、むしろ特徴とさえいえるかもしれません。それでも、プレイを続けていくのが苦痛ではない程度に収まっていたのが、不思議といえば不思議です。

舞の意味って何?

 ゲームのタイトルにもなっている「巫女舞」ですが、主人公が選んだヒロインが舞うことになります。しかし、ここではCGが1枚表示され、そこそこのテキストが流れるだけで、物語を進めていくうえで、これといった意味がありません。

 明確な意味をこめなければならない、という性質のものではないと見ることも可能でしょう。しかし、ファンタジー世界へのターニングポイントとなるイベントともなりうる以上、その舞をストーリーの中で明確に位置づけたほうが、話にメリハリがついたと思うのですが。

 それ以前に、巫女だの神社だのという舞台を用意してはいるものの、実は神域をフィールドにする必然性すら乏しいというのが、寂しいところ。ゲーム世界の設定をまず用意し、そののちに巫女やら神社やら継ぎ足したという印象があります。

キャラクターの配置の無理

 パッケージの表に登場しているのが、幼なじみの夏希です。ところが、この夏希シナリオは、ほかのシナリオやゲーム全体の設定から最も離れたところにおり、他の3人のほうがより重要な役を担っています。

 それはよいのですが、核となるポジションにいるキャラクターが久音であるにもかかわらず、最も設定説明をきちんとしているのが別のシナリオというのは、いただけません。キャラクターごとにシナリオが用意されている以上、核となるキャラのシナリオで、その背景を明かしていくのが常道というもの。あえてほかのルートで、禍々しさを含んだ設定を明らかにした理由は、何ともわかりません。

浮いているトゥルーシナリオ

 以上は、基本的に各ヒロインごとのシナリオで、これらをクリアすると、トゥルーシナリオに入ります。このシナリオは、ヒロイン別のルートの途中で断片的に挿入されるものがベースとなっています。そして、サブタイトルの“ただ一つの願い”は、このトゥルーシナリオのことを指しています。

 しかし、このシナリオでは、主人公の行動が一貫しているために不自然さはさほどないものの、その中でヒロイン別のパラレルイベントがすべて入ってくるため、木に竹を接いだような流れになっています。最終的に、予想されるような形で大団円を迎えることになりますが、話にヒネリがない点はヒロイン別シナリオ以上。「やっと終わったか…」と思ってしまいました。

ゲームデザイン

 攻略可能なヒロインは4人です。全員が巫女ですが、巫女服でのHシーンはいっさいありませんので念のため(^_^; 移動先および行動などの選択によってルートが決定しますが、選択肢のパターンは少ないうえ、各ヒロインごとのハッピーエンドが1つずつのみで、あとはバッドエンドです。難易度は低いので、先に進むのは苦にならないでしょう。

 4人のヒロインを全員クリアして最初から始めると、上述のトゥルーシナリオに入ります。シナリオの分岐はなく、常識的に判断できる選択肢が出るのみ(外すとバッドエンド)なので、難易度は無きに等しいといえます。

不具合・修正ファイル

 特に不具合などは確認されていません。

デモ・体験版

 レビューおよび体験版が協力Webサイトで公開されており、体験版では最初の数日ぶんをプレイできます。各キャラクターの雰囲気を把握するのによいでしょう。

操作性など

 メディアはCD-ROM2枚組で、対応OSは、Windows98/Me/2000/XPです。フルインストール時に必要なHDD容量は約1.2GBで、プレイ時にはCD-ROMは必要ありません。初回版には小冊子が付いています。

 画面はグラフィックが800×600全画面表示で、ウィンドウ表示とフルスクリーン表示とを切り替えられます。下部にメッセージウィンドウが表示されます。設定画面からは、文章速度、自動再生時の速度、画面透明度、スキップの既読/未読、音楽等のボリューム変更、画面効果の切り替えが可能です。マウスのほか、キーボードによるオペレーションにも対応しています。基本的に単純なデザインのゲームなので、これだけあれば何の問題もないでしょう。

 セーブ&ロードは、任意の位置で80個所まで可能で、ゲーム中の日付スクリーンショットの縮小表示、およびセーブ時の実日時が記録されます。実際には、10個所もあれば十分でしょう。

 トップメニューには、「初めから」「続きから」「設定」「おまけ」が表示され、「おまけ」からCGモード、Hシーン回想モード、音楽モードに入ることができます。

サウンド

 サウンド担当はI've。透明感のあるBGMが、夏の田舎の開放感をうまく表現していました。エンディングにはボーカル曲が使われていますが、うっかりスタッフロール開始時にマウスをクリックすると、音が流れずにスタッフロールが表示されるのみとなります。

 音声は、主人公以外フルボイスです。まちがいなく及第点以上の出来でしょう。

グラフィック

 原画担当は、植田亮氏。女の子がずいぶん幼く見えます。主人公の実年齢は20歳前後と思われますが(明記されていたかどうかは未確認)、ヒロインがそれと同年代とは思えません。

 背景画像はなかなかきれいですが、デッサンが崩れているような個所がところどころ見受けられました。

お気に入り

 茜ですね。個別エンドが唯一、しっかりした形で締まっていますうえ、設定が服を着て歩いていますといった感じではなく、一応キャラとして立っていますから。

総評

 盛り上がりに欠けることおびただしいシナリオ。その希薄さを辛抱すれば、夏の雰囲気だけを気楽に楽しむということは可能でしょう。“絵だけのゲーム”でも仕方ないかと思いきや、サウンドの仕事がなかなか有効で、最後まで投げ出さずにプレイできたのは、BGMの後押しがあったためでした。

 一応、しっかり作り込んであるのはわかるのですが、どうにも楽しさに欠ける作品、と評するのが妥当でしょう。

個人評価 ★★★★★ ☆☆☆☆☆
2005年5月4日
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