ぎゃるゲッチュウ!

霧島 薫[FANCY]氏/FANCY


概要

 主人公は、(株)闇結社の末端社員として、街にうろつくぎゃるを、アイテムを駆使してゲットする…つまり、少女を誘拐して売り飛ばすことを日々の生業としている。相棒の由美(10歳)の手を借り、クリスマスイヴまでに稼ぎまくるのだ!

 

 1999/10/7公開。ファイルサイズは2683KB(自己解凍書庫)。フルボイスである(主人公はいっさい話さない)。

 最初に断っておくが、このゲームは18禁ではない。しかし、このゲームはのちにパワーアップしたパッケージ版が18禁版として出されているため、その原型としてここで取り上げることにした。パッケージ版については、成瀬せりあさんのレビュー(現在はサイト閉鎖)あたりを参照されたい。

感想

 人身売買シミュレーションという、性描写などとは比較にならないほど「公序良俗に反する」題材を扱っているのだが、しかし18禁ではない。捕獲したぎゃるには手を出してはいかんのだ。あくまでも「捕獲」が目的であり、コストに見合った商品はきちんと扱わなくてはいけない。あんなことやこんなことは対象外だから、ぎゃるは駒として徹底している。このあたりがプロゲッターとしてのこだわりなのだろうか(18禁版では手をつけることもできるらしいが)。だからこそ、由美に「10歳」という年齢をつけることもできたのだろうが、少女が犯罪組織の手先になっているというのは、少女ポルノとは違った次元でヤバいと思うのだが、どんなもんだろうか。

 

 シミュレーションゲームとして見ると、特段面白いものではない。「場所」と「方法」をセレクトして効率よくぎゃるをゲットし、毎週末に売り渡す、これを繰り返すだけだ。最後に達成度に応じたランク評価があるものの、ただそれだけだし、何よりも中途のコマンドでのパターンがかなり決まっていて、最適の組み合わせを見つければ、あとはそれを選んでいくだけ(正解パターンは最後に書く)なのだ。毎日毎日同じパターンを連続しても「警察に目を付けられる」とか「治安の悪化が問題になる」とかいったことはないようだ。

 笑えるのはゲットする「方法」で、その一覧を書き出してみると、「一本釣り」「投アミ」「少女ホイホイ」「知人を売る」「落とし穴」「クスリ」「刃物」「電波」。クスリや刃物はすぐに思い浮かぶが、それ以外はツッコミを入れさせるために用意されたとしか思えないラインナップだ。「投アミ」を用意する主人公や由美の姿、「少女ホイホイ」にかかったアホぎゃるの間抜け面を連想するだけでも充分に爆笑ものだが、電波ってナニよ、いったい。気分は月島さん、てか?

 

 このゲームをプレイしていると、何とも言えない異様な空気が漂ってくる。由美の無邪気な笑顔とえげつない行為とのギャップからくることが多いのだが、なにせ、ゲットしたぎゃるの「管理」からして、割とシャレになっていないのだ。

 ゲットしたぎゃるは、毎週末に仲買人(由美は「ちゅうばいにん」と読んでいるけど、正しくは「なかがいにん」)に引き渡すまで「倉庫」で管理する。売値を左右するポイントは三つあって、体調・外見・生娘か否かなのだが、体調が悪くブスで使用済み(おい)の場合は管理費がかさんで足が出る。こういう時は管理コマンドで「折檻」を加え、速やかに処分してしまう方がコスト面で良かったりする。で、この「処分」のえげつなさがサイコーなのだ。なにせ、夜のおかずとして食われてしまうのである。なんだやっぱりエロじゃんと思った人は、まだまだ甘い。由美のセリフは以下の通りなのだ。

今日の夕飯はお肉だよ。

いつもはお野菜ばっかりだから、しっかり食べてね!

 お、お肉って一体。上のセリフも当然ボイスつきだし、しかも倉庫には行方不明になったぎゃるの残骸とおぼしき赤い点があったり。私は倒錯した趣味にはかなりの程度耐性を備えてきたつもりだが、ここまで歪んだ日常生活は初めて見たぞ。ぶらぼー。

 もっとも、カリバニズムにまで走らずとも、たとえばネクロフィリアのヲタクが犯罪を起こしてメディアを賑わせるようなことになれば、これも笑って済ませられることにはならないのだろう。一部の異常行為が世間の偏見を助長するという厳然たる事実を思えば、塀の上でのアクロバットのような演技を無邪気に楽しめるのは、決して安定したモンじゃないのだ。

 しかし、毎日しゃべってくれる由美が、無防備にぬいぐるみのクマさんを抱えておねむというシーンが毎晩毎晩出てくるので、これはこれでなごんでしまうのだから、人間の適応力というのは怖ろしいものだ…て、いいのか、それで?

 ちなみに私は「おはよ、お兄ちゃん」の声をWindowsの起動音に設定してみたのだが、まともな用途にPCを使おうとしてもこの音声のおかげで頭があっちの世界にイッてしまって作業ができんということに気づき、速攻でそれまで使っていたファイルに差し替えた。演技はなかなかいいし、未プレイでの音声なら割とそそる(何を?)のだが、プレイしたのちにこの声を聞くのはヤバい。

 

 あと、各ぎゃるの名前や年齢などは、いろんな組み合わせがランダムで出てくるのだが、メジャーなゲームキャラの姓や名を拝借していることが多いため、柏木 初音 15歳 生娘○ 外観:☆☆☆☆☆☆なんてのも出てきた。初音ちゃんの外観が10点満点の6点というのはなんでやねんという、とち狂ったツッコミを入れた私だったが、それ以上に凄いのがマルチなんてのがでてきたことだ。大笑い。確保したぎゃるの名前は何かいな、と毎日倉庫を確認するのは割と面白かった。これがなければ、だるさ倍増だったと思う。

 

 ゲームの難易度はそう高くはなく、何度かコツを掴めば、良質のぎゃるを多数確保できる組み合わせはわかると思うが、念のため攻略法を書いておく。「住宅街で刃物」という組み合わせを続ければ、ほぼ間違いなく「S」ランクにいくはずだ。もっともどのランクでもラストのCGは同じようだけれど。ひょっとしたら、最低ランクだと、コンクリ詰めにされて東京湾ツアーとかあるのかな? 試してないから知らないが。

まとめ

 人権もへったくれもない題材をネタにしているので、嫌な人は無視。また、ゲーム世界自体が薄ら黒い独特の雰囲気を醸し出すものの、ギャグが連発されるわけでもないので、そっちにも期待はできない。しかし、妙な世界の雰囲気を笑い、逆にその違和感を見直してみるのは、むしろ現実世界の「健全さ」を批判的に見直すにも必要ではないだろうか。

 もっとも、人さらいが実際に世界各地で行われている現状を思えば、このゲームが「現実的でない」と思える日本は、やっぱり平和なんだろうね。皮肉ぬきで。旧ソ連や東欧(特に南部)などでは、ある日突然少女がいなくなるということが実際に起こっているのだけれど。

2001年5月26日


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