スクールフェスタ ロール

2005年11月25日発売
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 だんだん枯れてきたのか、某アップロードサイトから体験版をダウンロードし、しかしそれさえも最後まで終えられずにやめてしまうことが多くなってきました。そんな中で、体験版をプレイして「おもしろそうだな」と久々に思ったのが『スクールフェスタ』。タイトルから、学園祭を舞台にした恋愛ものであることは容易に推測できますし、それゆえ、キャラクターのつくりやストーリーの組み立てなどがしっかりしていないと、見たことのあるような展開のパッチワークに終わりやすいジャンルともいえます。

 しかし、もともと学園恋愛ゲームそのものをけっこうやり込んできたもあって、リハビリ程度に軽い気持ちでプレイしてみたのですが、意外にも――全然知らないメーカーに対してこういう表現を使うことは失礼なのでしょうが――楽しむことができました。

シナリオ・ゲームデザイン

あらすじ

 手芸部の部長である三崎修一郎(固定)は、活動実績がなく予算を配分できないという理由で、学生会から廃部通告を受ける。学生会長と交渉した結果、近いうちに迫っている学園祭の一般投票で上位に進出すれば、部の保全を認められることに。後輩のアイデアをもとにコスプレ喫茶を出店することにしたものの、企画も運営も手探り状態。それでも、数少ない部員や幼なじみ、そして同じく廃部の危機に直面しているデザイン部の部員まで引き込み、なんとか動き出す。

こっちの視線、むこうの視線

 最初から攻略可能なヒロインは4人で、それぞれ2人ずつの組み合わせとなり、これは序盤で分岐します。最終盤で、それぞれの組み合わせから1人を選ぶことになります。そして、それぞれの組み合わせのうち、中途の選択肢でウエイトを置いているヒロインについては、「Interlude」という画面が表示され、ヒロインサイドの視点が入ってきます。ここで、ヒロインが現在置かれている状況をどう考えているか、そして主人公に対してどのような感情を抱いているかがわかる形になっています。

 各組み合わせは、部活動のメンバーである姉妹と、幼なじみおよびデザイン部の部員となっています。それぞれの組み合わせごとのルートでは基本的にシナリオが共通となっています。ハッピーエンドに到達するのは容易で、各ヒロインごとに1回ずつプレイすればCGもすべて回収できますから、難易度はかなり低い部類に入るでしょう。

 なお、この4人をすべてクリアすると、もう1人のルートに入れます。ただし、こちらは“1人”なので、ストーリーの流れは単純ですし、何よりも平板な印象が拭えません。キャラとして攻略したいという声が出そうだから途中で追加されたようにも見えます。

インビジブル・トライアングル

 上記のようなつくりになっているため、おまけ的な位置づけになっている1人を除けば、主人公をめぐってヒロインたちが三角関係を織りなすことになります。

 このうち姉妹は、いずれも主人公が所属している手芸部という空間を楽しんでこそいますが、実際には手芸に関しては何もやっていません。実際に手芸部の部室に出入りしているのが、主人公とこの姉妹だけということを考えれば、ある程度3人の関係に気がつこうというものですが、Interludeを見ない範囲では、ヒロイン側の態度には、好意を抱いているような抱いていないような、実に微妙なライン上でとどまっているように思われました。

 このため、主人公側がヒロインに対して抱いている感情と、その逆の感情とが必ずしも一致せず、しかも、その不一致がプレイヤー側には伝わるという形になります。「おまえらさっさと気付けよ」といった気持ちになることもありますが。

 要所要所で切迫感を出して「一致団結してこの困難を乗り越えるんだ」という流れにしていくあたり、ストーリーの運びかたもなかなかスマートです。

 なお、主人公は女の子に迫られたら唯々諾々と手を出してしまうのですが、この優柔不断さはなんとかならなかったものか。三角関係による気まずさを用意するためには避けられなかったのかもしれませんが、もうひと工夫ほしかったと思うのは望みが高すぎでしょうか。

微妙なずらし

 サブタイトルを見て、Hシーンでのアレやコレを思った人がいるかもしれませんが、そうではありませんので念のため(^_^;

 後輩の綾乃(姉妹の妹のほう)というキャラは、ポニーテールの元気娘、礼儀正しく活動的となっています。これだけ見ると、ゲームの平均的な設定に準じているのみでしょう。しかし、この綾乃は、姉妹ルートの中盤になると、主人公への対応で暴走をはじめてしまいます。具体的なことに踏み込むのは差し控えますが、彼女がそう思っているところの主人公に対する恋愛感情なるものが、まだまだ未成熟なものであり、それゆえに単純に「主人公をひたすら慕い続ける」というだけにとどまらない展開になっています。単に「元気娘かくあるべき」のレールには乗らず、かといってプレイヤーがすんなり理解できる範囲から逸脱せずというレンジを、しっかり守っているため、安心しながら、しかし退屈せずに最後まで見届けることができます。

 翻って、クラスメートでもある藤乃(姉妹の姉のほう)は、徹底的に素直な存在と位置づけられており、ヒロインの抱いている心情がごくストレートなものであることがダイレクトに伝わります。そこに綾乃の存在が入っても、彼女の位置づけが動かないため、結果的に周囲を振り回すことになっても、まったく嫌みが感じられません。

 このように、パターン化されたキャラクターになっておらず、特に主人公との関係を常に見据えながら描写されています。

序盤、中盤、終盤

 ヒロイン相互の扱いはなかなか上手ですし、特に姉妹ルートでの心理描写はよいのですが、ストーリーの流れとなると、あまりスマートとはいえません。

 ただし、最初に(主観的に)ショッキングな出来事を持っていきながら、目標が明白であるため、ストーリーそのものへの引きがやや弱いのが残念なところ。キャラクターどうしのやり取りが楽しめなければ、序盤は眠くなってしまうのでは。

 中盤で話がだんだん動いていきますが、ここでも、ヒロインの心情吐露と現状の問題解決(学園祭の準備と運営)にミスマッチを感じることがところどころあり、「そんなこと言ってる場合じゃないのでは?」と思わされました。上記の綾乃の場合は、幼さがここ一番というところで出てしまうものと解せるのですが、幼なじみのころなの場合は、単純にパニックになると思考が停止するという程度の描写しかなく、ヒロインの未成熟ぶりが好感を持っては受け止められなくなっているのが実のところ。

 終盤の展開がやや呆気ない感じにも思えましたが、これはドロドロしたものを避けるための処理、と考えるのが妥当でしょう。

もう1人

 上記4人をクリアすると、ゲームの序盤に新しい選択肢が出現し、別キャラのルートに入ることができます。しかし、典型的な“記号化されたキャラクター”がモニタの中で踊っているのみで、特筆するものはありません。シナリオの中ではいろいろと伏線とおぼしき設定が出てくるにもかかわらず、最終的には主人公と仲良くなっておしまいなので、これといった感慨もありません。

 キャラクターを眺めて楽しむだけのものといえましょう。もっとも、これは本筋ではありませんが。

不具合・修正ファイル

 特に不具合などは確認されていません。

デモ・体験版

 デモおよび体験版が協力Webサイトで公開されており、体験版では序盤をプレイできます。各キャラクターの雰囲気を把握するのによいでしょう。ただしInterludeは挿入されないので、主人公とヒロインの微妙な関係をつかむ楽しみは、本編までお預けです。

操作性など

 メディアはCD-ROM2枚組で、対応OSは、Windows98/Me/2000/XPです。フルインストール時に必要なHDD容量は約980MBで、プレイ時にはCD-ROMは必要ありません。フルボイスのゲームとしては、容量が少ない部類に入ります。

 ゲームを起動すると、最初にグラフィック(画面モードなど)、サウンド(バッファ)、オプション(DirectShowなど)、情報(PC情報)から成るメニューが表示されます。

 画面はグラフィックが800×600全画面表示で、ウィンドウ表示とフルスクリーン表示とを切り替えられます。下部にメッセージウィンドウが表示されます。コンフィグメニューは標準的なものですが、気になったのはメッセージ関連。表示を最速にしてもノーウエイト表示不可であるうえ、特殊なフォントを使っていて切り替え不可。全画面にテキストが表示されるタイプのビジュアルノベルなら格別、メッセージウィンドウに3行程度が標準のテキストであれば、見映えもさることながら読みやすさ優先の設定も可能にしてほしかったところ。このほか、画面切り替えがややもっさりしていたり、マウスクリック時の反応がいまひとつ鈍かったりしたのですが、これは私が新作を長いこと購入しない間に、ハードウェアの必要要件が上がったとでもいうことになるのでしょうか。

 セーブ&ロードは、任意の位置で60個所まで可能で、ゲーム中の日付、スクリーンショットの縮小表示、およびセーブ時の実日時が記録されます。このほか、クリックセーブ/クイックロードも備えています。

 トップメニューには、「start」「load」「config」「quit」が表示され、一度任意のエンディングを見ると「CGmode」「replay」が現れます。「CGmode」ではCG閲覧(サムネイル表示)とBGM再生(番号を選択すると曲名が表示され音楽が再生)、「replay」ではHシーンのリプレイが可能です。

サウンド

 BGMはポップな感じの曲ですが、特に印象に残るものではありません。

 音声は、主人公以外フルボイスです。各登場人物のイメージとうまくあった演技になっていると感じました。

グラフィック

 登場人物が3人ぐらいひしめくシーンが多いのですが、彼ら彼女らがいろんな姿勢を見せてくれるのがなかなか楽しめます。学園祭での演し物がコスプレ喫茶ということで、ゴスロリ、巫女さん、魔法少女、擬似中華服などがでてきます。

 また、これはグラフィックとは直接関係ありませんが、メッセージウィンドウにフキダシなど、マンガ的な表現が使われており、ポップな印象を与えています。これがなかなかに効果的と感じました。折に触れて「ピンポーン」「パチパチパチ」といった効果音が入ることもあいまって、終始飽きずに進められます。

 その一方で、背景画像の構図はなんとかならなかったものでしょうか。部室にせよ教室にせよ、水平線の配置が妙なところにあるため、全体がゆがんだ印象を受けます。目線でそのまま広角レンズを使って写真を撮ったような構図、といえばわかるでしょうか。

お気に入り

 藤乃で決まり。恋する少女は無敵、主人公と結ばれたあとに元気いっぱいになる姿がたまりません。別に巨乳萌えのケはないんですけどね(笑)。

総評

 ヒロインをかわいく描くという、この種のゲームの王道をとっています。それでいて、各パーツの寄せ集めにはならず、登場人物たちが物語の中で生き生きと動かすことに成功しています。久々に、素直な気持ちでゲームを楽しむことができました。

 三角関係によるこじれた展開になるので、スタンダードな学園恋愛ものとはいきません。しかし、別にノコギリだの包丁だのが出てくるわけではなく、当事者同時の関係が決裂するわけではありません。むしろ、重要な課題を背負った学園祭という、タイトルどおり“フェスタ”の愉しさが、それを十分に補っています。丁寧に作り込んである良作と評しておきます。

個人評価 ★★★★★ ★★☆☆☆
2005年12月12日
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